■掲示板に戻る■ 全部 最新50 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 801-

きのたけカスケード ss風スレッド

1 名前:きのこ軍:2020/03/15 23:24:14.292 ID:MbDkBLmQo

数多くの国が点在する世界のほぼ中心に 大戦自治区域 “きのこたけのこ会議所” は存在した。

この区域内では兵士を“きのこ軍”・“たけのこ軍”という仮想軍に振り分け、【きのこたけのこ大戦】という模擬戦を定期的に開催し全世界から参加者を募っていた。
【大戦】で使用されるルールは独特で且つユニークで評判を博し、全世界からこの【大戦】への参加が相次いだ。
それは同じ戦いに身を投じる他国間の戦友を数多く生むことで、本来は対立しているはずの民族間の対立感情を抑え、結果的には世界の均衡を保つ役割も果たしていた。
きのこたけのこ会議所は平和の使者として、世界に無くてはならない存在となっていた。


しかしその世界の平和は、会議所に隣接するオレオ王国とカキシード公国の情勢が激化したことで、突如として終焉を迎えてしまう。


戦争を望まないオレオ王国は大国のカキシード公国との関係悪化に困り果て、遂には第三勢力の会議所へ仲介を依頼するにまで至る。
快諾した会議所は戦争回避のため両国へ交渉の使者を派遣するも、各々の思惑も重なりなかなか事態は好転しない。
両国にいる領民も日々高まる緊張感に近々の戦争を危惧し、自主的に会議所に避難をし始めるようになり不安は増大していく。

そして、その悪い予感が的中するかのように、ある日カキシード公国はオレオ王国内のカカオ産地に侵攻を開始し、両国は戦闘状態へ突入する。
使者として派遣されていた兵士や会議所自体も身動きが取れず、或る者は捕らわれ、また或る者は抗うために戦う決意を固める。

この物語は、そのような戦乱に巻き込まれていく6人の会議所兵士の振る舞いをまとめたヒストリーである。



                 きのたけカスケード 〜 裁きの霊虎<ゴーストタイガー> 〜



近日公開予定

682 名前:Episode:“トロイの木馬” someone 正義の火編その2:2021/04/11(日) 21:07:41.555 ID:JjUMM2OMo
果たして、自分はどうしたいのか。

この一月、someoneは自分自身へのその問いに答えを出せず、ずっと悩み続けていた。
師に屈するのか。否、彼女の暴挙は許せない、だがたった一人の“親”への裏切りになる。
そもそも、師への報告を怠ったとして自分なんかに彼女を止めるほどの力があるのか。

ある思いが浮かんではすぐにそれを打ち消す否定が飛び出し、それを否定すれば別の観点から疑問が生まれる。
いくら考えても堂々巡りで、胸が押しつぶされるように苦しくなるばかりだった。

ただ、心の中で自問自答を続けるうちに一つだけはっきりと自覚したことがある。


それは、この平和で忙しい【会議所】の風景を、someoneは存外に愛しているということだった。


いま、からりとした空模様だった晩冬が過ぎ、季節は花の春へと移り、中庭の周りは甘い新緑の匂いに包まれ始めていた。
蕾を持つ花々は待ち焦がれていたようにいっせいに花を開き、そよ風に花弁が吹かれ花吹雪を散らし、人々はその中をかき分けながら忙しそうに行き交いしている。

祖国にも同じ風景が無かったのかというと決してそんなことはない。
向こうでも同じように新緑は芽吹いているだろうし、木漏れ日の中で穏やかな日を過ごせる場所はここ以外に幾つもあることをsomeoneは知っている。

だが、この【会議所】という場所はまるで万華鏡のようで、知れば知るほど妙で、呆れるほど色々なトラブルに巻き込まれながらも、決して飽きることがないのだ。
壮大な規模の【大戦】に、呆れるほどくだらない議題を取り上げる定例会議に、そして隣りにいる親友を始めとした想像を超えた情熱を宿す人間たち。
いい意味でここは雑多なのだ。

祖国愛も無ければ帰心が募ることもない。
いまのsomeoneにとって、この会議所自治区域こそが故郷だ。

この平和な風景を、日常を守りたい。
師の脅威を改めて実感する中で、自問自答を深める中で、かえってその思いは強くなっていた。



892.67 KBytes  
続きを読む

掲示板に戻る 前100 次100 全部 最新50
名前: E-mail(省略可):

read.cgi (ver.Perl) ver4.1 配布元(06/12/10)