■掲示板に戻る■ 全部 最新50
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
1001-
S-N-O The upheaval of iteration
- 1 名前:SNO:2020/08/14(金) 23:03:59.555 ID:nQ7ybU.E0
- 数多くの国が生み出す世界。
かつては個々の国が独自に作り上げた文化は、やがて国々が混じり合うことで発展と変容を遂げた。
やがて……世界の理は、とある研究者によって見出されることになる。
きのことたけのこのような、二つの陣営が争うことによって世界が発展する物理法則を……。
初めは懐疑的に見られていたその理論は、ある出来事を経て証明されることになり、
この物理法則は、世界を発展する礎となった。
――その法則をコントロールする組織は【会議所】と呼ばれ、
――その法則をコントロールする行事は【大戦】と呼ばれていた。
【大戦】では、人々が兵士となり日々戦いを続け…【会議所】では、さらなる世界の発展のための活動が行われていた。
――また、【大戦】の内外で、様々な思惑が働いていた。すべてを把握することができないほどに……。
これは、世界に翻弄されながらも、真実に向かう4人の女性の物語。
目覚めた乙女たちの見る世界は――光か、陰か、あるいはその狭間か。
様々な要素が複雑に織り成す世界で、彼女らが辿り着くのは実か虚か。
交差する陰陽の中で、今乙女たちが目覚める……。
ワタシガ 見ルノハ
真 偽 ト
虚 実 ノ
世 界
- 2 名前:prewar 陰陽ノ現:2020/08/14(金) 23:08:04.244 ID:nQ7ybU.E0
The end of all flesh has come before me,
for the earth is filled with violence through them.
Behold, I will destroy them with the earth.
――Genesis 6:13
- 3 名前:prewar 陰陽ノ現:2020/08/14(金) 23:09:32.332 ID:nQ7ybU.E0
- 月と太陽が入れ替わる狭間――
それは、ありとあらゆるものの境目でもある――。
純白の布の上に置かれた水晶玉。何もかもを透通す水晶の球体。
その中に浮かぶ世界は、空を舞う雲のように絶え間なく動いていた。
すべてが、なにものかの意思に導かれるように……。
……その存在の名は分からない。
科学や魔術などの知恵に秀でた人間なのか――
身体能力の高いオーガなのか――
魔術に秀でたエルフや魔族なのか――
あるいは、語られることも少ない少数種族か――
それとも、知性を持たないと言われる獣か――
もしかしたら、神か悪魔といった、超常的な存在なのかもしれない。
- 4 名前:prewar 陰陽ノ現:2020/08/14(金) 23:11:56.792 ID:nQ7ybU.E0
- いずれにせよ、どのような存在であろうと――われわれは立ち向かわなくてもいけない。
世界の流れは止まる事はなく、常に前へと進んでいるのだから……。
世界は、すべてが陰陽に支配されている。
互いが絡み合うことで構成される――逆に言えば、互いが分離したままの世界はありえないのだ。
絡み合う陰陽の中で――流動する景色。
うねる世界の渦の中で……ふいに人物の影が見えた。
渦をかき分けるたび、その人物の影は鮮明になってくる。
まるで、その人物が始点となるかのように――渦巻く景色が、その人物の視点へと移っていく。
……ふと、水晶玉の手元にタロットカードがあるのが見えた。
なにか因縁めいたものを覚え、22枚のカードの山を崩してシャッフルし……カードを1枚引いた。
カードを表に返すと同時に、水晶玉の中の人物がはっきりと映し出された。
- 5 名前:prewar 陰陽ノ現:2020/08/14(金) 23:12:45.019 ID:nQ7ybU.E0
- その人物とは――
- 6 名前:Route:A:2020/08/14(金) 23:13:36.628 ID:nQ7ybU.E0
- ――希望を胸に羽ばたく長身の女性だった。
- 7 名前:Route:A:2020/08/14(金) 23:18:08.908 ID:nQ7ybU.E0
- Route:A
Chapter0
- 8 名前:Route:A twilight dream:2020/08/14(金) 23:18:46.602 ID:nQ7ybU.E0
- ……オレは、夢を見ていた。
それは、幼い日の思い出……。
砂浜で出会った少女との、たった一日限りの――それでいて、決して忘れることのない思い出。
???
「……えっ、きみは人魚、なのか……?」
???
「――」
(――そう。だから、私は帰らなければいけない。)
自身を人魚と語った少女は言葉を話せなかった。……だから、砂浜に言葉を紡いでコミュニケーションをとっていた。
そのしぐさは、非現実的で――そのきれいな字も相まって、空想の世界にも思えた。
- 9 名前:Route:A twilight dream:2020/08/14(金) 23:19:35.748 ID:nQ7ybU.E0
- ???
「そっか……でも、これでお別れじゃないよ
また、絶対に会える」
それでも……オレの五感はその景色を覚えている。
水面から漂う潮の香りを。濡れた砂浜の感触を。舌に感じる塩辛い味を。細波が揺れて織りなす音を。
そしてエメラルド・グリーンの瞳とアクアマリンの髪が特徴的な人魚の少女の姿を……。
???
「――――」
(ありがとう――貴女の言葉、貴女のしてくれてことを私は決して忘れない――)
オレの言葉に感銘を受けたのか、人魚の少女は涙を流しながらも、感謝の言葉を伝え……海の中へと、潜って行った。
夕陽に照らされる海は、ざぁざぁと細波を立てていた。
- 10 名前:Route:A twilight dream:2020/08/14(金) 23:21:45.676 ID:nQ7ybU.E0
- オレの瞳もまた、涙で滲んでいた――。それは名残惜しさによるものか、あるいは黄昏の光景によるものか……。
だが、そこには完全な絶望はなかった。
なぜなら、絶対に会える――、オレ自身が呟いたその言葉が必ず叶うと思っていたからだ。
根拠はなかったが、それは自信をもってオレの心の中を灯していた。
眼前に広がる赤い夕焼けは、人魚の少女の影が見えなくなるまでオレを包んでいた……。
赤い光に包まれながら……オレはぼうっとそこに佇んで、ふと頭をよぎるものがあった。
……ああ、そうかとオレは思った。
この、幼い日の思い出で、オレは知ったのだ――――。
世 界 に は 希 望 が 存 在 す る の だ と 。
- 11 名前:SNO:2020/08/14(金) 23:22:27.866 ID:nQ7ybU.E0
- 手探りで新作始めました
- 12 名前:Route:A-1:2020/08/15(土) 23:33:34.030 ID:6On/JKWI0
- Route:A
2013/4/1(Mon)
月齢:20.3
Chapter0
- 13 名前:Route:A-1 dream remnants:2020/08/15(土) 23:35:08.875 ID:6On/JKWI0
- ――――――。
オレは、幼い日の思い出を掴みながら、陽光射すマンションの一室で、目覚めた。
高校を卒業してから数週間……、今朝からオレは【会議所】の兵士として活動することになっていた。
ベッドから立ち上がったオレの視点は、ぐぐっと急上昇する。
それもそのはず、背は、女にしては高く――183cmもあるからだ。
おまけに手足も長いから、学生時代はいつも女子たちに囲まれていたことを思い出す。
???
「あの、夢か……」
オレは、洗面所で、歯を磨きながら手を握ったり離したりして、夢を名残惜しそうに反芻していた。
次第に脳が覚醒し始めると、思考を纏う夢の残滓は薄れ始め……夢の出来事も徐々に頭から飛んだ。
- 14 名前:Route:A-1 dream remnants:2020/08/15(土) 23:35:46.873 ID:6On/JKWI0
- ふと、鏡に映るオレの顔を見た。
プラチナブロンドのショートヘアーや、きりりとした切れ長の蒼い目を見て、学生時代をふと思い返した。
女子
「いつ見てもかっこいいわぁ、どの男子よりもかっこいい――」
女子
「背が高くて、声や顔も凛々しくて――王子様みたい」
女子たちに、やたらともてはやされたような……そういう記憶がある。
女子
「あの……付き合ってください」
時には、同性からの告白も受けた。……オレにとってよく知らない人物からだったから、断ったが……。
そんなことを思い返ししているうち、オレはやがてリビングの机の上に置いた書類を読む――そういった予定を思い出す。
父
「おはよう、乙海――」
軍服に着替えたオレがリビングに行くと、新聞を読んでいた親父が顔をあげ、オレの名を呼んだ。
お袋は、オレが物心つく前に亡くなり、親戚付き合いもなかったから、たった一人の肉親といってもいい存在だ。
- 15 名前:Route:A-1 dream remnants:2020/08/15(土) 23:38:29.753 ID:6On/JKWI0
- 短い白髪に、白い口ひげ……そしてそれとは対照的に黒い眼球と青白い瞳……。
いつもはシルクハットとシェードグラスをかぶっているが、今はプライベートな場だからか、それらを外している。
乙海
「おはよう」
淡々と返すオレ。……オレは、世間一般的に言われる父親のような関係がない。
もともと仕事人間の気がある親父……幼稚園や小学校のころは、オレとなるべく過ごすようにしていたが、
中学校に上がってからは仕事に本格的に復帰し、たまに顔を合わせるぐらいになっていた。
そのため、まる6年ほど、疎遠な関係になっているのだ――それでも、幼いころに築かれた信頼関係はまだ残っているが。
オレは朝食の準備に取り掛かった。
親父もオレも料理はできるが、今朝の分はあらかじめ作れる範囲まで作っていたから、その続きにかかるのはオレになるのも自然だった。
魔力を用いた加熱器具のスイッチを押し、温まった朝食を食卓に並べた。
乙海
「……」
父
「……」
会話もなく、静かに朝食を終えた。
……昔からこうだ。たまの近況報告はあれども、和気藹々とした団らんをオレは知らない。
オレは腕時計をちらりと見た。
時刻は7時19分……まだ、会議所に向かうには早い時間だ。
オレは、リビングの上に置いた書類を見直すことにした。
- 16 名前:Route:A-1 dream remnants:2020/08/15(土) 23:46:09.228 ID:6On/JKWI0
- 乙海
「ふむ………」
ガサリと音を立てながら、紙束を掴む。
その横に置いてあった書類のひとつ、兵士登録願にはオレの本名――竹内乙海(たけうちおとめ)が記されている。
他にも適否基準や【会議所】や【大戦】について記された資料も横に重ねられている。
オレは、近くの書類に不備がないか――【会議所】の生活や、【大戦】とははどういったものか――
数回と見てきたそれを、改めて見直すことにした。
きのこたけのこ会議所とは、きのこたけのこ理論に基づいた行事(きのこたけのこ大戦)をまとめる行政区である。
メイジ大陸の国、明治国の真ん中に存在している行政区。
その場所は、独立自治区でもある。
――きのこたけのこ理論とは、二陣営による争いによって、精神的なプラスのエネルギーが世界に拡散するという理論のことだ。
この理論を、きのことたけのこというテーマに沿って大戦を行うことで、世界を活発化させる……それが大戦の目的となる。
それでは大戦はどういったことをするのだろうか。
それは、きのこ軍と、たけのこ軍――二人の陣営に分かれた参加者(兵士)が戦う行事だ。一種の試合のようなものとも言える。
先に兵力が尽きた軍が敗北し、兵力が残っていた軍が勝利するという単純なルールである。
大戦は週1で行われるが、事情によっては行われない、あるいは連続で行うこともある。
- 17 名前:Route:A-1 dream remnants:2020/08/15(土) 23:46:37.760 ID:6On/JKWI0
- それでは、人々はどのように兵士になるのか。大まかに分ければ、3つ方法がある。
1つ目は短期(お試し)コース。1回大戦に参加するだけ、という簡単なもの。
忙しかったり、兵士の体験をしてみたい――といった人向けのコースだ。
2つ目は中期(定期)コース。1ヶ月、3か月、6か月といった1月単位で参加するというもの。
このコースからは、会議所での業務なども行うことになる。
副業で兵士として参加する――といった人向けのコースだ。
3つ目は長期(会議所)コース。これは1年間、ほぼ毎回大戦に参加するというもの。
会議所で生活しながら大戦にも携わり、専業で会議所の一員として生きるコースだ。
オレは、親父がかつて会議所で活躍していたこともあり、彼が見た世界を自分でも見るためにこのコースを選択したのだ。
乙海
「こんなものかな……」
知識を整理しきったオレは、書類の不備がないことも確認し、出発の準備をした。
- 18 名前:Route:A-1 dream remnants:2020/08/15(土) 23:47:19.336 ID:6On/JKWI0
- 父
「……乙海、会議所で兵士として生きることに、少々の不安もあるだろうが、
お前の選んだ道なら、そのまま突っ走ってしまえ」
親父は、今朝初めての言葉らしい言葉をオレに告げた。
オレはその言葉をエールと解釈し、頷くと、父も頷き返した。
父
「オレは、またこれから仕事でしばらく家を空けるが――いつものことだから、大丈夫だろう」
乙海
「ああ、そうだね……親父……」
親父の声を背に、オレは表情を引き締め、家を出た。
ふと空を見上げると、陽光が祝福するかのように会議所へ歩むオレを照らしていた……。
- 19 名前:SNO:2020/08/15(土) 23:47:39.196 ID:6On/JKWI0
- 名前欄の表記も模索中。
- 20 名前:きのこ軍:2020/08/16(日) 15:33:37.173 ID:T/xzUP.oo
- おお、更新おつ!ついに念願の大作SSはじまったぜ!
竹内さんに娘がいたとは…
- 21 名前:きのこ軍:2020/08/16(日) 15:34:28.780 ID:T/xzUP.oo
- 会議所を学園都市みたいな設定にするのは参考になる。なるまど~
- 22 名前:SNO:2020/08/16(日) 21:27:40.463 ID:EC7N/SAU0
- >>12がchapter01なのに00になってたのは秘密だよ
- 23 名前:Route:A-1 loiter:2020/08/16(日) 21:30:34.410 ID:EC7N/SAU0
- オレは、【会議所】の門の前に辿り着いた。
時刻は7時59分――
会議所の中に人が集まり始めるのは、運営開始時刻の15分前ほどと聞いた。
その時刻は9時だから、随分と――早く来たことになる。
乙海
「うーむ、時間でも潰すかな」
頭をかきながら、オレは適当に会議所をうろつくことにした。
何せ、会議所は広い。その中心の本部棟は、巨大な城のような建物の中にある。
窓も多く、何百人、何千人という人々をも収容できるようにも思える。
また、会議所自体もうんと高く、厚い城壁に囲まれている。会議所裏にある岩山ほどの高さに、オレは圧巻されていた。
また、本部から海を臨む方向には城下町のように市場が広がり、路上の店であったり、飲食店であったり――
あるいは、観光グッズ屋であったりと、人々の賑わう施設の多い町並みが見えていた。
とはいえ、まだ時間が時間なだけに人通りも少ないが……。
- 24 名前:Route:A-1 loiter:2020/08/16(日) 21:32:05.910 ID:EC7N/SAU0
- 乙海
「それにしても、本当に広い……
散策するなら、もっと先でもいいかもしれないな」
会議所は、本当に大きく、広く……すべてを見るとなると、陽が暮れて月が昇るどころか、次の朝日を見るほどかかりそうだ。
会議所の土地を所有権を持つ明治国にも、首相官邸は存在するが……会議所と比べればはるかに規模は小さい。
写真や映像でしか見たことはないが……それでも、スケールの違いは圧倒的だった。
まぁ、会議所は様々な国や企業が連携した組織だから、そうなるのも当然だろうか。
オレは、【会議所】の広報資料に書いてあった内容を思い起こしながら、ぶらつくことにした。
- 25 名前:Route:A-1 loiter:2020/08/16(日) 21:33:11.087 ID:EC7N/SAU0
- 国家だけでも、大小、100を超える国々がこの会議所で連携しあっている…。
【会議所】の運営に関わる施設や武器庫を有し、工業に力を注ぐ産業大国、明治国。
種族を問わず、メイジ(魔法使い)を大勢有するモリナガ大陸の、マリー共和国。
オーガの住む土地であるルマンド大陸の大国、ブルボン王朝。
エネルギー物質であるチョコレートの原料であるカカオ栽培に力を入れている農業大国、オレオ王国。
魔族が住み、魔力を多く含むクリスタルの産地であるカキシード公国……。
企業で言えば、メイジ関連の製品の研究開発をメインに、医療や義肢など様々な分野で活躍する、【ルミナス・マネイジメント】。
農業に特化した食品会社の大企業、【ヴァルトラング】。
世界的な自動車会社のひとつ、【江崎糖原(ジャン・チー・タン・イェン)】。
エネルギー関連の大企業、【不死屋】。
- 26 名前:Route:A-1 loiter:2020/08/16(日) 21:33:59.018 ID:EC7N/SAU0
- ……例を挙げるだけでも、両手では足りない。
すべてを把握するのが難しいほどの集団が集まり、蜘蛛の巣のよりも複雑なネットワークを形成している――。
それは、【会議所】の設備を見ても明らかだった。
様々な国の調度品。設備に刻まれた企業のマーク。
これらは多種多様に富んでいて、その規模を改めて実感させられることになる――。
ふと、オレは足を止める……。事務室の案内板が目についたからだ。
オレは、もともとそこに用があったこともあり、時間は早いながらも室内へと入ることにした……。
663.99 KBytes
続きを読む
掲示板に戻る
前100
次100
全部 最新50
read.cgi (ver.Perl) ver4.1 配布元(06/12/10)