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S-N-O The upheaval of iteration

1 名前:SNO:2020/08/14(金) 23:03:59.555 ID:nQ7ybU.E0
数多くの国が生み出す世界。
かつては個々の国が独自に作り上げた文化は、やがて国々が混じり合うことで発展と変容を遂げた。
やがて……世界の理は、とある研究者によって見出されることになる。
きのことたけのこのような、二つの陣営が争うことによって世界が発展する物理法則を……。

初めは懐疑的に見られていたその理論は、ある出来事を経て証明されることになり、
この物理法則は、世界を発展する礎となった。

――その法則をコントロールする組織は【会議所】と呼ばれ、
――その法則をコントロールする行事は【大戦】と呼ばれていた。

【大戦】では、人々が兵士となり日々戦いを続け…【会議所】では、さらなる世界の発展のための活動が行われていた。
――また、【大戦】の内外で、様々な思惑が働いていた。すべてを把握することができないほどに……。

これは、世界に翻弄されながらも、真実に向かう4人の女性の物語。

    目覚めた乙女たちの見る世界は――光か、陰か、あるいはその狭間か。
    様々な要素が複雑に織り成す世界で、彼女らが辿り着くのは実か虚か。
    交差する陰陽の中で、今乙女たちが目覚める……。

ワタシガ               見ルノハ
    真 偽 ト
              虚 実 ノ
          世 界

933 名前:Route:D-6 愚者:2020/12/26(土) 23:05:13.100 ID:vXvv.fQI0
――――――。

気が付くと、私は、【鏡】の向こうで起きる出来事を見つめていた。
やはりその過程は分からない――だが、そのことすらも考えさせない光景が【鏡】の向こうに写っていた。

それは、またしても悲劇。
自分が出来ることは、【鏡】を通してその光景を見るだけで、その事実に介入することはできない。

???
「これで……残りは、ひとり……
 あはははは、それにしても、私はほんとうに愚かだねぇ、ほんとうに……あはははは……」

呆然と……心を失ったように、嗤う女性の声が聞こえた。
角を生やし、紫紺色のローブに包んだ彼女の手には……
片手に翡翠色に輝く三叉槍のような剣と、もう片方の手にレモン色の魔法弾があった。

剣からはぬめぬめと輝く血がどろどろにこびりついていた。
何人も斬ったのか……辺りにはバラバラにされた男たちの死体も転がっていた。


「ま、待ってくれ……た、たすけ……」

ブルブルと震える男が、腰を抜かして後ずさりながら女性を見ていた。
あまりの恐怖に失禁し、がたがたと歯を鳴らして震える様は、憐れにも思えるほどだった……。
その向こうでは、恐らくは店舗であったであろう家屋が、業火に包まれていた。

???
「は?何、冗談言ってるの?あははははっ、イラない存在だからまともに考えられないのかな?
 そっかぁ……エレガントでハッピーな二人の関係を破壊したのにそんなこと言えるんだぁ……
 ……厚顔無恥で反吐が出るほどイラない存在にいっぱい食わされた自分が、本当にばかみたいだなぁ、あははははっ」

……女性は卑下するように笑っていた。男の話など、全く聞いていないように見える。


「ヒ……ヒィィィ!!」

???
「まあいいや――反省してももう遅い……」

怯えて動けない男の態度とは対照的に――女性の表情は般若のように鬼のように――見ている私すらも身体が震えるほどに恐ろしかった。
その、低くなった声色は吹雪よりもなお冷てついて――その眼窩には陰が落ちていた。
まるで……彼女は闇そのもののようにも思えた。

???
「これで、お前たちは全滅だ
 この大地の藻屑になるがいい
 …  … シ  ト  ラ  ス 」

とても、とても……ゆっくりと紡がれた文言とともに、
過剰とも思える量のレモン色の魔法弾が、男を幾度となく叩きつけ、男はその場から消滅した。


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