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S-N-O The upheaval of iteration

1 名前:SNO:2020/08/14(金) 23:03:59.555 ID:nQ7ybU.E0
数多くの国が生み出す世界。
かつては個々の国が独自に作り上げた文化は、やがて国々が混じり合うことで発展と変容を遂げた。
やがて……世界の理は、とある研究者によって見出されることになる。
きのことたけのこのような、二つの陣営が争うことによって世界が発展する物理法則を……。

初めは懐疑的に見られていたその理論は、ある出来事を経て証明されることになり、
この物理法則は、世界を発展する礎となった。

――その法則をコントロールする組織は【会議所】と呼ばれ、
――その法則をコントロールする行事は【大戦】と呼ばれていた。

【大戦】では、人々が兵士となり日々戦いを続け…【会議所】では、さらなる世界の発展のための活動が行われていた。
――また、【大戦】の内外で、様々な思惑が働いていた。すべてを把握することができないほどに……。

これは、世界に翻弄されながらも、真実に向かう4人の女性の物語。

    目覚めた乙女たちの見る世界は――光か、陰か、あるいはその狭間か。
    様々な要素が複雑に織り成す世界で、彼女らが辿り着くのは実か虚か。
    交差する陰陽の中で、今乙女たちが目覚める……。

ワタシガ               見ルノハ
    真 偽 ト
              虚 実 ノ
          世 界

935 名前:Route:D-6 愚者:2020/12/26(土) 23:13:55.120 ID:vXvv.fQI0
そして……紫紺色のローブを着た女性は、先ほどとはうって変わって、
慈しみを浮かべた儚げな表情で、泣き叫ぶ少女を抱きしめていた。

少女
「……な、なく、ちゃん」

絞り出すような少女の声は、蚊の鳴くほどに小さかった。

なくちゃん
「――フチちゃん、守れなくて……ごめんね」

なくちゃん――と呼ばれた女性は、その場に広がる死体を見つめながら、口惜しそうにそう呟いた。

フチ
「なくちゃんは……謝らなくていい
 ……義兄さんも加勢してくれたけれど、多勢に無勢で――貴女が来てくれなかったら……あたしも……」

フチは折り重なる死体の一角に目線を動かし……再びなくちゃんと呼んだ女性を見た。

フチ
「……シズが死んじゃった
 シズが、シズが……」

フチにとってシズは大切な存在だったのだろう。その取り乱しようは、ヒビの入った硝子細工のようだった。
そして、耐えきれなくなったのか、魔族の女性の胸にすがりつき、泣きじゃくっていた。

なくちゃん
「……ごめんね
 私が、遅かったばかりに……【嵐】からふたりを守れなかった……」

がっくりとうなだれた女性の表情は、全てを失った絶望に染まっていた。
それでもフチをあやす女性の手はやさしく……先ほど見せて闇そのもののような恐ろしさはなかった。



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