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きのたけWARS ss風スレッド
- 1 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:18:40.76 ID:L0nBYOkw
- きのこ軍とたけのこ軍で"大戦"をすることで、時代が進むフシギな世界―
―きのこたけのこワールド―
最盛期は頻繁に大戦が行われ、お互いを憎みあい、お互いを意識し、撃破しあうことで、
兵士たちは情熱とやる気を保ち、世界は発展していった。
そんな栄光の時代も、今は昔。数多くの戦闘を経て、兵士たちはかつての大戦への熱気を失いつつあった。
大戦への希望と熱気で包まれていたかつての"大戦の歴史"は、
干満で怠惰が支配するものへと塗りかえられつつあった。
舞台は K.N.C歴175年。
ある日、大戦運営を管理する大戦会議所のもとに、記憶を失った
きのこ軍兵士とたけのこ軍兵士が流れ着く。
二人の兵士の登場を機に、大戦は徐々に熱気を取り戻し始める。
しかし、突然世界は意図せず"歴史"を塗り替え始める。
今現在の歴史だけではなく、過去の栄光までも無かったことにして、歴史を喰らう異型の存在――
― “DB” が世界の前に立ちはだかった―
DBを討伐するため。大戦の"歴史"を取り戻すため。
そして自分たちの"存在意義"を知るため…
様々な想いを抱きながら、二人の兵士を始めとした会議所兵士たちは、
時空を越え、過去を取り戻す旅をする…
『きのたけWARS ~DB討伐~』
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 2 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:18:56.51 ID:L0nBYOkw
- ゆっくりやっていきましょう。
- 3 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:19:10.59 ID:L0nBYOkw
- ・考え中の設定
―きのこたけのこワールド―
この世界に存在する人物は、きのこ軍兵士とたけのこ軍兵士の二種類に分かれ、年度末
になると必ず"大戦"をしなければならない。
大戦をすることで、1年進む。大戦をしない限り、いつまで経っても次の年へは進まない。
大戦がこの世界の"全て"であり、"歴史"そのものである。
戦わければ"歴史"が進まない。この世界の歪な構造に、疑問を持つ者は誰もいない。
あるいは、かつては疑問を持った兵士もいたのかもしれない。だが、そのような兵士は
"歴史"の渦に飲まれて消えていった…
―会議所―
大戦の運営を任されている、大戦の中核ともいえる場所。
きのこ軍、たけのこ軍問わず会議所に身を置き、運営業務に励んでいる。
巨大な城を含む一つの街のような構造をしていて、中には個人用の部屋の他に、
チャットサロンやお絵かきサロンなどが組み込まれている。
また、焼き肉教やぬこ教の礼拝堂も存在していると言われ、
会議所には多種多様な用途の部屋・建物が多く存在し、誰も完全に把握できてはいない。
本部である巨大なお城の脇には、「wiki図書館」が併設されており、膨大な量の書物を管理している。
かつては多くの兵士が出入りしていたが、今では限られた人数が会議所に常駐するのみである。
―wiki図書館―
会議所本部の脇に併設されている図書館。
書物全体の管理はB’Z参謀館長が取り仕切っている。
大戦に関するありとあらゆる書物が収められていると言われている。
K.N.C歴47年に、原因不明の火災で一度、大部分が消失している。当時館長であった無口兵士も姿を消し、
一時期会議所は混乱した。
だが、2代目館長山本兵士の手によって迅速な復旧作業がされ、完全にではないがその姿を取り戻した。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 4 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:19:17.78 ID:L0nBYOkw
- ・主人公
きのこ軍兵士 アイム…
本作の主人公。
第174次きのこたけのこ大戦の戦場で倒れているところを、たけのこ軍兵士によって発見される。
性格は非常に好戦的。生来のたけのこ嫌いで、会議所内でも暫くは
たけのこ軍兵士というだけでまともに取り合おうともしなかった。
特に性格が真反対のオニロには事あるごとに突っかかり、その度にオニロから好意的な受け答えが返ってくるので、オニロを苦手としている。
しかし、DB反乱を機に、徐々にたけのこへの理解を深めていく。
直情的ではあるが、周りの状況や戦況を把握しながら冷静に行動をうつす戦闘スタイル。
戦士系ではあるが、周りの行動によって自身の戦闘スタイルを変えるので、天性はサポート系。
DB討伐隊の一員として選出され、過去と現在の大戦を行き来するようになる。
たけのこ軍兵士 オニロ…
本作の主人公。
アイムと同じく、第174次きのこたけのこ大戦の際に、会議所の近くで倒れているところを会議所兵士に発見される。
性格は非常に温厚。たけのこ軍兵士の所属ではあるが、別段きのこが嫌いというわけではなく、むしろ好物である。
事あるごとに突っかかってくるアイムに対しては、同日に発見されたというよしみもあってか、非常に好意的に接している。
普段は比較的のんびりしているように見えるが、戦闘では頭よりも先に手が出る直感型タイプ。
魔法サポート系ではあるが、天性は戦士系。
DB反乱時、始めは会議所に常駐し大戦の運営や編纂室での見張りに当たり討伐隊に指示を送る役割に徹するが、
中盤以降は自身も時限の扉を使い過去の大戦へ身を投じていく。
- 5 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:19:26.06 ID:L0nBYOkw
- 書き忘れた重要設定
・時限の扉
きのたけワールド同士を繋ぐタイムマシンフロア。時限の扉というマップ名。
きのたけワールドの果てに存在すると言われているが、実際に目にした者はいない。
"時限の扉"の中には、今の時代と過去の時代を繋ぐ"時代の扉"がある。
自分が来た年代の扉を"基点の扉"という。
フロアごとに自分のいた時代を含めた、直近の"時代の扉"が10個ずつ設置されている。
フロアは吹き抜けで通りぬけは自由。
まさに夢のようなタイムトラベルができるこのマップ。しかし、時限の扉には非常に重要な"制約"が存在する。時限の扉を使用する上では、この"制約"を知らないことには生きて還ることはできないだろう…
しかし彼等はまだ何も知らない。なぜなら誰も教えてくれないからだ。制約はあくまで想像するしかないのだ。
- 6 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:19:30.56 ID:L0nBYOkw
- 時限の扉→時限の境界へと名称を変更
- 7 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:19:41.03 ID:L0nBYOkw
- 書き忘れた重要設定その2
・wiki図書館 大戦年表編纂室
会議所のwiki塔の最下部に位置する、薄暗いジメジメとした一室を指す。
現行の管理室長は集計班。部屋の中央部には大戦年表という歴史書が置かれており、
大戦や会議所周りで事件や出来事が起こる度に、自動筆記ペンという摩訶不思議なアイテムが、
逐一年表に歴史を記録していくシステムとなっている。
しかし、自動筆記ペンがどのような基準で、その事件や出来事を“歴史”と認識するかの基準は曖昧であり、年表に
記載される事件や記載されない事件もある。
正確に基準を理解できるのはおそらく編纂室の設立者だけ。だけど、設立者は歴史の渦に飲まれて姿を消した。
この一風変わった年表システムが、後々の物語における重要な役割を担うこととなる。
さらに、この部屋にはある秘密が隠されている。それも物語が始まる時点はまだ誰も知らない。設立者を除いて…
- 8 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:19:48.58 ID:L0nBYOkw
- ・登場人物紹介(ストーリー次第では設定が変わることはある 悲しいけど、これってプロット練ってないのよね)
きのこ軍 ¢…
会議所兵士古参。きのこ軍のエースであると同時に開発推進課 統括課長でもある。
大戦の根幹となった戦闘ルールの策定を主に一人でおこない、さらに"圧縮装置"を始め
とする数多くの発明品を生み出し、大戦の根幹となる部分を支えてきた。
DB討伐に関してはあくまで慎重な立場を貫く。
DBに関して、なにか詳しく知っているようだが…?
きのこ軍 参謀…
会議所兵士古参。wiki図書館の3代目管理人。
会議所のブレーンとして、常に兵士の士気高揚に努めてきた。
また、会議所としての活動以外にも、wiki管理人として、膨大な量の書物管理も同時に
行っているため、多忙な日々を送っている。
DB反乱の際には、書物で得た時限の境界の知識を会議所メンバーにいち早く伝えるとともに、
率先してDB討伐を訴え、会議所の一致団結化へ向けて奔走する。
さらにDB討伐隊結成を提案。自身もDB討伐隊の一員に加わることになる。
きのこ軍 集計班…
会議所兵士古参。チャットサロン管理者、及び大戦年表編纂室 室長。
会議では議長を務めているが、会議の存続が危ぶまれる程の参加人数の少なさに
いつも頭を抱えている。
普段は地下の薄暗い編纂室でジメジメと過ごしている。
いつ編纂室を発見したか、いつ室長に任命されたかは不明。
¢と同じく、DBに関してなにか詳しく知っているようだが…?
- 9 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:20:04.29 ID:L0nBYOkw
- ・冒険家 スリッパ…
冒険家。たけのこ軍兵士。大戦からは既に身を退いている。
サラというアンドロイドとともに、会議所から離れた荒野で質素に生活している。
過去と現在を行き来できるタイムマシン“時限の境界”を探している。
DB討伐隊による、時限の境界探索の話を聞きつけ、自ら討伐隊に参加する決意を固める。
・きのこ軍 黒砂糖
会議所兵士古参。お絵かきサロン管理者。
自らが描いた絵を具現化することができる。その能力を使い、DB討伐隊の道標として活躍する。
黒砂糖自体はDB反乱の際は、会議所に留まり討伐隊を支援することになるが、
それが果たして…?
- 10 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:20:11.73 ID:L0nBYOkw
- ・たけのこ軍 社長
会議所兵士古参。
基本的に会話は一方通行。何かと、会話の中に定型文を散りばめるため、
話を理解するのは至極困難。まともに取り合おうとすると、かなりの労力を要する。
だが、このような話し方になったのもある理由が…?
本人の琴線に触れるような話題でない限り会話は成立しないが、会議での発現率は高め。
また、未来を見通す占い師でもある。しかし高難度言語“きれぼし語”を用いて、
皆に占いの内容を伝えるため、大抵の兵士は予言どころか言葉すら理解できない。
・たけのこ軍 抹茶
会議所兵士中堅。きのたけ開発室 室長。
会議所のツール技師として、会議所に貢献。
K.N.C歴 144年に、大戦の自動運営管理システム「集計ツール」を開発。
その他、様々な仕事を押し付けられるため、最近はやつれ気味。
DB反乱の際には、自らDB討伐隊に参加。
たけのこ軍 加古川
会議所兵士中堅。会議所内最年長兵士である。
周りからは“きのたけの長老”と呼ばれ、会議所内外からの様々な相談を請け負っている。
ただし、本人は“生涯現役兵士”を謳っており、長老という呼び名に不服を唱えている。
たけのこ軍 筍魂
会議所兵士中堅。
古来より伝わる大戦戦闘術『魂』の伝承者。戦闘術『魂』は、かつて戦闘術の中では
最上位に位置した必殺術である。しかし、気がついた時には筍魂以外に伝承者がいなくなってしまっており、
戦闘術の伝承が失われかけていた。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 11 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:20:17.70 ID:L0nBYOkw
- 残りの人物紹介等に関しては、物語が進み次第ということで一つ(丸投げ
- 12 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:20:27.72 ID:L0nBYOkw
- ・目次
第一章「欠けたものたち」
第二章「悪しき時空の潮流者」
第三章「時限の境界」
第四章「大戦に愛を」
以上を予定しています。変更になったらしょうがまいまい。
- 13 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:20:34.25 ID:L0nBYOkw
- あと、おい俺のキャラなんか違うぞバカ!ふざけんなこんな物語認めねえぞ的な意見等あればどしどしと批判してください。
鼻くそほじりながら反省します。
- 14 名前:791 @移転作業中:2014/03/24 00:20:43.79 ID:L0nBYOkw
- 場合によってはネギ持って突撃するとかどうだろう?
- 15 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:20:55.20 ID:L0nBYOkw
- ネギは考えてなかった。だけど、入れられる機会があれば組み込んでみようかしら。
- 16 名前:791 @移転作業中:2014/03/24 00:21:03.08 ID:L0nBYOkw
- しかし、大戦に愛をってタイトル気になるな
今度の大戦は愛って書いて撃破しようかな
どうせならバレンタインにやりたかったな
- 17 名前:791 @移転作業中:2014/03/24 00:21:10.89 ID:L0nBYOkw
- ホワイトデー紛争でも愛撃破できますよ。
一部登場人物に変更があったり。まあプロット練ってないからね、しょうがないね。
3月ぐらいからぼちぼちと投下し始めようかな。目指せチョコマの投稿ペース超え。
- 18 名前:791 @移転作業中:2014/03/24 00:21:16.15 ID:L0nBYOkw
- じゃあ僕シコシコと書いていくから。その場その場で書いていくから、大長編が始まるんですよ。
- 19 名前:【訂正】きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:21:32.87 ID:L0nBYOkw
- じゃあ僕シコシコと書いていくから。その場その場で書いていくから、大長編が始まるんですよ。
- 20 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:21:49.08 ID:L0nBYOkw
- 【K.N.C ??年】
「…かった。…長年…ついに……やっと……」
―― 囁くような声を聞いて。ゆっくりと、夢の中で瞼を開ける ――
「…オー…結集……貴様を………掌握ッ………会議所を……」
―― 意識が定まらない、うすぼんやりとした感覚が身体を支配する ――
「貴様を……会議所の…全て断ち……」
―― どこか見覚えのある光景、覚醒しない脳を働かせようとする ――
「…ッここで………消える…」
―― 思い出すのは、暗い室内 ――
「………るく思うな…これも…全て……ため…歴史を……ため」
―― 思い出すのは、異様なまでに冷えた部屋の空気 ――
「覚悟……逃げること……………なッ!…自ら……馬鹿なッ…」
―― 思い出すのは、ふわふわ浮いているような不思議な心地良い感触と ――
「なぜだッ!!!なぜ!!!!なぜだーーーーーーーーッ!!」
―― 頭を鈍器で殴られたような酷く重たい感触 ――
━━━━━━━━
━━━━
━━
- 21 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:22:00.26 ID:L0nBYOkw
- きのたけWARS ~DB討伐~
Chapter1. 欠けたものたち
【K.N.C??年】
━━
━━━━
━━━━━━━━
「おい。…加減に起き…おい…」
「もう大戦は…終戦…!連れて…!」
途切れ途切れに二人の男の声が背中越しに届く。感覚はだいぶはっきりとしてきた。
男たちの声もだんだんとはっきりと聞こえてきていた。
「起きてくれなきゃ大戦の後片付けできないんだよ」
「ったくよう。さっさと後始末して帰りたいんだ。死んだフリはそこまでにしろって。弾薬の処理とかも残ってるんだからよ」
少年は必死に起き上がろうとする。しかし、指先すら動かすことができない。
やけに現実味あふれる夢だ。背中越しにかけられる苛立ちを隠そうともしない声を聞き流しながら、
少年は再び眠りにつこうとした。
「オラッ!こんなところで大の字で寝ていられちゃ困るんだよ、起きろ!!」
- 22 名前:地文ありと台本形式てどっちがいいんすかね @移転作業中:2014/03/24 00:22:17.28 ID:L0nBYOkw
- 「オラッ!こんなところで大の字で寝ていられちゃ困るんだよ、起きろ!!」
鈍い音。鈍痛。
撤回。どうやらここは夢ではないらしい。
振り下ろされた棍棒をまともに受けた自身の後頭部をさすりながら、少年は気だるそうに身を起こし辺りを見渡す。
眼前にはガタイのいい男二人。周りは荒野のようだ。人の姿は自分たち以外にない。
今度は自然と身体を動かすことができた。間接的には目の前の男たちのおかげとも言えるが、
少年には殴られた相手に礼を言うだけの器量はなかった。
「随分と乱暴な起こし方じゃねえか?」
少年の鋭い眼光に、男たちは一瞬怯む。
「仕方ないだろう。もう大戦は終わったんだ、後片付けもあるから早く大戦場から出て欲しいんだよ」
少年の高圧的な態度に気圧されたのか、少年の視線から目をそらし、男の一人は早口でそう答える。
「お前さんの所属する軍はもう何時間か前に大戦で勝利したんだよ。まあお前は地べたで寝ていたかもしれないから知らないだろうがな」
気弱な一人に比べて、もう一人の男はいやに挑戦的だ。自軍が“今年度の大戦”で敗戦したことが、
彼の態度を硬化させているのかもしれない。
目つきの悪い少年は、二人の男が言う内容を少しも理解してはいなかった。ただ、喧嘩を売られた。本能的にそれは感じた。
売られた喧嘩はかう。至極単純なプロセスを経て、少年の目つきはとりわけ鋭くなった。
「なんだか知らないが、お前ら負けたのか。それで今は後片付けのお掃除か。随分と滑稽だな」
- 23 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:22:34.47 ID:L0nBYOkw
- 「な、なんだよ。やるのかよ。大戦協定で終戦後の戦闘は…」
「いや待て。鬱憤を晴らすいい機会じゃないか。いつもコテンパンにしてるきのこの奴らに負けるなんて、たけのこの恥さらしもいいところだ。憂さ晴らしに戦おうや」
二人の態度は明確なほどに違う。挑戦的な一人は既に棍棒を構えている。後ずさる気弱な一人も、もう一人に押されるように
仕方なくといった感じで剣を構える。
「ほーん。後悔してもしらねえぜ」
と、口では強気な言葉を投げかける少年だったが、内心では未知の場所で見知らぬ者と戦闘をすることに一抹の不安を覚えていた。
そもそも、男たちと相対したはいいが、少年には武器がない。
困ったなあ。
顔には出さず、内心で少年は嘆息した。身から出た錆ではあると思いつつも、ジリジリと間合いを詰められながら、少年は今ある最良の選択肢を模索していた。
男たちに悟られないように、周囲を見渡して、武器になりそうなものを探す。
と、近くに木の棒が落ちている。
~そんなこんなで戦闘シーンは省略されます~
- 24 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:22:44.61 ID:L0nBYOkw
- ~色々あって、男二人は落とし穴に大ハマリだぜ!~
「どうだ、参ったか!」
「ひ、卑怯だぞッ!落とし穴に嵌めるとは!」
「むしろこの短時間で罠をつくったことを褒めてほしいくらいだ」
砂にまみれた手を叩きながら、少年は今の光景を見て満足気に何度も頷くのだった。
「そういえば、あんたら“大戦”がどうとか言ってたが、なんだそれは?そもそも、ここはどこだよ」
二人の男は、互いに顔を見合わせた。
「おいおい…冗談だろ?」
「いや。だから知らないって。“きのこ”とか“たけのこ”とか言ってたけど、それも意味わからん」
二人は信じられないとばかりに、あんぐりと口を開けた。
「それも知らないって…お前はきのこ軍所属だろ。着ている服を見ればわかるだろ」
そう言われて、そこで初めて少年は、自分が緑を基調とした軍服を羽織っていることに気がついた。
男たちを見ると、カーキ色を基調とした軍服を着ている。自分が着ている軍服とは異なる色合いだ。
- 25 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:23:01.78 ID:L0nBYOkw
- 「その深緑の軍服は正しくきのこ軍のものだよ。かつて毒々しい緑と相まって“緑の悪魔”とか呼ばれたものに間違いない」
「お前。本当に何も覚えてねえのか?ありえないぜ、記憶喪失なんじゃないのか?」
「これって会議所に連れてったほうがいいんじゃないか?」
「そうだな、あそこで兵士登録名簿を見れば。あ、でも今日って会議所の開館時間て何時までだっけか」
「というかあそこって相談料とかいるんだっけ。今月の給料やばいんだけど…」
男たちの会話を話半分に、地面に挿したスコップの柄に顎を乗せ、少年は思い出そうとする。なぜ自分がここにいるのか。
そもそも、ここはどこなのか。自分は誰なのか。先ほどまで見ていた夢の内容は何だったのか。
「ッ……!!」
激しい頭痛。先ほど殴られた後頭部が特に痛む。
「お、おい大丈夫か」
その場でうずくまる少年を見かねて、たけのこ軍兵士二人が思わず声をかける。
ただ、落とし穴から自力で出ることはできないので、声をかけることしかできない。
「…れてけ…所に」
「え?」
気弱そうな兵士が聞き返す。
「連れていけと言っているんだ!!その会議所とやらにッ!!」
額に大粒の脂汗を浮かべながら、少年は怒鳴った。
兵士二人はあっけにとられ、再び互いに顔を見合わせ、
「…わかったから、この罠から出してくれないか」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 26 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:23:06.72 ID:L0nBYOkw
- じゃあ僕ネルから
- 27 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:23:13.80 ID:L0nBYOkw
- 【同時刻 大戦会議所 正門前】
「いやあ久々に勝てたなあ」
「俺が大量撃破決めた時のたけのこの野郎ども顔見たか?」
「これで年末は楽しく過ごせるってもんだ」
ゾロゾロときのこ軍兵士が勝利に酔いしれて、会議所に帰還していく。
「今日は宴を開い…おい。誰か倒れてないか?」
一人のきのこ軍兵士が、正門前で倒れている人物に気がついた。
「あの軍服はたけのこ軍兵士か。負けたのがショックでその場で寝込んじまったのかな?」
周りがドッと湧く中、一人のきのこ軍兵士が彼の元に近づく。
「…!!すごい熱がある。呼吸も荒いぞ」
「ほ、本当ですか黒砂糖さん!」
黒砂糖兵士は頷く。すぐさま他のきのこ軍兵士の手によって、
倒れているたけのこ軍兵士は会議所に運ばれていった。
- 28 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:23:22.06 ID:L0nBYOkw
- 【K.N.C174年 年末 大戦会議所 1階受付】
「はい。次の方どうぞ」
えらくくたびれたたけのこ軍服を纏いながら、初老の兵士は目の前に座った少年には目もくれず、
手元の書類を見ている。
「…」
「こちらは兵士登録名簿受付です。新たな住まいをお探しでしたら、お隣の『住まい安全課』窓口2番へどうぞ。テンプレルールに関する疑問・質問は左手の『会議所何でも相談』窓口3番へ。所属軍変更の手続きはこちらでは承っておりません。
受付を出まして右手の『暗黒』へどうぞ、やるなら自己責任でお願いします」
一通りテンプレ文章を発して、たけのこ軍兵士加古川は再び書類に目を通す作業に戻る。
「…アイムだ」
「はぃぃ?」
「俺の名前だ。それだけ覚えていた。きのこ軍アイムで兵士名簿に登録されていないか探してくれ」
「…わかりました」
手元にあった膨大な登録名簿をたぐり寄せ、加古川は探し始める。
~それからどうした?~
加古川「登録されていませんね」
アイム「マジかよ…じゃあ俺はいったい」
加古川「一体何があったんですか?よければ聞きますよ」
アイム「カクカクシカジカ」
加古川「シカクイムーブ」
- 29 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:23:30.16 ID:L0nBYOkw
- 加古川「はぁ。記憶喪失、と」
アイム「名前だけしか覚えてない。最初は自分の所属軍すらわからなかったけど、今たけのこを見るとすごい憎しみの感情が湧いてくるんだ」
加古川「それは過去の記憶がそう思い起こしているのかもしれないな」
アイム「正直、たけのこ軍兵士である、あんたと会話をすることだって辛い」
加古川「誰しもが最初は通る道ではあるな。ふむ…」
おもむろに、加古川は近くにあった黒電話を手にするとどこかへかけ始めた。
加古川「はい。ああ、私だ。いま受付にいるんだが、記憶喪失だというきのこ軍兵士が…え?それは本当かい?…ああ、わかった。すぐに行く」
電話を置く加古川。
加古川「今から君を会議所本部棟へと連れて行く」
アイム「本部?てか、ここが本部棟なんじゃないのかよ」
加古川「ここはただの事務棟だ。本部はここに隣接した奥の建物さ」
「名乗るのが遅れたね。私の名前は加古川かつめし。主に会議所の事務系の仕事に携わっている。これから君を会議所本部まで案内する」
- 30 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:23:38.92 ID:L0nBYOkw
- 【K.N.C174年 年末 大戦会議所 廊下】
アイム「なんか大事になってたりするのか、もしかして?」
加古川「さあなあ。それはお前を呼び出した本人に直接聞いてくれ」
加古川「ただ、お前の他にももう一人、お前と同じように記憶喪失になった兵士がいるらしいから、それが影響しているのかもしれないな」
アイム「俺の他にも記憶喪失になった奴が…」
加古川「これを偶然、とでも言うのか。まあそいつともども早く記憶が戻るといいな」
そしてある扉の前に二人は立ち止まる。
加古川「シューさん。加古川だ、入ってもいいか」
??「空いています。病人がいるのでお静かにどうぞ」
扉を開ける。
部屋には二人の兵士がいた。
一人目はきのこ軍兵士。そして、もう一人はベッドに横わたっているたけのこ軍兵士。
きのこ軍兵士アイムとたけのこ軍兵士オニロ。これが初めての出会いだった。
- 31 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:23:44.11 ID:L0nBYOkw
- 設定等はところどころ抹茶クエストに準拠。人はこれをパクリという。
会議所イメージ
ttp://dl6.getuploader.com/g/kinotakeuproloader/300/card-7.jpg
- 32 名前:きのこ軍:2014/03/24 00:24:42.56 ID:L0nBYOkw
- 以上、移転作業完了。引き続きこのスレをお楽しみください。
2014/01/11(土) 20:33:08~2014/03/02(日) 21:03:32 まで
- 33 名前:きのこ軍:2014/03/24 02:18:02.95 ID:L0nBYOkw
- 【K.N.C 175年 会議中 会議所 議案チャットサロン】
「オレの名前はアイム、記憶喪失らしい。好きな食べ物はきのこ。この世で一番嫌いな食べ物はたけのこだ。所属はきのこ軍」
「ボクの名前はオニロ、同じく記憶喪失みたいです。たけのこ軍所属ですけど、きのこも好きです」
好対照な自己紹介を受けて、円卓テーブルに座る会議所兵士たちは互いに顔を見合わせた。
集計班「と、いうわけで今日から会議所に新たな仲間が加わりました。二人の身辺や記憶喪失の原因や対応等については引き続き調査していきますが、まあこの機会に兵士を増や…ごほん」
集計班「この機会に少しでも会議所のことを知ってもらうために、二人にはしばらく会議所内で生活してもらいたいと思います」
- 34 名前:きのこ軍:2014/03/24 02:20:12.28 ID:L0nBYOkw
- アイム「生活ってこの建物の中でか?」
社長「うーん。アカイイトはやっぱり いいぞ。」
抹茶「大戦運営会議所は、この本部棟を含めた数十もの建物で構成される、いわば一つの街のようなものです。
生活する上では困りませんよ」
二人の前にお茶を置く給仕係。制服で判断するかぎり、たけのこ軍兵士のようだ。
全員分のお茶を運ぶ使命に駆られているが、果たして会議中に全員へお茶が行き届くのかは不明である。
- 35 名前:きのこ軍:2014/03/24 02:21:49.75 ID:L0nBYOkw
- 黒砂糖「もっとも、通常の両軍兵士は会議所外の集落等で生活をしていることが多いがな」
加古川「まあそれらの住居を片っ端から漁っても、二人の名前は出てこなかったわけだがなあ」
社長「ぼくはうんてん 」
そう言って茶をすする加古川。アイムからしたら、今いる会議所メンバーの中では比較的顔なじみの方だ。
加古川には恩義を感じている。
だが、アイムはどうしてもたけのこ軍兵士に慣れることができない。彼らが着ているカーキ色のパリっとした軍服、彼等の一挙一動、
そのいずれか一部分でも癇に障るのだ。
極めつけは、隣に座るオニロである。
性格は正反対。のんびりしていて、どこか抜けている。
-オニロがどう思っているかは知らないが、こいつとは一生相容れない-
アイムの決めつけは極端だった。
- 36 名前:きのこ軍:2014/03/24 02:23:52.55 ID:L0nBYOkw
- 集計班「まあ会議所にいる中で記憶を取り戻す可能性もあるかもしれません。ただ、これまでに記憶を失った兵士を見たことがないので、
確証を持っては言えませんが…」
会議は、入り口向かって中央に座る集計班というきのこ軍兵士が主導で進めているようだった。
会議にはきのこ軍、たけのこ軍問わず様々な兵士が参加して、意見を出し合っている。
とはいっても、会議とは名ばかりで内容はさして雑談の域を出ないもののように、アイムには感じられた。
参謀「聞くところによると、二人は“大戦”すら知らんのやろ?
まず、戦い方や大戦の仕組みの“いろは”を 教えたほうがええんちゃう?」
社長「記憶故障の原因はトイレじゃないの」
集計班「なるほど。このままだと、二人は第175次大戦で戦うことになりますからね。
それまでに記憶が戻らないとなると困りますね」
社長「大戦でBASらせればいいんじゃないの」
参謀「やったら、教官の山本さんを呼んだほうがええな。二人を鍛えてもらおう」
社長「お二人さん辛いときはきれぼしjapan入場シーンを思い浮かべて!」
¢「その前に、戦士の適性検査受けさせたほうがいいんじゃね?」
社長「マリオヤレヨ」
- 37 名前:きのこ軍:2014/03/24 02:25:07.04 ID:L0nBYOkw
アイム「…なあ」
何事もなく進んでいる会議を見て、さすがに耐え切れなくなったのかアイムが遮る。
アイム「さっきから横で意味不明なことを言っているこいつは…なんだ?」
容姿がバグっているたけのこ軍兵士を指す。
集計班「ああ。紹介が遅れました。彼はたけのこ軍兵士 社長。見ての通りです」
社長「やっほ^^」
オニロ「変わったしゃべり方をされるんですね」
社長「受け入れられないと知りつつもしゃべる わし三闘神・・・」
オニロ「??」
- 38 名前:きのこ軍:2014/03/24 02:26:53.08 ID:L0nBYOkw
- 参謀「あー。社長とマトモに会話をしようと思わんほうがええよ。それが普通や」
集計班「彼は“きれぼし語”という言語で我々に話しているのです。
時々、意味不明な言葉があってもそれは異文化の違い、とやらなのでしょう」
アイムはなおも胡散臭そうな視線を社長に送っている。
アイム「こいつ普通の言葉はしゃべれねえのかよ?」
社長「それは一理ありますね。」
参謀「さあ、どうやろうな。昔は確か…」
集計班「…さて。そんなことよりも、話を戻しましょう」
- 39 名前:きのこ軍:2014/03/24 02:27:19.51 ID:L0nBYOkw
- 寝る損切り
- 40 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/03/24 13:38:39.29 ID:YvxXvRR.
- 社長の唐突な会話割り込み感 いいぞ。
- 41 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:20:32.61 ID:jUpISc2I
- 【K.N.C 175年 会議所 絵チャットサロン】
埼玉「ここが絵チャットサロンになってるたま!」
先の会議で『とりあえず会議所を見学させて何か思い出させる』案が可決された後、
二人はたけのこ軍埼玉兵士と抹茶兵士の引率の下、無駄に広々とした会議所内を案内させられていた。
オニロ「はー。なんかすごい数のキャンバスが置かれていますね」
抹茶「ここは主にキャンバスに絵を描きあって、同じサロン内の人たちと意思疎通を合わせるんだよ」
埼玉は目の前のキャンバスをコンコンと叩く。
埼玉「たとえば、なんでもいい。ここに絵を描いてみるたま」
オニロとアイムに筆を渡す埼玉。目を輝かせながらキャンバスに向かうオニロと、
いぶかしげに手元の筆を眺めながら渋々といった感じでキャンバスに向かうアイム。
二人の態度は両極端だった。
- 42 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:24:11.77 ID:jUpISc2I
- オニロ「すごい!キャンバスの絵が動き出した!」
デフォルメもされていない、オニロ作のたけのこる先生がキャンバスからぬっと姿を出して、動き始めた。
頭でっかちな先生は、身体を左右に揺らしながらのっそりと辺りを歩いている。
オニロ「アイムの絵は汚いなあ」
アイム「…お前に言われたくねえよ」
アイム作のきのこる先生もちょうどキャンバスから動き始めたところだった。
足と胴体のバランスが悪く、一歩歩くごとに転げそうになっている。
アイム「…それで、絵が動くのはいいがこんなんでどうやって意思疎通を図るってんだ」
自分の描いた不格好な作品を見ながら、目線も合さず、ぶっきらぼうにアイムは先輩兵士に問いを投げかけた。
埼玉「た、例えば『抹茶はクソ野郎』ていう内容を相手に伝えたい場合は、
下品な抹茶の絵を描いて具現化させれば、相手には伝えることができるたま!」
抹茶「うん、埼玉さん。その例えはどうなのかな…」
アイム「…ハッ。めんどくせえやり取りだな」
抹茶埼玉「…」
- 43 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:34:19.71 ID:jUpISc2I
- 抹茶「ねえ、どうしてアイム君はさっきからあんなに機嫌が悪いのかな(ヒソヒソ)」
埼玉「おそらく案内役のぼくたちがどちらもたけのこ軍兵士だからたま(ヒソヒソ)」
抹茶「なるほど!自己紹介の時にたけのこ嫌いて言ってたもんね。
いやあ、久々にそういう兵士に会ったなあ(ヒソヒソ)」
オニロ「アイムはたけのこ軍のことが嫌いなの?」
アイム「ああそうだ。強いて言えば、お前のことも嫌いだ」
歯に衣着せぬ物言いに、思わずオニロは苦笑する。
オニロ「でもうらやましいな。たけのこ軍を嫌っているってことは、
アイムは“自分がきのこ軍である”ということを本能的に思い出している、てことだよね?」
ゆったりとした動作で取っ組み合いをしているきのこる先生とたけのこる先生を、オニロは寂しげに見つめる。
オニロ「それはすごく羨ましいことだと思うんだ。ボクにとってはさ」
アイム「…」
- 44 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:35:11.80 ID:jUpISc2I
- 気まずい空気が二人に流れていたちょうどその時、アイムとオニロの間を一羽の鳥が横切った。
否、鳥ではない。パステル調で描かれた、羽が生えた抹茶だった。
埼玉「あれは…『羽抹茶』たま!」
抹茶「え、なにそれ。そんなに有名なの」
黒砂糖「羽抹茶は平和をもたらす平和の象徴と言われている鳥さ。
まあお二人さん、仲良くやりなさいな」
そう言って、絵チャットサロン管理人の黒砂糖は部屋の奥にあるキャンパスからひょっこりと顔を覗かせた。
羽抹茶「マチャー」
黒砂糖「どうだい。個人的に羽のシワの部分がよく描けていると思うんだがね」
羽抹茶「マチャー」
アイム「…」
オニロ「気に入られているようだね、アイム」
羽抹茶はしきりにアイムの頭上を飛び回っている。
アイム「…踏み潰してもいいか?」
抹茶「駄目だよ!?」
- 45 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:35:52.24 ID:jUpISc2I
- 黒砂糖「絵は一定時間経てば消えるが、この部屋に張ってる魔法陣をちょちょいと制御すれば…」
パチン、と黒砂糖が指を鳴らした瞬間、具現化されていた全ての絵が消えてしまった。
オニロ「あっ。絵が…」
黒砂糖「ここはあくまで俺の道楽、遊び場さ。いつか来る機会があれば、その時は喜んで歓迎するよ」
アイム「…その時は、喜んで羽抹茶を踏みつぶそう」
抹茶「!?」
- 46 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:36:34.63 ID:jUpISc2I
- 【K.N.C 175年 会議所 大廊下】
埼玉「…というわけで、会議所にはいろいろな建物があるんだたま!」
アイム「…いらねえ建物ばっかりじゃねえか?なんだ、あの『部室棟』てのは。
中では、あの狂ったたけのこ野郎が一人でぶつぶつ呟いしているしよ」
抹茶「社長の思考には誰もついていけないからね、しょうがないね…」
埼玉「会議所の本部棟の紹介はこのくらいだけど、どうだい?何か思い出したかい?」
二人は首を横にふる。
埼玉「うーん。思ったよりも、難しいたま」
抹茶「まあまあ。『wiki図書館』に連れて行けばなにか思い出すかもしれないし」
オニロ「図書館?あの書物がたくさん置いてある建物のことですか?」
抹茶「そうだよ。オニロ君は、本が好きなの?」
オニロ「そうだと思います。楽しみです!」
アイム「…なあ?ちょっといいか」
- 47 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:37:56.65 ID:jUpISc2I
- Wiki図書館へ足を運ぶ道中、何かに気がついたのかアイムは足を止める。
埼玉「どうしたたま?」
アイム「この本部棟には、地下施設はあるのか?」
抹茶「地下?うーん、聞いたことないけど」
埼玉「そういえば集計さんが『地下は貯蔵庫ぐらいしかないので、見学で回る必要はありませんよ』って
言っていたたま」
抹茶「そういえば、そうだったね」
二人の説明を聞いても、なお腑に落ちない表情でアイムは柱の一点を見つめている。
オニロ「どうしたのアイム?」
アイムの様子を不思議に思ったのか、オニロはアイムが見つめている視線を辿る。
オニロ「あれは…階段?」
抹茶「え?…本当だ。階段だ。それも階下へ続く階段みたいだね」
埼玉「あんなところにあったとは知らなかったたま」
- 48 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:40:18.35 ID:jUpISc2I
- 地下へと続く階段は、規則正しく並ぶ太い柱の影に隠れるような場所に位置していた。
中庭からの陽射しを浴びる大廊下で、階下へ続く闇はとりわけ深く、不気味に映った。
オニロ「どうかした?」
埼玉「気になるたま?行ってみるかい?」
アイム「…いや、いい。さっさと、そのwiki図書館とやらに連れてってくれ」
しばし逡巡した後、頭を振ってアイムは歩き出した。
人生には、幾つか分岐点ともいえる出来事がある。
アイムにとっては、正に今の出来事がその分岐点だった。
彼の選んだ選択肢は決してワーストではないが、ベターでもない。
普通の兵士ならば気づくことのできない地下階段をなぜ見つけられたのか、理由はちゃんとある。
あるいは、アイム自身がその理由を突き詰めて考えていけば、ベターな選択をすることができたのかもしれない。
だが、どちらにせよベストではない。それはアイム自身に因るものではない。
会議所を巻き込む一連の事件は、既にアイムが会議所に訪れる前にベストではなくなっていたからだ。
4人の足音が大廊下に反響する。
あたかも、これから起こる“戦争”の開始を知らせる時計のように、規則正しいリズムで、
反響音は次第に小さくなっていった。
- 49 名前:きのこ軍:2014/03/25 01:40:57.34 ID:jUpISc2I
- 今日の投下しゅーりょー
- 50 名前:社長:2014/03/25 01:48:20.69 ID:J/xg5wSc
- リクー乙
アイム ずいぶん社長を毛嫌いしているな よろしくね
はまだ わかってるのか おい!
- 51 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:38:05.35 ID:u1soAHaM
- 【K.N.C 175年 会議所 wiki図書館】
オニロ「おお!すごい本の数だ!!」
埼玉「ここは大戦に関するありとあらゆる書物が収められているんだたま」
抹茶「大戦での詳細な事件や出来事が記された本や大戦指南本は勿論のこと、
きのたけ兵士が自分でつくった料理本、はては漫画や自叙伝などなど。それこそ何でも置いてあるね」
アイム「とりあえず本を詰め込んでるだけじゃねえのか?」
陳列した書物の棚を前にして嬉しそうに走り回るオニロを尻目に、アイムは呆れたようにつぶやく。
参謀「そうとも言える」
アイム「うおッ!?」
そう言って棚から顔を覗かせたのは、wiki図書館館長の参謀だった。
- 52 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:39:29.07 ID:u1soAHaM
- 埼玉「参謀か。びっくりしたたま」
参謀「驚かすつもりはなかったんやが。久々の来訪者に嬉しくなったんよ」
アイム「そんなに人は…来てなさそうだな、確かに」
広々とした空間だが人の気配がない。書物は規則正しく整頓されていて、
室内の広さを十二分に感じることができるが、それが返ってガランとした空間の寂しさを強調してしまっている。
参謀「最近は特に人がこんなあ。前まではけっこうおったんけどな」
抹茶「そういえば最近は会議所自体に足を運ぶ兵士が減った印象を受けますね。
会議の時なんか、昔はよく一般の兵士が本部棟に出入りして参加しに来ていたのに」
あんな調子で会議していれば人が来なくなるのも当然なんじゃないか。
とは、さすがのアイムでも言葉には出せなかった。
- 53 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:40:58.34 ID:u1soAHaM
- 【K.N.C 175年 会議所 教練所】
山本「ようこそウジ抹茶ども。私がペーペー=山本先任軍曹である。語尾にはサーとつけろ!」
オニロ「サーイエッサー!」
アイム「…またたけのこ軍か(ボソッ)」
山本「うわ傷つくなあ。まあ気持ちはわかるけどね。先日の会議で会ったと思うけど、改めて自己紹介を。
俺は山本教官だ。お前たちのような戦闘の“いろは”も分からない新米兵士を一人前に鍛えて
戦場に出すことを生きがいとしている」
山本「早速だが、お前たちを来たる『第175次きのこたけのこ大戦』に出てもらうために、
今から急ピッチで訓練をこなしてもらう!残念だがこれは決定事項だ!逃げは許さん!」
アイム「へぇ。逃げも隠れもするもんか。何の訓練だか知らんが、いいぜ来いよ。素手で語り合おうぜッ!」
オニロ「おお。アイムの心に火がついている」
山本「フハハ、よかろう。まず始めの訓練は…これだッ!」
- 54 名前:参謀の関西弁が変なのはめをつむろう!:2014/03/27 00:43:18.67 ID:u1soAHaM
- 【K.N.C 175年 会議所 教練所】
山本「…えー。では、オニロに問題です。
K.N.C歴120年から合計で大戦を3回行いました。大戦後はK.N.C歴何年になるでしょうか?」
オニロ「K.N.C123年です教官!」
山本「よくやったウジ抹茶!座れ」
オニロ「サーイエッサー!」
アイム「…訓練て座学かよ…」
山本「歴史の勉強も、今後兵士になる上での糧となる。疎かにはできん!」
アイム「へいへい」
- 55 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:45:30.69 ID:u1soAHaM
- 山本「先に説明したとおり、この世界では『きのこたけのこ大戦』を開催することでK.N.C暦が1年進む。
逆に、大戦が開催されないかぎりいつまで経っても次年度には進まないということだ」
山本「大戦はどのように開催されるんだ!そこのむくれているアイム!」
アイム「…『大戦会議所』がきのこたけのこ大戦の運営・管理を仕切っている。
開催直前になると、会議所がアナウンスを行い、大戦場に兵士を呼び寄せる。
当日になっても一定の人数が集まらない場合、その日の大戦は延期される」
山本「小憎たらしい態度を取っているわりには、しっかりと覚えていて優秀だな!座ってよしッ!」
アイム「…」
山本「我々会議所は、まず大戦の開催を第一に考えて行動している。大戦の開催のためには、人を集めなければならない。
人を集めるためには、大戦に参加してもらう気持ちを持ってもらわなければならない」
山本「大戦に参加してもらうためには、こちらが考えたいろいろなルールの下で飽きることなく
両軍が両軍を憎しみ合い戦い続けてもらう必要がある」
会議所とは、両軍兵士をアシストする踏み台のようなものなのさ。
困ったように、だが楽しげに語る山本には、会議所兵士としての誇りが感じられた。
- 56 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:47:20.36 ID:u1soAHaM
- オニロ「先生質問です!」
山本「どうしたオニロ。いつもなら先任軍曹である私の話を遮るなど言語道断だが、特別に許してやる」
オニロ「先生みたいに会議所に長くいると同じ境遇のきのこ軍兵士と接する機会も多いですよね。
その中で、きのこ軍に対する憎しみが和らいだりはしないんですか?」
山本「しないね。残念ながら、きのこは大嫌いだ」
山本の即答に、途端にアイムの顔つきが厳しくなる。
山本「昔からきのこはどうも合わなくてね。最初に会議所に来たのも、
生意気なきのこの野郎どもをこらしめるためだったのさ」
遠く窓の外を眺めながら、山本は自らの過去を振り返る。
- 57 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:50:14.20 ID:u1soAHaM
- 山本「だが、ここは驚くほど両軍同士が寛容的でね。拍子抜けしたよ。そして、いろいろと関わっていくうちに、
きのこ軍の奴等にも良い人や尊敬できる人が数多くいることにも気がついた」
山本「全てが新鮮だった。自分の中での価値観が日々変わっていったよ」
でもね、と山本は続ける。
山本「不思議なことに、そうしてお互いのことや大戦のことをよく知れば知るほど、これまで以上に
『きのこ軍自体への憎しみ』は高まっていったんだ。
自分がたけのこ軍兵士であることへの拘りが強くなったからかもしれない」
山本「会議所とは不思議な空間だ。ときどき、どうして自分はここにいるのかと思い返すこともある。
ただ、会議所兵士と関わっていくうちに自分は会議所に関わっている兵士の一員であると同時に、
たけのこ軍兵士でもあることに気付かされる」
-自分は何者なのか?-
道を踏み外しそうになった時や困ったときには、そう自問自答するようにしているよ。
君たちも普段から心のなかで問いかけていれば、いつか全てを思い出すかもしれないね。
山本はそう語り、朗らかに笑った。
- 58 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:51:51.04 ID:u1soAHaM
- 【K.N.C 175年 会議所 教練所 中庭】
山本「おらあ!もっと腰を使えッ!」
アイム「ハッ…ハッ」
山本「そんなヘナチョコな振りじゃ、たけのこ軍兵士は一人も倒せんぞッ!素振り500回追加!」
アイム「ちくしょーーーーーーーーてめえなんかすぐにぶっ倒してやるよーーー」
山本「いい心意気だが100大戦分早い。追加で素振り100回追加だ」
山本「オニロも同じく!きのこ軍兵士を倒したかったら手の軸を動かさずに素振りをすることを心がけろ!」
オニロ「はいッ!」
- 59 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:52:47.40 ID:u1soAHaM
- ??「ほう。なかなかスジがよさそうだな。これならば…」
791「どうかしたの魂さん?」
筍魂「うおッ!791さんじゃないか、どうしたの」
791「柱に隠れてコソコソ中庭観察している姿は、すごく怪しいよ」
筍魂「むう。まさか戦闘術魂の極意・『こころのめ』が見破られるとは」
791「いや。それ実際の目で見ているんじゃ…
ああ。そうだ、アイム君とオニロ君は山本さんの訓練を受けてるんだよね?」
筍魂「はい、そのようですが。まさか、先日の戦士適正検査の結果が来たんすか?」
791「そうだね。フフフ、私にもついに弟子ができそうだよ」
筍魂「ついにきのたけの大魔法使いが動き出すのか(震撼)」
- 60 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:53:07.06 ID:u1soAHaM
- 投下終了。書き溜め分がなくてまずいまずい。
- 61 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/03/27 00:58:23.24 ID:mV9WubTQ
- たけのこ軍多すぎィ
- 62 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/03/29 20:02:21.16 ID:6CJEqvd.
- 筍魂とかいう痛いやつから無能臭がぷんぷんしますねえ
- 63 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:48:07.70 ID:9QD63dQc
- 【K.N.C 175年 会議所 ¢の部屋】
¢「こんなところまで呼んで悪い。戦士適正の結果が出たから、伝えておこうと思って」
アイム「随分と歩かされたな。こんな本部棟から離れたところに部屋があって不便じゃないのか?」
¢「いろいろなものを構築・開発するには、静かな場所に身を置くのが最適なのさ」
¢「さて、検査の結果、アイムは“戦士適正”としての数値が高く、オニロは“魔法適正”の数値が高かった」
オニロ「魔法かあ。今までの素振りが無駄になっちゃうのかな?」
¢「そうとも限らない。鍛錬で研ぎ澄まされた感性は、戦地において重要な武器となる」
アイム「戦士と魔法使いの違いがよくわからないんだが」
確かに、と¢は頷きさらに説明を続ける。
¢「一口に“戦士” “魔法使い”と表現しても、そこから更に分類分けされる。よく『兵種制』にたとえて表現するんだが。
ああ、兵種制とは我々会議所が大戦で用いているルールの総称だ」
- 64 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:50:03.57 ID:9QD63dQc
- アイム「山本教官から聞いているからわかっているよ」
¢「兵種を理解しているのならば話は早い。
戦士・魔法適正はさらにそこから5タイプに分類分けされる」
¢は、近くのホワイトボードをたぐり寄せ、兵種を書き始めた。
~
○戦士 分類分け
『突撃兵』タイプ … 防御を捨てても、攻撃力特化で敵陣の突破を図る. 一点突破/猪突猛進
『狙撃兵』タイプ … 接近戦ではなく、遠方から静かに敵を屠る. スナイパー/接近戦弱
『爆撃兵』タイプ … 地雷設置や敵への強襲などで、敵の戦力だけでなく精神力まで削る. 設置作業/通常攻撃弱
『防衛兵』タイプ … 重装備で、敵の強大な一撃をも受け止める. 防御力大/攻撃力弱
『援護兵』タイプ … 特徴を持たないことが最大の特徴. 臨機応変に対応できる. 全タイプの行動可/器用貧乏
○魔法使い 分類分け
『前線兵(近接魔法)』タイプ … 近接魔法によって前線で敵を屠る.
『砲撃兵(遠隔魔法)』タイプ … 前線の兵をアシストする魔法を繰り出す.
『衛生兵(僧侶)』タイプ … 回復魔法に特化したタイプ. 後方支援での活躍が主となる.
『工作兵(補助魔法)』タイプ … 前線で攻撃をしつつ敵の罠も解除する、非常に危険な役目を担う.
『制圧兵(攻撃特化)』タイプ … 近接魔法と遠隔魔法を持ち合わせた攻撃特化タイプ. 反面、補助魔法はほとんど使えない.
~
- 65 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:51:28.75 ID:9QD63dQc
- ¢「ざっとこんなところだ。同じ適正内でも、タイプによっては戦法や戦うフィールドが異なる」
オニロ「タイプは自分で決めるものなんですか?」
¢「自分で特定のタイプになりたいと強く思って選んでいる者もいる。
だが、大半の人物は鍛錬や実践での経験を積むうちに、自らのタイプ適性を見極められるようになり、
タイプ特化の訓練に励むようになる。お前らもおそらくそうなるだろう」
アイム「オレは突撃兵タイプかな」
¢「全てはこれからの経験次第だ。人によっては好戦的な性格でいながら、
衛生兵として後方支援を行うものもいる。こればっかりはなんとも言えんよ」
- 66 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:52:08.54 ID:9QD63dQc
- ¢「ああ。オニロ、お前は今日からアイムとは別メニューだ。
お前を一人前の魔法使いとして鍛えたいと名乗り出ている兵士が一人いてな。そいつの下で励んでほしい」
オニロ「了解」
アイム「オニロが別ってことは、オレもあの鬼教官から離れられるのか!?」
¢「お前は引き続き鬼教官の下で血反吐を吐くんよ」
アイム「がああああああああ!!」
- 67 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:53:10.73 ID:9QD63dQc
- 【K.N.C 175年 会議所 791の部屋前】
オニロ「ここが大魔法使いの部屋か…」
緊張した面持ちのオニロが部屋の扉を叩くと、間髪入れずに扉はひとりでに開いた。
オニロ「これは、入っていいってことかな?」
辺りを見回しながら、おそるおそるといった感じでオニロは部屋の中に入る。
物が整頓され清潔感が保たれた内部は、同じつくりである¢の部屋よりも広く感じられた。
オニロ「あのー。791さんがここにいると聞いたんですが…」
部屋の主は不在のようだった。オニロは困ったように部屋の内部を見回す。
-きのたけの大魔法使い791 通称・『魔王』それがお前の師匠だ-
¢の口からそう告げられた時、オニロは期待よりまず不安を覚えた。
鬼教官と呼ばれる山本が唯一頭の上がらない人物、その人が791だというのだ。
ただでさえ厳しい訓練を強いる山本がひれ伏す人物となると、自分は訓練中に死んでしまうのではないか。
オニロが覚える不安は至極当然のものだった。
- 68 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:55:51.45 ID:9QD63dQc
- 791「ああ、来ていたんだね。いらっしゃい」
オニロ「!?」
考え込んでいたオニロが視線を前に向けると、先程まで誰も座っていなかった椅子に一人の兵士が座っていた。
片手にはマグカップを持ち、柔和な笑みを浮かべる様子からは、とても山本よりも厳しい人物だとは感じられない。
791「ごめんごめん。コーヒーを煎れにちょっと下の階まで行っていたんだ」
オニロ「は、はい」
目の前で起こった事態に目をパチクリとさせながら、オニロはただ生返事を返すだけである。
791「山本さんから話は聞いているよ。今度の新人二人は腕がいいらしい、とね」
オニロ「は、はい」
- 69 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:57:10.78 ID:9QD63dQc
- 791「その内の一人の魔法適性が高いと聞いてね。この間の会議は欠席しちゃったし、
君たちがどんな人物なのかわからなかったけど興味があってね。
せっかくの機会だから弟子を持ってみることにしたんだ」
オニロ「は、はい」
791「…そんなに緊張しなくていいよ?」
話が頭にはいっているのかいないのか、ガチガチになりながら返事をするオニロに、
791は訝しげな視線をおくるも、すぐに「ああ、そうか」と納得したように手を叩いた。
791「空間移動術を見るのは初めてだったのかな?ごめんごめん、驚いたよね」
791「それに自己紹介もまだだったね。私はたけのこ軍兵士 791、魔法使いだ」
オニロ「お、オニロです。たけのこ軍兵士 魔法使い見習いです。よよよろしくお願いします」
【K.N.C 175年 会議所 その頃の教練所】
山本「また会えて嬉しいぜッ。死ぬほど鍛えてやるからなあ!」
アイム「ふっざけんなーーーーーーー」
筍魂「ふむ。腕をよく使えた実に良い振りだ…」(こころのめ
- 70 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:58:06.80 ID:9QD63dQc
- 投下終了、略して投了です。
次回は第175次大戦まで書けたらいいな(希望的観測
- 71 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/03/29 22:09:54.09 ID:QgoRR2eM
- 魔王にワロタ
流石すぎる
- 72 名前:社長:2014/03/30 02:37:01.27 ID:3./LEzZQ
- 魔王様こわいよお
- 73 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:26:12.86 ID:JxoG5f2s
- 【K.N.C 175年 会議所 ???】
深夜の丑三つ時、風音に紛れ、二人の兵士の囁く声が聞こえてくる。
??「二人は順調のようですね」
??「そのようです。しかし、まさか“窮地を救う英雄”が二人もいるとは…」
「一人とは書かれていません。それに、別に二人でも構いません。
そこに書かれている内容が本当だとしたら…」
「会議所は遠くない未来、滅亡する。ですよね?」
「はい。それだけはなんとしても避けなければいけない。
二人には何としてもすぐに一人前の兵士になってもらわなければならない」
「二人には“あの場所”に行かせたほうがいいのでは?」
「まだ早くないですか。それに、書に書かれていないことを実行するわけにはいきません」
「ですが、状況によっては手遅れとなる可能性もある。やはり一度は、見せておいたほうがいいのでは」
「…考えておきましょう」
━━━━━━━━
━━━━
━━
- 74 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:27:32.68 ID:JxoG5f2s
- 【K.N.C 175年 会議所 談話室】
791「魔法使いが、大戦を含む戦闘では5つのタイプに分かれるという話は既に聞いているよね?」
オニロ「はい。兵種の種別に則って『前線兵』『砲撃兵』『衛生兵』『工作兵』『制圧兵』に分かれると」
791「そうだね。でも、どんなタイプになっても、全ての魔法使いには、自分の核となる『得意魔法』が
必ず存在する。まずは、その得意魔法領域を伸ばさなくちゃいけないんだ」
オニロ「タイプに分かれるよりも先に、ですか?」
791「最悪、タイプは途中で変更することも可能だからね。
あー、極稀に変えられない場合もあるけど。まあそれはそれとして」
791「黒砂糖さんに会ったよね?あの人は『具現魔法』の使い手なんだ」
オニロ「具現魔法というと、描いた絵が実際に動き出すものが当てはまるんでしょうか?」
791「そうだね。あの人は空想上の産物を具現化することができるんだよ。
絵チャットサロンは、部屋全体に黒砂糖さんお手製の魔法陣が仕込んであるから、
いつでも絵を具現化できるんだ」
オニロ「やっぱりすごい人だったんだ…」
791「たけのこ軍のジンさんは『回復魔法』に長けているし、
きのこ軍のsomeoneさんは『反撃壁魔法』に長けているね」
- 75 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:28:41.69 ID:JxoG5f2s
- オニロ「皆さんいろいろな能力を持たれているんですね
…あの、社長?とかいう人も魔法使いなんでしょうか」
791「え?社長?たけのこ軍の?うーん、どうだったかなあ。社長は魔法使いだったっけ」
オニロ「いや。てっきり、社長さんが話されている言語は魔法の詠唱かなにかとばかり…」
一瞬きょとんとした791だが、すぐに笑い出した。
791「あははッ、おもしろいねオニロ君。確かに社長の話している言葉は意味不明だし難解だけど、
あれは詠唱ではないよ。詠唱、詠唱か。ふふッ」
笑いのツボにはまったのか、791は何度も笑いをこらえようとしている。
自分の言ったことが突拍子もないことだと理解し、オニロは赤面した。
791「まあ、ただオニロ君の予想は当たらずといえども遠からずかな。社長はね、占い師なんだ」
オニロ「占い師?」
- 76 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:30:49.66 ID:JxoG5f2s
- 791「うん。聞いてなかった?社長はね、未来を見通す力があると言われているんだ。
たまにビビッと来る時があるらしくて、その時はみんなを集めて会議所に関する予言をするんだ」
791の話が終わるのを待っていたかのように、ノイズに混じり会議所中にアナウンスが流れた。
『みなさま、会議のお時間です。本部棟の議案チャットサロンにお越しください。
本日はたけのこ軍兵士社長から新たな予言を発見したとの話を聞いております』
791「…こんな風にね」
- 77 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:32:32.99 ID:JxoG5f2s
- 【K.N.C 175年 会議所 議案チャットサロン】
オニロと791が到着すると、円卓テーブルにはなぜか紙パックに入った納豆が置かれていた。
丁寧に、各人の椅子の前に一つずつ置かれている。
集計班「おや、お早い到着で」
社長「ぼくはマローシン」
サロンでは、既に集計班と社長が自分の席に着き皆の到着を待っていた。
オニロ「こんばんは。えと、この大量の納豆は?」
集計班「社長が予言で使う物だそうです。まあ呪術の道具だと思っていただければ」
オニロ「は、はあそうですか…」
果たして紙パックの納豆が呪術道具となるのか。
頭に疑問符を浮かべながら、オニロはあてがわれた席に着いた。
- 78 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:33:45.79 ID:JxoG5f2s
- アイム「なんだこの臭い、くさッ!」
サロンに入るやいなや、アイムは顔をしかめた。
アイム「なんだよ、これは」
社長「こんにちな!」
オニロ「納豆だってさ」
アイム「いや、それはわかるんだが…」
オニロ「社長さんが占いで使うための道具らしいよ」
アイム「あの意味不明野郎がか?」
社長「オニロ君説明ありがとう!やっ」
オニロ「いえいえ」
アイム「…会話できるのか、こいつと」
- 79 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:35:38.87 ID:JxoG5f2s
- ~しばらくした後~
集計班「ではあらかた人も揃ったところで、今晩の会議を始めましょう」
集計班「さて。事前の告知通り、今夜は社長が予言をします。
まずは、みんなで聞いてみましょう。社長、準備はいいですか?」
社長「いいぜ。」
社長はそう言って、立ち上がりテーブルの周りを歩き始めた。
社長の顔はいつもどおりバグってはいるが、表情は真剣そのものだ。
他の会議所兵士も、じっと社長の様子をうかがっている。
アイム「…」
いつも社長をバカにしているアイムも、この時ばかりは固唾を呑んで見守っていた。
会議所の未来を占う予言だ。注目しないはずがない。聞けば、どうやらK.N.C170年頃の占いでも
アイムとオニロの会議所出現を予感させる占いをしているのだという。
― 馬鹿にしていたが、実はとんでもない奴なんじゃないか ―
社長への評価を改めようと、アイムが思い悩もうとしたその矢先-
- 80 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:36:12.26 ID:JxoG5f2s
- 社長『だが、あるひ…』
アイム「!!」
社長は大声で、何事かを喋り始めた。
占いの始まりである。
- 81 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:37:06.80 ID:JxoG5f2s
- 社長『ゆうしょうこんらんです。』
そう言って、社長は突然その場でクルクルと回り始めた。
呆気にとられて、アイムとオニロはポカーンと口を開けながら社長の奇行を見守る。
そして、社長はサロンの入り口まで移動すると右拳を振り上げた。
社長『みごとライアンはかちのこった!』
入り口に移動したかと思うと、社長は近くに座っていた抹茶の納豆を指さす。
社長『そしてこの納豆美味しいよね~』
抹茶「えっ」
抹茶は思わず自分の紙パックの納豆と社長の指とを交互に見合わせるも、
社長はそんな抹茶にはお構いなくすぐさま隣の席へと移動する。
- 82 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:38:17.97 ID:JxoG5f2s
- 社長は席に置かれている納豆を指さしてはそのたびに『美味しいよね~』と連呼している。
そして、最後にアイムとオニロの席に社長が近づき。社長の動きがピタリと止まった。
アイム「…な、なんだよ」
先ほどまでの饒舌が一転し、押し黙ってしまった社長にアイムはぶっきらぼうに声をかける。
しかし、アイムの言葉を無視するように社長はアイムとオニロの前に置かれている納豆を
二つ同時に手にとり、初めて周りの兵士とは違う言葉を発した。
社長『う~ん、どうかなぁ?』
アイム&オニロ「!!」
そっと社長は二人の納豆を元あった場所に戻す。
そして、何事もなかったかのようにスタスタと自分の席まで戻る。
- 83 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:38:52.69 ID:JxoG5f2s
社長『こうして森部拳は 永遠にその姿を消した……』
最後に一言そう呟き、社長は静かに席に着いた。
長い沈黙が会議所を覆う。
アイム「…は?もしかして終わり?」
社長「あ、終わりです」
呆気ないほどに、予言は終わった。
- 84 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:40:17.08 ID:JxoG5f2s
- 集計班「お疲れさまでした社長。手元の納豆でもどうぞ」
社長「納豆は飲み物」
集計班「さて、予言も出たことですし、それでは次の議題に…」
アイム「ちょっと待ったああああああああ!!」
アイムの叫び声が会議所内に木霊する。
集計班「どうしましたかアイム君。あ、発言は座ったままでかまいませんよ」
アイム「いや、意味がわかんねえよ。予言て、あのハチャメチャな言葉がそうなのか?」
参謀「そのようやな。社長の言葉をつなげると
『だが、あるひ… ゆうしょうこんらんです。みごとライアンはかちのこった!
そしてこの納豆美味しいよね~ う~ん、どうかなぁ?
こうして森部拳は 永遠にその姿を消した……』
と、なるなあ」
ビギナー「今日も今までと同じぐらいの長さなんですかね、予言は」
参謀「そうやな。まあ今日は比較的動きが激しかったから、そういう意味では今までとちょっと違ったな」
- 85 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:41:22.64 ID:JxoG5f2s
- 集計班「いやあ。今日の社長の予言も鬼気迫るものがありましたね。それでは次の議題に…」
アイム「待て待て待てッ!!」
何事もなく進行する会議に、再度アイムが歯止めをかける。
アイム「占いの意味はいったいなんなんだよ!」
社長「わかりませんえん」
アイム「…は?」
社長「さむいよお」
斑虎「たんまたんま!アイムたんま!」
思わず殺意を抱いたアイムが剣を抜きそうになるが、
隣に座っているオニロとたけのこ軍兵士斑虎が必死に思いとどまらせる。
- 86 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:42:57.99 ID:JxoG5f2s
- 集計班「占いは“きれぼし語”で私たちに伝えられます。そして、占いの内容は
予言者である社長をもってしてもわかりません。
社長曰く『ある日ビビッと頭のなかに予言が届く』ということなので」
参謀「きれぼし語を理解している社長でもな。つまり、社長はただ言葉を伝える
橋渡し役に過ぎんちゅうことや」
オニロ「それは果たして予言なんでしょうか…」
社長「それは一理ありますね。」
オニロが至極当然の質問をすると、神妙な顔で集計班は「確かに」と頷く。
集計班「社長の予言の内容は、きれぼし語という解読不能な言語をもって
伝えられるため私たちが理解することはできません。しかし、社長が予言をしてからしばらくすると、
予言の内容と思わしき出来事が起こるのです!」
たけのこ軍兵士 椿「そういえば、前回の予言はアイム君とオニロ君の登場を当てていたんでしたっけ」
社長「やるねえ!」
アイム「そう、その話だ!それは本当なのかよ。今の予言の内容を聞くばかりじゃ、
とてもそうだとは信じられねえがな」
きのこ軍兵士 きのきの「ふむ。そういえば、前回の予言は私も聞いてなかったな。
どんな内容だったんだろう。社長さん、もう一度できる?」
社長「いいぜ。」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 87 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:44:18.90 ID:JxoG5f2s
- 社長はすっくと立ち上がり、突然奇声を発し始めた。
社長『アァー!(甲高い喘ぎ) 下から突いてくるなんて思っていなかったもの//』
過激な占いの内容を淡々と大声で読み上げるその光景は、
見る者にとっては頭が痛くなるものだった。
社長『チョ!チョーク!(甲高い喘ぎ)』
アイム「…」
アイムは静かに肩を震わせている。
社長『なかっそこち崎哲夫 テイルアタックきた!?』
そして、すっと席に着く。
社長「うん ピ おわりの章」
アイム「…それで、この発言のどこが俺たちの登場を予感させるんだ?」
怒りではやる気持ちをおさえながら、静かにアイムは尋ねる。
- 88 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:47:31.32 ID:JxoG5f2s
- 参謀「予言の全文は
『アァー!(甲高い喘ぎ) 下から突いてくるなんて思っていなかったもの//
チョ!チョーク!(甲高い喘ぎ) なかっそこち崎哲夫 テイルアタックきた!?』
やな」
集計班「最後の『テイルアタックきた!?』という発言に注目してください。
『きた!?』という言葉は期待を込めた登場を予感させます。そして、テイルアタックという
名前の響きはどことなく奥義っぽい。そして、奥義は奥の手、つまり奥義を出す場面は一度か二度。
つまり、この発言で奥義が初めて登場する可能性が高い。
このことから、“会議所に期待の新人が来る”、といった内容を予想できるというわけです」
アイム「…」
アイムは思わず頭を抱えた。
社長「おめえはよお 考えが甘いんだよ!」
アイム「ピキッ…殺す」(スチャッ)
斑虎「たんまたんまたんまたんま!アイムたんま!」
今にも社長に襲いかかろうとするアイムを、斑虎とオニロが必死に宥める。
- 89 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:48:52.32 ID:JxoG5f2s
- オニロ「そ、その他の予言の内容は解読できたんですか?」
隣で口から静かに息を漏らすアイムを横目で見ながら、
取り繕うようにオニロが質問する。
加古川「社長の言葉には謎が多いんでなあ。おそらくもっと考察すれば、
予言の内容もわかるのかもしれん。だが、今はそれ以上のことはわからんよ」
¢「まあ話半分で聞いておいたほうがいいのかもしれん」
集計班「そうですねえ。期待してもらったところ悪いですが、予言ですぐに
未来がわかるというわけではないのです。どちらかというと、後から答え合わせをする
といった感じです。誤解させてすみませんでした」
社長「しかたなし」
アイム「…」
集計班「さて。それでは、次の議題に行きましょう。第175次大戦ですが近々開催の……」
その後の会議は粛々と進んだのだった。
- 90 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:49:51.06 ID:JxoG5f2s
- 次回 初の大戦
占い予言パートに時間さきすぎい!
- 91 名前:社長:2014/03/30 22:50:41.87 ID:3./LEzZQ
- 破門してくださいッ!乙だぞ。
- 92 名前:きのこ軍:2014/04/09 00:58:02.11 ID:SFISJWmI
- 【K.N.C 175年 会議所 室内教練所】
791「じゃあ、もう一度始めから」
オニロ「はい!」
きのこる先生「?」
オニロは目を閉じて、全神経を目の前のきのこる先生に集中させる。
オニロ「ッ!」
拳を握った両手を上げると、目の前のきのこる先生はオニロの動きに釣られるようにふんわりと宙に浮いた。
オニロ「ッ!!」
そして、オニロが拳を前に突き出すと、きのこる先生は宙に浮いたまま、
壁に吸い込まれるかのように垂直に引っ張られていった。
きのこる先生「!」
ボコ、と小気味良い音が室内に響き、きのこる先生は高速で壁に当たった反動で気を失った。
崩れ落ちて地面でうずくまっているその姿は、萎びたきのこそのものである。
- 93 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:00:27.62 ID:SFISJWmI
- 791「おお。なかなかいいね。“念動”の精度、スピードともに上昇している」
オニロ「ありがとうございます!」
黒砂糖「なかなか悪趣味な練習だけどな」
苦笑しながら、黒砂糖は自ら具現化したきのこる先生を消し去った。
791「大戦も近いからね。打倒きのこ軍の練習方法としては、こうやってきのこる先生を相手にするのが一番だよ!」
- 94 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:03:10.18 ID:SFISJWmI
- 791「やっぱり魔法はスピードとパワーだよ。それを忘れてはいけないよオニロ君」
オニロ「はい師匠」
791「それじゃあ今度は複数の敵兵に囲まれた場合を想定して訓練をしよう。黒砂糖さん、頼むよ」
黒砂糖「はいはい」
黒砂糖は一つ溜息をつき、手に持つスケッチブックに流れるような筆さばきで絵を書き始める。
そして、仕上げに、描き終わった用紙を筆でトンと一つ叩いた。
その瞬間、スケッチブックからニョキニョキと大小様々なきのこる先生が次々とオニロたちの前に
姿を現し始めた。総勢10体程度のきのこる先生がオニロを取り囲む。
- 95 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:05:58.97 ID:SFISJWmI
- 791「では始めよう。実践訓練だ。オニロ君、その窮地を乗り越えてみせてよ」
開始の合図に、791はパンと両手を叩くと、それまで辺りを見回していたきのこる先生は一斉にオニロへ向き直る。
今にもオニロに襲いかからんと、オニロとの間合いをジリジリと詰めている。
オニロ「ッ!!」
オニロの動きは素早かった。自身が得意とする念動魔法で、一体のきのこる先生をすぐさま宙に浮かせる。
動揺して一瞬足を止めた他のきのこる先生の隙を見逃さず、宙に浮かせたきのこる先生を自身の死角と
なっている後方に投げ飛ばす。
完全に足を止めたきのこる先生を尻目に、オニロは、自身が作った包囲網の隙間に向かって突進する。
横にいるきのこる先生に念動をかけて、動きを止めることも忘れない。この間僅か数秒で、
オニロは包囲網を突破することができたのである。
しかし、きのこる先生の動きも俊敏であった。オニロの手によって足を止められた数匹を除いて、
残りはすぐにオニロの動きを察知し、襲いかかる。
オニロ「『モンポケフラッシュ』!!」
オニロの持つ杖の先から、眩い光が発せられる。きのこる先生は一瞬顔を顰め、オニロから目を逸らし態勢を崩す。
オニロにとって好機。想定通りの展開運びだった。
オニロ「『マルチブルランチャー』!!」
光を溜めこんだ杖先から放たれるホーミング弾が的確にきのこる先生を捉え、爆発する。
目標とする敵が多ければ多いほど威力が上がるこの魔法は、今のオニロの状況には最適な攻撃手段だった。
- 96 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:24:36.56 ID:SFISJWmI
- 791「おーけー!それぐらいでいいよオニロ君」
手を叩きながら、791はオニロに声をかける。
黒砂糖「この短期間で連続魔法を取得できているとは。いや、恐れいったな」
791の隣にいる黒砂糖は目の前の出来事に目を丸くしている。
791「本人の素質もあるけど、一番は師の教えがいいからかな?」
黒砂糖「ハハッ、違いない」
笑いながら黒砂糖は残ったきのこる先生を消し去る。
- 97 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
- DB様のお通りだ!
- 98 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:28:33.11 ID:SFISJWmI
- オニロ「ご指摘いただいた点は理解しました。では、師匠でしたら、あのような場面ではどうするんでしょう?」
791「ん~私?私ならなあ…」
791はそう言葉を切って、黒砂糖をチラリと見る。791の意図を察した黒砂糖は、一つ溜息をつき、
再びスケッチブックにきのこる先生を描き始めた。
あっという間に791をきのこる先生が取り囲む。
791「私の場合だったら、こうするかなあ」
791は茶目っ気たっぷりに、チョコンと人差し指を突き立てる。そのまま数秒、特に変化はない。
痺れを切らし、きのこる先生が791に襲いかかろうとした、その時。
オニロ「!?」
791「『ネギ流星群』」
- 99 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:29:16.36 ID:SFISJWmI
- 791「『ネギ流星群』」
頭上を幾多のネギが覆い、そしてきのこる先生に一斉に降りかかる。
降り注がれたネギはその場で粉塵爆発を起こし、連鎖的に他のネギも巻き込んで起爆させる。
爆ぜる音が止むことなく、きのこる先生は逃げる暇もなく、火の海に巻き込まれていく。
気がつけば、爆発によって発生した炎の渦は791を取り囲むような円になり、
当然そこにいたはずのきのこる先生たちの姿はない。
791「まあお手本程度にね」
オニロ「…師匠のほうがよっぽど強引だと思うんだけどなあ」
- 100 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:33:19.09 ID:SFISJWmI
- 【K.N.C 175年 会議所 年末 第175次きのこたけのこ大戦開始直前】
集計班「えー。では指定の時間が近づいてきました。皆さん、大戦場に移動しましょう」
会議所に留まる兵士たちは、集計班の号令で一斉に大戦場に移動を開始した。
会議所の正門を出て西に位置する大戦場は、既にきのこの山やたけのこの里で生活をする一般兵士で賑い、
大戦の開始を今か今かと待ちわびているという。アイムが最初に意識を取り戻した場所でもある。
アイム「おい、オニロ」
アイムは会議所の門の前でオニロに声をかける。アイムがオニロに話しかけることは至極珍しい。
思わずオニロは嬉しくなり、人懐っこい笑みでアイムの言葉に応えた。
オニロ「なにかな?」
アイム「…今日の大戦に関してだけど」
オニロが近寄ってくるので、一定の距離を保つべく下がりながらアイムは言葉を続ける。
アイム「オレと一緒に撃破数を公開しないか?」
オニロ「公開?」
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