■掲示板に戻る■ 全部 最新50 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 801- 901-

きのたけWARS ss風スレッド

1 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:18:40.76 ID:L0nBYOkw
きのこ軍とたけのこ軍で"大戦"をすることで、時代が進むフシギな世界―
              ―きのこたけのこワールド―
最盛期は頻繁に大戦が行われ、お互いを憎みあい、お互いを意識し、撃破しあうことで、
兵士たちは情熱とやる気を保ち、世界は発展していった。

そんな栄光の時代も、今は昔。数多くの戦闘を経て、兵士たちはかつての大戦への熱気を失いつつあった。
大戦への希望と熱気で包まれていたかつての"大戦の歴史"は、
干満で怠惰が支配するものへと塗りかえられつつあった。

舞台は K.N.C歴175年。
ある日、大戦運営を管理する大戦会議所のもとに、記憶を失った
きのこ軍兵士とたけのこ軍兵士が流れ着く。
二人の兵士の登場を機に、大戦は徐々に熱気を取り戻し始める。

しかし、突然世界は意図せず"歴史"を塗り替え始める。
今現在の歴史だけではなく、過去の栄光までも無かったことにして、歴史を喰らう異型の存在――

                 ― “DB” が世界の前に立ちはだかった―


DBを討伐するため。大戦の"歴史"を取り戻すため。
そして自分たちの"存在意義"を知るため…
様々な想いを抱きながら、二人の兵士を始めとした会議所兵士たちは、
時空を越え、過去を取り戻す旅をする…
 

                    『きのたけWARS 〜DB討伐〜』


(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

162 名前:きのこ軍:2014/04/22 01:51:29.99 ID:hq1j2sN.o
【K.N.C 180年 ???】

??「見つけたッ!ついに見つけたぞッ!!!!」

聞くものを不快にさせるような薄気味悪いガラガラ声で、言葉の主は歓喜に打ち震えた。

??「ようやくだッ!ようやくッ!!」

見るものを不快にさせるような気色悪い図体を揺らせながら、言葉の主は喜びを全身で表現した。

??「貴様もそう思うだろ?あの地下で語っていた夢が、ついに実現するのだッ!!」

聞かれた者は言葉を発さず、静かに首を何度か上下に振るだけだった。
しかし、言葉の主にはそれだけでその者の思いが伝わったようだった。

??「ここからだ。ここから始まるんだッ!!」

大股で草木で覆われた建物に近づいていく。踏みつける度に、草花は枯れ、
生物は異臭で息絶え、後には無が残った。


??「俺様がァ!俺様がァ!歴史を変えるんだッ!!ハハハハハハハ」


その日、全ての諸悪の根源たる二体の邪悪な生き物は、世界を崩壊させかねない、
それこそ“歴史を塗り替える”ような“歴史的な”発見をした。
世界を根本から崩壊しかねない二人の目の前の建造物の存在は、
しかし会議所中に知れ渡るにはいま暫くの時間を要さなければならい。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

163 名前:きのこ軍 誤字脱字王にオレはなるッ!!:2014/04/22 01:52:24.27 ID:hq1j2sN.o
ノルマ達成。しばらく時間をいただこう。

164 名前:社長:2014/04/22 01:54:06.61 ID:tmW9NgrY0
もつだぞ

165 名前:とら:2014/04/22 09:29:53.01 ID:wSdyREBoo
おつおつお

166 名前:きのこ軍 誤字脱字王にオレはなるッ!!:2014/04/22 13:20:36.57 ID:hq1j2sN.o
参考
大戦年表編纂室イメージ案

http://dl6.getuploader.com/g/kinotakeuproloader/347/card-15.jpg

167 名前:791:2014/04/22 20:23:54.56 ID:PNVq4GCwo
お疲れさま!

168 名前:きのこ軍:2014/05/03 11:28:10.34 ID:mu541ynY0
近日公開
なお書き溜めはない模様

169 名前:きのこ軍:2014/05/03 11:41:48.11 ID:FaihNzbk0
今更ですがミニ設定と裏事情。

・K.N.C歴
正式名称はきのたけ暦。第1次大戦が開催された時をK.N.C歴1年として、
大戦が開催されるごとに1年進んでいく。
物語開始時点ではK.N.C歴175年なので、第174次大戦まで終わっていることになる。
ちなみに暦を歴と間違えてしまい、以降そのままになっているのはみんなには秘密だよ。
初期は「会議所スレが1スレ埋まるごとに1年進む」という設定だった。その名残として、K.N.C(きのこたけのこ会議)という表記がそのままになっていたりする。


・きのこたけのこワールド
一応、現実の大戦の史実に則り設定がつくられている。
第175次大戦時点は、現実では2013年8月あたり。
なぜ、敢えてこの時期を選んでいるのか、いつか明かされるといいでつね。

170 名前:きのこ軍:2014/05/03 12:07:16.27 ID:0WVmPCqI0
・きのこたけのこワールド その2 ワールドマップ
会議所やきのこの山(きのこ軍集落)、たけのこの里(たけのこ軍集落)の位置関係は、抹茶クエストの位置関係を参考にしている。(というかパクっている)
3地点を三角形の頂点とした時の中心点が大戦場に位置します。ごめんなさい、今考えた設定です。

・大戦場
きのこたけのこ大戦を実施する戦場。広大な土地を有している。
その昔は草木が生い茂る緑の楽園だったが、数多くの戦闘を経て、今は草一本生えない荒野と化している。
大戦場では、兵士が致死量のダメージを負っても、治癒可能な最小限の傷にとどめることが可能。
大戦中に兵士が深いダメージを受けると、その時点で大戦場の脇にあるバーボン墓場に転送され(バーボン送り)、終戦まで戦場に戻ることはできない。
こんなヘンテコなシステムを、全て大戦場周辺に展開されている超特大の魔法陣が動かしている。
大魔法791曰く「並みの魔法使いじゃこんな広範囲な魔法を使えない」。誰が超魔法陣の術者なのかは不明。
魔法陣は第一次大戦から変わらず展開し続け、術者が存命でないと維持できない。また魔法陣の維持には膨大な魔法力を要しているはずだ。いったい誰が…?
この設定は本編中で明かされることはないかもしれないので、機会があればまた設定裏事情で。



171 名前:きのこ軍 誤字脱字王にオレはなるッ!!:2014/05/15 17:40:44.71 ID:6kcR.DR2o
きのたけWARS 〜DB討伐〜
Chpater2. 悪しき時空の潮流者

………
……


暗い部屋に、一人の兵士の息遣いと、サラサラと紙をこするような
インクの音が聞こえてくる。


『…
 大戦にやまだかつてない危機が訪れようとしている。
 かつてともに混迷の会議所を乗り越えた貴方の力を、今一度
 会議所は必要としている。会議所への復帰を、検討していただけないだろうか』


「ふぅ…」
誤字脱字に気をつけながら、やっとの思いで手紙を書き終えた一人の兵士は、安堵の息をもらした。


「慣れない羽ペンなんて使って書くものじゃないな…」
苦笑しながら、自分の書いた汚い字など読みたくがないとばかりに目の前の手紙を封筒に押し込む。


「さて、あとはこれを参謀に頼んで…」
つぶやいている途中で、兵士は声を呑んだ。
目の前の封筒を参謀に渡せば、彼は目的の人物に確実に届けてくれるだろう。そして届けて手紙の内容に目を通し、もし彼が手紙の内容に共感して会議所に復帰したらどうなるのか。


172 名前:きのこ軍 誤字脱字王にオレはなるッ!!:2014/05/15 17:42:04.16 ID:6kcR.DR2o
「…」
兵士は葛藤していた。手紙に書かれている通り、目的の人物には会議所に復活してもらわなければならない。
書き上げた兵士自身が誰よりもその結果を望んでいる。
だが、同時に。
心の奥底では期待している結果とは相反したものになってほしいと渇望している自分がいる。

「…」

封筒を参謀に手渡す時。

それは手渡した瞬間から、歴史の潮流に身を任せることと同義であり。
同時に、古くから成り立ってきた伝統のきのたけ世界への叛逆を宣言する行いを意味する。


━━━━━━━━
━━━━
━━


173 名前:きのこ軍 誤字脱字王にオレはなるッ!!:2014/05/15 17:42:11.20 ID:6kcR.DR2o
続きはまた今夜にでも。

174 名前:791:2014/05/15 22:08:00.28 ID:FNHi280Uo
更新きた!
楽しみにしています!

175 名前:きのこ軍 誤字脱字王にオレはなるッ!!:2014/05/16 02:27:09.32 ID:7FEX9qf6o
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

アイム「大戦年表…編纂室?」

集計班「大戦の歴史に関するありとあらゆる書物が収められているんですよ、ここは。
上のwiki図書館には置いていない歴史書物が全てこの部屋に集まっています」

オニロ「そういえば、探しても探しても大戦の歴史に関する本がなかったんだ。おかしいと思ったんだよなあ」

アイム「どうしてわざわざこんなヘンピな所に、歴史書を全部集めているんだ?」

集計班「さあ。それはこの部屋をつくった本人に聞いてください」

オニロ「いったい誰がこの部屋を?集計さんですか、それとも参謀が?」

集計班「そのどちらでもありませんし、私にもわかりません。
ある日、宛先不明の置き手紙で、私はこの部屋の存在に気がつきました。

『大量の書物の前で
  “←→←→←→←→←→←→ そして最後に祈れ”
これは困難を打破する魔法の呪文なり。 
 さすれば道は開かれる』
とね」


176 名前:きのこ軍 冨樫みたいな執筆速度に憧れています:2014/05/16 02:28:04.71 ID:7FEX9qf6o
アイム「な、なんだよそのコマンドみたいな指示は…」

オニロ「もしかして、さっき図書館で歩いていた順路を示しているんですか?」

集計班「そうです。どうやら、図書館の書庫一帯に魔法陣が張られているようで、
規則性のある動きをしないと、編纂室に辿りつけない魔法のようなんです」

アイム「なんていうか。すごくヘンテコでファンタジーぽい話だな」


177 名前:きのこ軍 冨樫みたいな執筆速度に憧れています:2014/05/16 02:29:12.81 ID:7FEX9qf6o
アイム「しかし…見れば見るほどヘンテコな部屋だな。高すぎて天井が見えねえ…」

オニロ「天井近くにある本はどうやって取ればいいんですか?」

集計班「祈れば勝手に本が来てくれます」

そう答え、集計班は両の手を組んで目を閉じた。
すると、天井近くのはるか遠くの本棚から、するすると一冊の本がにアイムたちに向かって飛んできた。

集計班「ね、簡単でしょ?」

宙に浮いている本を掴み、オニロに渡す。
『wiki図書館の成り立ちとその歴史』と書かれたタイトルの本だ。
ホコリをかぶっている。

オニロ「わあ!面白そうな本だ!」

アイム「…なんていうか、他にも色々と聞きたいことがあるんだが。
部屋の中心で浮いている“モノ”はなんなんだ?」

編纂室の中央には、人の腰ぐらいの高さの台座があり、その上にロール式の古紙がちょこんと置かれている。
ロールから伸びた紙は、物理法則を嘲笑うかのように、果てが見えない天井まで伸びている。
螺旋状に天まで伸び、羽衣のように扉からの隙間風に揺らめくその姿は、ひどく幻想的だった。


178 名前:きのこ軍 冨樫みたいな執筆速度に憧れています:2014/05/16 02:30:14.46 ID:7FEX9qf6o
集計班「あれは『大戦年表』ですね」

アイム「年表?」

集計班「会議所と大戦に関する歴史上の事件や出来事などが、年代の順を追って記載されている表のことです。
K.N.C1年から現在の180年まで、出来事が詳細に記録されています」

集計班は見えない天井を指さす。ロール紙の端から、K.N.C1年の出来事が記録されているのだという。

集計班「大戦年表への記録は、あたりを飛び回っている『自動筆記ペン』がおこなっています。
“彼ら”は、大戦の結果・総評や、会議で決まった内容など、特定の出来事・事件を即座にあの年表に記録します」

彼らはこの会議所内で、誰よりも歴史家ですね。冗談めいた口調で集計班は語った。
ある自動筆記ペンは、年表のロール部分に張り付き、新たな大戦の歴史が生まれないか
今か今かと待ちわびているようだ。
また、ある自動筆記ペンは、本棚と本棚を行き来し、棚から白紙の書物を引っ張りだしては
仕切りになにか書き込んでいる。その様子はひどく慌ただしい。


179 名前:きのこ軍 冨樫みたいな執筆速度に憧れています:2014/05/16 02:31:39.59 ID:7FEX9qf6o
集計班「複数の筆記ペンがそこらかしこを飛び回っていますが、
それぞれ与えられている役割が違うのか、まるで会議所の受付所のように
ペンたちは忙しなく動き回っていますよ」

アイムはその言葉を聞いて、受付所でひどくくたびれている加古川を思い出した。

アイム「なんていうか…地上でも地下でもやっていることは変わらない、てか」

オニロ「すごい!なんてすごい部屋なんだ!ボク、あの大戦年表がすごく読みたいです!」

目をキラキラさせながらオニロは喜びを全身で表現している。

集計班「ならば祈ればいいんですよ。さっきみたいにね。試しにやってみるといい」

オニロは頷き、早速両手を組んで祈りはじめた。
対して、アイムは年表に特に興味は示さずに、部屋をジロジロと見回している。

オニロ「おお!年表が手元に来た!すごいよアイム!」

アイム「あーハイハイ。それはよかったな」

マフラーのように古紙を身体に巻きつけながら、オニロは興奮げにアイムに詰め寄った。
対してアイムはオニロのことなど気にもとめず、変わらず部屋の周りを見回している。


180 名前:きのこ軍 冨樫みたいな執筆速度に憧れています:2014/05/16 02:32:38.39 ID:7FEX9qf6o
書き溜めゼロ 今日はここまで
貯金なしでいくスタイル

181 名前:誰か:2014/05/16 07:02:51.15 ID:uItWFY5s0
更新来ましたか!
>>180私もですはい

182 名前:きのこ軍 突然更新するの巻:2014/05/22 22:43:09.81 ID:xgcP6DD6o
オニロ「うわあ。結構正確に記録されているんですね!」

オニロ「K.N.C1年とかどんなことが書いてあるんだろう。なになに…
『K.N.C1年 きのこたけのこ大戦の始祖・たけのこ軍兵士まいう総統が突如きのこ軍に宣戦布告。
無事、たけのこ軍が大戦に勝利…』」

集計班「懐かしい話ですね…」

オニロ「『K.N.C109年 第109次大戦において、たけのこ軍は遂に13連敗を喫する。
大型連敗は、13連敗開始前以前に謎の怪文書”デス論評<ブログ>”によって予見されていた…』
え、なにそれ怖い。この怪文書って社長さんが書いたのかな?」

集計班「K.N.C109年か。確か、社長はその頃まだ…
いえ、なんでもありません。
そうですね、もしかしたら社長が予言したのかもしれません」

アイム「あの変人野郎が、そんなわかりきった予言するのか?」

会議室で突然納豆を練り始め踊り始めた社長の姿を思い出し、アイムは露骨に顔をしかめた。

集計班「その怪文書には『たけのこの里おいしーーー』と、たけのこに関してやけに
ポジティブな発言が書かれていたそうな…」

アイム「なんだそれ。意味ワカンネッ」

どうせあの変人野郎の仕業なんだろ、もう考えたくないね。

アイムはそうつぶやいて頭のなかで『ルーンアクスはデフォ』と言葉を発しながら
立ち姿勢で水平移動を続ける社長を、容赦なくぶった斬った。


183 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその2:2014/05/22 22:46:23.71 ID:xgcP6DD6o
オニロ「うわあ、ほんとうに面白いなあ年表って。とても今日中じゃあ読みきれない。
ねえアイム、本当におもしろいよ」

アイム「へぇ、そうかい」

オニロは全身に巻き付いている年表に忙しなく目線をうつしている。
アイムは、犬が尻尾を振りながら餌に食いついている光景を思い浮かべた。

集計班「“彼ら”は日を跨いでも、寝ずに歴史が生まれるのを今か今かと待っています。
そういう意味では、この部屋の筆記ペンたちは会議所の誰よりも『社畜』なのかもしれませんね。ハハッ」

アイム「…あっそ」

気の利いたと思っているジョークがハズレた時ほど悲しいものはない。
集計班の取り繕ったような笑い声だけが部屋に反響する。
見えない天井から反響してくる笑い声の欠片が、余計な虚しさを増幅させた。


184 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその2:2014/05/22 22:49:06.46 ID:xgcP6DD6o
オニロ「これからこの部屋に来てもいいんですか?」

集計班「どうぞどうぞ。そのために今日はあなたたちを招待したのです。
喜んでいただけたようでなによりです。まあ、喜んでいただけたのは一名だけのようですが」

アイムはぷいと顔をそむけた。

オニロ「帰るときも来た時と同じ順路を辿らなくちゃいけないんですか?」

集計班「いえ、帰りはその階段を上るだけで元の図書館に戻れますよ。
よくわからない魔法の中身ですが、こういった手間が省けるのには感謝しないとね」

アイム「…なあ。少し聞いてもいいか?」

集計班「少しだけなら答えてもいいですよ」

先ほどの件を気にしているのか、棘を含んだ口調で集計班は答える。
随分と器の小さい兵士だ、とアイムは自らの行いを棚に上げ、一方的にそう評価した。



185 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその4:2014/05/22 22:52:49.76 ID:xgcP6DD6o
アイム「なんで俺たちをこの部屋に呼んだんだ?」

集計班「歴史の勉強をしてもらいたいからですよ」

間髪を置かずに流れるような口調で集計班が言葉を返す。
アイムは訝しげな視線を集計班におくる。

アイム「歴史の勉強、ねえ。それは俺たちが新人だからかそれとも“希望の星”だからか?」

集計班「…その両方ですよ」

アイム「いや、おそらく嘘だな」

オニロ「どういうことアイム?」

アイムは目を細め、探偵気分で部屋をゆっくりと歩き出す。
ちなみに足元には物が散乱しているので、けもの道とかしているスペースを行ったり来たりするだけである。

アイム「この大戦年表編纂室。普段から使ってるのは、あんた一人か?
というか、あんた以外にこの部屋の存在知ってる兵士なんて、いないんじゃないのか?」

集計班「どうしてそう思われたんでしょう?」

慇懃無礼な態度を崩さず、しかしどこか試すような口調で集計班はアイムに先を促した。


186 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその5:2014/05/22 22:54:40.94 ID:xgcP6DD6o
アイム「まず気になったのは物の散らかり具合だ。部屋には足元にまで本や紙が散らばって、
唯一『人が通っていると思われる』スペースはけもの道のようにならされてはいるけど、
それ以外があまりにも汚い。この点で、まず参謀がこの部屋の汚さを許容するはずがない」

オニロ「あっ。そういえば」

上のwiki図書館は、現館長の参謀兵士が丹念込めて整理整頓を施した一種の『作品』である。
常日頃から清掃活動を行っているのは勿論のこと、本の向きは一様に揃えられた上で本棚に並べられ、
そして綺麗にタグを用いて綺麗に分類分けされた書籍群は、見る者に『清潔感』と『開放感』を与える。

対して編纂室は、物は散らばり、ホコリも水を得た魚のように部屋中に舞っている。巨大な本棚群も、
本の向きはバラバラ、棚によっては横倒しにされている本も見られ、本棚を飛び回っている筆記ペンが
苦労そうに本を取り出している。あらゆるところに煩雑さが目立つ部屋だ。

大多数の人間が不快感を与えるこの空間を、しかし一方で好む好事家もいるのは事実だ。
そして、その好事家の一人に集計班は含まれるのだろうと、アイムは推測していた。

アイム「会議を仕切って会議所を率先してまとめているが、ところどころいい加減な言動が目につくあんたは、
おそらく本質的には参謀と真逆の体質なんじゃないか。つまり、極度のめんどくさがりという点でさ」

集計班は何も言葉を発さない。ただただ静かにアイムの話を聞いている。


187 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその6:2014/05/22 22:57:20.74 ID:xgcP6DD6o
アイム「それと、部屋の中央には巨大なテーブルと椅子が数脚並べられてるけどさ。
あれ椅子一脚しか使ってないでしょ。特定の椅子の周りだけ、なんというか特に汚いというか。
ベクトルの違う汚さというか…」

編纂室には扉から入って正面に、会議室に備えている大テーブルを縮小したような中テーブルと、
ロッキングチェアがテーブルを囲むように置かれている。当然、テーブルや椅子の上にも本や紙が散乱しているが、
扉に背を向けるように置かれている一脚の周りだけは、ジャンルの異なる本が不必要に何段も積み上がっていたり、
メモ帳用紙がテーブルに置かれていたり、さらには椅子の向きがテーブルではなく年表台に向いていたりするなど、
周りの椅子と妙な違和感があるのだ。

オニロ「ほへー。すごいよアイム!それは気が付かなかった」

だって汚かったし。ボソッと独り言のようにつぶやいた言葉は、しっかりと二人の耳に届いた。

アイム「他の椅子は全部テーブル側に向かっていたし、ここ最近使われた形跡もなかった。
つまり、この編纂室の利用者はただ一人。集計班、あんただけってことだッ!」

得意気にそう語り、どうだと言わんばかりに集計班を指さすアイム。気分は上々である。
その勢いの良さにギャラリーのオニロから思わず拍手がもれる。
照れ隠しからか鼻頭を掻きながら、それで、とアイムはなおも続ける。

アイム「おそらく、あんたはこの部屋の存在を意図的に他の兵士に知らせていないと思う。
他の奴等から聞いたことないし。その理由はわからないけど」

それで2つ目の質問に繋がるわけだ、とアイムはギャラリーと化しているオニロに種明かしをするように話した。

アイム「『俺たちが新人だからかそれとも“希望の星”だからか?』
この質問に、あんたは『両方』と答えた。
だが、オレの推理では、新人だからこの部屋に呼ばれるという仮説は否定される。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

188 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその7:2014/05/22 22:59:46.00 ID:xgcP6DD6o
集計班「いやはや。アイム君、予想していたとはいえその予想を上回る素晴らしさだ」

笑みを含ませ、大物めいた口調で集計班は答える。だが、別段威厳はない。

集計班「アイム君の言っていることは概ね事実です」

おお!とオニロから歓声が上がる。アイムにいたっては得意気に胸を反らせている。

集計班「『1. この部屋は私しか利用者がいない』その通りです。
『2. “希望の星”だからあなたたちをここに呼んだ』それもその通りです。
あなたたち以外の兵士をここに招くことはしていません。
『3. 私は極度のめんどくさがりや。』これもその通り、いつからか私は掃除しない汚い部屋に
適用できる精神を手に入れました」

ただ、と集計班は続ける。

集計班「3. 参謀がこの部屋を知らない、というか私しかこの部屋を知らない。
これに関しては残念ながら誤りです」

アイム「え」


189 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその8:2014/05/22 23:01:04.65 ID:xgcP6DD6o
集計班「参謀はこの部屋を知っていますよ。そしておそらく、この部屋の汚さも知っています。
参謀は『シューさんの管轄内だから任せる』とだけ言って、この部屋の扱いを私に一任しました」

アイム「マジか」

集計班「マジです。あと、参謀以外にも数人この部屋の存在自体を知っている兵士はいますよ。
まあ誰も利用したことがないという点では、アイム君の言うとおりですけど」

惜しかったですね。大して惜しくなさそうに集計班はアイムを労った。

集計班「そして、なんで私は最後の最後まであなたたちに“そのような事実” を知らせなかったか。
まあ、ぶっちゃけますと、お二方のどちらかでもよかったんですが、私は期待していたんですよ」

オニロ「期待?何にですか?」

オニロの言葉にニヤニヤしながら集計班は答えた。

集計班「アイム君のように、勝手に筋道を立てて勝手に論理を立てて説明してくれることに、ですよ」


190 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその9:2014/05/22 23:02:30.03 ID:xgcP6DD6o
オニロ「アイム、怒って先に帰っちゃいましたよ」

集計班に利用されたことに気がついたアイムは顔を真っ赤にして、誰よりも早く編纂室を出ていった。
残った集計班は、自分の椅子に座り悦に浸っている。

集計班「まあ彼を利用するような形になってしまったことは悪かったと思っています。
お詫びに、今度の会議に納豆でも持って行こうかしら」

オニロ「それはなおさら彼の逆鱗に触れるだけのような…
あ、ところでどうしてこの部屋の存在を隠しているんですか?」

集計班「秘密基地のようなものです」

オニロ「え?」

キイキイと音を立て椅子が揺れ始める。

集計班「子どもは、自分だけの秘密基地に信頼できる仲間だけを集めて、一緒に秘密を共有します。
一種の連帯感のようなものです。私にとっての秘密基地が編纂室なんですよ」

あ、歴史を勉強してもらいたいというのは本当ですよ。集計班は忘れていたように付け加える。

191 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその9:2014/05/22 23:03:59.33 ID:xgcP6DD6o
オニロ「僕たちは集計班さんからしたら“信頼できる仲間”ということですか?」

椅子は一定の間隔で揺れ続ける。二人の上では筆記ペンが忙しなく動き回っている。

集計班「ええ、そうですよ」

うねる年表を眺めながら、間髪入れずに言葉を返す集計班。椅子は変わらず一定の間隔で揺れ続ける。

オニロ「どうしてそんなに信頼されているんでしょう…ボクたちはまだ会って間もないというというのに。もしかして…」


          ― ボクとあなたは以前どこかでお会いしているんでしょうか? ―


192 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその11 ラスト:2014/05/22 23:14:53.12 ID:xgcP6DD6o
椅子の揺れが止まった。
そこで初めて、集計班は扉の前に立つオニロを見返した。

集計班「…いえ、私はあなたと出会った覚えがありません。
あなたが記憶を無くしているように、私も記憶を無くしていない限りそれは事実でしょう」

オニロ「そうですか…」

しばらく部屋に静寂がおとずれる。筆記ペンの諸差音が上から微かに聞こえてくる程度である。
オニロは今一度、自分が立っている不思議な空間に魅せられていた。

集計班「そんなにここが好きですか?」

オニロの様子に気がついたのか、集計班は優しく声をかける。

オニロ「はい!」

集計班「そうですか…」

二人は黙って、部屋の中央に堂々とそびえ立つ大戦年表を眺めた。
開け放たれた扉から入り込む風で微かにその姿を揺らす年表は、二人の視線から
逃れようと恥ずかしがっているようにオニロには見えた。


集計班「先ほどの話ですがね…」

何分経ったか、年表から目線をオニロに戻し、集計班は再び語りかける。

集計班「もし、もし私があなたのことを知っていたとして、それを黙ってあなたと今こうして接していたとしたら…」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

193 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/05/22 23:16:12.52 ID:xgcP6DD6o
集計とかいう奴でしゃばりすぎだろ。ふざけんなよ。

・微修正
×:部屋の中央には巨大なテーブルと椅子が数脚並べられて
○:部屋の端には巨大なテーブルと椅子が数脚並べられて

194 名前:筍魂:2014/05/23 00:18:10.46 ID:OtRSqbL6o
集計班とかいう便利キャラ
おつ

195 名前:社長:2014/05/23 00:24:09.29 ID:QSZl2aQs0
社長はタネフフ枠ですね

社長「なんだよ、負けてきたのか。」

196 名前:誰か:2014/05/23 00:38:20.34 ID:qx5jJJrc0
おつ
集計班はどこまで知ってるのやら

197 名前:社長:2014/05/23 20:56:52.72 ID:QSZl2aQs0
アイム君がきれぼし脳になる日も 近い!近くない!

198 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 邂逅編その1:2014/05/27 01:08:26.09 ID:YOYNZyB6o
【K.N.C 180年 会議所 教練所 中庭】

山本鬼教官からの厳しいしごきを耐え抜き、今日もアイムは一人大の字で芝生の上に寝そべっていた。
鍛錬が終わってから夕食までの時間を、アイムはこうして身体の休息に充てている。
風切り音や虫の音色が耳に心地よく響く。目を閉じて、自然の音を聞く。
癒される。至高のひと時である。

筍魂「おつかれさまやで」

こうしてノイズが混ざることも稀にある。

アイム「…なんのようだよ。オレはいま忙しいんだ、話があるなら100年後にきく」

筍魂「こいついつも忙しくしてんな」

アイムは身体を起こして筍魂と向かい合う。

アイム「この間の弟子云々の話なら断ったはずだ。あんたのヘンテコ舞空術は怪しすぎる」

筍魂「ヘンテコ舞空術ではなく、戦闘術『魂』なんですがそれは…」

アイム「そもそも山本教官と話は付けてあるのかよ?」

筍魂「つけたぜ」

アイム「…」

筍魂「嘘ンゴ。本当は話してないンゴ」


199 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 邂逅編その2ラスト:2014/05/27 01:10:20.02 ID:YOYNZyB6o
アイムは盛大に溜息をついた。

アイム「どうしてオレに付きまとうんだ。まさかお前も、
オレが“希望の星”だからとかいう理由で狙っているんじゃないだろうな?」

筍魂「それは関係ない。俺はお前の実力に惚れ込んでいるんだ」

アイム「なんか面と向かって言われるとキモいな…」

筍魂「あのさぁ…」

アイム「そもそも戦闘術『魂』てのはいったいなんなんだよ?」

筍魂「戦闘術『魂』は、云わば精神と肉体の完全な融合を成し遂げる術だ」

アイム「なんか怪しいな」

筍魂「戦闘術『魂』は、なにもお前の技術を劇的に高めるといったことはしない。
お前の持っている地力を引き出すツールのようなものだと考えればいい」

アイム「地力を?」

筍魂「せやで」

アイム「どうすれば引き出せるんだ?」

筍魂「それは師弟関係にならんと教えられんなあ」

アイム「ぐっ…」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

200 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その1:2014/05/27 01:12:12.68 ID:YOYNZyB6o
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

ここ最近、オニロは昼下がりの決まった時間に編纂室に来ては、
夕飯の時間になるまでずっと入り浸っている日々を続けていた。

オニロ「ふむふむ。ふむふむふむ」

集計班「楽しそうですね。791さんとの鍛錬はいいんですか?」

オニロ「ちゃんと午前中に鍛錬はこなしていますよ。最近は詠唱の時間が早くなったと、師匠に褒められました」

地面を埋め尽くす紙束の上に寝転がりながら、オニロは嬉しそうに報告した。

集計班「それはよかった。まあ、ここを気に入っていただけたようでなによりです。
招待したかいがあったというもの」

オニロ「えへへ。でも案の定、アイムは来てないですけど…」

集計班「まあ想定内です」

飲料用抹茶を啜りながら、涼しげに集計班は語る。

オニロ「え。じゃあどうしてアイムを呼んだんですか?」

集計班「そんなことより、時は金なり。今日はK.N.C80年頃まで読むんじゃなかったんですか?」

オニロ「あ、そうだったそうだった!」

手元にある年表を漁り、熱心に読み始める。つい先程した質問など既に頭のなかから抜け落ちているようだ。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

201 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その2:2014/05/27 01:13:41.51 ID:YOYNZyB6o
オニロ「ふむふむ。
『wiki図書館の二代目館長の山本さんが迅速に図書館の復旧に務め…』
え、山本さんて図書館長だったんですか!?」

集計班「はい。参謀は三代目図書館長。山本さんは先代の館長です」

オニロ「知らなかったなあ。参謀の館長っぷりがすごく板についていたから」

集計班「張り切ってやられてますからね。図書館は使いやすくて利用者からもとても好評です。
ただし、私からすると少し綺麗過ぎる」

部屋全体を見回してうっとりとする集計班。

オニロ「ボクはもう少し綺麗にしたほうがいいと思います…」

集計班「考えておきます」

集計班は軽く受け流した。


202 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その3:2014/05/27 01:15:09.09 ID:YOYNZyB6o
オニロ「そういえば、参謀と山本さんの前の初代図書館長は一体誰なんでしょうか?」

年表には出てこなかったんだよなあ。
自身の周りを囲んでいる年表を手に取りながら、オニロは不思議そうに首をひねった。

集計班「…彼は最後まで沈黙であり続けた」

オニロ「え?」

飲料用抹茶が入ったティーカップをホコリまみれのテーブルの上に置き、
集計班は感慨に浸るように目を細めた。

集計班「我々はその沈黙から多くを学び―」


          ― 同時に重大なものを失った ―


203 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その4ラスト:2014/05/27 01:17:42.33 ID:YOYNZyB6o
集計班の言葉は、シンとした編纂室によく響きわたった。
虚空を眺めるように、見えない天井に顔を向け語りを続ける。

集計班「歴史とは、現在と過去との対話です。先人の行いを理解し、広い客観的な見方を学んでいくのです」

集計班「wiki図書館初代館長のきのこ軍兵士『無口』さんは、『歴史』を未来の我々に与えてくれた偉大な方です。
あなたが今後大戦に関わっていく上で、名前ぐらいは知っておいたほうがいいでしょう」

きのこ軍兵士無口氏。
ひどく重厚感を感じる名前。初めてその名をきいたはずのオニロは、なぜかちょっとした胸騒ぎを覚えた。

オニロ「えと。無口さんという方は、いま―」

どこにいらっしゃるんですか。
そう続けようとしたオニロは、しかし先ほどの集計班の言葉を思い出し、
すんでのところで言葉を飲み込む。

          ― 彼は最後まで沈黙であり続けた ―

きのこ軍兵士無口は姿を消した。会議所から、そして歴史の舞台から。
理由は誰にもわからない。もし彼の消息を掴める者がいたとしても、彼に倣いひたすら沈黙であり続けるだろう。
今も、そしてこれからも。


204 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその1:2014/05/27 01:19:33.82 ID:YOYNZyB6o
【K.N.C 180年 会議中 会議所 議案チャットサロン】

いつものように円卓テーブルを、両軍兵士が取り囲んで座る。

集計班「はい。じゃあ定例会議を始めましょう。まずはじめに、社長から占いの予言があるようです」

社長「つるはし!なう」

参謀「えーと。前の予言がK.N.C175年だから5年越しになるか。ここ最近からしてみたら、長いブランクやな」

アイム「そんなに頻繁に予言が出てるのかよ」

加古川「だいたい2年に一回ぐらいのペースかな?結構頻繁に占なっては、俺たちを悩ませているよ」

社長「とこんの小ささには吹いた」

抹茶「その内容も『実は抹茶はお○っこ好き』とか『社長は実は大の百合好き』とか、
大戦には関係ないそんな内容ばっかりなんです」

アイム「どれも事実の内容ばかりなんだな」

抹茶「え」


205 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその2:2014/05/27 01:20:42.23 ID:YOYNZyB6o
社長「修正液ドバドバかけるのさ〜」

オニロ「占いにも、大戦・会議所に関わるものと、そうでないものに分けられるということなんでしょうか?
ボクとアイムが今まで聞いてきた予言は、全部会議所関連だけど」

¢「オニロの言うとおりだ。ただ、一応占いの見分け方はある」

曰く、『占いに合わせて社長が謎の踊り(イルーム舞踊)を始めると、
大戦・会議所に関わる内容』に予言が限定されるらしい。

175年の『納豆予言』と、アイムたちの出現を占った『テイルアタック予言』では、
占い結果の読み上げと同時に社長がイルーム舞踊を始めた。
そして、今日も社長は席を立ち、既に占いの準備に入っている。
これはイルーム舞踊を始める合図であり、これからの占い結果が大戦・会議所に
関わるものであることを自ずと証明していた。


206 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその3:2014/05/27 01:23:05.68 ID:YOYNZyB6o
集計班「では、どうぞ」


社長『ピッコロだいまおうとのせいぜつ』


扉の前に立っている社長が、最初の予言を発すると同時に態勢を低くする。
両手を前に突き出し、今にも走り出しそうだ。


社長『ちかづいてくる…まさか!ソン・ゴクウか!?』


そう告げ、社長が扉からテーブルの周りに向かって移動し始める。
ちなみに、今日の社長の靴はローラースケートになっており、姿勢を維持したまま水平移動を可能としている。
そのため、会議所の面子は姿勢を保った社長が部屋の端から端まで移動しているさまを見せつけられている。
いつにもましてシュールだ。

部屋の端まで移動し終わった社長は、いそいそと元いた扉の前まで戻った。
履き慣れていないのか、何度か躓きながら後ろ向きで元の位置まで戻る社長は占い以上にシュールな光景だ。


207 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその4:2014/05/27 01:24:30.02 ID:YOYNZyB6o
社長『ちかづいてくる…』


そして、先ほどと同じ言葉を発し、再び同じ姿勢を取った。


社長『ちかづいてくる… まさか!ソン・ゴクウか!?』


再び社長が同じ前傾姿勢で移動する。ローラーと床のこすれる音が、虚しくサロン内に響き渡る。
そして前傾姿勢のまま端まで移動し終わった社長は、再びいそいそと元いた場所まで戻る。
この間の沈黙が酷く気まずい。


社長『   ちかづいてくる… まさか!ソン・ゴク』


アイム「…」

社長が三度目の前口上を始めた時、アイムは考えることを止めた。
目の前の変人のために脳を働かせることがバカらしいと感じたのである。それは正しい。


208 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその4:2014/05/27 01:26:21.91 ID:YOYNZyB6o
何が予言だバカバカしい。
そう思いながら、しかし目の前で真剣に意味不明な行動を取る社長を見て、
アイムは以前の占いからも感じた、言葉では言い表せない気迫を社長から感じ取った。

情熱、という言葉が近いのだろうか。
しかし、普段とさほど変わらずアッケラカンとした本人を見ていると、それほど予言の公表に
熱意があるようにも感じられない。
真剣さは感じられる。だが、熱意は感じられない。

果たして本人は自分から望んで占いを公表しているのだろうか。
社長が進んで占い結果を見せる理由はいったいなんなのだろうか?
社長自身が望んでいないとしたら、それは。

アイム「使命感、からなのか?」

ボソリと呟いた言葉は、ローラースケートの移動音でかき消された。


社長『ちかづいてくる… まさか!ソン・ウか!?』


アイム「ソン・ウて誰だよ」

思わず突っ込んでしまったアイムを、誰も咎めはしない。それは正しい。

209 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその6ラスト:2014/05/27 01:27:03.02 ID:YOYNZyB6o
社長『むすこ ジョンである。 うれもし、カンっキィー!』


最後にそう告げ、社長は何事もなかったようにすとんと自分の席に着く。
数分間、気まずい時間が流れた。

社長「ちんもくかい」

アイム「…終わり、なんだな?」

社長「そうすね」

こうしてアイムたちにとっての、第三回目の占いは終わった。

210 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/05/27 01:27:46.40 ID:YOYNZyB6o
平和な時間は終わり、次回から急展開に…!?(少年雑誌並の煽り

211 名前:社長:2014/05/27 01:29:01.57 ID:nhHF7dnw0
もつだぞ。

212 名前:誰か:2014/05/27 01:31:54.91 ID:4YpBOh9k0
おつなのよー

213 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 封筒編その1:2014/06/01 01:32:14.34 ID:jOIu1lQko
━━━━━━━━
━━━━
━━


暗い部屋に、一人の兵士の息遣いが聞こえてくる。

兵士は、先ほど書き終えた便箋が入った封筒を手にとった。
慣れない作業だったのか、手の側面はインクで黒ずんでいる。
封筒をインクで汚さないように、指の先でつまむように。

手に持った封筒を、兵士はしげしげと眺める。
この封筒は、大戦の命運を握る鍵といっても過言ではない。
大戦の、自分自身の“魂”が詰まった、どこか色あせた封筒を、兵士は数回ほどなぞるように触った。


214 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 封筒編その2:2014/06/01 01:35:10.91 ID:jOIu1lQko

「参謀に渡す時期はいつがいいかなあ。うん、まあ1回目の体験が終わってからだろうなあ。
急ぎすぎても遅すぎてもいけないから、慎重にいかないとなあ」

「あとは、“あの人”にはこの事を言ったほうがいいのか…いや、ダメだ。
私と同じ末路を辿る可能性が高い。彼には、“知らせてはいけない”」

ブツブツと何事かを呟きながら、兵士は机の周りに散らばった紙や筆記具を片付け始める。

「あっ」

兵士は何かに気がついたように、机の上に置いた封筒を再び手にとった。

「名前を書くのを忘れてたな…」

危ない危ない。まあ、差出人の名前がなくても参謀が伝えてくれると思うけどなあ。
兵士は筆を手に取る。そして封筒の裏に、拙く力強い字で一筆入魂。


『会議所より 
            きのこ軍 集計班』


━━━━━━━━
━━━━
━━


215 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/06/01 01:35:57.96 ID:jOIu1lQko
何かのフラグが立って、何かのフラグが折れましたね(確認
次回から本編が始まるって本当なのですか?

216 名前:きのこ軍:2014/06/03 12:29:22.52 ID:8I1t5bUg0
自己満足のミニ設定と裏事情のコーナー


・議案チャットサロン
通称「会議室」。サロンなのか会議室なのか、いまいち呼称が統一されていないため、
作者含めていまいちイメージしづらい。
少し中二病ぽい円卓会議が日々行われている現場。
社長の占い披露も行われている。
会議には会議所に定住する会議所兵士が主に参加する。参加は義務ではないため、
最近では会議に飽きてきた兵士の欠席が目立ち、議長は頭を抱えている。
会議はK.N.C1年からサロンに始められ、途中何度か中断を挟みながらも、現在まで継続的に行われている由緒正しい慣習。
そんな歴史あるサロンだが、おそらくもう本編では登場しない。
サロンに納豆の臭いが充満していつまで経っても臭いが抜け切らなかったことが、原因の一つとして挙げられる。嘘です。

・大戦年表
年表編纂室にある、自立したロール古紙さん。古紙のサイズは通常の紙の数倍ぐらい。
年表に書かれている内容は、基本的には実際のwiki大戦年表を参考にしながら、決められている。
実際の年表と見比べながら話を読んでいくと、新しい発見があったりなかったり。

217 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その1:2014/06/22 02:33:54.84 ID:4ZWBsheMo
━━━━━━━━
━━━━
━━

【K.N.C 180年 会議所 教練所 中庭】

まだまだ残暑が厳しい季節、アイムは日課となった中庭での昼寝を今日も続けていた。

アイム「…また、あんたか」

筍魂「そう邪険にするなって」

むくりとアイムは起き上がり無言で筍魂を数秒睨むも、根負けしたようにアイムは、はぁと溜息をついた。

筍魂「どうした、怒らないのか。『まーた魂かチネ』ぐらいは言われると思ったが」

アイム「言ったところで聞く耳持たねえだろ、あんたは。
それとも、言ってほしいんならいくらでも耳元で怒鳴ってやるぜ」

筍魂「やめろワシはMじゃない!(宣言)」

やれやれとアイムは頭を振った。どうして、こうも会議所内には話が通じる兵士が少ないのだろうか。


218 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その2:2014/06/22 02:35:30.10 ID:4ZWBsheMo
アイム「はぁ。それで、今日はどんなごご用件かな。今日も魂さんの高説を賜われると思うと、
おちおち昼寝もしてられないな」

筍魂「弟子にな ら な い か?」

アイム「断る」

筍魂「悲しいなあ(諸行無常」

最近になってアイムの昼寝の時間を見計らって、アイムの機嫌を損ねるために現れるようになったこの兵士は、
未だアイムに相当執着しているようだった。
アイムが邪険に扱うほどに、その次の日には自信満々の表情を含ませながら
筍魂はアイムに掛け合ってくるのである。そしてアイムは更に邪険に扱う。
そんな日々の繰り返しだ。そういう意味では筍魂はドMなのかもしれない。

そもそも、師弟の関係になって自分に何のメリットがあるというのか。
アイムには筍魂の意図がわからない。
押し売りセールスのように何度もしつこい兵士をすぐに追い払える防衛術を学べるというのならば、喜んで飛びつくが。


219 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その3:2014/06/22 02:38:43.77 ID:4ZWBsheMo
筍魂「山本さんとはこの間に話をつけた。『やりたきゃどうぞ』だそうだ。
『クソガキ相手一人に時間を割くほど、私は暇じゃないから賛成だ』とも言っていた」

アイム「あのエロ教官め…」

つい先日、所要で自室に篭もるから自主練という呈で、山本教官に言い付けられた厳しいハードワークを
息も絶え絶えでやりきったアイムは、鍛錬終了の報告のために山本の部屋へ訪れた。
疲れきったアイムが思わずノックもせずに山本の部屋の扉を開けてしまった丁度その時、
不幸にも山本は“儀式”の最中だった。

自身を大小様々な模造品の乙牌が囲み、その一つ一つに感涙を持って
地べたにひれ伏して畏敬を払う彼の鬼教官と対峙した時、思わずアイムは声を出さずに“阿呆”と口を動かした。
山本もうつ伏せのまま、呆然とした表情でアイムを見返した。その手は乙牌を握って離すことはなかった。
それ以来、二人の間に会話はない。

筍魂「いろいろと会議所の業務で忙しいんじゃない?(すっとぼけ」
アイム「乙牌を揉みしだく業務があるんなら、ぜひとも入ってみたいな」
筍魂「けしからん!」


220 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その4:2014/06/22 02:41:02.57 ID:4ZWBsheMo
そのような事情からか、最近では自主練が主になったアイムの下に、
好機とばかりに筍魂がアイムのもとに通い詰めるのは至極当然のことだった。
想定を上回る飲み込みの早さで知識・技術を修得したアイムに、
鬼教官が今後の彼の育成プランについて考えあぐねていたことは事実であり、
筍魂の手に教え子が預けられることは、不幸な事件を差し引いても、山本としてはありがたいことではあった。

筍魂「お前にとっても悪い話じゃない。お試しでもいいから戦闘術『魂』を一緒に学ぼう。
クーリングオフも有効だゾ」

アイム「もしオレとお前とが絶望的に反りが合わなかったら、その後オレはどうすればいいんだよ」

筍魂「おっぱい教官の下に戻れよ」

アイム「断る」


221 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その5:2014/06/22 02:42:50.19 ID:4ZWBsheMo
はぁ、と年不相応な溜息を付きながら、アイムは再び大の字で寝転がる。
変人どもに囲まれて神経をすり減らしているアイムを、同じ変人の筍魂が慈愛の目で見つめる。
それがたまらなくアイムにとっては不快だ。

筍魂の戦闘術『魂』への勧誘は、アイムの頑固さの前に平行線のままだ。
件の乙牌事件を目の当たりにして、いくらかアイムの心も揺らいだが、度重なる胡散臭くしつこい勧誘は、
彼にかえって余計な警戒心を植えつけさせただけだった。
そもそも変人揃いの会議所にあっては、アイムの自己防衛本能はいっそう研ぎ澄まされている。
筍魂は当然のごとくアイムの自己防衛センサーに引っかかった。
ただ、事あるごとに戦略的撤退を余儀なくされる筍魂だが、後退もあれば進歩もある。
幾多の会話・罵倒を受け、筍魂はアイムの性質を見抜いていた。

筍魂「…オニロとの差を縮めるのは今のうちだと思うがなあ」

アイム「…あ?」


222 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その6:2014/06/22 02:45:45.47 ID:4ZWBsheMo
他の誰よりもアイムはオニロに敵対心を持っている。
会議所メンバーが思っているよりも、アイムのオニロへの忌避感は人一倍強い。
オニロの一挙一動全てが気に入らない。大戦場の隅に脳天気に咲いている花のように、
両軍が終わりなき戦いを繰り広げる大戦の世界に見を投じながら、本人はまるで戦闘とは
無縁な振る舞い・表情を見せる。その癖に、戦闘になればまるで別人のように
誰よりも“戦闘狂” のように振る舞う。
不快感を本人に隠すことなく顕にしながら、なおそんな負の感情を包み込むような笑顔で気にせず話しかけてくる。
アイムは気に入らない。オニロのすべてが気に入らない。


アイムは幼い。
自信家で気分屋だ。自分という存在が、どの世界の常識よりも正しいと信じて疑わない。
井の中の蛙が大海を知らないように、アイムもまた大海を知らない。
心のなかで殻にこもったまま、説法を自分自身に説くように自分の存在・行いを信じ続ける。
自分が一番強い。だからこそ、自分よりも格上の存在であるとアイムが猜疑心を抱いた相手には警戒する。
その相手がオニロだった。
アイムのオニロへの敵愾心はあまりにも根深く、そして拙い。

アイムは幼い。
だが、幼いからこそ成長のしがいがある。
筍魂はアイムをそう評価している。

223 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その7:2014/06/22 02:48:45.67 ID:4ZWBsheMo
筍魂「オニロは最近、何かに没頭しているようで。訓練には欠かさず参加しているけど、
以前ほどのキレはないそうだ。791さんも頭を抱えていたよ。これは大変なことやと思うよ」

アイム「…」

オニロは大戦年表漁りに没頭している。
地上でアイムが日課の昼寝を楽しむように、地下では日課の編纂室の濫読を楽しんでいる。

筍魂「別の趣味でも見つけたのかもしれんな。ただ、今こそオニロとの差をつけるいい機会なんじゃないか?」

筍魂「お前は強い。だが、俺ならお前をもっと強くしてやれるゾ」

アイム「…本当なのか?」

真剣な筍魂の言葉に、アイムの心は揺れ動く。
あと少し、あと少しで弟子になるゾ。
心のなかで小躍りをしながらアイムの反応を待つ筍魂だが、
アイムを弟子にとるのはいま暫く待たなくてはいけない。
アイムにとっても、筍魂にとっても、弟子を取る取らないは些細な問題であると
認識させるほどに、会議所を揺るがす大事件に巻き込まれていってしまうのだから。



事の始まりは、最も毛嫌いしていたあいつの叫び声だった。




オニロ「アイムーーーーーーーーーーーッ!!!!!大変だーーーーーー!!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

224 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 :2014/06/22 02:49:22.12 ID:4ZWBsheMo
【定期】筍魂、今日も失敗

225 名前:たけのこ軍 社長:2014/06/22 02:59:40.24 ID:/Mg51Rnw0
もつだぞ。

226 名前:791:2014/06/22 10:36:32.40 ID:NqhchxFEo
更新だ!!!
お疲れ様

>>219
これは酷いw

227 名前:誰か:2014/06/22 15:47:46.59 ID:MKhBubGw0
おつなのよー

228 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その1:2014/06/22 16:02:49.43 ID:4ZWBsheMo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

最初に異変に気がついたのは、大戦年表編纂室に居た兵士だった。

アイムと筍魂が地上で談論している丁度その頃、アイムの予想通り、オニロは地下で
日課となった歴史書物の濫読をしている最中だった。
オニロの指定席は室内の入り口から左手前方の、“うねる”大戦年表に近い一角にある。
散らばっていた書物をかき分け、ようやく人一人分が寝転がれるほどのスペースを作り、
腹をきれいな床につける大勢で書物を読みあさっている。

編纂室は、オニロ以外には室長の集計班しかいない。その集計班は、
扉に背を向ける位置にあるロッキングチェアに腰掛け、物憂げに椅子を前後に動かしては軋ませている。
始めのうちはその音に辟易としていたオニロだが、最近では大分慣れた。
他に耳に届く音といえば、上空を動き回る筆記ペンたちだけだがそれは些細なものだ。
ちなみに大戦年表の傍に浮かんでいるオリバーという筆記ペンは、
他の筆記ペンたちと違いほとんど動かない。ちなみにオニロ命名だ。


229 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その2:2014/06/22 16:06:19.26 ID:4ZWBsheMo
今日もオニロは編纂室内の資料を読み漁っている。
既に、大戦年表は読み終わった。今は、各大戦の“総評”に夢中だ。

オニロ「ふう!第100次あたりの総評まで読み終わりました。おもしろいなあ」

分厚い辞書のような総評記を静かに地面に置き、オニロはひと伸びした。

集計班「第100次あたりですか…その辺りだと、どんな出来事が起こっていましたっけ」

オニロ「はい。第100次あたりは、『スクリプト』からの脅威に、
会議所が断固として立ち向かってそれを撃破した時期です」

集計班「スクリプト、ですか。懐かしいですね」

オニロ「総評や年表には、スクリプトによって大戦の続行が不可能となり得る事態が相次いだが、
当時の会議所以下大戦兵士の結束のもと、スクリプトの攻撃を物ともせずに大戦を敢行した、とあります」

スクリプトとは一体何者なんでしょうか?
頭に疑問符を浮かべるオニロに、静かに集計班は答える。


230 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その3:2014/06/22 16:07:16.88 ID:4ZWBsheMo
集計班「大戦の本当の“敵”ですよ」

オニロ「本当の?たけのこ軍からしたら敵はきのこ軍ですけど」

集計班「大戦を破壊せんとする、我々の敵のことです。
両軍に共通する大戦外に潜む敵ということです」

オニロ「呉越同舟ということでしょうか。その敵がスクリプトだというんですか?」

集計班「敵の一味ですよ」

オニロ「一味ということは…」

他にも敵がいるんですか。
そう続けて問おうとした瞬間、オニロは自分の身体が僅かにではあるが揺れていることを感じ、
そちらに気を引かれた。

オニロ「シューさん。この部屋、揺れてませんか?」

集計班「本当ですね。地震でしょうか?
でも、会議所の直下てプレートの境界ではないはずですから、地震なんてほとんど起きないはずなんですが」


231 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その4:2014/06/22 16:10:00.43 ID:4ZWBsheMo
のんびりとした具合に長い時間をかけて微弱に震動する縦揺れが、
次第に激しさを増してくる。
激しい縦揺れだ。起き上がったオニロの身体が揺らぐ。
本当に会議所に大地震が訪れたのだろうか。

しかし、二人はすぐに地震でないことに気がついた。
部屋の物が全くと言っていいほどに揺れの影響を受けていない。
書籍の棚はまるでびくともしないし、テーブルの上に置かれた、息を吹けば吹き飛びそうな書物すら
張り付いたように動かない。

揺れているのは部屋ではない。
自分たち自身だ。

オニロ「うぐッ、あがあッ!!」

集計班「痛ッ!!頭がッ…!!」

酷い頭痛とともに、二人はその場に転がり落ちた。
脳がまるでミキサーにかけられたかのように激しく前後に揺れる。揺れる。


232 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その5:2014/06/22 16:14:54.77 ID:4ZWBsheMo
三半規管が弱いオニロにとってはたまったものではない。
胃から逆流してくるモノをまき散らしたい気持ちを必死に抑えながら、
警笛のように繰り返し押し寄せる痛みを無視するように、頭をあげる。
集計班は椅子から転げ落ち、両手で頭を抑えながら必死に“地震”に耐えている。
揺れはまだ収まらない。それどころかなおも激しさを増している。

オニロは下唇を噛み締め、必死に理性を保った。
口中に血が滲むが、脳ミキサーの痛みに中和されてか全く痛みを感じない。
あまりの激痛に両目に涙が滲む中、オニロは状況確認のために、なおも頭を動かす。
筆記ペンたちは普段と変わらずに、忙しなく動き回っている。
まるで目の前の兵士の事情など知らないかのように、我関せずといったところか。
その光景は変わらない。いつもの光景だ。


否、違う。


涙と鼻水で視界がぼやけながらも、オニロははっきりと見た。
いつも大戦年表の傍を浮遊しているだけの怠け者の筆記ペン『オリバー』が、
激烈な速度を以って、大戦年表に自身の筆を動かしている光景を。
最後にその異様な状景を見届けるようにして、オニロは意識を手放した。



233 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その6:2014/06/22 16:16:16.10 ID:4ZWBsheMo
━━
━━━━
━━━━━━━━


「…かった。…長年…ついに……やっと……」
―― 囁くような声を聞いて。ゆっくりと、夢の中で瞼を開ける ――

「…オー…結集……貴様を………掌握ッ………会議所を……」
―― 意識が定まらない、うすぼんやりとした感覚が身体を支配する ――

「貴様を……会議所の…全て断ち……」
―― どこか見覚えのある光景、覚醒しない脳を働かせようとする ――

「…ッここで………消える…」
―― 思い出すのは、暗い室内 ――

「………るく思うな…これも…全て……ため…歴史を……ため」
―― 思い出すのは、異様なまでに冷えた部屋の空気 ――

「覚悟……逃げること……………なッ!…自ら……馬鹿なッ…」
―― 思い出すのは、ふわふわ浮いているような不思議な心地良い感触と ――

「なぜだッ!!!なぜ!!!!なぜだーーーーーーーーッ!!」


          ―― 頭を鈍器で殴られたような酷く重たい感触 ――


234 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その7:2014/06/22 16:17:47.37 ID:4ZWBsheMo
━━━━━━━━
━━━━
━━


「…てください。大……すか?オニロ…オニロ君!」

オニロはゆっくりと目を覚ます。
酷く不快な気分だ。頭がぐわんぐわんと揺れている。
視点が定まらない。身体と心が乖離しているかのように、まだ夢の中にいるようだ。

集計班「大丈夫ですか、オニロ君ッ!」

オニロ「!!」

集計班の言葉で、オニロはハッと意識を戻した。

集計班「ここがどこだかわかりますか!?」

オニロ「シューさん!あれから一体どうなったんですか!?」

集計班は困ったように首を横にふった。

集計班「わかりません。何も変わっていないようなんです。
“何も変わっていないことが問題”なんです」


235 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その8:2014/06/22 16:20:31.39 ID:4ZWBsheMo
オニロはよろよろとその場で立ち上がり部屋を見回す。
別段、奇妙な地震を経て部屋に変わった点は見られない。
特定の本棚の本が崩れ落ちたりしているが、それは元々片付けていなかったためであって
揺れによるものではない。
筆記ペンたちもまるで地震などなかったかのように、素知らぬ顔で作業を続けている。
忙しなく動き回るペンたち。そしていつも通り働かずに大戦年表の傍で
ふわふわと浮遊しているオリバー。オリバー。

オニロ「そ、そういえばシューさん!オリバーが、オリバーがッ…ぐッ、頭がッ」

集計班「オニロさん!大丈夫ですか!!くそッ、なんなんだ一体」

その場で蹲って気を失ったオニロが回復するのには更に幾ばくの時を要した。

236 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その9:2014/06/22 16:22:58.63 ID:4ZWBsheMo
オニロ「ありがとうございますシューさん。お陰で大分良くなりました」

集計班「それはよかった。しかし、先ほどの地震はおそらく精神攻撃の類いか何かか」

オニロ「今までにそういった攻撃に合われたことは?」

集計班「いえ、ありません。だとしたら、新手の荒らしか。地上は大丈夫だろうか」

オニロ「地…上。シューさん、地上にはまだ確認しにいってないんですか?」

集計班「え、ええ。まだです。同胞が同じような目にあってないといいんですが…」

オニロ「ボク確認してきます!確認してこなくちゃ!」

集計班の返事を待たずに、オニロは立ち上がり部屋から駆け出す。

集計班「あっ、待ってくださいよ。ああ、行ってしまった」

集計班「そういえば先ほど、彼は何を言いかけたんだろうか。
たしか、『オリバー』と口にしてたか。ふむ…」



オニロ「アイムーーーーーーーーーーーッ!!!!!大変だーーーーーー!!」


237 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/06/22 16:25:54.85 ID:4ZWBsheMo
きのたけくん。今日のボツ文章よ。

//
オニロ「シューさんていつもいますね」
集計班「まあこの部屋の室長を任されていますしね」
オニロ「まさか会議の時以外はずっとこの部屋にいるんですか?」
会議以外で、地上で集計班を見かけたことはほとんどない。
集計班「ははっ、まさか。ちゃんと地上にも自分の部屋はありますよ」
オニロ「そうですか」
後に編纂室内に簡易ベッドとキッチンが取り付けられていることを知ったオニロは、
その先を聞くことが怖くなりこれ以上の追求をやめた。
//


238 名前:791:2014/06/22 18:23:34.88 ID:NqhchxFEo
更に更新!?
ボツ文章も面白いv

239 名前:たけのこ軍 社長:2014/06/22 23:28:27.18 ID:/Mg51Rnw0
いいぞ。

240 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その1:2014/06/24 00:22:18.49 ID:Hyd.T8PYo
【K.N.C 180年 会議所 教練所 中庭】

アイム「はぁ?超巨大地震だあ?」

オニロ「そうなんだ!いや、厳密には地震じゃないんだけど、頭に直接働きかけてくる地震というか、
身体がガクガクと揺れる感触というか」

アイム「さっぱりわからん」

筍魂「これはオニロ語検定1級じゃないと理解できんやろなあ」

オニロ「と、とにかく二人に怪我はないですか?」

アイム「ああ、ないな。そもそもお前の言っている地震なんてなかったわけで」

筍魂「せやな」

アイム「というかその地震てのをどこで体験したんだ?」

オニロ「え。ああ、それはね。えーと…」

チラリと筍魂を見るオニロ。ただならぬ雰囲気を察した筍魂は、クールに踵を返した。

筍魂「あー、邪魔したなアイム。また明日来るわよ」
アイム「二度と来ないことを願う」


241 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その2:2014/06/24 00:24:23.34 ID:Hyd.T8PYo
筍魂の姿が遠くなっていくのを確認し、オニロはアイムに詰め寄る。

オニロ「じ、実は大戦年表編纂室にいたんだ!」

アイム「やっぱりな。どうせそんなところだろうと思った。あと、離れろ。暑苦しいし近い」

興奮するオニロを宥め、アイムは先を促す。

アイム「それで?編纂室にいたら、シューさんと二人で奇妙な地震に遭遇したと?」

オニロ「そうなんだよ。まるで脳がシェイクされるみたいな激しさでさあ。すごい気持ち悪かったよ」

今も気持ち悪いけどね。
げんなりとした顔で語るオニロに、アイムは露骨に嫌悪感を示し距離をじりじりと取る。
目の前で吐かれてはたまったものではない。

アイム「まさか寝ぼけていたなんてことじゃないだろうな?」

オニロ「違うよ!近くにいたシューさんも体験していたんだ!」

アイム「わかったから少し落ち着け。ツバを飛ばすな」

顔に飛び散ったツバを拭き取り、アイムは静かに嘆息する。

アイム「はぁ…オレも編纂室に行く。シューさんに会って、状況を聞いてみないとさっぱりわからん」

オニロ「ありがとうアイム!さあそうと決まれば行こうよ!」

そう告げるや否や走りだすオニロに、アイムは再び嘆息した。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

242 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その3:2014/06/24 00:26:09.23 ID:Hyd.T8PYo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

集計班「…つまり、地上では何の異変も起きていなかったということですね?」

アイム「ああ。オレや筍魂は勿論のこと、wiki図書館周辺だけの局地的現象の線も考えて、
参謀にも聞いてみたが答えは同じだった」

オニロ「どういうことだろう。シューさんが言っている『荒らし』による仕業だとするならば、
編纂室だけを狙い撃ちにするなんて可能なんですか?」

集計班「この部屋の存在を知っている兵士は限られています。
外部の者による犯行の可能性は限りなく低いと言っていいでしょう」

オニロ「じゃあいったい…」

集計班「…少し気になることがあるので、先ほど個人的に少し調べていたんですが」

集計班は両手を突き出し、大戦年表を引き寄せる。何かを探すように、集計班は大戦年表に隈なく目を通す。
オニロとアイムは不思議そうに集計班を見つめている。
暫くして、集計班の動きが止まった。


243 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その4:2014/06/24 00:27:36.59 ID:Hyd.T8PYo
集計班「これだ。
…オニロ君、君は言っていましたよね。
『第100次大戦付近ではスクリプトによる荒らしが頻発したが、
会議所・大戦兵士は屈せずにスクリプトを追い出した』、と」

オニロ「は、はい。言いました。それがなにか…?」

集計班「私もその当時の大戦に参加しているので、うっすらと覚えていますが、
君が言った通りだったと思います。
確かにスクリプトの襲来は何度か受けましたが、大戦は荒らしが原因で中止になった大戦は
ただの一度だけです」

オニロ「はい。年表にもそのように書いてあったと思います。
確かK.N.C86年の大戦、初めてスクリプトが大戦場に襲来した時です」

アイム「おいあんたたち、一体なんの話をしているんだ」


244 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その4:2014/06/24 00:29:49.52 ID:Hyd.T8PYo
集計班「そうです。K.N.C86年に一度大戦は中止になっている…年表にもそう記述されています」

オニロ「スクリプト襲来を受けて、会議所はすぐさま対処策を取ったはずです。
事実、次の大戦からはスクリプトの攻撃に大戦兵士は耐えぬいている
スクリプトによって大戦が中止になったのは第86次大戦だけのはずです」

集計班「私もそう記憶しています…では、ここのK.N.C89年の大戦項目を読み上げてくれませんか?」

緊張した面持ちで集計班は年表をオニロに渡す。
頭に疑問符を浮かべながらもオニロは受け取り、当該年度の記述部分を探す。
アイムも横から年表を眺める。

オニロ「えーと。あ、あったあった。

『K.N.C89年 第89次きのこたけのこ大戦 
再びスクリプトが襲来し、大戦場は再びパニックに陥る。大戦を一時中断し、
両軍合わせてスクリプトの迎撃に当たったが、前回の比ではない程の大量のスクリプト来襲にて、
已む無く大戦を中止。
兵士の避難にあたる』


…え!?」


245 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その6:2014/06/24 00:32:58.25 ID:Hyd.T8PYo
オニロは当該部分をもう一度読み直す。
オニロの記憶が正しければ、第89次大戦は『再びスクリプトが襲来し、
大戦場は一時パニックに陥るものの、予てより準備していたスクリプト迎撃部隊が撃退。
大戦は無事進行した』と書いてあったはずだ。
いたく感動した記述なので印象も強い。

オニロ「おかしいです!こんな記述はなかったはずです!」

集計班「はい、なかったはずです。ですが、いつの間にか当該年度の記述が
書き換わってしまっている。地震による気絶から立ち直った時、オニロ君。
君はオリバーについて何か言おうとしていましたね?」

アイム「は?オリバー?なんだそれ」


246 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その7:2014/06/24 00:34:51.47 ID:Hyd.T8PYo
オニロ「あ、はい。そうだ思い出した!シューさん、ボク見たんです!
あの地震が起こっている時にいつもほとんど働いていないオリバーが
忙しなく大戦年表に向かっているところを!」

集計班「わかりましたから落ち着いてください。ツバが飛んでいます」

だが、概ね私の読みは外れていないようです。
冷静に顔にかかったツバを拭き取りながら、集計班はチラリと自動筆記ペン『オリバー』を一瞥する。
うねる大戦年表の傍に寄り添うように位置していたオリバーは、いまは所在なげにふわふわと浮かんでいる。

集計班「オリバーは本来、年度の節目に、その年に起きた事件・出来事をまとめて大戦年表に記載します。
そのため、オリバーが働いていないというオニロ君の評価は少し的外れではあります」

集計班「オリバーは怠け者のようでいて、その実どの筆記ペンよりも重要な任務を請け負っています。
すなわち、 『大戦年表を更新する』 という大事な任務をです」

アイム「だあああああ!どういうことか説明しろッ!」


247 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その8:2014/06/24 00:37:13.46 ID:Hyd.T8PYo
大戦年表は、きのたけ世界の歴史そのものである。

大戦年表に書き込まれた内容が、きのたけ世界の歴史を作り上げる。
その大戦年表の記述が何らかの理由をもってして書き換わったとしても、
きのたけ世界の歴史は大戦年表の記述に否応なしに“従わなければならない”。

つまり、大戦年表の記述が書き換わる時、すなわちきのたけ世界は記述内容に沿う形で
“歴史を改変”することになるのである。

248 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その9:2014/06/24 00:39:08.62 ID:Hyd.T8PYo
オニロ「そんな…まさか…」

アイム「にわかには信じがたいな…つまり、あんたたちが体験した地震が
原因で歴史が改変された。そう言いたいんだな、シューさん?」

集計班「さすがはアイム君です。これはあくまで予想に過ぎませんが、
地震が発生したと同時に― いえ正確には地震ではないでしょう、
“時空震”の発生と同時に、自動筆記ペンオリバーが大戦年表の事実を書き換えた。
そして大戦年表の記述に則って、世界の歴史が瞬時に改変されたのです。
この説明ならいろいろと納得がいきます」

オニロと集計班は、世界の歴史改変の際に生じる“時空震”に遭遇したと、
そう集計班は主張しているのである。

オニロ「大戦年表の記述が書き換わるなんて…ん?」

アイムと集計班の話に若干置いてけぼりを食らいそうになりながら、
大戦年表の当該年度を眺めていたオニロは小さく声を上げた。
急いで大戦年表を頭上に持ち上げ、何かを精査するように確認する。


249 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その10:2014/06/24 00:40:57.83 ID:Hyd.T8PYo
集計班「どうしましたかオニロ君」

オニロ「シューさん。ここ、見てください。第89次きのこたけのこ大戦の記述箇所。
ここおかしくないですか」

集計班「どれどれ…」

先ほど、集計班により記述の改変が確認された第89次きのこたけのこ大戦。
あらためて見てみると、該当箇所の文字が、周りに記述されている文字よりも赤みががって見える。
まるで赤鉛筆で元ある文字を上からなぞったかのように、薄ぼんやりとした赤文字だ。

集計班「本当ですね。記述部分の文字が赤みがかっている。
先ほど見た時は、陰が暗くて確認できなかったけど…」

アイム「ちょっと待ってくれ。オレにはちっとも赤く見えないんだが」

集計班「!!」

オニロ「え。ほら見てよアイム。この『再びスクリプトが襲来し〜』の行からだよ」

アイム「いや。周りの文と何ら違いがあるようには見えないな」

オニロ「そ、そんな…」

集計班「…なるほど、そういうことか」

集計班は何かに納得するかのように独りごちた。二人が怪訝な顔を向ける。


250 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その11:2014/06/24 00:42:02.72 ID:Hyd.T8PYo
アイム「どういうことだシューさん」

オニロ「なにかわかったんですか?」

集計班「この予想が当たっているかどうかわかりませんが、もし私の読みがあたっているとするならば、
事態はめんどうなことになります」

アイム「ええい、じれったい。早く言ってくれ」

集計班は静かに二人の方へ向き直る。

集計班「差し当たっては、会議所兵士に今回の出来事を伝えなくてはいけない。可及的速やかに」

集計班「アイム君。申しわけありませんが、すぐさま緊急会議の招集を会議所中に伝えて回ってください」

アイム「わかった。議案サロンに集めればいいんだよな、行ってくるッ」

集計班「待ってください。緊急会議は議案サロンで行いません」

251 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その12:2014/06/24 00:43:15.27 ID:Hyd.T8PYo
オニロ「え?だって会議はいつもそこで行っているじゃないですか」

集計班「会議サロンはもう今後、使うことはないでしょう」

アイム「なら、どこに集めろってんだよ」

集計班「…ここです」

アイム「は?」

集計班「会議の議長としてここに宣言します。

 『発1801号 
  K.N.C180年の時空震事件を以って、緊急会議を執り行うことをここに通知する。
  会議場 大戦年表編纂室』!!」


252 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その12:2014/06/24 00:43:40.82 ID:Hyd.T8PYo
次回から大戦年表編纂室でニートとなる兵士が現れます。お見逃しなく。

253 名前:たけのこ軍 社長:2014/06/24 00:46:35.13 ID:FjXNs..s0
もつだぞ。

254 名前::2014/06/24 00:47:31.06 ID:Y00rdCz.o
おつおつ

255 名前:誰か:2014/06/24 00:48:02.45 ID:ewTmfDvw0
おつなのよー

256 名前:791:2014/06/24 03:22:07.86 ID:90Rdw6WYo
また更新!
お疲れ様です

257 名前:きのこ軍:2014/06/26 16:08:41.23 ID:5dwxYtPA0
テンポが悪すぎるks

258 名前:きのこ軍 滝本:2014/06/26 18:34:34.80 ID:5dwxYtPA0
↑こいつ最高に作者自身(AA略

259 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
DB様のお通りだ!

260 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
DB様のお通りだ!

261 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その1:2014/07/01 01:31:36.18 ID:o0V7PjsUo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

参謀「ほー。ここが年表編纂室か。うわ、きたなっ」

¢「ぼくの部屋と似たかおりを感じるんよ」

社長「社長の部屋はバグってますぞ」

たけのこ軍 斑虎「こんな隠し部屋があったなんて。水臭いじゃないですかシューさん」

加古川「蒐集家にとってはたまらない部屋だな…」

知らせを聞いた兵士たちは、さまざまな感想を述べながら編纂室へ足を踏み入れ、
続々と編纂室の大テーブルに集まっていく。
アイムとオニロは違和感を感じざるを得ない。どうして、自分たちにひた隠しにするように言っていた編纂室を
こうもあっさりと開放しているのか。
集計版の意図が読めない。

集計班「さて、全員集まりましたかね。おやおや、椅子も人数分あったようでこれは僥倖」

人数分丁度の椅子に兵士が座りきったのを確認して、いつもの席に集計班は腰を下ろした。

参謀「しかし意外やな。この部屋は他の兵士には伝えないて、過去に言うてなかったか?」

アイム「そうだな。突然ここに全員を集めるなんて、どういう風の吹き回しだ?」

社長「つるはし!なう」

集計班「まあ落ち着いて。今から詳しい事情をお話します」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


718.22 KBytes  
続きを読む

掲示板に戻る 前100 次100 全部 最新50
名前: E-mail(省略可):

read.cgi (ver.Perl) ver4.1 配布元(06/12/10)