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きのたけWARS ss風スレッド

1 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:18:40.76 ID:L0nBYOkw
きのこ軍とたけのこ軍で"大戦"をすることで、時代が進むフシギな世界―
              ―きのこたけのこワールド―
最盛期は頻繁に大戦が行われ、お互いを憎みあい、お互いを意識し、撃破しあうことで、
兵士たちは情熱とやる気を保ち、世界は発展していった。

そんな栄光の時代も、今は昔。数多くの戦闘を経て、兵士たちはかつての大戦への熱気を失いつつあった。
大戦への希望と熱気で包まれていたかつての"大戦の歴史"は、
干満で怠惰が支配するものへと塗りかえられつつあった。

舞台は K.N.C歴175年。
ある日、大戦運営を管理する大戦会議所のもとに、記憶を失った
きのこ軍兵士とたけのこ軍兵士が流れ着く。
二人の兵士の登場を機に、大戦は徐々に熱気を取り戻し始める。

しかし、突然世界は意図せず"歴史"を塗り替え始める。
今現在の歴史だけではなく、過去の栄光までも無かったことにして、歴史を喰らう異型の存在――

                 ― “DB” が世界の前に立ちはだかった―


DBを討伐するため。大戦の"歴史"を取り戻すため。
そして自分たちの"存在意義"を知るため…
様々な想いを抱きながら、二人の兵士を始めとした会議所兵士たちは、
時空を越え、過去を取り戻す旅をする…
 

                    『きのたけWARS 〜DB討伐〜』


(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

181 名前:誰か:2014/05/16 07:02:51.15 ID:uItWFY5s0
更新来ましたか!
>>180私もですはい

182 名前:きのこ軍 突然更新するの巻:2014/05/22 22:43:09.81 ID:xgcP6DD6o
オニロ「うわあ。結構正確に記録されているんですね!」

オニロ「K.N.C1年とかどんなことが書いてあるんだろう。なになに…
『K.N.C1年 きのこたけのこ大戦の始祖・たけのこ軍兵士まいう総統が突如きのこ軍に宣戦布告。
無事、たけのこ軍が大戦に勝利…』」

集計班「懐かしい話ですね…」

オニロ「『K.N.C109年 第109次大戦において、たけのこ軍は遂に13連敗を喫する。
大型連敗は、13連敗開始前以前に謎の怪文書”デス論評<ブログ>”によって予見されていた…』
え、なにそれ怖い。この怪文書って社長さんが書いたのかな?」

集計班「K.N.C109年か。確か、社長はその頃まだ…
いえ、なんでもありません。
そうですね、もしかしたら社長が予言したのかもしれません」

アイム「あの変人野郎が、そんなわかりきった予言するのか?」

会議室で突然納豆を練り始め踊り始めた社長の姿を思い出し、アイムは露骨に顔をしかめた。

集計班「その怪文書には『たけのこの里おいしーーー』と、たけのこに関してやけに
ポジティブな発言が書かれていたそうな…」

アイム「なんだそれ。意味ワカンネッ」

どうせあの変人野郎の仕業なんだろ、もう考えたくないね。

アイムはそうつぶやいて頭のなかで『ルーンアクスはデフォ』と言葉を発しながら
立ち姿勢で水平移動を続ける社長を、容赦なくぶった斬った。


183 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその2:2014/05/22 22:46:23.71 ID:xgcP6DD6o
オニロ「うわあ、ほんとうに面白いなあ年表って。とても今日中じゃあ読みきれない。
ねえアイム、本当におもしろいよ」

アイム「へぇ、そうかい」

オニロは全身に巻き付いている年表に忙しなく目線をうつしている。
アイムは、犬が尻尾を振りながら餌に食いついている光景を思い浮かべた。

集計班「“彼ら”は日を跨いでも、寝ずに歴史が生まれるのを今か今かと待っています。
そういう意味では、この部屋の筆記ペンたちは会議所の誰よりも『社畜』なのかもしれませんね。ハハッ」

アイム「…あっそ」

気の利いたと思っているジョークがハズレた時ほど悲しいものはない。
集計班の取り繕ったような笑い声だけが部屋に反響する。
見えない天井から反響してくる笑い声の欠片が、余計な虚しさを増幅させた。


184 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその2:2014/05/22 22:49:06.46 ID:xgcP6DD6o
オニロ「これからこの部屋に来てもいいんですか?」

集計班「どうぞどうぞ。そのために今日はあなたたちを招待したのです。
喜んでいただけたようでなによりです。まあ、喜んでいただけたのは一名だけのようですが」

アイムはぷいと顔をそむけた。

オニロ「帰るときも来た時と同じ順路を辿らなくちゃいけないんですか?」

集計班「いえ、帰りはその階段を上るだけで元の図書館に戻れますよ。
よくわからない魔法の中身ですが、こういった手間が省けるのには感謝しないとね」

アイム「…なあ。少し聞いてもいいか?」

集計班「少しだけなら答えてもいいですよ」

先ほどの件を気にしているのか、棘を含んだ口調で集計班は答える。
随分と器の小さい兵士だ、とアイムは自らの行いを棚に上げ、一方的にそう評価した。



185 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその4:2014/05/22 22:52:49.76 ID:xgcP6DD6o
アイム「なんで俺たちをこの部屋に呼んだんだ?」

集計班「歴史の勉強をしてもらいたいからですよ」

間髪を置かずに流れるような口調で集計班が言葉を返す。
アイムは訝しげな視線を集計班におくる。

アイム「歴史の勉強、ねえ。それは俺たちが新人だからかそれとも“希望の星”だからか?」

集計班「…その両方ですよ」

アイム「いや、おそらく嘘だな」

オニロ「どういうことアイム?」

アイムは目を細め、探偵気分で部屋をゆっくりと歩き出す。
ちなみに足元には物が散乱しているので、けもの道とかしているスペースを行ったり来たりするだけである。

アイム「この大戦年表編纂室。普段から使ってるのは、あんた一人か?
というか、あんた以外にこの部屋の存在知ってる兵士なんて、いないんじゃないのか?」

集計班「どうしてそう思われたんでしょう?」

慇懃無礼な態度を崩さず、しかしどこか試すような口調で集計班はアイムに先を促した。


186 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその5:2014/05/22 22:54:40.94 ID:xgcP6DD6o
アイム「まず気になったのは物の散らかり具合だ。部屋には足元にまで本や紙が散らばって、
唯一『人が通っていると思われる』スペースはけもの道のようにならされてはいるけど、
それ以外があまりにも汚い。この点で、まず参謀がこの部屋の汚さを許容するはずがない」

オニロ「あっ。そういえば」

上のwiki図書館は、現館長の参謀兵士が丹念込めて整理整頓を施した一種の『作品』である。
常日頃から清掃活動を行っているのは勿論のこと、本の向きは一様に揃えられた上で本棚に並べられ、
そして綺麗にタグを用いて綺麗に分類分けされた書籍群は、見る者に『清潔感』と『開放感』を与える。

対して編纂室は、物は散らばり、ホコリも水を得た魚のように部屋中に舞っている。巨大な本棚群も、
本の向きはバラバラ、棚によっては横倒しにされている本も見られ、本棚を飛び回っている筆記ペンが
苦労そうに本を取り出している。あらゆるところに煩雑さが目立つ部屋だ。

大多数の人間が不快感を与えるこの空間を、しかし一方で好む好事家もいるのは事実だ。
そして、その好事家の一人に集計班は含まれるのだろうと、アイムは推測していた。

アイム「会議を仕切って会議所を率先してまとめているが、ところどころいい加減な言動が目につくあんたは、
おそらく本質的には参謀と真逆の体質なんじゃないか。つまり、極度のめんどくさがりという点でさ」

集計班は何も言葉を発さない。ただただ静かにアイムの話を聞いている。


187 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその6:2014/05/22 22:57:20.74 ID:xgcP6DD6o
アイム「それと、部屋の中央には巨大なテーブルと椅子が数脚並べられてるけどさ。
あれ椅子一脚しか使ってないでしょ。特定の椅子の周りだけ、なんというか特に汚いというか。
ベクトルの違う汚さというか…」

編纂室には扉から入って正面に、会議室に備えている大テーブルを縮小したような中テーブルと、
ロッキングチェアがテーブルを囲むように置かれている。当然、テーブルや椅子の上にも本や紙が散乱しているが、
扉に背を向けるように置かれている一脚の周りだけは、ジャンルの異なる本が不必要に何段も積み上がっていたり、
メモ帳用紙がテーブルに置かれていたり、さらには椅子の向きがテーブルではなく年表台に向いていたりするなど、
周りの椅子と妙な違和感があるのだ。

オニロ「ほへー。すごいよアイム!それは気が付かなかった」

だって汚かったし。ボソッと独り言のようにつぶやいた言葉は、しっかりと二人の耳に届いた。

アイム「他の椅子は全部テーブル側に向かっていたし、ここ最近使われた形跡もなかった。
つまり、この編纂室の利用者はただ一人。集計班、あんただけってことだッ!」

得意気にそう語り、どうだと言わんばかりに集計班を指さすアイム。気分は上々である。
その勢いの良さにギャラリーのオニロから思わず拍手がもれる。
照れ隠しからか鼻頭を掻きながら、それで、とアイムはなおも続ける。

アイム「おそらく、あんたはこの部屋の存在を意図的に他の兵士に知らせていないと思う。
他の奴等から聞いたことないし。その理由はわからないけど」

それで2つ目の質問に繋がるわけだ、とアイムはギャラリーと化しているオニロに種明かしをするように話した。

アイム「『俺たちが新人だからかそれとも“希望の星”だからか?』
この質問に、あんたは『両方』と答えた。
だが、オレの推理では、新人だからこの部屋に呼ばれるという仮説は否定される。
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188 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその7:2014/05/22 22:59:46.00 ID:xgcP6DD6o
集計班「いやはや。アイム君、予想していたとはいえその予想を上回る素晴らしさだ」

笑みを含ませ、大物めいた口調で集計班は答える。だが、別段威厳はない。

集計班「アイム君の言っていることは概ね事実です」

おお!とオニロから歓声が上がる。アイムにいたっては得意気に胸を反らせている。

集計班「『1. この部屋は私しか利用者がいない』その通りです。
『2. “希望の星”だからあなたたちをここに呼んだ』それもその通りです。
あなたたち以外の兵士をここに招くことはしていません。
『3. 私は極度のめんどくさがりや。』これもその通り、いつからか私は掃除しない汚い部屋に
適用できる精神を手に入れました」

ただ、と集計班は続ける。

集計班「3. 参謀がこの部屋を知らない、というか私しかこの部屋を知らない。
これに関しては残念ながら誤りです」

アイム「え」


189 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその8:2014/05/22 23:01:04.65 ID:xgcP6DD6o
集計班「参謀はこの部屋を知っていますよ。そしておそらく、この部屋の汚さも知っています。
参謀は『シューさんの管轄内だから任せる』とだけ言って、この部屋の扱いを私に一任しました」

アイム「マジか」

集計班「マジです。あと、参謀以外にも数人この部屋の存在自体を知っている兵士はいますよ。
まあ誰も利用したことがないという点では、アイム君の言うとおりですけど」

惜しかったですね。大して惜しくなさそうに集計班はアイムを労った。

集計班「そして、なんで私は最後の最後まであなたたちに“そのような事実” を知らせなかったか。
まあ、ぶっちゃけますと、お二方のどちらかでもよかったんですが、私は期待していたんですよ」

オニロ「期待?何にですか?」

オニロの言葉にニヤニヤしながら集計班は答えた。

集計班「アイム君のように、勝手に筋道を立てて勝手に論理を立てて説明してくれることに、ですよ」


190 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその9:2014/05/22 23:02:30.03 ID:xgcP6DD6o
オニロ「アイム、怒って先に帰っちゃいましたよ」

集計班に利用されたことに気がついたアイムは顔を真っ赤にして、誰よりも早く編纂室を出ていった。
残った集計班は、自分の椅子に座り悦に浸っている。

集計班「まあ彼を利用するような形になってしまったことは悪かったと思っています。
お詫びに、今度の会議に納豆でも持って行こうかしら」

オニロ「それはなおさら彼の逆鱗に触れるだけのような…
あ、ところでどうしてこの部屋の存在を隠しているんですか?」

集計班「秘密基地のようなものです」

オニロ「え?」

キイキイと音を立て椅子が揺れ始める。

集計班「子どもは、自分だけの秘密基地に信頼できる仲間だけを集めて、一緒に秘密を共有します。
一種の連帯感のようなものです。私にとっての秘密基地が編纂室なんですよ」

あ、歴史を勉強してもらいたいというのは本当ですよ。集計班は忘れていたように付け加える。

191 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその9:2014/05/22 23:03:59.33 ID:xgcP6DD6o
オニロ「僕たちは集計班さんからしたら“信頼できる仲間”ということですか?」

椅子は一定の間隔で揺れ続ける。二人の上では筆記ペンが忙しなく動き回っている。

集計班「ええ、そうですよ」

うねる年表を眺めながら、間髪入れずに言葉を返す集計班。椅子は変わらず一定の間隔で揺れ続ける。

オニロ「どうしてそんなに信頼されているんでしょう…ボクたちはまだ会って間もないというというのに。もしかして…」


          ― ボクとあなたは以前どこかでお会いしているんでしょうか? ―


192 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 大戦年表編纂室パートその11 ラスト:2014/05/22 23:14:53.12 ID:xgcP6DD6o
椅子の揺れが止まった。
そこで初めて、集計班は扉の前に立つオニロを見返した。

集計班「…いえ、私はあなたと出会った覚えがありません。
あなたが記憶を無くしているように、私も記憶を無くしていない限りそれは事実でしょう」

オニロ「そうですか…」

しばらく部屋に静寂がおとずれる。筆記ペンの諸差音が上から微かに聞こえてくる程度である。
オニロは今一度、自分が立っている不思議な空間に魅せられていた。

集計班「そんなにここが好きですか?」

オニロの様子に気がついたのか、集計班は優しく声をかける。

オニロ「はい!」

集計班「そうですか…」

二人は黙って、部屋の中央に堂々とそびえ立つ大戦年表を眺めた。
開け放たれた扉から入り込む風で微かにその姿を揺らす年表は、二人の視線から
逃れようと恥ずかしがっているようにオニロには見えた。


集計班「先ほどの話ですがね…」

何分経ったか、年表から目線をオニロに戻し、集計班は再び語りかける。

集計班「もし、もし私があなたのことを知っていたとして、それを黙ってあなたと今こうして接していたとしたら…」
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193 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/05/22 23:16:12.52 ID:xgcP6DD6o
集計とかいう奴でしゃばりすぎだろ。ふざけんなよ。

・微修正
×:部屋の中央には巨大なテーブルと椅子が数脚並べられて
○:部屋の端には巨大なテーブルと椅子が数脚並べられて

194 名前:筍魂:2014/05/23 00:18:10.46 ID:OtRSqbL6o
集計班とかいう便利キャラ
おつ

195 名前:社長:2014/05/23 00:24:09.29 ID:QSZl2aQs0
社長はタネフフ枠ですね

社長「なんだよ、負けてきたのか。」

196 名前:誰か:2014/05/23 00:38:20.34 ID:qx5jJJrc0
おつ
集計班はどこまで知ってるのやら

197 名前:社長:2014/05/23 20:56:52.72 ID:QSZl2aQs0
アイム君がきれぼし脳になる日も 近い!近くない!

198 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 邂逅編その1:2014/05/27 01:08:26.09 ID:YOYNZyB6o
【K.N.C 180年 会議所 教練所 中庭】

山本鬼教官からの厳しいしごきを耐え抜き、今日もアイムは一人大の字で芝生の上に寝そべっていた。
鍛錬が終わってから夕食までの時間を、アイムはこうして身体の休息に充てている。
風切り音や虫の音色が耳に心地よく響く。目を閉じて、自然の音を聞く。
癒される。至高のひと時である。

筍魂「おつかれさまやで」

こうしてノイズが混ざることも稀にある。

アイム「…なんのようだよ。オレはいま忙しいんだ、話があるなら100年後にきく」

筍魂「こいついつも忙しくしてんな」

アイムは身体を起こして筍魂と向かい合う。

アイム「この間の弟子云々の話なら断ったはずだ。あんたのヘンテコ舞空術は怪しすぎる」

筍魂「ヘンテコ舞空術ではなく、戦闘術『魂』なんですがそれは…」

アイム「そもそも山本教官と話は付けてあるのかよ?」

筍魂「つけたぜ」

アイム「…」

筍魂「嘘ンゴ。本当は話してないンゴ」


199 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 邂逅編その2ラスト:2014/05/27 01:10:20.02 ID:YOYNZyB6o
アイムは盛大に溜息をついた。

アイム「どうしてオレに付きまとうんだ。まさかお前も、
オレが“希望の星”だからとかいう理由で狙っているんじゃないだろうな?」

筍魂「それは関係ない。俺はお前の実力に惚れ込んでいるんだ」

アイム「なんか面と向かって言われるとキモいな…」

筍魂「あのさぁ…」

アイム「そもそも戦闘術『魂』てのはいったいなんなんだよ?」

筍魂「戦闘術『魂』は、云わば精神と肉体の完全な融合を成し遂げる術だ」

アイム「なんか怪しいな」

筍魂「戦闘術『魂』は、なにもお前の技術を劇的に高めるといったことはしない。
お前の持っている地力を引き出すツールのようなものだと考えればいい」

アイム「地力を?」

筍魂「せやで」

アイム「どうすれば引き出せるんだ?」

筍魂「それは師弟関係にならんと教えられんなあ」

アイム「ぐっ…」
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200 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その1:2014/05/27 01:12:12.68 ID:YOYNZyB6o
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

ここ最近、オニロは昼下がりの決まった時間に編纂室に来ては、
夕飯の時間になるまでずっと入り浸っている日々を続けていた。

オニロ「ふむふむ。ふむふむふむ」

集計班「楽しそうですね。791さんとの鍛錬はいいんですか?」

オニロ「ちゃんと午前中に鍛錬はこなしていますよ。最近は詠唱の時間が早くなったと、師匠に褒められました」

地面を埋め尽くす紙束の上に寝転がりながら、オニロは嬉しそうに報告した。

集計班「それはよかった。まあ、ここを気に入っていただけたようでなによりです。
招待したかいがあったというもの」

オニロ「えへへ。でも案の定、アイムは来てないですけど…」

集計班「まあ想定内です」

飲料用抹茶を啜りながら、涼しげに集計班は語る。

オニロ「え。じゃあどうしてアイムを呼んだんですか?」

集計班「そんなことより、時は金なり。今日はK.N.C80年頃まで読むんじゃなかったんですか?」

オニロ「あ、そうだったそうだった!」

手元にある年表を漁り、熱心に読み始める。つい先程した質問など既に頭のなかから抜け落ちているようだ。
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201 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その2:2014/05/27 01:13:41.51 ID:YOYNZyB6o
オニロ「ふむふむ。
『wiki図書館の二代目館長の山本さんが迅速に図書館の復旧に務め…』
え、山本さんて図書館長だったんですか!?」

集計班「はい。参謀は三代目図書館長。山本さんは先代の館長です」

オニロ「知らなかったなあ。参謀の館長っぷりがすごく板についていたから」

集計班「張り切ってやられてますからね。図書館は使いやすくて利用者からもとても好評です。
ただし、私からすると少し綺麗過ぎる」

部屋全体を見回してうっとりとする集計班。

オニロ「ボクはもう少し綺麗にしたほうがいいと思います…」

集計班「考えておきます」

集計班は軽く受け流した。


202 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その3:2014/05/27 01:15:09.09 ID:YOYNZyB6o
オニロ「そういえば、参謀と山本さんの前の初代図書館長は一体誰なんでしょうか?」

年表には出てこなかったんだよなあ。
自身の周りを囲んでいる年表を手に取りながら、オニロは不思議そうに首をひねった。

集計班「…彼は最後まで沈黙であり続けた」

オニロ「え?」

飲料用抹茶が入ったティーカップをホコリまみれのテーブルの上に置き、
集計班は感慨に浸るように目を細めた。

集計班「我々はその沈黙から多くを学び―」


          ― 同時に重大なものを失った ―


203 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 編纂室入り浸り編その4ラスト:2014/05/27 01:17:42.33 ID:YOYNZyB6o
集計班の言葉は、シンとした編纂室によく響きわたった。
虚空を眺めるように、見えない天井に顔を向け語りを続ける。

集計班「歴史とは、現在と過去との対話です。先人の行いを理解し、広い客観的な見方を学んでいくのです」

集計班「wiki図書館初代館長のきのこ軍兵士『無口』さんは、『歴史』を未来の我々に与えてくれた偉大な方です。
あなたが今後大戦に関わっていく上で、名前ぐらいは知っておいたほうがいいでしょう」

きのこ軍兵士無口氏。
ひどく重厚感を感じる名前。初めてその名をきいたはずのオニロは、なぜかちょっとした胸騒ぎを覚えた。

オニロ「えと。無口さんという方は、いま―」

どこにいらっしゃるんですか。
そう続けようとしたオニロは、しかし先ほどの集計班の言葉を思い出し、
すんでのところで言葉を飲み込む。

          ― 彼は最後まで沈黙であり続けた ―

きのこ軍兵士無口は姿を消した。会議所から、そして歴史の舞台から。
理由は誰にもわからない。もし彼の消息を掴める者がいたとしても、彼に倣いひたすら沈黙であり続けるだろう。
今も、そしてこれからも。


204 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその1:2014/05/27 01:19:33.82 ID:YOYNZyB6o
【K.N.C 180年 会議中 会議所 議案チャットサロン】

いつものように円卓テーブルを、両軍兵士が取り囲んで座る。

集計班「はい。じゃあ定例会議を始めましょう。まずはじめに、社長から占いの予言があるようです」

社長「つるはし!なう」

参謀「えーと。前の予言がK.N.C175年だから5年越しになるか。ここ最近からしてみたら、長いブランクやな」

アイム「そんなに頻繁に予言が出てるのかよ」

加古川「だいたい2年に一回ぐらいのペースかな?結構頻繁に占なっては、俺たちを悩ませているよ」

社長「とこんの小ささには吹いた」

抹茶「その内容も『実は抹茶はお○っこ好き』とか『社長は実は大の百合好き』とか、
大戦には関係ないそんな内容ばっかりなんです」

アイム「どれも事実の内容ばかりなんだな」

抹茶「え」


205 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその2:2014/05/27 01:20:42.23 ID:YOYNZyB6o
社長「修正液ドバドバかけるのさ〜」

オニロ「占いにも、大戦・会議所に関わるものと、そうでないものに分けられるということなんでしょうか?
ボクとアイムが今まで聞いてきた予言は、全部会議所関連だけど」

¢「オニロの言うとおりだ。ただ、一応占いの見分け方はある」

曰く、『占いに合わせて社長が謎の踊り(イルーム舞踊)を始めると、
大戦・会議所に関わる内容』に予言が限定されるらしい。

175年の『納豆予言』と、アイムたちの出現を占った『テイルアタック予言』では、
占い結果の読み上げと同時に社長がイルーム舞踊を始めた。
そして、今日も社長は席を立ち、既に占いの準備に入っている。
これはイルーム舞踊を始める合図であり、これからの占い結果が大戦・会議所に
関わるものであることを自ずと証明していた。


206 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその3:2014/05/27 01:23:05.68 ID:YOYNZyB6o
集計班「では、どうぞ」


社長『ピッコロだいまおうとのせいぜつ』


扉の前に立っている社長が、最初の予言を発すると同時に態勢を低くする。
両手を前に突き出し、今にも走り出しそうだ。


社長『ちかづいてくる…まさか!ソン・ゴクウか!?』


そう告げ、社長が扉からテーブルの周りに向かって移動し始める。
ちなみに、今日の社長の靴はローラースケートになっており、姿勢を維持したまま水平移動を可能としている。
そのため、会議所の面子は姿勢を保った社長が部屋の端から端まで移動しているさまを見せつけられている。
いつにもましてシュールだ。

部屋の端まで移動し終わった社長は、いそいそと元いた扉の前まで戻った。
履き慣れていないのか、何度か躓きながら後ろ向きで元の位置まで戻る社長は占い以上にシュールな光景だ。


207 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその4:2014/05/27 01:24:30.02 ID:YOYNZyB6o
社長『ちかづいてくる…』


そして、先ほどと同じ言葉を発し、再び同じ姿勢を取った。


社長『ちかづいてくる… まさか!ソン・ゴクウか!?』


再び社長が同じ前傾姿勢で移動する。ローラーと床のこすれる音が、虚しくサロン内に響き渡る。
そして前傾姿勢のまま端まで移動し終わった社長は、再びいそいそと元いた場所まで戻る。
この間の沈黙が酷く気まずい。


社長『   ちかづいてくる… まさか!ソン・ゴク』


アイム「…」

社長が三度目の前口上を始めた時、アイムは考えることを止めた。
目の前の変人のために脳を働かせることがバカらしいと感じたのである。それは正しい。


208 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその4:2014/05/27 01:26:21.91 ID:YOYNZyB6o
何が予言だバカバカしい。
そう思いながら、しかし目の前で真剣に意味不明な行動を取る社長を見て、
アイムは以前の占いからも感じた、言葉では言い表せない気迫を社長から感じ取った。

情熱、という言葉が近いのだろうか。
しかし、普段とさほど変わらずアッケラカンとした本人を見ていると、それほど予言の公表に
熱意があるようにも感じられない。
真剣さは感じられる。だが、熱意は感じられない。

果たして本人は自分から望んで占いを公表しているのだろうか。
社長が進んで占い結果を見せる理由はいったいなんなのだろうか?
社長自身が望んでいないとしたら、それは。

アイム「使命感、からなのか?」

ボソリと呟いた言葉は、ローラースケートの移動音でかき消された。


社長『ちかづいてくる… まさか!ソン・ウか!?』


アイム「ソン・ウて誰だよ」

思わず突っ込んでしまったアイムを、誰も咎めはしない。それは正しい。

209 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 社長第三回目占いその6ラスト:2014/05/27 01:27:03.02 ID:YOYNZyB6o
社長『むすこ ジョンである。 うれもし、カンっキィー!』


最後にそう告げ、社長は何事もなかったようにすとんと自分の席に着く。
数分間、気まずい時間が流れた。

社長「ちんもくかい」

アイム「…終わり、なんだな?」

社長「そうすね」

こうしてアイムたちにとっての、第三回目の占いは終わった。

210 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/05/27 01:27:46.40 ID:YOYNZyB6o
平和な時間は終わり、次回から急展開に…!?(少年雑誌並の煽り

211 名前:社長:2014/05/27 01:29:01.57 ID:nhHF7dnw0
もつだぞ。

212 名前:誰か:2014/05/27 01:31:54.91 ID:4YpBOh9k0
おつなのよー

213 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 封筒編その1:2014/06/01 01:32:14.34 ID:jOIu1lQko
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暗い部屋に、一人の兵士の息遣いが聞こえてくる。

兵士は、先ほど書き終えた便箋が入った封筒を手にとった。
慣れない作業だったのか、手の側面はインクで黒ずんでいる。
封筒をインクで汚さないように、指の先でつまむように。

手に持った封筒を、兵士はしげしげと眺める。
この封筒は、大戦の命運を握る鍵といっても過言ではない。
大戦の、自分自身の“魂”が詰まった、どこか色あせた封筒を、兵士は数回ほどなぞるように触った。


214 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 封筒編その2:2014/06/01 01:35:10.91 ID:jOIu1lQko

「参謀に渡す時期はいつがいいかなあ。うん、まあ1回目の体験が終わってからだろうなあ。
急ぎすぎても遅すぎてもいけないから、慎重にいかないとなあ」

「あとは、“あの人”にはこの事を言ったほうがいいのか…いや、ダメだ。
私と同じ末路を辿る可能性が高い。彼には、“知らせてはいけない”」

ブツブツと何事かを呟きながら、兵士は机の周りに散らばった紙や筆記具を片付け始める。

「あっ」

兵士は何かに気がついたように、机の上に置いた封筒を再び手にとった。

「名前を書くのを忘れてたな…」

危ない危ない。まあ、差出人の名前がなくても参謀が伝えてくれると思うけどなあ。
兵士は筆を手に取る。そして封筒の裏に、拙く力強い字で一筆入魂。


『会議所より 
            きのこ軍 集計班』


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215 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/06/01 01:35:57.96 ID:jOIu1lQko
何かのフラグが立って、何かのフラグが折れましたね(確認
次回から本編が始まるって本当なのですか?

216 名前:きのこ軍:2014/06/03 12:29:22.52 ID:8I1t5bUg0
自己満足のミニ設定と裏事情のコーナー


・議案チャットサロン
通称「会議室」。サロンなのか会議室なのか、いまいち呼称が統一されていないため、
作者含めていまいちイメージしづらい。
少し中二病ぽい円卓会議が日々行われている現場。
社長の占い披露も行われている。
会議には会議所に定住する会議所兵士が主に参加する。参加は義務ではないため、
最近では会議に飽きてきた兵士の欠席が目立ち、議長は頭を抱えている。
会議はK.N.C1年からサロンに始められ、途中何度か中断を挟みながらも、現在まで継続的に行われている由緒正しい慣習。
そんな歴史あるサロンだが、おそらくもう本編では登場しない。
サロンに納豆の臭いが充満していつまで経っても臭いが抜け切らなかったことが、原因の一つとして挙げられる。嘘です。

・大戦年表
年表編纂室にある、自立したロール古紙さん。古紙のサイズは通常の紙の数倍ぐらい。
年表に書かれている内容は、基本的には実際のwiki大戦年表を参考にしながら、決められている。
実際の年表と見比べながら話を読んでいくと、新しい発見があったりなかったり。

217 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その1:2014/06/22 02:33:54.84 ID:4ZWBsheMo
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【K.N.C 180年 会議所 教練所 中庭】

まだまだ残暑が厳しい季節、アイムは日課となった中庭での昼寝を今日も続けていた。

アイム「…また、あんたか」

筍魂「そう邪険にするなって」

むくりとアイムは起き上がり無言で筍魂を数秒睨むも、根負けしたようにアイムは、はぁと溜息をついた。

筍魂「どうした、怒らないのか。『まーた魂かチネ』ぐらいは言われると思ったが」

アイム「言ったところで聞く耳持たねえだろ、あんたは。
それとも、言ってほしいんならいくらでも耳元で怒鳴ってやるぜ」

筍魂「やめろワシはMじゃない!(宣言)」

やれやれとアイムは頭を振った。どうして、こうも会議所内には話が通じる兵士が少ないのだろうか。


218 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その2:2014/06/22 02:35:30.10 ID:4ZWBsheMo
アイム「はぁ。それで、今日はどんなごご用件かな。今日も魂さんの高説を賜われると思うと、
おちおち昼寝もしてられないな」

筍魂「弟子にな ら な い か?」

アイム「断る」

筍魂「悲しいなあ(諸行無常」

最近になってアイムの昼寝の時間を見計らって、アイムの機嫌を損ねるために現れるようになったこの兵士は、
未だアイムに相当執着しているようだった。
アイムが邪険に扱うほどに、その次の日には自信満々の表情を含ませながら
筍魂はアイムに掛け合ってくるのである。そしてアイムは更に邪険に扱う。
そんな日々の繰り返しだ。そういう意味では筍魂はドMなのかもしれない。

そもそも、師弟の関係になって自分に何のメリットがあるというのか。
アイムには筍魂の意図がわからない。
押し売りセールスのように何度もしつこい兵士をすぐに追い払える防衛術を学べるというのならば、喜んで飛びつくが。


219 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その3:2014/06/22 02:38:43.77 ID:4ZWBsheMo
筍魂「山本さんとはこの間に話をつけた。『やりたきゃどうぞ』だそうだ。
『クソガキ相手一人に時間を割くほど、私は暇じゃないから賛成だ』とも言っていた」

アイム「あのエロ教官め…」

つい先日、所要で自室に篭もるから自主練という呈で、山本教官に言い付けられた厳しいハードワークを
息も絶え絶えでやりきったアイムは、鍛錬終了の報告のために山本の部屋へ訪れた。
疲れきったアイムが思わずノックもせずに山本の部屋の扉を開けてしまった丁度その時、
不幸にも山本は“儀式”の最中だった。

自身を大小様々な模造品の乙牌が囲み、その一つ一つに感涙を持って
地べたにひれ伏して畏敬を払う彼の鬼教官と対峙した時、思わずアイムは声を出さずに“阿呆”と口を動かした。
山本もうつ伏せのまま、呆然とした表情でアイムを見返した。その手は乙牌を握って離すことはなかった。
それ以来、二人の間に会話はない。

筍魂「いろいろと会議所の業務で忙しいんじゃない?(すっとぼけ」
アイム「乙牌を揉みしだく業務があるんなら、ぜひとも入ってみたいな」
筍魂「けしからん!」


220 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その4:2014/06/22 02:41:02.57 ID:4ZWBsheMo
そのような事情からか、最近では自主練が主になったアイムの下に、
好機とばかりに筍魂がアイムのもとに通い詰めるのは至極当然のことだった。
想定を上回る飲み込みの早さで知識・技術を修得したアイムに、
鬼教官が今後の彼の育成プランについて考えあぐねていたことは事実であり、
筍魂の手に教え子が預けられることは、不幸な事件を差し引いても、山本としてはありがたいことではあった。

筍魂「お前にとっても悪い話じゃない。お試しでもいいから戦闘術『魂』を一緒に学ぼう。
クーリングオフも有効だゾ」

アイム「もしオレとお前とが絶望的に反りが合わなかったら、その後オレはどうすればいいんだよ」

筍魂「おっぱい教官の下に戻れよ」

アイム「断る」


221 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その5:2014/06/22 02:42:50.19 ID:4ZWBsheMo
はぁ、と年不相応な溜息を付きながら、アイムは再び大の字で寝転がる。
変人どもに囲まれて神経をすり減らしているアイムを、同じ変人の筍魂が慈愛の目で見つめる。
それがたまらなくアイムにとっては不快だ。

筍魂の戦闘術『魂』への勧誘は、アイムの頑固さの前に平行線のままだ。
件の乙牌事件を目の当たりにして、いくらかアイムの心も揺らいだが、度重なる胡散臭くしつこい勧誘は、
彼にかえって余計な警戒心を植えつけさせただけだった。
そもそも変人揃いの会議所にあっては、アイムの自己防衛本能はいっそう研ぎ澄まされている。
筍魂は当然のごとくアイムの自己防衛センサーに引っかかった。
ただ、事あるごとに戦略的撤退を余儀なくされる筍魂だが、後退もあれば進歩もある。
幾多の会話・罵倒を受け、筍魂はアイムの性質を見抜いていた。

筍魂「…オニロとの差を縮めるのは今のうちだと思うがなあ」

アイム「…あ?」


222 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その6:2014/06/22 02:45:45.47 ID:4ZWBsheMo
他の誰よりもアイムはオニロに敵対心を持っている。
会議所メンバーが思っているよりも、アイムのオニロへの忌避感は人一倍強い。
オニロの一挙一動全てが気に入らない。大戦場の隅に脳天気に咲いている花のように、
両軍が終わりなき戦いを繰り広げる大戦の世界に見を投じながら、本人はまるで戦闘とは
無縁な振る舞い・表情を見せる。その癖に、戦闘になればまるで別人のように
誰よりも“戦闘狂” のように振る舞う。
不快感を本人に隠すことなく顕にしながら、なおそんな負の感情を包み込むような笑顔で気にせず話しかけてくる。
アイムは気に入らない。オニロのすべてが気に入らない。


アイムは幼い。
自信家で気分屋だ。自分という存在が、どの世界の常識よりも正しいと信じて疑わない。
井の中の蛙が大海を知らないように、アイムもまた大海を知らない。
心のなかで殻にこもったまま、説法を自分自身に説くように自分の存在・行いを信じ続ける。
自分が一番強い。だからこそ、自分よりも格上の存在であるとアイムが猜疑心を抱いた相手には警戒する。
その相手がオニロだった。
アイムのオニロへの敵愾心はあまりにも根深く、そして拙い。

アイムは幼い。
だが、幼いからこそ成長のしがいがある。
筍魂はアイムをそう評価している。

223 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 筍魂ちゃん弟子を取りたい編その7:2014/06/22 02:48:45.67 ID:4ZWBsheMo
筍魂「オニロは最近、何かに没頭しているようで。訓練には欠かさず参加しているけど、
以前ほどのキレはないそうだ。791さんも頭を抱えていたよ。これは大変なことやと思うよ」

アイム「…」

オニロは大戦年表漁りに没頭している。
地上でアイムが日課の昼寝を楽しむように、地下では日課の編纂室の濫読を楽しんでいる。

筍魂「別の趣味でも見つけたのかもしれんな。ただ、今こそオニロとの差をつけるいい機会なんじゃないか?」

筍魂「お前は強い。だが、俺ならお前をもっと強くしてやれるゾ」

アイム「…本当なのか?」

真剣な筍魂の言葉に、アイムの心は揺れ動く。
あと少し、あと少しで弟子になるゾ。
心のなかで小躍りをしながらアイムの反応を待つ筍魂だが、
アイムを弟子にとるのはいま暫く待たなくてはいけない。
アイムにとっても、筍魂にとっても、弟子を取る取らないは些細な問題であると
認識させるほどに、会議所を揺るがす大事件に巻き込まれていってしまうのだから。



事の始まりは、最も毛嫌いしていたあいつの叫び声だった。




オニロ「アイムーーーーーーーーーーーッ!!!!!大変だーーーーーー!!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

224 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 :2014/06/22 02:49:22.12 ID:4ZWBsheMo
【定期】筍魂、今日も失敗

225 名前:たけのこ軍 社長:2014/06/22 02:59:40.24 ID:/Mg51Rnw0
もつだぞ。

226 名前:791:2014/06/22 10:36:32.40 ID:NqhchxFEo
更新だ!!!
お疲れ様

>>219
これは酷いw

227 名前:誰か:2014/06/22 15:47:46.59 ID:MKhBubGw0
おつなのよー

228 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その1:2014/06/22 16:02:49.43 ID:4ZWBsheMo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

最初に異変に気がついたのは、大戦年表編纂室に居た兵士だった。

アイムと筍魂が地上で談論している丁度その頃、アイムの予想通り、オニロは地下で
日課となった歴史書物の濫読をしている最中だった。
オニロの指定席は室内の入り口から左手前方の、“うねる”大戦年表に近い一角にある。
散らばっていた書物をかき分け、ようやく人一人分が寝転がれるほどのスペースを作り、
腹をきれいな床につける大勢で書物を読みあさっている。

編纂室は、オニロ以外には室長の集計班しかいない。その集計班は、
扉に背を向ける位置にあるロッキングチェアに腰掛け、物憂げに椅子を前後に動かしては軋ませている。
始めのうちはその音に辟易としていたオニロだが、最近では大分慣れた。
他に耳に届く音といえば、上空を動き回る筆記ペンたちだけだがそれは些細なものだ。
ちなみに大戦年表の傍に浮かんでいるオリバーという筆記ペンは、
他の筆記ペンたちと違いほとんど動かない。ちなみにオニロ命名だ。


229 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その2:2014/06/22 16:06:19.26 ID:4ZWBsheMo
今日もオニロは編纂室内の資料を読み漁っている。
既に、大戦年表は読み終わった。今は、各大戦の“総評”に夢中だ。

オニロ「ふう!第100次あたりの総評まで読み終わりました。おもしろいなあ」

分厚い辞書のような総評記を静かに地面に置き、オニロはひと伸びした。

集計班「第100次あたりですか…その辺りだと、どんな出来事が起こっていましたっけ」

オニロ「はい。第100次あたりは、『スクリプト』からの脅威に、
会議所が断固として立ち向かってそれを撃破した時期です」

集計班「スクリプト、ですか。懐かしいですね」

オニロ「総評や年表には、スクリプトによって大戦の続行が不可能となり得る事態が相次いだが、
当時の会議所以下大戦兵士の結束のもと、スクリプトの攻撃を物ともせずに大戦を敢行した、とあります」

スクリプトとは一体何者なんでしょうか?
頭に疑問符を浮かべるオニロに、静かに集計班は答える。


230 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その3:2014/06/22 16:07:16.88 ID:4ZWBsheMo
集計班「大戦の本当の“敵”ですよ」

オニロ「本当の?たけのこ軍からしたら敵はきのこ軍ですけど」

集計班「大戦を破壊せんとする、我々の敵のことです。
両軍に共通する大戦外に潜む敵ということです」

オニロ「呉越同舟ということでしょうか。その敵がスクリプトだというんですか?」

集計班「敵の一味ですよ」

オニロ「一味ということは…」

他にも敵がいるんですか。
そう続けて問おうとした瞬間、オニロは自分の身体が僅かにではあるが揺れていることを感じ、
そちらに気を引かれた。

オニロ「シューさん。この部屋、揺れてませんか?」

集計班「本当ですね。地震でしょうか?
でも、会議所の直下てプレートの境界ではないはずですから、地震なんてほとんど起きないはずなんですが」


231 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その4:2014/06/22 16:10:00.43 ID:4ZWBsheMo
のんびりとした具合に長い時間をかけて微弱に震動する縦揺れが、
次第に激しさを増してくる。
激しい縦揺れだ。起き上がったオニロの身体が揺らぐ。
本当に会議所に大地震が訪れたのだろうか。

しかし、二人はすぐに地震でないことに気がついた。
部屋の物が全くと言っていいほどに揺れの影響を受けていない。
書籍の棚はまるでびくともしないし、テーブルの上に置かれた、息を吹けば吹き飛びそうな書物すら
張り付いたように動かない。

揺れているのは部屋ではない。
自分たち自身だ。

オニロ「うぐッ、あがあッ!!」

集計班「痛ッ!!頭がッ…!!」

酷い頭痛とともに、二人はその場に転がり落ちた。
脳がまるでミキサーにかけられたかのように激しく前後に揺れる。揺れる。


232 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その5:2014/06/22 16:14:54.77 ID:4ZWBsheMo
三半規管が弱いオニロにとってはたまったものではない。
胃から逆流してくるモノをまき散らしたい気持ちを必死に抑えながら、
警笛のように繰り返し押し寄せる痛みを無視するように、頭をあげる。
集計班は椅子から転げ落ち、両手で頭を抑えながら必死に“地震”に耐えている。
揺れはまだ収まらない。それどころかなおも激しさを増している。

オニロは下唇を噛み締め、必死に理性を保った。
口中に血が滲むが、脳ミキサーの痛みに中和されてか全く痛みを感じない。
あまりの激痛に両目に涙が滲む中、オニロは状況確認のために、なおも頭を動かす。
筆記ペンたちは普段と変わらずに、忙しなく動き回っている。
まるで目の前の兵士の事情など知らないかのように、我関せずといったところか。
その光景は変わらない。いつもの光景だ。


否、違う。


涙と鼻水で視界がぼやけながらも、オニロははっきりと見た。
いつも大戦年表の傍を浮遊しているだけの怠け者の筆記ペン『オリバー』が、
激烈な速度を以って、大戦年表に自身の筆を動かしている光景を。
最後にその異様な状景を見届けるようにして、オニロは意識を手放した。



233 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その6:2014/06/22 16:16:16.10 ID:4ZWBsheMo
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「…かった。…長年…ついに……やっと……」
―― 囁くような声を聞いて。ゆっくりと、夢の中で瞼を開ける ――

「…オー…結集……貴様を………掌握ッ………会議所を……」
―― 意識が定まらない、うすぼんやりとした感覚が身体を支配する ――

「貴様を……会議所の…全て断ち……」
―― どこか見覚えのある光景、覚醒しない脳を働かせようとする ――

「…ッここで………消える…」
―― 思い出すのは、暗い室内 ――

「………るく思うな…これも…全て……ため…歴史を……ため」
―― 思い出すのは、異様なまでに冷えた部屋の空気 ――

「覚悟……逃げること……………なッ!…自ら……馬鹿なッ…」
―― 思い出すのは、ふわふわ浮いているような不思議な心地良い感触と ――

「なぜだッ!!!なぜ!!!!なぜだーーーーーーーーッ!!」


          ―― 頭を鈍器で殴られたような酷く重たい感触 ――


234 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その7:2014/06/22 16:17:47.37 ID:4ZWBsheMo
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「…てください。大……すか?オニロ…オニロ君!」

オニロはゆっくりと目を覚ます。
酷く不快な気分だ。頭がぐわんぐわんと揺れている。
視点が定まらない。身体と心が乖離しているかのように、まだ夢の中にいるようだ。

集計班「大丈夫ですか、オニロ君ッ!」

オニロ「!!」

集計班の言葉で、オニロはハッと意識を戻した。

集計班「ここがどこだかわかりますか!?」

オニロ「シューさん!あれから一体どうなったんですか!?」

集計班は困ったように首を横にふった。

集計班「わかりません。何も変わっていないようなんです。
“何も変わっていないことが問題”なんです」


235 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その8:2014/06/22 16:20:31.39 ID:4ZWBsheMo
オニロはよろよろとその場で立ち上がり部屋を見回す。
別段、奇妙な地震を経て部屋に変わった点は見られない。
特定の本棚の本が崩れ落ちたりしているが、それは元々片付けていなかったためであって
揺れによるものではない。
筆記ペンたちもまるで地震などなかったかのように、素知らぬ顔で作業を続けている。
忙しなく動き回るペンたち。そしていつも通り働かずに大戦年表の傍で
ふわふわと浮遊しているオリバー。オリバー。

オニロ「そ、そういえばシューさん!オリバーが、オリバーがッ…ぐッ、頭がッ」

集計班「オニロさん!大丈夫ですか!!くそッ、なんなんだ一体」

その場で蹲って気を失ったオニロが回復するのには更に幾ばくの時を要した。

236 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 異変序盤編その9:2014/06/22 16:22:58.63 ID:4ZWBsheMo
オニロ「ありがとうございますシューさん。お陰で大分良くなりました」

集計班「それはよかった。しかし、先ほどの地震はおそらく精神攻撃の類いか何かか」

オニロ「今までにそういった攻撃に合われたことは?」

集計班「いえ、ありません。だとしたら、新手の荒らしか。地上は大丈夫だろうか」

オニロ「地…上。シューさん、地上にはまだ確認しにいってないんですか?」

集計班「え、ええ。まだです。同胞が同じような目にあってないといいんですが…」

オニロ「ボク確認してきます!確認してこなくちゃ!」

集計班の返事を待たずに、オニロは立ち上がり部屋から駆け出す。

集計班「あっ、待ってくださいよ。ああ、行ってしまった」

集計班「そういえば先ほど、彼は何を言いかけたんだろうか。
たしか、『オリバー』と口にしてたか。ふむ…」



オニロ「アイムーーーーーーーーーーーッ!!!!!大変だーーーーーー!!」


237 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/06/22 16:25:54.85 ID:4ZWBsheMo
きのたけくん。今日のボツ文章よ。

//
オニロ「シューさんていつもいますね」
集計班「まあこの部屋の室長を任されていますしね」
オニロ「まさか会議の時以外はずっとこの部屋にいるんですか?」
会議以外で、地上で集計班を見かけたことはほとんどない。
集計班「ははっ、まさか。ちゃんと地上にも自分の部屋はありますよ」
オニロ「そうですか」
後に編纂室内に簡易ベッドとキッチンが取り付けられていることを知ったオニロは、
その先を聞くことが怖くなりこれ以上の追求をやめた。
//


238 名前:791:2014/06/22 18:23:34.88 ID:NqhchxFEo
更に更新!?
ボツ文章も面白いv

239 名前:たけのこ軍 社長:2014/06/22 23:28:27.18 ID:/Mg51Rnw0
いいぞ。

240 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その1:2014/06/24 00:22:18.49 ID:Hyd.T8PYo
【K.N.C 180年 会議所 教練所 中庭】

アイム「はぁ?超巨大地震だあ?」

オニロ「そうなんだ!いや、厳密には地震じゃないんだけど、頭に直接働きかけてくる地震というか、
身体がガクガクと揺れる感触というか」

アイム「さっぱりわからん」

筍魂「これはオニロ語検定1級じゃないと理解できんやろなあ」

オニロ「と、とにかく二人に怪我はないですか?」

アイム「ああ、ないな。そもそもお前の言っている地震なんてなかったわけで」

筍魂「せやな」

アイム「というかその地震てのをどこで体験したんだ?」

オニロ「え。ああ、それはね。えーと…」

チラリと筍魂を見るオニロ。ただならぬ雰囲気を察した筍魂は、クールに踵を返した。

筍魂「あー、邪魔したなアイム。また明日来るわよ」
アイム「二度と来ないことを願う」


241 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その2:2014/06/24 00:24:23.34 ID:Hyd.T8PYo
筍魂の姿が遠くなっていくのを確認し、オニロはアイムに詰め寄る。

オニロ「じ、実は大戦年表編纂室にいたんだ!」

アイム「やっぱりな。どうせそんなところだろうと思った。あと、離れろ。暑苦しいし近い」

興奮するオニロを宥め、アイムは先を促す。

アイム「それで?編纂室にいたら、シューさんと二人で奇妙な地震に遭遇したと?」

オニロ「そうなんだよ。まるで脳がシェイクされるみたいな激しさでさあ。すごい気持ち悪かったよ」

今も気持ち悪いけどね。
げんなりとした顔で語るオニロに、アイムは露骨に嫌悪感を示し距離をじりじりと取る。
目の前で吐かれてはたまったものではない。

アイム「まさか寝ぼけていたなんてことじゃないだろうな?」

オニロ「違うよ!近くにいたシューさんも体験していたんだ!」

アイム「わかったから少し落ち着け。ツバを飛ばすな」

顔に飛び散ったツバを拭き取り、アイムは静かに嘆息する。

アイム「はぁ…オレも編纂室に行く。シューさんに会って、状況を聞いてみないとさっぱりわからん」

オニロ「ありがとうアイム!さあそうと決まれば行こうよ!」

そう告げるや否や走りだすオニロに、アイムは再び嘆息した。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

242 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その3:2014/06/24 00:26:09.23 ID:Hyd.T8PYo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

集計班「…つまり、地上では何の異変も起きていなかったということですね?」

アイム「ああ。オレや筍魂は勿論のこと、wiki図書館周辺だけの局地的現象の線も考えて、
参謀にも聞いてみたが答えは同じだった」

オニロ「どういうことだろう。シューさんが言っている『荒らし』による仕業だとするならば、
編纂室だけを狙い撃ちにするなんて可能なんですか?」

集計班「この部屋の存在を知っている兵士は限られています。
外部の者による犯行の可能性は限りなく低いと言っていいでしょう」

オニロ「じゃあいったい…」

集計班「…少し気になることがあるので、先ほど個人的に少し調べていたんですが」

集計班は両手を突き出し、大戦年表を引き寄せる。何かを探すように、集計班は大戦年表に隈なく目を通す。
オニロとアイムは不思議そうに集計班を見つめている。
暫くして、集計班の動きが止まった。


243 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その4:2014/06/24 00:27:36.59 ID:Hyd.T8PYo
集計班「これだ。
…オニロ君、君は言っていましたよね。
『第100次大戦付近ではスクリプトによる荒らしが頻発したが、
会議所・大戦兵士は屈せずにスクリプトを追い出した』、と」

オニロ「は、はい。言いました。それがなにか…?」

集計班「私もその当時の大戦に参加しているので、うっすらと覚えていますが、
君が言った通りだったと思います。
確かにスクリプトの襲来は何度か受けましたが、大戦は荒らしが原因で中止になった大戦は
ただの一度だけです」

オニロ「はい。年表にもそのように書いてあったと思います。
確かK.N.C86年の大戦、初めてスクリプトが大戦場に襲来した時です」

アイム「おいあんたたち、一体なんの話をしているんだ」


244 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その4:2014/06/24 00:29:49.52 ID:Hyd.T8PYo
集計班「そうです。K.N.C86年に一度大戦は中止になっている…年表にもそう記述されています」

オニロ「スクリプト襲来を受けて、会議所はすぐさま対処策を取ったはずです。
事実、次の大戦からはスクリプトの攻撃に大戦兵士は耐えぬいている
スクリプトによって大戦が中止になったのは第86次大戦だけのはずです」

集計班「私もそう記憶しています…では、ここのK.N.C89年の大戦項目を読み上げてくれませんか?」

緊張した面持ちで集計班は年表をオニロに渡す。
頭に疑問符を浮かべながらもオニロは受け取り、当該年度の記述部分を探す。
アイムも横から年表を眺める。

オニロ「えーと。あ、あったあった。

『K.N.C89年 第89次きのこたけのこ大戦 
再びスクリプトが襲来し、大戦場は再びパニックに陥る。大戦を一時中断し、
両軍合わせてスクリプトの迎撃に当たったが、前回の比ではない程の大量のスクリプト来襲にて、
已む無く大戦を中止。
兵士の避難にあたる』


…え!?」


245 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その6:2014/06/24 00:32:58.25 ID:Hyd.T8PYo
オニロは当該部分をもう一度読み直す。
オニロの記憶が正しければ、第89次大戦は『再びスクリプトが襲来し、
大戦場は一時パニックに陥るものの、予てより準備していたスクリプト迎撃部隊が撃退。
大戦は無事進行した』と書いてあったはずだ。
いたく感動した記述なので印象も強い。

オニロ「おかしいです!こんな記述はなかったはずです!」

集計班「はい、なかったはずです。ですが、いつの間にか当該年度の記述が
書き換わってしまっている。地震による気絶から立ち直った時、オニロ君。
君はオリバーについて何か言おうとしていましたね?」

アイム「は?オリバー?なんだそれ」


246 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その7:2014/06/24 00:34:51.47 ID:Hyd.T8PYo
オニロ「あ、はい。そうだ思い出した!シューさん、ボク見たんです!
あの地震が起こっている時にいつもほとんど働いていないオリバーが
忙しなく大戦年表に向かっているところを!」

集計班「わかりましたから落ち着いてください。ツバが飛んでいます」

だが、概ね私の読みは外れていないようです。
冷静に顔にかかったツバを拭き取りながら、集計班はチラリと自動筆記ペン『オリバー』を一瞥する。
うねる大戦年表の傍に寄り添うように位置していたオリバーは、いまは所在なげにふわふわと浮かんでいる。

集計班「オリバーは本来、年度の節目に、その年に起きた事件・出来事をまとめて大戦年表に記載します。
そのため、オリバーが働いていないというオニロ君の評価は少し的外れではあります」

集計班「オリバーは怠け者のようでいて、その実どの筆記ペンよりも重要な任務を請け負っています。
すなわち、 『大戦年表を更新する』 という大事な任務をです」

アイム「だあああああ!どういうことか説明しろッ!」


247 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その8:2014/06/24 00:37:13.46 ID:Hyd.T8PYo
大戦年表は、きのたけ世界の歴史そのものである。

大戦年表に書き込まれた内容が、きのたけ世界の歴史を作り上げる。
その大戦年表の記述が何らかの理由をもってして書き換わったとしても、
きのたけ世界の歴史は大戦年表の記述に否応なしに“従わなければならない”。

つまり、大戦年表の記述が書き換わる時、すなわちきのたけ世界は記述内容に沿う形で
“歴史を改変”することになるのである。

248 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その9:2014/06/24 00:39:08.62 ID:Hyd.T8PYo
オニロ「そんな…まさか…」

アイム「にわかには信じがたいな…つまり、あんたたちが体験した地震が
原因で歴史が改変された。そう言いたいんだな、シューさん?」

集計班「さすがはアイム君です。これはあくまで予想に過ぎませんが、
地震が発生したと同時に― いえ正確には地震ではないでしょう、
“時空震”の発生と同時に、自動筆記ペンオリバーが大戦年表の事実を書き換えた。
そして大戦年表の記述に則って、世界の歴史が瞬時に改変されたのです。
この説明ならいろいろと納得がいきます」

オニロと集計班は、世界の歴史改変の際に生じる“時空震”に遭遇したと、
そう集計班は主張しているのである。

オニロ「大戦年表の記述が書き換わるなんて…ん?」

アイムと集計班の話に若干置いてけぼりを食らいそうになりながら、
大戦年表の当該年度を眺めていたオニロは小さく声を上げた。
急いで大戦年表を頭上に持ち上げ、何かを精査するように確認する。


249 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その10:2014/06/24 00:40:57.83 ID:Hyd.T8PYo
集計班「どうしましたかオニロ君」

オニロ「シューさん。ここ、見てください。第89次きのこたけのこ大戦の記述箇所。
ここおかしくないですか」

集計班「どれどれ…」

先ほど、集計班により記述の改変が確認された第89次きのこたけのこ大戦。
あらためて見てみると、該当箇所の文字が、周りに記述されている文字よりも赤みががって見える。
まるで赤鉛筆で元ある文字を上からなぞったかのように、薄ぼんやりとした赤文字だ。

集計班「本当ですね。記述部分の文字が赤みがかっている。
先ほど見た時は、陰が暗くて確認できなかったけど…」

アイム「ちょっと待ってくれ。オレにはちっとも赤く見えないんだが」

集計班「!!」

オニロ「え。ほら見てよアイム。この『再びスクリプトが襲来し〜』の行からだよ」

アイム「いや。周りの文と何ら違いがあるようには見えないな」

オニロ「そ、そんな…」

集計班「…なるほど、そういうことか」

集計班は何かに納得するかのように独りごちた。二人が怪訝な顔を向ける。


250 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その11:2014/06/24 00:42:02.72 ID:Hyd.T8PYo
アイム「どういうことだシューさん」

オニロ「なにかわかったんですか?」

集計班「この予想が当たっているかどうかわかりませんが、もし私の読みがあたっているとするならば、
事態はめんどうなことになります」

アイム「ええい、じれったい。早く言ってくれ」

集計班は静かに二人の方へ向き直る。

集計班「差し当たっては、会議所兵士に今回の出来事を伝えなくてはいけない。可及的速やかに」

集計班「アイム君。申しわけありませんが、すぐさま緊急会議の招集を会議所中に伝えて回ってください」

アイム「わかった。議案サロンに集めればいいんだよな、行ってくるッ」

集計班「待ってください。緊急会議は議案サロンで行いません」

251 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その12:2014/06/24 00:43:15.27 ID:Hyd.T8PYo
オニロ「え?だって会議はいつもそこで行っているじゃないですか」

集計班「会議サロンはもう今後、使うことはないでしょう」

アイム「なら、どこに集めろってんだよ」

集計班「…ここです」

アイム「は?」

集計班「会議の議長としてここに宣言します。

 『発1801号 
  K.N.C180年の時空震事件を以って、緊急会議を執り行うことをここに通知する。
  会議場 大戦年表編纂室』!!」


252 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議招集編その12:2014/06/24 00:43:40.82 ID:Hyd.T8PYo
次回から大戦年表編纂室でニートとなる兵士が現れます。お見逃しなく。

253 名前:たけのこ軍 社長:2014/06/24 00:46:35.13 ID:FjXNs..s0
もつだぞ。

254 名前::2014/06/24 00:47:31.06 ID:Y00rdCz.o
おつおつ

255 名前:誰か:2014/06/24 00:48:02.45 ID:ewTmfDvw0
おつなのよー

256 名前:791:2014/06/24 03:22:07.86 ID:90Rdw6WYo
また更新!
お疲れ様です

257 名前:きのこ軍:2014/06/26 16:08:41.23 ID:5dwxYtPA0
テンポが悪すぎるks

258 名前:きのこ軍 滝本:2014/06/26 18:34:34.80 ID:5dwxYtPA0
↑こいつ最高に作者自身(AA略

259 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
DB様のお通りだ!

260 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
DB様のお通りだ!

261 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その1:2014/07/01 01:31:36.18 ID:o0V7PjsUo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

参謀「ほー。ここが年表編纂室か。うわ、きたなっ」

¢「ぼくの部屋と似たかおりを感じるんよ」

社長「社長の部屋はバグってますぞ」

たけのこ軍 斑虎「こんな隠し部屋があったなんて。水臭いじゃないですかシューさん」

加古川「蒐集家にとってはたまらない部屋だな…」

知らせを聞いた兵士たちは、さまざまな感想を述べながら編纂室へ足を踏み入れ、
続々と編纂室の大テーブルに集まっていく。
アイムとオニロは違和感を感じざるを得ない。どうして、自分たちにひた隠しにするように言っていた編纂室を
こうもあっさりと開放しているのか。
集計版の意図が読めない。

集計班「さて、全員集まりましたかね。おやおや、椅子も人数分あったようでこれは僥倖」

人数分丁度の椅子に兵士が座りきったのを確認して、いつもの席に集計班は腰を下ろした。

参謀「しかし意外やな。この部屋は他の兵士には伝えないて、過去に言うてなかったか?」

アイム「そうだな。突然ここに全員を集めるなんて、どういう風の吹き回しだ?」

社長「つるはし!なう」

集計班「まあ落ち着いて。今から詳しい事情をお話します」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

262 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その2:2014/07/01 01:34:03.54 ID:o0V7PjsUo
たけのこ軍 加古川「まさか、歴史が書き換わったなんて…」

きのこ軍 ¢「…それは本当なのか、集計さん」

集計班「私とオニロ君で、時空震を確認しています」

社長「かぁー!原因は!どこじゃー!」

¢「あ?大戦はスクリプトに潰されたんよ。
一度だけじゃなくて、その次の大戦もな。スクリプトに僕たちは手を焼かされたんよ」

社長「なんどもおな」

集計班「それはおかしい。¢さんとは、つい最近にもスクリプト問題について話し合ったはずです。
酒の席で、あなたは『スクリプトの攻勢にすぐ対処した会議所の功績は永遠に誇るべき』だと
声高に言っていたじゃないですか」

¢「そんなこと言った記憶ないし、そもそも覚えてないんよ…」

参謀「でも、歴史が書き換わったなんてどうやって認識するんや?
聞けば、シューさんとオニロは大戦年表の記述が書き換わったことを“確認”した。
ただ、それだけで歴史が改変されたとは断定できんやろ」

きのこ軍 someone「確かにそうですね。言い方が悪いですが、シューさんたちが
勘違いをしているだけの可能性もあるのでは」

たけのこ軍 791「“勘違い”というのは、シューさんたちが主張している『時空震』なんてなかったってこと?」

someone「…そうです。ふたりとも寝ぼけていただけ、とか」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

263 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その3:2014/07/01 01:36:23.31 ID:o0V7PjsUo
集計班「まあまあ落ち着いて。あくまで証明材料の一つに過ぎませんが、この大戦年表を見てください」

そう告げ、オニロが指摘した改変記述の書式の違いについて集計班は説明する。

集計班「私とオニロ君は、この第89次きのこたけのこ大戦の記述箇所が、
赤く滲んでいるように見えています。みなさんはどうですか」

しかし、大戦年表に顔を近づける他の兵士はしきりに困惑するばかりである。

社長「くろいよお」

きのこ軍 黒砂糖「これは…別段、変わってないように見えるが」

アイム「だよな」

集計班「ははあ、やはりそうですか」

参謀「どういうことやシューさん」

社長「ネン ッ ッッ!!」

264 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その4:2014/07/01 01:39:28.50 ID:o0V7PjsUo
集計班「地上にいる兵士たちの誰もが大戦年表の記述の変化に、なにより歴史の改変に気づかない。
ただ、編纂室にいた私とオニロ君だけが唯一知覚・記憶している。これから示しだされる結論はただひとつ」

たけのこ軍 抹茶「…編纂室にいたシューさんたちだけが歴史改変の影響を『受けず』に、
改変前と改変後の歴史の記憶を有している。
地上にいる兵士たちは歴史改変によって、改変前の記憶を『上書き?かなにか』され、
改変後の歴史しか持っていない。そういうことですか?」

集計班「抹茶君の言うとおりです。私の予測が正しければ、
              編纂室にいれば『歴史改変の影響を受けない』。
脳シェイクという大きな代償を背負いますが、記憶も勝手に上書きされることはない」

社長「ちなみにまあ嘘だけどね^^」

しかし、集計班の言葉に他の兵士はなおも難色を示す。

きのこ軍 きのきの「でも、俺たちは歴史の改変を自覚していない。
いくらシューさんたちがそう主張したところで、納得はできない。
シューさんが証明の一つとして提示した年表記述だって、俺たちは知覚することすらできていないんだ」

たけのこ軍 椿「それを信じろというのは難しい話です。
それこそ、someoneさんがおっしゃっていたように二人とも寝ぼけていただけという可能性もある」

オニロ「そ、そんなことないです!ボクとシューさんはこの場で実際に体験したんです!
脳がまるでミキサーにかけられたかのように揺れて…揺れたんです。そう、揺れたんです。おそらく、きっと…」

筍魂「こいついつも自信なくしてんな」

265 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その5:2014/07/01 01:45:56.60 ID:o0V7PjsUo
完全に『編纂室派』の兵士と『地上派』の兵士で対立を深める中、
アイムは部屋の空気を敏感に感じ取り、会議の舵を切ることにした。

アイム「まあ双方ともに落ち着いたほうがいいんじゃないか。
つまり、オレたち含めた『地上派』兵士の言い分はこうだよシューさん。
『そんなに言うなら、いっそあんたたちが言っている時空震とやらを見せてくれ』とな」

社長「キャーー アイムくんすてきーー」

アイム「うるせえ叩き斬るぞ」

参謀「アイムの言うとおり、それが一番手っ取り早いやろな。
そもそも、いったいどこで歴史改変が行われたのかはまだわからんのやろ?
この編纂室内が震源かもしれんし、あるいはまったく別の場所が元凶かもしれないわけやし」

¢「会議所内で歴史を改変できるほどの能力を持つ兵士はいない。あの791さんだって無理だ」

791「え、私は極普通の一般会議所兵士だよ?」

オニロ「…」

筍魂「おっ、そうだな」

¢「歴史改変が行われたという確固たる証拠を見ないと、俺たちも納得出来ないな」

アイム「ふむ…」

会議は平行線を辿る、かのように見えた。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

266 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その6:2014/07/01 01:47:46.01 ID:o0V7PjsUo

次の瞬間。


たけのこ軍 特攻隊長「…ん?なんかくらくらする?」

特攻隊長が軽く頭を抑える。

たけのこ軍 ビギナー「大丈夫ですか?多分、この部屋の空気が身体に悪いのかも」

忌々しげにビギナーが目の前のホコリを手で振り払う。
視界を狭めている靄の大半が塵とホコリで占められたものだとは信じたくない。

加古川「…いや、違う。これは…」

アイム「…地震だ!!」


アイムが叫んだのと同時に、『時空震』が姿を現した。

267 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その7:2014/07/01 01:49:44.99 ID:o0V7PjsUo
黒砂糖「なんだこの感触は!ぐっ、立ってられないッ!!」

社長「6月2日に 体が動かない!」

参謀「なんやこれ!こんな経験初めてやぞッ」

アイム「がああああああああ!頭が割れるッ」

まるで全身に酔いが回った時のように、目の前の視界がぐにゃりと歪む。
と、同時に二日酔いの頭痛を百倍程度増幅させた痛みが、一律に全員に押し寄せる。
部屋は阿鼻叫喚に包まれる。
時空震は全員の叫びを楽しむかのように、ますます揺れを強めた。

268 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その8:2014/07/01 01:50:57.89 ID:o0V7PjsUo
オニロ「これだよッあの時もこの現象が起きたんだッ!ネッ、嘘じゃなかっただろアイム!」

アイム「わかった!わかったからお前は近づいてくるなッ!」

地面を這ってアイムに近づいてくるオニロを振りほどく余裕もなく、
アイムはその場で頭を抱えてこの最悪の時間が流れすぎるのを待つ。

オニロ「みんな見て!大戦年表の方を!オリバーがッ!」

大戦年表が置かれている台座では、大戦年表のお抱え自動筆記ペン『オリバー』が、
目にも留まらぬ早さで大戦年表に向かって筆を動かしている。

¢「…あれが…あれが歴史改変なのかッ」

オニロ「ぐっ。あれで年表の記述を変え…オエッ」

アイム「おいそれ以上喋るな口を開けるな。吐くなよ絶対吐くなよッ!!!」

集計班「みなさん!もう少しの辛抱です!オエエ」

269 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その9:2014/07/01 01:52:51.61 ID:o0V7PjsUo

時空震の後の編纂室は、それは悲惨な状況だった。
兵士は全員その場で倒れ伏せ、起き上がるまでに数十分のインターバルを要した。
ノロノロと起き上がった兵士が最初にしたことは、トイレへの短距離走だった。
本棚の脇に簡易ベッド・キッチン・トイレといったひと通りの生活空間が用意されていたのは、
兵士たちにとっては幸運だった。この際、なぜ編纂室に生活空間が用意されているかは言明しない。

― まずは目の前の異変に対処するべきだ。 ―

兵士たちの心はその瞬間ひとつになり、胸の中の異変を目の前の便器にありったけ吐露した。

270 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その10:2014/07/01 01:54:48.27 ID:o0V7PjsUo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

集計班「…みなさん無事ですか」

アイム「…これが無事に見えるなら、脳だけじゃなく眼球までミキサーされちまったんじゃねえか」

兵士は椅子に身を投げ出しぐったりとしている。オニロと集計班だけが、
二度目の体験ということもあってか他の兵士よりも幾分か生気を保っているようにみえる。

集計班「信じますか…?私とオニロ君が言っていることが真実だったと」

参謀「信じるほかないやろこんなん…」

たけのこ軍 山本「あー気持ち悪ッ」

アイム「てめえのおっぱいでも揉んで気を和らげたらどうだ、鬼教官さま」

山本「…」

オニロ「シューさん。大戦年表を確認しましょう」

集計班「そうしましょう」

集計班は大戦年表を近づけ、二人で目を凝らして改変の跡を探し始める。

271 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その11:2014/07/01 01:56:33.41 ID:o0V7PjsUo
集計班「…¢さん。第37次大戦を覚えていますか?」

¢「そんな昔のこと覚えてないんよ」

社長「まさか ソン・ウか!?」

集計班「大戦開始時に集計係がいなくて、会議所内部で混乱した時です」

¢「ああ。思い出したわ。確かじゃがバターさんが急遽集計係を務めてたな。
あの人、いまどこにいるんだ」

集計班「そうです。一つ確認させてください。
スクリプトが初めて大戦に登場したのは第86次大戦。
それ以前に、荒らしは一度足りとも大戦に襲来したことはない。これは合っていますか?」

¢「そのとおりだな。そんな大昔まで大戦が危機に晒されたことはないはず」

集計班「そうですか。では第37次大戦の記述を読み上げます。

『第37次きのこたけのこ大戦
近辺の大戦の中で一番に勢いがあったとされる大戦とされる。
推定勢い37000。
集計じゃがバター兵士を過労死させる速度で大戦は進んでいったが、
大戦終盤に突如としてスクリプト荒らしが襲来。
突然の出来事に、大戦兵士は何もできずに大戦場から撤退。
撤退時に統率が揃わずに、二次混乱を引き起こした会議所に、大戦後に多数の苦情が寄せられた。
会議所の信用はこの大戦を機に影を落とすこととなった。』」

272 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 緊急会議編その12:2014/07/01 01:58:59.71 ID:o0V7PjsUo
¢「!!」

抹茶「ちょっと待って下さい。その大戦に参加していましたが、シューさんがおっしゃるような記憶はありません。
じゃがバターさんが過労死ギリギリの状態で集計を最後まで全うしたはずです」

黒砂糖「そうだ。会議所の信用が落ちる、だと…?そんなことその時代には無かったはずだ」

社長「なかった崎哲夫」

791「まさか…」

テーブルの上に大戦年表が広げられる。
全員が顔を近づける。
そこには先ほどまでほとんどの兵士には見えなかった、赤鉛筆でなぞったかのように赤く滲んだ文字が、
くっきりと紙面に映って見えていた。

273 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 :2014/07/01 02:03:32.59 ID:o0V7PjsUo
会議所編はもうちょっとだけ続くんじゃ。

◎簡単なまとめ
集計「脳ミキサーされたわ。これぜってー歴史変わったわ。編纂室にいたから、俺わかるんだよ。つれーわ、いてーわ
歴史の変わり目に立ち会っちゃったわー」
オニロ「ですです」
 : 編纂室にいた兵士。編纂室だけが『歴史の改変を受けない場所』だと主張。

アイム「は?なにいってだこいつ」
someone「寝ぼけてたんじゃないの(嘲笑」
参謀「胡散臭いしまず部屋汚いわ」
 : 地上にいた兵士。編纂室派の主張を妄想かなにかと推定。困惑しまくり。
↓ 地震
アイム「やっぱり歴史改変されてたわ」
791「私は最初から弟子のいうことを信じてたよ!(マジキチスマイル」
¢「歴史変わってんだけど」
 : 全員が歴史改変を経験。編纂室の主張が正しかったよ…

274 名前:たけのこ軍 社長:2014/07/01 02:04:20.88 ID:BGCFXlOM0
もつだぞ。社長うざくていいすね

275 名前:誰か:2014/07/01 07:00:02.60 ID:TUN2KDAU0
おつなのよー。嘲笑とか……私らしい

276 名前::2014/07/01 07:48:28.92 ID:9Bpl1z56o
おつんもつん

277 名前:筍魂:2014/07/01 21:31:06.00 ID:JB3.KqiMo
魂もウザくていいぞ〜これ

278 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 :2014/07/04 23:57:53.98 ID:6QmvZOW6o
http://dl1.getuploader.com/g/kinotakeuproloader/378/card-28.jpg

279 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 原因究明その1:2014/07/12 02:45:08.11 ID:oXMbbybgo
【K.N.C 180年 会議所 大戦年表編纂室】

歴史改変が決定的となったいま、会議所兵士たちは目の前の出来事を一つずつ分析していくことにした。

参謀「改変された年表記述には決まって『スクリプト』が登場しているんやな」

参謀の言うとおり、歴史が改変された年には決まってスクリプトが大戦に登場している。
― スクリプト。
異型なる存在であるスクリプトが最初に大戦に姿を現したのは、正史によるとK.N.C86年の大戦中である。
ある一人の兵士が『ばかでかい小蝿』と表現したように、スクリプトはか細くかつ不快な奇声を発しながら
大戦場を飛び回っていた。

全身をガラクタのような機械で覆い、羽音と奇声が入り混じったような超音波を発し続けるそれに、
多くの兵士は不快の色を示したが、ほとんどは気にすることなく戦い続けた。
会議所の開発した集計ツールの一種かなにかだと勘違いされたからだ。
遡ることK.N.C42年頃に加古川が公開した集計ツール(仮)は、
目の前を飛び回るスクリプトと引けをとらないぐらいに不格好なものだった。
兵士たちはその前例を引き合いに出し、どうせまた会議所がわけわからんモノを作ったんだろう、
という会議所にとっては不名誉な結論に落ち着いた。

280 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 原因究明その2:2014/07/12 02:49:36.81 ID:oXMbbybgo
スクリプトが大戦に牙を剥いたのは、それからほどなくのこと。
時が来たとばかりに、スクリプトは広大な大戦場に響き渡る大きさで叫び始めた。
あまりの不快な音波に、思わず兵士は耳をふさぐ。
言葉にならない言葉を叫びながら、兵士の戦意を削ぐには十分すぎるほどの勢いで
スクリプトは大戦場を飛び回り続ける。可聴域ギリギリの周波数帯での大音響攻撃は、
兵士たちの精神を絶え間なく攻撃し続けた。

台本を読み上げるように、朗々とスクリプトは解読不能な言葉を叫び通す。
一定周期ごとに叫び終えたら、もう一度最初から。
繰り返し決まった言葉を叫び続けることから、後にその小蝿は“スクリプト”と名付けられた。
小賢しく動き回るスクリプトを尻目に、何もできないまま兵士たちは大戦場を後にした。
大戦の初めての敗北だった。



アイム「はぁ、なるほど。それからスクリプトはどうなったんだ?」

集計班「K.N.C89年に再度現れましてね。今度は対処策を取っていたので、
責任をもって我々の手でスクリプトを捕まえましたよ」

まあ、歴史改変の影響でこのあたりの認識が皆さんと私とで違うとおもいますが。
そう断った上で、集計班はスクリプトに関して話を続ける。


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