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きのたけWARS ss風スレッド
- 1 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:18:40.76 ID:L0nBYOkw
- きのこ軍とたけのこ軍で"大戦"をすることで、時代が進むフシギな世界―
―きのこたけのこワールド―
最盛期は頻繁に大戦が行われ、お互いを憎みあい、お互いを意識し、撃破しあうことで、
兵士たちは情熱とやる気を保ち、世界は発展していった。
そんな栄光の時代も、今は昔。数多くの戦闘を経て、兵士たちはかつての大戦への熱気を失いつつあった。
大戦への希望と熱気で包まれていたかつての"大戦の歴史"は、
干満で怠惰が支配するものへと塗りかえられつつあった。
舞台は K.N.C歴175年。
ある日、大戦運営を管理する大戦会議所のもとに、記憶を失った
きのこ軍兵士とたけのこ軍兵士が流れ着く。
二人の兵士の登場を機に、大戦は徐々に熱気を取り戻し始める。
しかし、突然世界は意図せず"歴史"を塗り替え始める。
今現在の歴史だけではなく、過去の栄光までも無かったことにして、歴史を喰らう異型の存在――
― “DB” が世界の前に立ちはだかった―
DBを討伐するため。大戦の"歴史"を取り戻すため。
そして自分たちの"存在意義"を知るため…
様々な想いを抱きながら、二人の兵士を始めとした会議所兵士たちは、
時空を越え、過去を取り戻す旅をする…
『きのたけWARS 〜DB討伐〜』
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 58 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:51:51.04 ID:u1soAHaM
- 【K.N.C 175年 会議所 教練所 中庭】
山本「おらあ!もっと腰を使えッ!」
アイム「ハッ…ハッ」
山本「そんなヘナチョコな振りじゃ、たけのこ軍兵士は一人も倒せんぞッ!素振り500回追加!」
アイム「ちくしょーーーーーーーーてめえなんかすぐにぶっ倒してやるよーーー」
山本「いい心意気だが100大戦分早い。追加で素振り100回追加だ」
山本「オニロも同じく!きのこ軍兵士を倒したかったら手の軸を動かさずに素振りをすることを心がけろ!」
オニロ「はいッ!」
- 59 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:52:47.40 ID:u1soAHaM
- ??「ほう。なかなかスジがよさそうだな。これならば…」
791「どうかしたの魂さん?」
筍魂「うおッ!791さんじゃないか、どうしたの」
791「柱に隠れてコソコソ中庭観察している姿は、すごく怪しいよ」
筍魂「むう。まさか戦闘術魂の極意・『こころのめ』が見破られるとは」
791「いや。それ実際の目で見ているんじゃ…
ああ。そうだ、アイム君とオニロ君は山本さんの訓練を受けてるんだよね?」
筍魂「はい、そのようですが。まさか、先日の戦士適正検査の結果が来たんすか?」
791「そうだね。フフフ、私にもついに弟子ができそうだよ」
筍魂「ついにきのたけの大魔法使いが動き出すのか(震撼)」
- 60 名前:きのこ軍:2014/03/27 00:53:07.06 ID:u1soAHaM
- 投下終了。書き溜め分がなくてまずいまずい。
- 61 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/03/27 00:58:23.24 ID:mV9WubTQ
- たけのこ軍多すぎィ
- 62 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/03/29 20:02:21.16 ID:6CJEqvd.
- 筍魂とかいう痛いやつから無能臭がぷんぷんしますねえ
- 63 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:48:07.70 ID:9QD63dQc
- 【K.N.C 175年 会議所 ¢の部屋】
¢「こんなところまで呼んで悪い。戦士適正の結果が出たから、伝えておこうと思って」
アイム「随分と歩かされたな。こんな本部棟から離れたところに部屋があって不便じゃないのか?」
¢「いろいろなものを構築・開発するには、静かな場所に身を置くのが最適なのさ」
¢「さて、検査の結果、アイムは“戦士適正”としての数値が高く、オニロは“魔法適正”の数値が高かった」
オニロ「魔法かあ。今までの素振りが無駄になっちゃうのかな?」
¢「そうとも限らない。鍛錬で研ぎ澄まされた感性は、戦地において重要な武器となる」
アイム「戦士と魔法使いの違いがよくわからないんだが」
確かに、と¢は頷きさらに説明を続ける。
¢「一口に“戦士” “魔法使い”と表現しても、そこから更に分類分けされる。よく『兵種制』にたとえて表現するんだが。
ああ、兵種制とは我々会議所が大戦で用いているルールの総称だ」
- 64 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:50:03.57 ID:9QD63dQc
- アイム「山本教官から聞いているからわかっているよ」
¢「兵種を理解しているのならば話は早い。
戦士・魔法適正はさらにそこから5タイプに分類分けされる」
¢は、近くのホワイトボードをたぐり寄せ、兵種を書き始めた。
〜
○戦士 分類分け
『突撃兵』タイプ … 防御を捨てても、攻撃力特化で敵陣の突破を図る. 一点突破/猪突猛進
『狙撃兵』タイプ … 接近戦ではなく、遠方から静かに敵を屠る. スナイパー/接近戦弱
『爆撃兵』タイプ … 地雷設置や敵への強襲などで、敵の戦力だけでなく精神力まで削る. 設置作業/通常攻撃弱
『防衛兵』タイプ … 重装備で、敵の強大な一撃をも受け止める. 防御力大/攻撃力弱
『援護兵』タイプ … 特徴を持たないことが最大の特徴. 臨機応変に対応できる. 全タイプの行動可/器用貧乏
○魔法使い 分類分け
『前線兵(近接魔法)』タイプ … 近接魔法によって前線で敵を屠る.
『砲撃兵(遠隔魔法)』タイプ … 前線の兵をアシストする魔法を繰り出す.
『衛生兵(僧侶)』タイプ … 回復魔法に特化したタイプ. 後方支援での活躍が主となる.
『工作兵(補助魔法)』タイプ … 前線で攻撃をしつつ敵の罠も解除する、非常に危険な役目を担う.
『制圧兵(攻撃特化)』タイプ … 近接魔法と遠隔魔法を持ち合わせた攻撃特化タイプ. 反面、補助魔法はほとんど使えない.
〜
- 65 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:51:28.75 ID:9QD63dQc
- ¢「ざっとこんなところだ。同じ適正内でも、タイプによっては戦法や戦うフィールドが異なる」
オニロ「タイプは自分で決めるものなんですか?」
¢「自分で特定のタイプになりたいと強く思って選んでいる者もいる。
だが、大半の人物は鍛錬や実践での経験を積むうちに、自らのタイプ適性を見極められるようになり、
タイプ特化の訓練に励むようになる。お前らもおそらくそうなるだろう」
アイム「オレは突撃兵タイプかな」
¢「全てはこれからの経験次第だ。人によっては好戦的な性格でいながら、
衛生兵として後方支援を行うものもいる。こればっかりはなんとも言えんよ」
- 66 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:52:08.54 ID:9QD63dQc
- ¢「ああ。オニロ、お前は今日からアイムとは別メニューだ。
お前を一人前の魔法使いとして鍛えたいと名乗り出ている兵士が一人いてな。そいつの下で励んでほしい」
オニロ「了解」
アイム「オニロが別ってことは、オレもあの鬼教官から離れられるのか!?」
¢「お前は引き続き鬼教官の下で血反吐を吐くんよ」
アイム「がああああああああ!!」
- 67 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:53:10.73 ID:9QD63dQc
- 【K.N.C 175年 会議所 791の部屋前】
オニロ「ここが大魔法使いの部屋か…」
緊張した面持ちのオニロが部屋の扉を叩くと、間髪入れずに扉はひとりでに開いた。
オニロ「これは、入っていいってことかな?」
辺りを見回しながら、おそるおそるといった感じでオニロは部屋の中に入る。
物が整頓され清潔感が保たれた内部は、同じつくりである¢の部屋よりも広く感じられた。
オニロ「あのー。791さんがここにいると聞いたんですが…」
部屋の主は不在のようだった。オニロは困ったように部屋の内部を見回す。
−きのたけの大魔法使い791 通称・『魔王』それがお前の師匠だ−
¢の口からそう告げられた時、オニロは期待よりまず不安を覚えた。
鬼教官と呼ばれる山本が唯一頭の上がらない人物、その人が791だというのだ。
ただでさえ厳しい訓練を強いる山本がひれ伏す人物となると、自分は訓練中に死んでしまうのではないか。
オニロが覚える不安は至極当然のものだった。
- 68 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:55:51.45 ID:9QD63dQc
- 791「ああ、来ていたんだね。いらっしゃい」
オニロ「!?」
考え込んでいたオニロが視線を前に向けると、先程まで誰も座っていなかった椅子に一人の兵士が座っていた。
片手にはマグカップを持ち、柔和な笑みを浮かべる様子からは、とても山本よりも厳しい人物だとは感じられない。
791「ごめんごめん。コーヒーを煎れにちょっと下の階まで行っていたんだ」
オニロ「は、はい」
目の前で起こった事態に目をパチクリとさせながら、オニロはただ生返事を返すだけである。
791「山本さんから話は聞いているよ。今度の新人二人は腕がいいらしい、とね」
オニロ「は、はい」
- 69 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:57:10.78 ID:9QD63dQc
- 791「その内の一人の魔法適性が高いと聞いてね。この間の会議は欠席しちゃったし、
君たちがどんな人物なのかわからなかったけど興味があってね。
せっかくの機会だから弟子を持ってみることにしたんだ」
オニロ「は、はい」
791「…そんなに緊張しなくていいよ?」
話が頭にはいっているのかいないのか、ガチガチになりながら返事をするオニロに、
791は訝しげな視線をおくるも、すぐに「ああ、そうか」と納得したように手を叩いた。
791「空間移動術を見るのは初めてだったのかな?ごめんごめん、驚いたよね」
791「それに自己紹介もまだだったね。私はたけのこ軍兵士 791、魔法使いだ」
オニロ「お、オニロです。たけのこ軍兵士 魔法使い見習いです。よよよろしくお願いします」
【K.N.C 175年 会議所 その頃の教練所】
山本「また会えて嬉しいぜッ。死ぬほど鍛えてやるからなあ!」
アイム「ふっざけんなーーーーーーー」
筍魂「ふむ。腕をよく使えた実に良い振りだ…」(こころのめ
- 70 名前:きのこ軍:2014/03/29 20:58:06.80 ID:9QD63dQc
- 投下終了、略して投了です。
次回は第175次大戦まで書けたらいいな(希望的観測
- 71 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/03/29 22:09:54.09 ID:QgoRR2eM
- 魔王にワロタ
流石すぎる
- 72 名前:社長:2014/03/30 02:37:01.27 ID:3./LEzZQ
- 魔王様こわいよお
- 73 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:26:12.86 ID:JxoG5f2s
- 【K.N.C 175年 会議所 ???】
深夜の丑三つ時、風音に紛れ、二人の兵士の囁く声が聞こえてくる。
??「二人は順調のようですね」
??「そのようです。しかし、まさか“窮地を救う英雄”が二人もいるとは…」
「一人とは書かれていません。それに、別に二人でも構いません。
そこに書かれている内容が本当だとしたら…」
「会議所は遠くない未来、滅亡する。ですよね?」
「はい。それだけはなんとしても避けなければいけない。
二人には何としてもすぐに一人前の兵士になってもらわなければならない」
「二人には“あの場所”に行かせたほうがいいのでは?」
「まだ早くないですか。それに、書に書かれていないことを実行するわけにはいきません」
「ですが、状況によっては手遅れとなる可能性もある。やはり一度は、見せておいたほうがいいのでは」
「…考えておきましょう」
━━━━━━━━
━━━━
━━
- 74 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:27:32.68 ID:JxoG5f2s
- 【K.N.C 175年 会議所 談話室】
791「魔法使いが、大戦を含む戦闘では5つのタイプに分かれるという話は既に聞いているよね?」
オニロ「はい。兵種の種別に則って『前線兵』『砲撃兵』『衛生兵』『工作兵』『制圧兵』に分かれると」
791「そうだね。でも、どんなタイプになっても、全ての魔法使いには、自分の核となる『得意魔法』が
必ず存在する。まずは、その得意魔法領域を伸ばさなくちゃいけないんだ」
オニロ「タイプに分かれるよりも先に、ですか?」
791「最悪、タイプは途中で変更することも可能だからね。
あー、極稀に変えられない場合もあるけど。まあそれはそれとして」
791「黒砂糖さんに会ったよね?あの人は『具現魔法』の使い手なんだ」
オニロ「具現魔法というと、描いた絵が実際に動き出すものが当てはまるんでしょうか?」
791「そうだね。あの人は空想上の産物を具現化することができるんだよ。
絵チャットサロンは、部屋全体に黒砂糖さんお手製の魔法陣が仕込んであるから、
いつでも絵を具現化できるんだ」
オニロ「やっぱりすごい人だったんだ…」
791「たけのこ軍のジンさんは『回復魔法』に長けているし、
きのこ軍のsomeoneさんは『反撃壁魔法』に長けているね」
- 75 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:28:41.69 ID:JxoG5f2s
- オニロ「皆さんいろいろな能力を持たれているんですね
…あの、社長?とかいう人も魔法使いなんでしょうか」
791「え?社長?たけのこ軍の?うーん、どうだったかなあ。社長は魔法使いだったっけ」
オニロ「いや。てっきり、社長さんが話されている言語は魔法の詠唱かなにかとばかり…」
一瞬きょとんとした791だが、すぐに笑い出した。
791「あははッ、おもしろいねオニロ君。確かに社長の話している言葉は意味不明だし難解だけど、
あれは詠唱ではないよ。詠唱、詠唱か。ふふッ」
笑いのツボにはまったのか、791は何度も笑いをこらえようとしている。
自分の言ったことが突拍子もないことだと理解し、オニロは赤面した。
791「まあ、ただオニロ君の予想は当たらずといえども遠からずかな。社長はね、占い師なんだ」
オニロ「占い師?」
- 76 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:30:49.66 ID:JxoG5f2s
- 791「うん。聞いてなかった?社長はね、未来を見通す力があると言われているんだ。
たまにビビッと来る時があるらしくて、その時はみんなを集めて会議所に関する予言をするんだ」
791の話が終わるのを待っていたかのように、ノイズに混じり会議所中にアナウンスが流れた。
『みなさま、会議のお時間です。本部棟の議案チャットサロンにお越しください。
本日はたけのこ軍兵士社長から新たな予言を発見したとの話を聞いております』
791「…こんな風にね」
- 77 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:32:32.99 ID:JxoG5f2s
- 【K.N.C 175年 会議所 議案チャットサロン】
オニロと791が到着すると、円卓テーブルにはなぜか紙パックに入った納豆が置かれていた。
丁寧に、各人の椅子の前に一つずつ置かれている。
集計班「おや、お早い到着で」
社長「ぼくはマローシン」
サロンでは、既に集計班と社長が自分の席に着き皆の到着を待っていた。
オニロ「こんばんは。えと、この大量の納豆は?」
集計班「社長が予言で使う物だそうです。まあ呪術の道具だと思っていただければ」
オニロ「は、はあそうですか…」
果たして紙パックの納豆が呪術道具となるのか。
頭に疑問符を浮かべながら、オニロはあてがわれた席に着いた。
- 78 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:33:45.79 ID:JxoG5f2s
- アイム「なんだこの臭い、くさッ!」
サロンに入るやいなや、アイムは顔をしかめた。
アイム「なんだよ、これは」
社長「こんにちな!」
オニロ「納豆だってさ」
アイム「いや、それはわかるんだが…」
オニロ「社長さんが占いで使うための道具らしいよ」
アイム「あの意味不明野郎がか?」
社長「オニロ君説明ありがとう!やっ」
オニロ「いえいえ」
アイム「…会話できるのか、こいつと」
- 79 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:35:38.87 ID:JxoG5f2s
- 〜しばらくした後〜
集計班「ではあらかた人も揃ったところで、今晩の会議を始めましょう」
集計班「さて。事前の告知通り、今夜は社長が予言をします。
まずは、みんなで聞いてみましょう。社長、準備はいいですか?」
社長「いいぜ。」
社長はそう言って、立ち上がりテーブルの周りを歩き始めた。
社長の顔はいつもどおりバグってはいるが、表情は真剣そのものだ。
他の会議所兵士も、じっと社長の様子をうかがっている。
アイム「…」
いつも社長をバカにしているアイムも、この時ばかりは固唾を呑んで見守っていた。
会議所の未来を占う予言だ。注目しないはずがない。聞けば、どうやらK.N.C170年頃の占いでも
アイムとオニロの会議所出現を予感させる占いをしているのだという。
― 馬鹿にしていたが、実はとんでもない奴なんじゃないか ―
社長への評価を改めようと、アイムが思い悩もうとしたその矢先−
- 80 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:36:12.26 ID:JxoG5f2s
- 社長『だが、あるひ…』
アイム「!!」
社長は大声で、何事かを喋り始めた。
占いの始まりである。
- 81 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:37:06.80 ID:JxoG5f2s
- 社長『ゆうしょうこんらんです。』
そう言って、社長は突然その場でクルクルと回り始めた。
呆気にとられて、アイムとオニロはポカーンと口を開けながら社長の奇行を見守る。
そして、社長はサロンの入り口まで移動すると右拳を振り上げた。
社長『みごとライアンはかちのこった!』
入り口に移動したかと思うと、社長は近くに座っていた抹茶の納豆を指さす。
社長『そしてこの納豆美味しいよね〜』
抹茶「えっ」
抹茶は思わず自分の紙パックの納豆と社長の指とを交互に見合わせるも、
社長はそんな抹茶にはお構いなくすぐさま隣の席へと移動する。
- 82 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:38:17.97 ID:JxoG5f2s
- 社長は席に置かれている納豆を指さしてはそのたびに『美味しいよね〜』と連呼している。
そして、最後にアイムとオニロの席に社長が近づき。社長の動きがピタリと止まった。
アイム「…な、なんだよ」
先ほどまでの饒舌が一転し、押し黙ってしまった社長にアイムはぶっきらぼうに声をかける。
しかし、アイムの言葉を無視するように社長はアイムとオニロの前に置かれている納豆を
二つ同時に手にとり、初めて周りの兵士とは違う言葉を発した。
社長『う〜ん、どうかなぁ?』
アイム&オニロ「!!」
そっと社長は二人の納豆を元あった場所に戻す。
そして、何事もなかったかのようにスタスタと自分の席まで戻る。
- 83 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:38:52.69 ID:JxoG5f2s
社長『こうして森部拳は 永遠にその姿を消した……』
最後に一言そう呟き、社長は静かに席に着いた。
長い沈黙が会議所を覆う。
アイム「…は?もしかして終わり?」
社長「あ、終わりです」
呆気ないほどに、予言は終わった。
- 84 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:40:17.08 ID:JxoG5f2s
- 集計班「お疲れさまでした社長。手元の納豆でもどうぞ」
社長「納豆は飲み物」
集計班「さて、予言も出たことですし、それでは次の議題に…」
アイム「ちょっと待ったああああああああ!!」
アイムの叫び声が会議所内に木霊する。
集計班「どうしましたかアイム君。あ、発言は座ったままでかまいませんよ」
アイム「いや、意味がわかんねえよ。予言て、あのハチャメチャな言葉がそうなのか?」
参謀「そのようやな。社長の言葉をつなげると
『だが、あるひ… ゆうしょうこんらんです。みごとライアンはかちのこった!
そしてこの納豆美味しいよね〜 う〜ん、どうかなぁ?
こうして森部拳は 永遠にその姿を消した……』
と、なるなあ」
ビギナー「今日も今までと同じぐらいの長さなんですかね、予言は」
参謀「そうやな。まあ今日は比較的動きが激しかったから、そういう意味では今までとちょっと違ったな」
- 85 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:41:22.64 ID:JxoG5f2s
- 集計班「いやあ。今日の社長の予言も鬼気迫るものがありましたね。それでは次の議題に…」
アイム「待て待て待てッ!!」
何事もなく進行する会議に、再度アイムが歯止めをかける。
アイム「占いの意味はいったいなんなんだよ!」
社長「わかりませんえん」
アイム「…は?」
社長「さむいよお」
斑虎「たんまたんま!アイムたんま!」
思わず殺意を抱いたアイムが剣を抜きそうになるが、
隣に座っているオニロとたけのこ軍兵士斑虎が必死に思いとどまらせる。
- 86 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:42:57.99 ID:JxoG5f2s
- 集計班「占いは“きれぼし語”で私たちに伝えられます。そして、占いの内容は
予言者である社長をもってしてもわかりません。
社長曰く『ある日ビビッと頭のなかに予言が届く』ということなので」
参謀「きれぼし語を理解している社長でもな。つまり、社長はただ言葉を伝える
橋渡し役に過ぎんちゅうことや」
オニロ「それは果たして予言なんでしょうか…」
社長「それは一理ありますね。」
オニロが至極当然の質問をすると、神妙な顔で集計班は「確かに」と頷く。
集計班「社長の予言の内容は、きれぼし語という解読不能な言語をもって
伝えられるため私たちが理解することはできません。しかし、社長が予言をしてからしばらくすると、
予言の内容と思わしき出来事が起こるのです!」
たけのこ軍兵士 椿「そういえば、前回の予言はアイム君とオニロ君の登場を当てていたんでしたっけ」
社長「やるねえ!」
アイム「そう、その話だ!それは本当なのかよ。今の予言の内容を聞くばかりじゃ、
とてもそうだとは信じられねえがな」
きのこ軍兵士 きのきの「ふむ。そういえば、前回の予言は私も聞いてなかったな。
どんな内容だったんだろう。社長さん、もう一度できる?」
社長「いいぜ。」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 87 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:44:18.90 ID:JxoG5f2s
- 社長はすっくと立ち上がり、突然奇声を発し始めた。
社長『アァー!(甲高い喘ぎ) 下から突いてくるなんて思っていなかったもの//』
過激な占いの内容を淡々と大声で読み上げるその光景は、
見る者にとっては頭が痛くなるものだった。
社長『チョ!チョーク!(甲高い喘ぎ)』
アイム「…」
アイムは静かに肩を震わせている。
社長『なかっそこち崎哲夫 テイルアタックきた!?』
そして、すっと席に着く。
社長「うん ピ おわりの章」
アイム「…それで、この発言のどこが俺たちの登場を予感させるんだ?」
怒りではやる気持ちをおさえながら、静かにアイムは尋ねる。
- 88 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:47:31.32 ID:JxoG5f2s
- 参謀「予言の全文は
『アァー!(甲高い喘ぎ) 下から突いてくるなんて思っていなかったもの//
チョ!チョーク!(甲高い喘ぎ) なかっそこち崎哲夫 テイルアタックきた!?』
やな」
集計班「最後の『テイルアタックきた!?』という発言に注目してください。
『きた!?』という言葉は期待を込めた登場を予感させます。そして、テイルアタックという
名前の響きはどことなく奥義っぽい。そして、奥義は奥の手、つまり奥義を出す場面は一度か二度。
つまり、この発言で奥義が初めて登場する可能性が高い。
このことから、“会議所に期待の新人が来る”、といった内容を予想できるというわけです」
アイム「…」
アイムは思わず頭を抱えた。
社長「おめえはよお 考えが甘いんだよ!」
アイム「ピキッ…殺す」(スチャッ)
斑虎「たんまたんまたんまたんま!アイムたんま!」
今にも社長に襲いかかろうとするアイムを、斑虎とオニロが必死に宥める。
- 89 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:48:52.32 ID:JxoG5f2s
- オニロ「そ、その他の予言の内容は解読できたんですか?」
隣で口から静かに息を漏らすアイムを横目で見ながら、
取り繕うようにオニロが質問する。
加古川「社長の言葉には謎が多いんでなあ。おそらくもっと考察すれば、
予言の内容もわかるのかもしれん。だが、今はそれ以上のことはわからんよ」
¢「まあ話半分で聞いておいたほうがいいのかもしれん」
集計班「そうですねえ。期待してもらったところ悪いですが、予言ですぐに
未来がわかるというわけではないのです。どちらかというと、後から答え合わせをする
といった感じです。誤解させてすみませんでした」
社長「しかたなし」
アイム「…」
集計班「さて。それでは、次の議題に行きましょう。第175次大戦ですが近々開催の……」
その後の会議は粛々と進んだのだった。
- 90 名前:きのこ軍:2014/03/30 22:49:51.06 ID:JxoG5f2s
- 次回 初の大戦
占い予言パートに時間さきすぎい!
- 91 名前:社長:2014/03/30 22:50:41.87 ID:3./LEzZQ
- 破門してくださいッ!乙だぞ。
- 92 名前:きのこ軍:2014/04/09 00:58:02.11 ID:SFISJWmI
- 【K.N.C 175年 会議所 室内教練所】
791「じゃあ、もう一度始めから」
オニロ「はい!」
きのこる先生「?」
オニロは目を閉じて、全神経を目の前のきのこる先生に集中させる。
オニロ「ッ!」
拳を握った両手を上げると、目の前のきのこる先生はオニロの動きに釣られるようにふんわりと宙に浮いた。
オニロ「ッ!!」
そして、オニロが拳を前に突き出すと、きのこる先生は宙に浮いたまま、
壁に吸い込まれるかのように垂直に引っ張られていった。
きのこる先生「!」
ボコ、と小気味良い音が室内に響き、きのこる先生は高速で壁に当たった反動で気を失った。
崩れ落ちて地面でうずくまっているその姿は、萎びたきのこそのものである。
- 93 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:00:27.62 ID:SFISJWmI
- 791「おお。なかなかいいね。“念動”の精度、スピードともに上昇している」
オニロ「ありがとうございます!」
黒砂糖「なかなか悪趣味な練習だけどな」
苦笑しながら、黒砂糖は自ら具現化したきのこる先生を消し去った。
791「大戦も近いからね。打倒きのこ軍の練習方法としては、こうやってきのこる先生を相手にするのが一番だよ!」
- 94 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:03:10.18 ID:SFISJWmI
- 791「やっぱり魔法はスピードとパワーだよ。それを忘れてはいけないよオニロ君」
オニロ「はい師匠」
791「それじゃあ今度は複数の敵兵に囲まれた場合を想定して訓練をしよう。黒砂糖さん、頼むよ」
黒砂糖「はいはい」
黒砂糖は一つ溜息をつき、手に持つスケッチブックに流れるような筆さばきで絵を書き始める。
そして、仕上げに、描き終わった用紙を筆でトンと一つ叩いた。
その瞬間、スケッチブックからニョキニョキと大小様々なきのこる先生が次々とオニロたちの前に
姿を現し始めた。総勢10体程度のきのこる先生がオニロを取り囲む。
- 95 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:05:58.97 ID:SFISJWmI
- 791「では始めよう。実践訓練だ。オニロ君、その窮地を乗り越えてみせてよ」
開始の合図に、791はパンと両手を叩くと、それまで辺りを見回していたきのこる先生は一斉にオニロへ向き直る。
今にもオニロに襲いかからんと、オニロとの間合いをジリジリと詰めている。
オニロ「ッ!!」
オニロの動きは素早かった。自身が得意とする念動魔法で、一体のきのこる先生をすぐさま宙に浮かせる。
動揺して一瞬足を止めた他のきのこる先生の隙を見逃さず、宙に浮かせたきのこる先生を自身の死角と
なっている後方に投げ飛ばす。
完全に足を止めたきのこる先生を尻目に、オニロは、自身が作った包囲網の隙間に向かって突進する。
横にいるきのこる先生に念動をかけて、動きを止めることも忘れない。この間僅か数秒で、
オニロは包囲網を突破することができたのである。
しかし、きのこる先生の動きも俊敏であった。オニロの手によって足を止められた数匹を除いて、
残りはすぐにオニロの動きを察知し、襲いかかる。
オニロ「『モンポケフラッシュ』!!」
オニロの持つ杖の先から、眩い光が発せられる。きのこる先生は一瞬顔を顰め、オニロから目を逸らし態勢を崩す。
オニロにとって好機。想定通りの展開運びだった。
オニロ「『マルチブルランチャー』!!」
光を溜めこんだ杖先から放たれるホーミング弾が的確にきのこる先生を捉え、爆発する。
目標とする敵が多ければ多いほど威力が上がるこの魔法は、今のオニロの状況には最適な攻撃手段だった。
- 96 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:24:36.56 ID:SFISJWmI
- 791「おーけー!それぐらいでいいよオニロ君」
手を叩きながら、791はオニロに声をかける。
黒砂糖「この短期間で連続魔法を取得できているとは。いや、恐れいったな」
791の隣にいる黒砂糖は目の前の出来事に目を丸くしている。
791「本人の素質もあるけど、一番は師の教えがいいからかな?」
黒砂糖「ハハッ、違いない」
笑いながら黒砂糖は残ったきのこる先生を消し去る。
- 97 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
- DB様のお通りだ!
- 98 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:28:33.11 ID:SFISJWmI
- オニロ「ご指摘いただいた点は理解しました。では、師匠でしたら、あのような場面ではどうするんでしょう?」
791「ん〜私?私ならなあ…」
791はそう言葉を切って、黒砂糖をチラリと見る。791の意図を察した黒砂糖は、一つ溜息をつき、
再びスケッチブックにきのこる先生を描き始めた。
あっという間に791をきのこる先生が取り囲む。
791「私の場合だったら、こうするかなあ」
791は茶目っ気たっぷりに、チョコンと人差し指を突き立てる。そのまま数秒、特に変化はない。
痺れを切らし、きのこる先生が791に襲いかかろうとした、その時。
オニロ「!?」
791「『ネギ流星群』」
- 99 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:29:16.36 ID:SFISJWmI
- 791「『ネギ流星群』」
頭上を幾多のネギが覆い、そしてきのこる先生に一斉に降りかかる。
降り注がれたネギはその場で粉塵爆発を起こし、連鎖的に他のネギも巻き込んで起爆させる。
爆ぜる音が止むことなく、きのこる先生は逃げる暇もなく、火の海に巻き込まれていく。
気がつけば、爆発によって発生した炎の渦は791を取り囲むような円になり、
当然そこにいたはずのきのこる先生たちの姿はない。
791「まあお手本程度にね」
オニロ「…師匠のほうがよっぽど強引だと思うんだけどなあ」
- 100 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:33:19.09 ID:SFISJWmI
- 【K.N.C 175年 会議所 年末 第175次きのこたけのこ大戦開始直前】
集計班「えー。では指定の時間が近づいてきました。皆さん、大戦場に移動しましょう」
会議所に留まる兵士たちは、集計班の号令で一斉に大戦場に移動を開始した。
会議所の正門を出て西に位置する大戦場は、既にきのこの山やたけのこの里で生活をする一般兵士で賑い、
大戦の開始を今か今かと待ちわびているという。アイムが最初に意識を取り戻した場所でもある。
アイム「おい、オニロ」
アイムは会議所の門の前でオニロに声をかける。アイムがオニロに話しかけることは至極珍しい。
思わずオニロは嬉しくなり、人懐っこい笑みでアイムの言葉に応えた。
オニロ「なにかな?」
アイム「…今日の大戦に関してだけど」
オニロが近寄ってくるので、一定の距離を保つべく下がりながらアイムは言葉を続ける。
アイム「オレと一緒に撃破数を公開しないか?」
オニロ「公開?」
- 101 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:38:27.25 ID:SFISJWmI
- アイム「撃破数を会議所内で大々的に公開するんだよ。大戦の撃破数で」
大戦の参加者は、自らの手で倒した敵兵を撃破数としてカウントして、大戦終了時にそれぞれの軍本部に報告する。
撃破数が大戦における兵士の活躍ぶりや強さを示す直接のバロメータであり、大戦に精を出す兵士ほど撃破数に強いこだわりを見せる。
仲間内に自身の強さとしての撃破数を誇示したり、大戦の安定した撃破数の多さで社会的地位を築いている兵士もいる程である。
撃破数の申告は強制ではないが、今や大戦参加者にとっては欠かせない要素となっていた。
アイム「俺たち二人は、今次大戦でデビューする、あのインチキ占い師の言葉を借りるところの
“期待の新人”だ。会議所内外からの注目の的であるところは疑いようもない」
アイム「二人の成果をお互いに提示しあうことで、きのこ軍とたけのこ軍の希望の星として、
大戦の士気向上に貢献するのさ。それができる」
アイムは一気にまくし立てる。嘘をつくときは間を持たせずに、歯切れよく喋ることが、
自分にとって疑いを持たせにくいコツであることをアイムは理解していた。
一方で、そんなアイムの心情など露知らず、オニロはアイムの言葉に胸を打たれ、体を震わせている。
オニロ「すごいよアイム!自分のことばかりじゃなくて、軍全体のことも考えているなんて、
ボクは感動したよッ!!」
アイム「おうそうか。それで撃破数の話はどうだ?」
オニロ「もちろんその話を受けるよッ!何も撃破でお互いを競うんじゃない。
撃破数で軍全体を元気にするんだよね!ありがとうアイム!」
オニロは感激しながらアイムの両手を握り、たけのこ軍の隊列に戻るために走ってアイムの下を去っていった。
- 102 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:42:31.30 ID:SFISJWmI
- そのオニロを、似合わない爽やかな笑顔で見送っていたアイムだが、オニロの姿が見えなくなった途端、
一つ悪態をつき元の無愛想な表情に戻した。
アイム「誰が軍のためなんかにやるかよ…」
先ほどの爽やかな笑顔は一転して、不敵な笑みをこぼしながら、アイムはギラギラとした目つきで
たけのこ軍の隊列を睨むように見つめる。
アイム「きのこ軍、たけのこ軍。この際、今はどちらでもいい。
オニロ、オレはお前なんかのあまちゃんには負けない。負けてたまるかよ…」
アイムは先ほどオニロに握られた拳を固く握りしめる。拳は何重にもテーピングが巻かれ、
いかに激しい鍛錬をこなしてきたか物語っていた。
アイム「見ていろよ。大戦後に、誰が一番強いのか思い知らせてやるッ…
魔法でヌクヌク練習していたお前を、オレが思い知らせてやるよ…」
静かで物騒な闘志がアイムを支配しつつあった。
- 103 名前:きのこ軍:2014/04/09 01:43:07.20 ID:SFISJWmI
- 大戦パートを書くと言っていたな。あれは嘘だ。
- 104 名前:きのこ軍 もう寝るソン:2014/04/09 03:09:01.90 ID:SFISJWmI
- >>97
訂正
791「目眩まし魔法からマルチブルランチャーへ繋ぐコンボは非常にいい選択だね。
ただ、念動魔法で包囲網を突破するのはちょっと強引かな。
今回は成功したけど、場合によっては不発となる可能性がある」
オニロ「はい、念動魔法で先手を取れるとは限らないということですね」
791は冷静に、今のオニロの行動を分析しコメントしている。その791のフィードバックを一言も聞き漏らさずに
全て吸収しようと、オニロは791の一挙一動に頷いて、納得がいかなければ質問や意見を791に投げかけたりしている。
- 105 名前:たけのこ軍 筍魂:2014/04/09 20:56:18.44 ID:huPoLMl2
- Vやねん!アイム
撃破王待ったなし!
- 106 名前:社長:2014/04/10 00:45:50.25 ID:dCo6/rKU
- 社長はタネフフ
- 107 名前:名無しのきのたけ兵士:2014/04/10 00:54:29.80 ID:TiyYgS8g
- う〜ん、どうかなぁ?
- 108 名前:きのこ軍:2014/04/13 01:09:17.50 ID:gGJMevgs
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場】
会議所から歩いて数十分、生い茂ったきのこたけのこの森を抜けると、そこは一面の荒野だった。
草さえ生えぬ荒れ果てた褐色の土地は、長きにわたる勝負が行われたことを物語っていた。
広大な戦場の入り口付近では、白色のジャンパーを着た兵士が、入場待ちをしている兵士の周りを
慌ただしく走り回っている。
アイム「あれはなんだ?」
¢「大戦の運営を補佐する係さ。通常は会議所から係を立てて、大戦の進行をスムーズにしているのさ」
確かに、見覚えのある顔が何人か走り回っている。
アイム「ふーん。それで、いつになったら入場できるんだ?」
アイムたちを始めとしたきのこ軍兵士たちは、長蛇の列を形成して大戦場への入場を待っていた。
- 109 名前:きのこ軍:2014/04/13 01:13:20.81 ID:gGJMevgs
- ¢「係員が階級章を配っているんだ。今夜は階級制ルールだからね」
アイム「そういえば階級てのは、自分の意志では決定できないのか?」
参謀「せやな。まあどの階級になるかは運試しちゅうところやね」
数人の係員でこの長蛇の列を捌ききれるのかアイムは不安に感じていたが、
以外にも列の消化は早かった。
さすがに何百回も大戦を経験していると、嫌でも体が覚えてしまうのだろうか。
最後尾に並んでいたアイムたちも数分後には大戦場の入口まで動くことができた。
係員「はい、どうぞ。お、アイムか。期待しているぜ」
そういって力強くアイムに階級章を渡す係員は、紛れもないきのこ軍兵士だった。
参謀「あーワイは軍曹¶か。まあまあやな」
アイム「一等兵〓か」
参謀「まあ新人としては十分の階級やね」
もらった階級章を胸に付け、アイムは二度目の大戦場へ足を踏み入れた。
- 110 名前:きのこ軍:2014/04/13 01:20:01.52 ID:gGJMevgs
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場 きのこ軍陣営】
大戦場は東西にそれぞれの軍陣営が本部を設置している。
大戦では、敵陣営を攻め落とすか、敵軍の戦力を全滅させるかで勝敗が決する。
互いに死力を尽くす戦いではあるが、兵士は生き死にを賭けた戦闘を行うわけではない。
山本『大戦場は不思議な魔法結界が貼られていて、たとえ致死量のダメージを負っても死ぬことはない』
山本『一定以上の傷を負った兵士は戦闘不能とみなされ、自動的に魔法陣で軍陣営まで転送される。
転送後は傷の深さによって戦闘を継続するか、戦闘不能とするかは兵士や軍の裁量に委ねられるんだ』
酷くしごかれた鬼教官の顔を思い出し、アイムは苦虫をすり潰したような顔になった。
アイムがいるきのこ軍陣営では、兵士がおのおの自分で使う武器の手入れや
地図を広げ作戦の確認を行っていたりと戦闘前の準備に勤しんでいる。
手持ち無沙汰になり、辺りを暫く見回していたアイムだが、ふと疑問に思ったことがあり、近くにいた
先輩のsomeoneに声をかける。
アイム「そういえば、大戦の勝敗って誰が判断してんだ?」
someone「集計係、大戦の勝敗を判断していますよ」
someoneはそう言って、遠くにある小高い丘を指さした。
小高い丘の頂上部には、集計班が双眼鏡で戦場を見渡しているとともに、
その横には「本日の集計係」と書かれた蛍光色のノボリが風にたなびいている。
- 111 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
- DB様のお通りだ!
- 112 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
- DB様のお通りだ!
- 113 名前:DB様のお通りだ!:DB様のお通りだ!
- DB様のお通りだ!
- 114 名前:きのこ軍 レス修正だ:2014/04/13 03:01:03.97 ID:gGJMevgs
- アイム「…あれが集計係だな。実にわかりやすい」
someone「集計さんを挟んでノボリとは対極の位置に、機材が置いてあるの見えるかい?
あれが集計を行う機械みたいだよ」
目をこらして見ると、ビデオカメラのような小型機材を、集計班の背の高さほどの三脚が支えている。
someone「あれが集計ツールと呼ばれるもので、今はあの機械が戦況を瞬時に把握しているようです」
機材のレンズは冷たく戦場を見下ろしているように見えた。
アイム「へ〜、それは優れ物だな。じゃあ、その横にいる集計さんいらないんじゃねえの?」
someone「…確かにそうですね」
¢「集計ツールは誰かがスタートボタンを押さないと起動しないんよ」
アイムたちの横で自分の武器を手入れしていた¢が話に入りこむ。
¢「一昔前には、集計係は双眼鏡片手に自力で戦況を把握していたからな。
それに比べれば大きな進歩なんよ」
アイム「機械が自動で戦況を判断するなんて、相当高度な技術だな。
そのうち、機械自身が勝手に集計を始めたりしてな」
someone「自我を持った機械かあ。あれ、そういえば、自動で動き回る機械というのが昔存在したような…?」
アイム「そうなのか?」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 115 名前:きのこ軍 レス修正だ:2014/04/13 03:05:03.40 ID:gGJMevgs
- 『ぶお〜〜〜』
その時、まるで3人の会話を遮るように、気の抜けたような大法螺の音色が、
乾いた戦場の空気を震わせた。丘を見ると、どこから取り出したのか集計班がドヤ顔で大法螺を吹いている。
『お待たせいたしました。これより第175次きのこたけのこ大戦を開始いたします』
集計班の声が戦場中に響き渡る。マイク等の音声増幅器を用いていないことから、
これも魔法の力なのだろう。
『では、合図とともに始めます』
会議の時と同じく抑揚のない集計班の声が戦場中に響く。
どうも緊張感にイマイチ欠ける印象を持つが、今自分が戦場にいることを思い返し、
アイムは徐々に緊張感と高揚感が高まっていくのを感じていた。
雑話で賑わっていた戦場が、波をうったように静まり返る。
剣の柄を持つ手に自然と力が入る。
『ファイエルッ!!!』
地鳴りのようなきのこ軍兵士の咆哮の大合唱が起こり、大戦の火蓋が切って落とされた。
- 116 名前:きのこ軍 レス修正だ ふざけんななんで本スレに…:2014/04/13 03:16:42.58 ID:gGJMevgs
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場 たけのこ軍陣営】
『ファイエルッ!!!』
山本「それでは作戦を開始するッ!!」
円陣を組むでも大声を上げるわけでもなく、たけのこ軍兵士は淡々と一斉に行動を開始した。
オニロも前線部隊としての任務を全うすべく、支給用の銃火器を手にとった。
791「オニロ君!」
オニロの背後から、791の言葉が降りかかる。
791「いざとなったらその武器は捨てて構わないよ。戦場ではスピードこそ命だ。君の持つ魔法のスピードと、
身のこなしのスピードを優先しなさい」
オニロは師の言葉に緊張気味に何度も頷き、静かに移動を開始した。
791「霧が出ているね…無事だといいけど」
- 117 名前:きのこ軍 レス修正だ:2014/04/13 03:18:55.61 ID:gGJMevgs
- じゃあ僕心身疲労しているから
- 118 名前:きのこ軍:2014/04/15 00:57:58.43 ID:TCfog6pA
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場 中央地点付近】
きのこ軍 ゴダン大佐▽「やけに静かだな…」
アイムたちの部隊は前線の主力部隊として、自陣と敵陣の中間地点付近まで侵攻していた。
アイム一等兵〓「…」
今のところ敵軍との遭遇はない。それどころか、他部隊が敵軍と交戦している様子すらない。
不気味なほどに戦場は静まりかえっている。
アイム一等兵〓「…」
開始直後から立ち込めている霧で、自分の部隊以外の状況が全く見えない中で、
アイムは静かに待ち構えている。戦果を流行る気持ちをおさえ塹壕に身を潜めながら、
ただ戦闘が来る時をじっと待っていた。
きのこ軍兵士A「うおおおおおもう待てねえぞ!!」
沈黙に耐え切れなくなったのか、一人のきのこ軍兵士が塹壕から立ち上がり雄叫びを上げる。
それに呼応したように、何人かの腕っぷしが強いきのこ軍兵士も立ち上がる。
ゴダン大佐▽「待て!まだ本部から突撃命令は下っていないぞッ!」
きのこ軍兵士A「もう待てねえ!俺はいくぜ!!!」
塹壕から飛び出し、数人のきのこ軍兵士は敵陣営へ向かって突撃を開始した。
そして、その命取りな行動が皮肉にも戦闘開始の号砲となった。
- 119 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:03:07.37 ID:TCfog6pA
きのこ軍兵士A「ぐはあッ!!」
乾いたスナイパーライフルの銃声とともに、飛び出したきのこ軍兵士はその場で倒れる。
致死量のダメージだったのか、その場で魔法陣が展開し、その兵士はすぐに転送されてしまった。
きのこ軍兵士B「なんてこった!この霧でも正確に撃ちぬいてくるてことは、敵は近くにいるぞ!!」
ゴダン大佐▽「みんな落ち着くんだッ!!ここは一回態勢を立てなおして…」
ゴダン大佐▽の命令は、血気盛んなきのこ軍兵士に届くことはなかった。
目の前の武勲を求めて、多くのきのこ軍兵士が塹壕を飛び出し闇雲に敵陣に向かって駆け出した。
アイム一等兵〓「無駄だよ大佐。脳筋の奴等には、あんたの命令なんてわかりっこないって」
アイムは目の前の指揮官にいくらか同情したが、すぐに目の前の戦場に視線を移した。
目の前に置かれている餌に食いついて罠にかかってはいけないのだ。部隊が崩壊寸前の状況にあっても、
アイムは泰然自若の構えで眼前の戦場に目を凝らす。
勇猛果敢で無謀な兵士は、立ち込める霧でその後ろ姿をかろうじて捉えられる程度だ。
この霧の深さでは5m先の標的は狙い撃つことはできないだろう。自軍兵が狙撃された地点から
半径5m以内に敵部隊は潜んでいる。アイムは確信した。
間髪をいれずに、アイムは敵部隊についても考察する。
敵部隊の規模は、おそらく主力を含んだ本隊か斥候部隊のいずれか。
もし、遭遇した部隊が斥候部隊だった場合、敵軍に自軍部隊の情報が筒抜けとなり、
戦況はきのこ軍にとってかなり不利となる。戦線を維持するためには、即断即決で
敵軍斥候部隊を排除するしかない。ただし、斥候部隊との交戦に時間をかければかけるほど
相手軍に熟慮する時間を与えてしまうことになる。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 120 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:04:32.84 ID:TCfog6pA
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場】
『ぶお〜〜〜 現在の兵力は85:90でたけのこ軍が有利です』
定期的に気の抜けた大法螺の音とともに、戦場中に戦況が伝えられていた。
オニロ有するたけのこ軍少数精鋭部隊は、雪中行軍ならぬ霧中行軍を敢行していた。
オニロ曹長†「たけのこ軍の兵力が減っている、ということは
どこかの部隊がきのこ軍と戦闘状態にあるということですね?」
スティーブ大尉‡「そういうことだな。情報が伝わってきてはいないが、
どこかの部隊に敵軍が“引っかかって”くれたんだろう」
オニロ曹長†「先程出くわした敵軍部隊は、敵の主力部隊なんでしょうか?」
スティーブ大尉‡「いや、あいつらはおそらく偵察兵、斥候部隊だろうな。しかし、見事な殲滅戦だった。
お前のポイフルバーストがなけりゃあ偵察兵を取り逃して大変なことになっていたな」
オニロ曹長†「いえ、大尉の的確な迎撃があってこそです」
恥ずかしそうに、オニロは鼻をかいた。
斑虎二等兵=「しかし、この霧にはどこか親しみを感じるな…鴎、霧」
ヒノキ曹長†「先を急ぎましょう。グズグズしていると作戦が失敗してしまいます」
- 121 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:05:50.08 ID:TCfog6pA
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場 中央地点付近】
アイム軍曹¶「オラァ!!これで8撃破目ェ!」
丸腰のたけのこ軍兵士を斬り伏せる。
アイムの獅子奮迅の活躍で、数名の暴走によって危機的状況に陥った
きのこ軍主力部隊も、完全に態勢を立てなおしていた。
¢大尉‡「どうやら斥候部隊ではなかったようだ。奴さんには瞬発力がてんでない」
二丁拳銃で的確に敵兵の頭を撃ち抜いた¢は、仰向けで転送される敵兵を眺めながら首を傾げた。
ゴダン大佐▽「アイム君昇進おめでとう。素晴らしい活躍だったよ」
アイム「それほどでもあるな」
アイムの中では控えめな表現で、鼻をかいた。
¢大尉‡「さて、どうする。このまま前進するか」
アイム軍曹¶「前進あるのみだな。電撃戦術で敵軍を撹乱させてやろうぜ」
ゴダン大佐▽「そうだね。こちらの斥候部隊から何の連絡もないのは気になるけど
…部隊の損害は少ない。このまま敵本陣を目指そう!」
指揮官の発奮興起な言葉に、血気盛んなきのこ軍兵はにわかに活気だった。
『ぶお〜〜〜 現在の兵力は82:70できのこ軍が有利です』
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 122 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:06:48.11 ID:TCfog6pA
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場 たけのこ軍陣営付近】
アイム擁するきのこ軍主力部隊の快進撃は止まらなかった。
向かってくるたけのこ軍兵に、アイムは躊躇なく剣を振りぬく。
アイムの剣筋には迷いがない。
戦闘では少しでも迷いを持った者が敗者となる。
今は敵同士となっている鬼教官の教えを頭のなかで反芻しながら、アイムは進撃を続ける。
- 123 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:08:26.71 ID:TCfog6pA
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場】
ヒノキ曹長†「報告によると、敵軍主力部隊は“鉄のスカート(ペティコート)”にハマったようです」
スティーブ大尉‡「予定通りだな」
歩みを一時止め、指揮官スティーブは双眼鏡で目的地を確認しようとする。
オニロ曹長†「目的地は近いのでしょうか?」
スティーブ大尉‡「おそらくな。てか、双眼鏡だと真っ白だなやっぱり」
双眼鏡を放り投げ、スティーブは朧げになっている隊員を見回す。
スティーブ大尉‡「現在二一○○時。我々“たけのこ軍主力部隊”は本部より
北東地点3kmに到達。作戦実行の条件が満たされるまで待機する」
全員「了解」
『ぶお〜〜〜 現在の兵力は74:55できのこ軍が有利です』
- 124 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:11:12.24 ID:TCfog6pA
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場】
始めに異変に気がついたのはアイムだった。
アイム曹長†「…何かおかしいな」
アイムは足元に落ちている短剣を眺めながら、先程から感じていた違和感を口にした。
使っていた剣は先刻の戦闘の際に根本からポッキリと折れてしまった。
咄嗟に、地面に刺さっていた弓矢の切っ先を敵へ突き立て倒した時は、変な汗をかいた。
一息ついて、戦況を確認するべく辺りを見回す。立ち込めている霧で相変わらず
戦闘の全体像を確認することはできないが、先刻前と戦況は大きく変わっていないようだ。
恐ろしいほどに戦況は変わっていない。
アイム曹長†「もう十分戦闘したぞ。そろそろ敵陣営に着いてもいいころなんじゃないか…?」
陣営を防衛する敵兵が異様に多いのである。
その都度、¢やアイムを始めとする兵士の力で敵軍を蹴散らしてはいるが、
集計係から伝えられている戦況報告と、敵陣営を防衛している相手兵士の数とが合致しない。
- 125 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:13:06.09 ID:TCfog6pA
- 『ぶお〜〜〜 現在の兵力は60:40できのこ軍が有利です』
集計係から戦況が報告される。依然として、きのこ軍が有利であることに変わりはないが、
度重なる戦闘で戦闘狂のきのこ軍兵たちにも疲労の色が見え始めている。
既に敵軍の大隊程度は撃破しているはずなのに、いつまで経っても敵軍本部陣営に
到達することができないのだ。
アイムはいい加減辟易としていた。
王様と謁見するために、ひたすら城の扉という扉を開けて奥に進んでいるような気分だ。
無限回廊のように王座に辿りつけない。
気になる点がもう一点アイムにはあった。
未だ、敵軍の主力部隊と思わしき戦力と遭遇していないのである。
戦況報告から推測するに、主力部隊を含む残りのたけのこ軍兵の大多数は
最後の砦となっている本部陣営に結集していることになる。しかし、主力の攻撃部隊を
砦の堀として使用していることは、勝利への道を放棄していることと同義である。
たけのこ軍がそのような愚策をわざわざ選ぶだろうか。
アイム曹長†「くそッまた撃ち漏らした…あいつら逃げ足の早さだけは一級品だな」
悪態をつき、敵の攻撃に備えて塹壕へ潜る。戦いへの緊張感からくる疲れからか、
アイムは敵兵を撃破しきれずに逃してしまうことが多くなっていた。
拾った斧を地面に突き立てる。元々の持ち主の手汗で柄の部分がほんのり湿っているのが気持ち悪い。
- 126 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:14:51.60 ID:TCfog6pA
- ¢准将◇「アイム、お前いま何撃破だ?」
塹壕内で新しい弾倉を装填している¢が声をかける。
きのこ軍エースもさすがに連戦に次ぐ連戦からか、肩で息をして呼吸を整えている。
アイム曹長†「今の敵は逃げちまったから、22撃破のままだな。あんたは?」
¢准将◇「18撃破だな。ついさっきも大量撃破のチャンスだったんけど、逃しちまった。
あいつら不利になるとすぐに逃げ出すな」
アイム曹長†「あんたも撃ち漏らしているのか。しかし、どういうことなんだろうな。
さっきから戦えど戦えど、一向に先に進んでいる気がしない」
¢准将◇「奇遇だな。俺もそう思っていたところよ。まるで終わらない迷路に
迷いこんでしまったような気分だ」
アイム曹長†「ループねえ…ん?」
ループ。
¢の表現は現在のアイムたちの状況を的確に表していた。
そして、アイムは気がついた。自分たちがまんまと“罠”にかかってしまったことに。
敵軍の狙いに。
アイム曹長†「大佐!ゴダン大佐はどこだッ!!」
戦闘音をかき消すほどの大声で、アイムは指揮官を探した。
ゴダン大佐▽「どうしたアイム君ッ!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 127 名前:きのこ軍:2014/04/15 01:15:00.37 ID:TCfog6pA
- とりあえずここまで
- 128 名前:社長:2014/04/15 20:39:38.72 ID:RNvcwGUs
- ループをかちぬくぞ!
- 129 名前:きのこ軍:2014/04/19 21:39:29.36 ID:q7m1U88Mo
- ゴダン大佐▽「どうしたアイム君ッ!」
アイム曹長†「今すぐ本陣に戻るんだッ!じゃないと、大変なことになるッ!」
『ぶお〜〜〜 現在の兵力は52:35できのこ軍が有利です』
緊迫とした大戦場に、気の抜けた大法螺の音色が響いた。
そして、それはたけのこ軍の反撃の狼煙を告げる合図でもあった。
- 130 名前:きのこ軍:2014/04/19 21:41:46.93 ID:q7m1U88Mo
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦開始直前】
オニロ曹長†「え?敵軍を罠にハメる?」
たけのこ軍総司令官の山本は神妙に頷いた。
山本元帥☆「みんな聞いてくれ。俺は策を考えた。それを実行すればたけのこ軍は勝てる!」
山本元帥☆「では作戦名を発表する。本作戦名を“霧の国(ニヴルヘイム)”とするッ!」
誇らしげに山本は高らかに宣言するも、誰も作戦について理解できずに困惑げの顔を総司令官へ返す。
山本元帥☆「まあ落ち着け。本作戦では、自然の天候を味方につける」
山本元帥☆「霧を味方につけるんだ」
“霧の国(ニヴルヘイム)”作戦の内容は以下の通りだった。
・主力部隊は、大戦開始と同時に迂回ルートを使い極力敵軍との戦闘を回避しながら、敵陣の北東部に部隊を展開する。
・残った兵は陽動部隊として敵軍の主力部隊を引きつけつつ、たけのこ軍本陣に誘い込むように上手に撤退する。
・本陣で防衛する部隊は“鉄のスカート(ペティコート)”を展開し、敵軍の主力部隊の猛攻を食い止める。
・自軍兵力が35を切ったら、北東部に待機している主力部隊がきのこ軍本陣を強襲。きのこ軍本陣と主力部隊を分断した上で、短時間で本陣を制圧する。
- 131 名前:きのこ軍:2014/04/19 21:42:35.68 ID:q7m1U88Mo
- 山本元帥☆「主力部隊は霧に紛れながら敵軍に見つかることなく移動しなくてはいけない」
791二等兵=「私の見立てによると、この大戦中は深い霧が立ち込めるから、作戦に支障をきたすことはないよ」
オニロ曹長†「あの、“鉄のスカート(ペティコート)”てなんですか?」
山本元帥☆「ふふふ、よくぞ聞いてくれた。鉄のスカートとは、すなわち我らが愛するきのたけ女神様のスカートのことさ」
山本は腕組みをしながら、芝居がかった動作で兵士の周りをゆっくりと歩き始めた。
- 132 名前:きのこ軍:2014/04/19 21:44:32.54 ID:q7m1U88Mo
- 山本元帥☆「兵士諸君、よく考えてみてほしい。君たちの目の前に絶世の美女がいるとする。
その美女が艶かしい視線を君たちにおくって誘っている。諸君、どうする?」
山本の問いに、歴戦のたけのこ軍兵士は間髪をいれずに答える。
たけのこ軍兵士「「据え膳食わぬは兵士の恥ッ!!」」
山本元帥☆「その通りッ!服を脱がせてほしいと頼まれたら?」
たけのこ軍兵士「「かわりに服を脱ぐ!!」」
山本元帥☆「そこに乙牌があったら?」
たけのこ軍兵士「「盲牌のごとくなぞる!!」」
山本元帥☆「スカートのラインが際どかったら?」
たけのこ軍兵士「「這ってでも覗き見るッ!!」」
山本元帥☆「グレイト。実にグレイトだ皆。俺は今猛烈に感動している」
山本は目頭を押さえて、周りの兵士と熱い握手を交わしている。
オニロ曹長†「…えと、あの」
791二等兵=「くっだらない…」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 133 名前:きのこ軍 この作戦内容を知っているあなたはご連絡を:2014/04/19 21:47:36.18 ID:q7m1U88Mo
- 山本元帥☆「今のが本作戦の真髄だ」
オニロ曹長†「え、本当ですか!?」
社長軍曹¶「うん ピ おわりの章」
山本元帥☆「兵士ならば、誰でもスカートの中の小宇宙(パンティー)を覗きたくなるものだ。
それはたけのこ軍だけではなくて、きのこ軍もだ。我々は“たけのこ軍本陣”という小宇宙を、
何段にもわたるスカート(ペティコート)で死守する。絶対防衛ラインを築き上げることで、
きのこ軍を焦らしてやるのさ。死ぬほどにな」
つまり、ドレスのペティコートのように、小隊で構成された数十段に及ぶ防御陣を敷いて
対応するのが“鉄のスカート(ペティコート)”の役割である。
そして突破された防御陣は再結集して最後尾の防御陣となり、きのこ軍主力部隊は
永遠に防御陣を突破できずに疲労と損傷を蓄積させていくという作戦なのである。
オニロ曹長†「な、なるほど」
オニロは聞かされた作戦のすごさと、目の前の司令官の気色悪さとのギャップに、複雑な思いを抱いた。
山本元帥☆「オニロ。お前には主力部隊として前線で働いてもらいたい。よろしく頼むぞ」
- 134 名前:きのこ軍 この作戦内容を知っているあなたはご連絡を:2014/04/19 21:48:12.18 ID:q7m1U88Mo
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 きのこ軍本陣前】
『ぶお〜〜〜 現在の兵力は52:35できのこ軍が有利です』
スティーブ大尉‡「時間だ。これより、作戦を開始する」
静まり返っていた部隊の空気が、一段と張り詰める。オニロは緊張と不安で息苦しくなった。
スティーブ大尉‡「全軍、突撃ッ!!」
隊長の静かで鋭い命令が発せられると同時に、たけのこ軍兵は疾風のようにきのこ軍本陣へ突撃した。
- 135 名前:きのこ軍:2014/04/19 21:50:57.78 ID:q7m1U88Mo
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場 たけのこ軍本陣手前】
アイム曹長†「…というのが、敵の目論見だ」
ゴダン大佐▽「もしアイム君の言っていることが本当だとしたら、
手薄な本陣はあっという間に敵の手に落ちてしまう」
『ぶお〜〜〜 現在の兵力は36:34できのこ軍が有利です』
きのこ軍「!?」
¢准将◇「お前の予想していたとおりだったな、アイム」
たけのこ軍「おらおらあ!女神様の御御足は拝ませねえぞきのこどもがッ!!」
きのこ軍「!!」
今まで防御に徹していたたけのこ軍が、まるで示し合わせていたかのように、
きのこ軍への大反抗を開始した。
たけのこ軍A「スカートに入り込んだ変態には罰を与えねえとなあ!」
社長軍曹¶「跪いて足をお嘗めは うーんいいぞ。」
アイム曹長†「ちっ、敵が活気づきやがった。あの意味不明野郎もいやがるし、最悪だな」
ゴダン大佐▽「我々をここから逃す気はないってことだな」
- 136 名前:きのこ軍:2014/04/19 21:52:09.25 ID:q7m1U88Mo
- ¢准将◇「…アイム。数名の兵士を連れて先に戻れ」
アイム曹長†「…あんたはどうすんだ」
¢准将◇「俺たちが食い止めている間にお前が本陣の増援として戻れ。
直に俺たちもお前の後を追う」
社長軍曹¶「アイムくん どこですか〜?」
敵兵の声が近づいてくる。
ゴダン大佐▽「早く行きな。女神様とやらは俺たちのために待ってくれるけど、敵は別だ」
アイム曹長†「…了解ッ!」
アイムは塹壕を飛び出し、数名の兵士と霧の中を駆けていった。
¢准将◇「奴さんどこにいたのかうじゃうじゃ湧いてきやがったな」
ゴダン大佐▽「状況は一転。だが、だからこそ燃えるな」
『ぶお〜〜〜 現在の兵力は28:32でたけのこ軍が逆転しました』
アイム曹長†「ちくしょう!間に合ってくれッ!」
戦いの終わりが、刻一刻と近づいていた。
- 137 名前:きのこ軍:2014/04/19 21:52:18.55 ID:q7m1U88Mo
- とりあえずここまで。
- 138 名前:791:2014/04/19 23:12:02.86 ID:SAHj4V/Qo
- わーい更新されてる!
- 139 名前:たけのこ軍 筍魂:2014/04/19 23:39:08.38 ID:KAz1NG7oo
- アイム 有能
- 140 名前:社長:2014/04/19 23:45:36.95 ID:f/8qsgJU0
- 社長「きのこの女神様とたけのこの女神様の百合は素晴らしい 男は消えろ」
- 141 名前:きのこ軍:2014/04/20 01:38:02.60 ID:7T2oPxOko
- あと1,2回の更新でようやく第一章が終わると思います。
- 142 名前:きのこ軍:2014/04/20 21:25:00.95 ID:7T2oPxOko
- 【K.N.C 175年 第175次大戦 大戦場 きのこ軍本陣】
オニロ曹長†「『グラビティチョコ』!!」
きのこ軍「「うわ〜〜」」
地面を巨大な落とし穴へと変えて、何人ものきのこ軍が落ちていく。
斑虎二等兵=「敵は慌てふためいているな」
スティーブ大尉‡「雑魚に構うなッ!!狙いは本部だッ!」
スティーブ指揮官は、先にある野営テントを指さした。
スティーブ大尉‡「あそこにはためいている敵の旗を燃やし、我軍の旗を突き立てた時が
我軍の完全勝利の証だッ!」
スティーブ大尉‡「全軍進撃!本部を落とした者に秘蔵の[アウアウ]な賞品をプレゼントしよう!」
たけのこ軍精鋭「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」
指揮官の鼓舞に、精鋭部隊は拳を上げて応える。
ヒノキ曹長†「敵の増援が到着する前にかたをつけないと」
斑虎二等兵=「そんなすぐに到着するわけがないぜ」
きのこ軍 アイム曹長†「それはどうかなッ!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 143 名前:きのこ軍:2014/04/20 21:29:46.31 ID:7T2oPxOko
- きのこ軍 アイム曹長†「それはどうかなッ!」
スティーブ大尉‡「!?」
霧の中から突如現れた短剣はスティーブ目がけて一直線に飛んでいった。
闇雲に走り、奇跡的に制圧される直前の自陣へ戻ったアイムは、
たけのこ軍精鋭部隊の姿を目の前で視認していた。霧のせいで、
精鋭部隊の全貌を把握することはできなかったが、部隊の中心にいた人物めがけて
躊躇うことなく短剣を投げた。拳を振り上げ周りを鼓舞している人物こそが
部隊の中心人物であると推測し、その人物を排除することで部隊の瓦解を狙ったのだ。
アイムの読みは正しかった。その人物こそが、精鋭部隊の隊長スティーブだったのだ。
オニロ曹長†「ッ!!」
その場にいる誰もが事態を飲み込めず、隊長めがけて飛んでいる短剣をただ眺めるしかなかった。
その中で、ただ一人オニロだけが咄嗟に腕をのばした。
スティーブに刺さろうかという寸前、オニロは咄嗟に杖で短剣を薙ぎ払った。
非常事態であることを本能的に理解し、身体が頭よりも先に反応したのだ。
短剣が地面に転がる。短剣から発せられた乾いた音が、周りの兵士を急激に現実に引き戻した。
- 144 名前:きのこ軍:2014/04/20 21:31:03.22 ID:7T2oPxOko
- たけのこ軍「隊長!ご無事ですか!」
たけのこ軍「畜生!敵の増援が到着しやがったのか!」
スティーブ大尉‡「慌てるなッ!」
スティーブは焦りに支配されている兵士を一喝し、すぐさま辺りを見回す。
敵兵が攻めこんでくる様子はない。仮に、霧の向こうに敵軍の増援部隊が到着していたとしても、
自軍部隊が先にきのこ軍本部を制圧してしまえば、その時点で勝敗は決する。
敵軍増援部隊と戦っていては、せっかくの強襲が徒労に終わってしまう。
任務遂行は時間との勝負でもあるのだ。この場で人員を無駄に割いてまで敵軍部隊と戦う必要はない。
スティーブはそう判断した。
スティーブ大尉‡「数名はこの場で待機し、敵軍を抑えろ!残りの者は迅速に本部を制圧する!」
オニロ曹長†「ボクは残ります!」
スティーブはオニロの言葉に一瞬迷いの表情を見せたが、すぐに頷き、
周りの兵士とともに本部へ向かっていった。
アイム曹長†「邪魔だ。そこをどいてくれないか」
霧の中からぬっと現れたアイムと数名のきのこ軍兵を、オニロは静かに出迎えた。
オニロ曹長†「やっぱりアイムはすごいや。こんなに早く戻ってくるなんて」
アイム曹長†「女神様の足なんて興味ないからな。お前らを殲滅することのほうがよっぽど興味がある」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 145 名前:きのこ軍:2014/04/20 22:16:19.17 ID:7T2oPxOko
- オニロ曹長†「アイム。それ以上近づいたら、ボクは攻撃しなくちゃいけない」
アイム曹長†「はん?“しなくちゃいけない”?お前は、だから、甘いんだよッ!!」
オニロ曹長†「うわッ!」
踏み出した右足を蹴りあげ、砂を巻き上げる。
巻き上がった砂がオニロの目に入り、一瞬動きが止まる。
アイム曹長†「行くぞッ!」
時間はない。左右に位置していたきのこ軍兵が一斉に走りだす。
オニロは走りだした兵士に気を取られた。
オニロ曹長†「『マルチブルランチャー』!!」
光弾がオニロの脇を抜けたきのこ軍兵をホーミングし追跡する。
しかし、それはアイムの目論見通りだった。
アイム曹長†「邪魔だッ!」
アイムはオニロの魔法が詠唱されたのを確認して走りだす。
仲間を囮にして、自らだけが本部へ到着することを最初から想定していた。
次の詠唱には一定の時間が必要なはずだ。
アイムはオニロの詠唱待機時間を利用して、駆け抜けようとしたのだ。
通常ならば、その選択は正しい。しかし、オニロは規格外だった。
オニロ曹長†「うらあッ!!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 146 名前:きのこ軍:2014/04/20 22:18:44.75 ID:7T2oPxOko
- アイム曹長†「ハァハァ…お前、いつの間にそんな技を」
オニロ曹長†「ハァハァ…791師匠との修業の成果だよ…」
お互いに息を切らしながら、じりじりと間合いを図る。
アイムはショックを隠せなかった。
兵士の誰よりも多くの特訓を積んできていた自信があった。手の皮が破れても、足が腫れ上がっても、
決して鍛錬の手を緩めることはしなかった。
特に、オニロがのほほんと中庭でくつろいでいる光景を見た時は、一段と鍛錬に身が入った。
− あいつにだけは負けたくない。負けてなるものか。−
自らが成長する分だけ、オニロと差がついたとほくそ笑んでいた。
撃破数で勝負を持ちかけたのも、自らの強さを絶対的に示すためだった。
しかし、オニロは驚くべき速さで成長していた。
オニロは鍛錬の時間外でも、常に魔法呪文の復唱をするように、791から命じられていた。
アイムにとっては休憩中に見えた間中も、オニロは一時も休むことなく呪文の暗唱を繰り返して鍛錬をしていたのだ。
たゆまぬ努力が、結果として短期間で連続魔法を取得させたといっても過言ではない。
しかし、アイムはそんなオニロの陰の苦労を知る由もない。
連続魔法を難なく使いこなすオニロを目の前にして、アイムは今までの自分の努力が全て否定されたような思いで、
呆然と立ち尽くすしかなかった。
『ぶお〜〜〜 たけのこ軍がきのこ軍本部を制圧しました!よって、本大戦はたけのこ軍の勝利です!』
戦いの終焉を告げる大法螺が鳴り響いても、アイムはしばらくその場で立ち尽くしていた。
- 147 名前:きのこ軍:2014/04/20 22:21:05.05 ID:7T2oPxOko
- 【K.N.C 176年 会議所】
名無しの彼「やるじゃんアイム。初大戦で撃破王取るとか、すごすぎるだろ」
95黒「負けちゃったけど、次は勝てるって!」
大戦が終わってから数日、敗軍ながら両軍合わせて撃破王を手にしたアイムは
“きのたけ希望の星”として両軍から賞賛の的となった。
しかし、アイムの表情はうかなかった。撃破王を素直に喜んでくれているオニロと、見下していた相手の
力量差を知って愕然としている自分とを比べ、自分がひどくちっぽけな人間でもあることを実感した。
アイムの異変に気がついた心配したオニロが言葉をかけても、アイムはただ頑なに頭を振るだけだった。
〜それからどうした?〜
【K.N.C 179年 会議所 大廊下】
今日もアイムはいつもの仏頂面をぶら下げ、大廊下を歩いていた。
先日の第178次大戦ではきのこ軍はたけのこ軍に大敗を喫し、オニロが初の撃破王を手にした。
対して、アイムといえば早々に戦死してしまい、まともに戦果を上げることができなかった。
- 148 名前:きのこ軍:2014/04/20 22:22:29.62 ID:7T2oPxOko
- アイム「はぁ…」
筍魂「ため息の数だけ、幸せは逃げるぞ」
アイム「…何のようだ」
筍魂「随分と浮かない顔をしているな。腹を下した直後の俺の顔とそっくりだ」
アイム「…オレはいま腹の居所じゃなくて虫の居所が悪い。
お前と喋っている今この時でさえ、苦痛でたまらないんだ」
アイムは露骨に顔を歪ませたが、意に介さず涼しげな顔で筍魂は言葉を続けた。
筍魂「ほーん。俺ならその苦痛を取り除いてやれるぜ?」
アイム「それは助かる。なら今すぐこの場から消えてくれ」
筍魂「まあ落ち着け。お前はいま伸び悩んでいる。お前はそんな自分をやるせない。
初めての大戦でこそ活躍はしたが、以降の大戦では戦死が相次ぎ満足に戦果を上げられていない。
一方で、オニロは戦役が進むごとにメキメキと頭角を現し始めている」
筍魂「戦果を思うように上げられない、そしてライバルのオニロが実力をつけてきて、
ますます焦ったお前は戦果に逸り、戦死を繰り返す。負のスパイラルだ、違うか?」
アイム「…オレの実力はオレが一番良く知っている。お前ごときに何がわかる」
筍魂「知っているさ。少なくとも今のお前よりはな」
アイムはじろりと睨む。
- 149 名前:きのこ軍:2014/04/20 22:24:58.20 ID:7T2oPxOko
- 筍魂「オニロとお前との決定的な差を教えてあげようか?」
アイム「そんなものは聞きたくない」
筍魂はアイムの言葉を聞き流して続ける。
筍魂「“スタンドプレイ”か“チームプレイ”」
アイム「…オレが軍のことを考えずに突進する脳筋だって言いたいのか?」
筍魂「いや、その逆だ。お前は“考えすぎる”。試行錯誤することはいいことだ。
相手として戦ってみてわかったが、お前はたいそう機転がきく。
しかし、お前の考えは全て“自分のため”という前提条件の下に成り立っているように見える」
筍魂「オニロも、またお前と真逆だ。彼は“動きすぎる”。考えるより先に身体が先に動くんだろう。その原動力は全て“仲間のため”。自ら身を挺してでも、軍のために貢献するという思いがある」
アイム「どっちが良いかなんて一概には決められないはずだ」
筍魂「一理ある。ただ、お前の凝り固まった考えは、自らの視野と可能性を狭めるものであることに
お前自身が気づいていないといけない。今のお前は、鎖に繋がれた番犬のようだ。
一定の範囲内でしか噛み付いてこない今のお前は、まるで怖くない」
アイム「自分の命を守って何が悪いんだ。オレが自分で考えて行動に移す行為そのものは、
オレが“生きていないと”できっこないんだ。生こそ全て。それを優先して何が悪い」
ダダをこねるような言い方でアイムは反論した。
- 150 名前:きのこ軍:2014/04/20 22:26:27.85 ID:7T2oPxOko
- 筍魂「もちろん生こそ全てだ。しかし、今のお前の“スタンドプレイ”では、
せっかくの生き残る可能性をフイにしてしまっている。現に、お前はそのせいで何度も戦死している」
アイムは反論できずに、悔しそうに下唇を噛んだ。
筍魂「山本さんはお前を『突撃兵』として育成したいようだが、俺の考えは違う。
お前は『援護兵』タイプだと思っている」
援護兵。特徴を持たないことが最大の特徴であるタイプ。
筍魂「俺ならお前のスランプを解消することができる。
戦闘術『魂』はお前をきっと良い方向に導いてくれるだろう。
アイム、いやアイちゃん。ウチにこないか?」
アイム「エッ」
筍魂「オニロを見返してやろうじゃないか!」
アイム「タ、タマサン… 」
アイム「とは、ならない」
筍魂「すまんな」
- 151 名前:きのこ軍:2014/04/20 22:27:07.48 ID:7T2oPxOko
- 次回、第一章完結 ここまでが前座です(力尽き
- 152 名前:社長:2014/04/20 22:28:54.31 ID:PYxpUEeA0
- きのこ軍の女神様とたけのこ軍の女神様がいちゃいちゃちゅっちゅする薄い本はよ
- 153 名前:たけのこ軍 筍魂:2014/04/20 22:33:27.19 ID:s6QhXpygo
- 切り替えていく
- 154 名前:791:2014/04/20 23:16:11.37 ID:CIwM/Ms6o
- 面白かった!
続きが楽しみ
- 155 名前:きのこ軍:2014/04/22 01:25:14.04 ID:hq1j2sN.o
- 【K.N.C 179年 会議所 ???】
深夜の丑三つ時、風音に紛れ、二人の兵士の囁くような声が聞こえてくる。
??「“あの場所”を近々、二人に見せる準備が整いました」
??「随分と時間がかかりましたね。もう少し早くてもよかったのでは?」
咎めるような兵士の口調に、もう一人の兵士は苦笑した。
「何も私の独断で事は運べないのですよ。それはあなたもよくわかっているはずです」
「…」
黙った兵士を尻目に、もう一人の兵士は静かに息を吐く。
「あの二人は、貴方の目からはどう映っていますか?」
「そうですね…凹凸コンビ、といったところでしょうか。
真反対な性格の二人ですし、差し詰め水と油のようなものですかね」
兵士の喩えに、もう一人の兵士は口をすぼめ、わざとらしく感嘆の声を出した。
「貴方はそう思いますか。私はあの二人は、よく似ていると思うんですよ」
「似ている?」
- 156 名前:きのこ軍:2014/04/22 01:26:33.25 ID:hq1j2sN.o
- 「あの二人は、軍の所属も違えば、戦闘タイプも戦闘方法も違う。一見するとベクトルの違う兵士です。
ですが、彼らは、もう一方にはない“特徴”をそれぞれ持っている。
冷静さ、情熱、機転、瞬発力…
一方が有している特徴を、もう一方は見事に持っていない。
彼らは互いに完全ではないんです」
「完全な人なんていない。それが兵士てものなんじゃないですか?」
何がおかしかったのかもう一人の兵士はくつくつと笑い声を漏らす。
「そうですね。その通りです。完全な兵士なんていない。我々もまた同じです。ですが…」
その先の言葉は飲み込み、兵士はくすんだ夜空を見上げる。
「貴方がたとえた凹凸とは言い得て妙なのかもしれない。
二人はパズルのピースのようなものです。お互いに欠けたピースなんだ」
静かに夜が更けていく。
- 157 名前:きのこ軍:2014/04/22 01:30:43.45 ID:hq1j2sN.o
- 【K.N.C 180年 会議所 wiki図書館】
オニロは今日も書物漁りのために、図書館に足を運んでいた。
オニロは書物の紙の匂いが好きだった。木洩れ陽が差し込み、人のいない広間で
ひたすら自分が読みたい本を漁る一時は、何事にも代えがたい幸せだ。
三度の飯より本が好きだ。今日も人の気配が無縁であることを半ば期待しながら、足を踏み入れる。
しかし、いつもは人気のない空間に、今日は一人の来訪者が、棚に寄りかかりながら物憂げに天井を眺めていた。
オニロ「アイム!!」
オニロの喜びあふれた声に、気だるげに身体を起こし応じると、
アイムは頭を掻きながらオニロに視線をよこした。
アイム「遅かったな。シューさんは一緒じゃないのか?」
オニロ「え?なんのはなし?」
アイム「あ?シューさんにここに来るように呼ばれたんじゃないのか?」
オニロ「?違うよ。ボクはいつものように本を読みに来たんだよ」
オニロの言葉に自分が集計班に嵌められたことに気づいたアイムは、一人顔を赤くした。
オニロ「アイムは集計さんに呼ばれていたの?」
アイム「あ、ああ。『アイム君とオニロ君に是非見てもらいたいものがあるから図書館に来てほしい』てな。
…くっそ。ダマサれた、どうしてこんな辛気臭いところに来ちまったんだ…」
騙されたことによる怒りがフツフツと湧いてきたが、この湧き上がる怒りを
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