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ユリガミノカナタニ2
- 1 名前:社長:2016/09/04 00:44:24.091 ID:PNG5mMkE0
- 邪神スピリットJ あらすじ
鬼のマタギ、ディアナは人魚を狩る狩人を殺すとともに、襲われかけていた幼い人魚ネプトゥーンを助けた。
そして数十年後―――再び狩人を殺したディアナだが、最後の一人の自爆で大怪我を負って海の底に沈んでしまった。
そこには、ネプトゥーンの親が治める竜宮があり、ディアナも人魚の肉を狙った存在と勘違いされた。
それをネプトゥーンは訂正しようとしたが聞き入れられず、ディアナを助けて駆け落ちしようとした。
ディアナに人魚の血を飲ませ、傷を癒したネプトゥーン。
ネプトゥーンは助けられた時から好きになったとディアナに告白し、二人は逃げることにした。
そして―――無事に逃げ、海岸まで上がることができた。
- 102 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:06.357 ID:i8ruWCxw0
- 悩める者「―――貴女が、百合神様ですか?」
少女「…いいえ、わたしは……百合神の使い――」
その問いに、鳥のように透き通る、美しい声で少女は答えた。
悩める者「……百合神様に会う事は、出来ませんか?」
柔らかい言葉と共に、彼の蒼い目が少女を見据える。
- 103 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:22.979 ID:i8ruWCxw0
- 少女「―――私は、百合神様に願いを伝えるだけの存在…
百合神様は、貴方に会わない」
けれども、少女は、真っ直ぐな瞳で問を否定する答えを出す――。
悩める者「……そうですか、しかたありませんね」
悩める者は少し躊躇ってから言葉を紡ぎ、次いで名前を告げた。
集計班「私は集計班―――百合神様にどうしても聞き入れて欲しい願いがり、
百合神へ願う、何処とも知れぬ此の場所を探し、探し、探し求め―――
此処へようやく、辿り着きました」
- 104 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:40.284 ID:i8ruWCxw0
- 少女「………」
少女は何も語らず、ただ集計班を見つめている。
集計班「私の、願いは―――
百合神様に叶えてもらいたい願いとは―――」
集計班は、そこで声色を低くし、それと同時に表情を険しくした。
- 105 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:53.336 ID:i8ruWCxw0
- 集計班「―――いいや、
月夜見の遺産であり、神をも殺す剣を纏い、この世界を動かす切欠となった少女――
―――鈴鶴、貴女に叶えてもらいたい願いとは―――」
少女「―――」
集計班の言葉を遮って、少女は消え去り、其処には唯の百合の花弁が落ちた。
- 106 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:22:12.473 ID:i8ruWCxw0
- 集計班は、動じず、目の前を見据えた。
彼の蒼い瞳を、少女のように赤い瞳に変えて―――。
―――そして、百合の花弁が地面に落ちた時、百合の花びらの吹雪が舞い、
其れが消えた後には、集計班の探す其の人、鈴鶴が社の中に居た。
彼女は、背丈五尺四寸程の、百合神の使いのように足まで届く長い――、
けれど髪色は白銀ではなく、美しく寂しい、黒い色で、その目も同じく黒い少女だった。
- 107 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:22:57.068 ID:i8ruWCxw0
- 集計班との出会い。集計班はなんの願いを持ってきたのかな?
- 108 名前:社長:2017/01/19 01:23:10.650 ID:i8ruWCxw0
- 名前変えわすれ
- 109 名前:きのこ軍:2017/01/21 19:20:07.797 ID:fMRR3eJAo
- どきどき。
- 110 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:34:35.301 ID:h1dO0fog0
- そして、鈴鶴は何も言わずに、百合の花のように美しい歩き方で、集計班の前に降り立った。
鈴鶴「………何の御用?」
そう言いながら、鈴鶴は右眼を黒く青白く輝かせた。
それは美しく、そしてとても恐ろしい瞳。
集計班はその眼に吸いこまれて、身体を動かすことなど出来ない状況になった。
- 111 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:34:59.055 ID:h1dO0fog0
- 集計班は、身体が凍えるように感じた。
その冷たさは、深い海の底や、吹雪の夜のような、生半なものではないものだった。
集計班「………」
けれども、本当に願いがあるからこそ此処に来た集計班は、気力を振り絞り睨み返す。
燃えるような赤い瞳で、鈴鶴の、まさに邪眼と言えるようなその冷たい眼に――。
- 112 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:35:42.019 ID:h1dO0fog0
- ―――刹那の如き短い時間か、将又それより長い長い時間か――その睨み合いは、その均衡を破った。
鈴鶴「……どうやら、わたしを脅そうとでも考えた…そういう仕様もない目的で来たのではないようね
本当に、恐ろしいものを見てしまっても、それでも頼みたい、抜き差しならないことがあるのね」
鈴鶴は、右の眼を、黒々としたものに戻し、そして問うた。
集計班「はい……
けれどもそれは、噂に聞く貴女のように、一つの事柄ではない―――
しかも、それは今から、何時になるかも分からぬ未来(さき)のことの……お願いなのです――
貴女に頼まなければならない願いが―――2つあるのです……」
そして集計班は、燃える赤い瞳で鈴鶴に【願い】を告げた。
- 113 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:13.368 ID:h1dO0fog0
- 時代は経て、其れよりはるか先の未来―――――――――。
K.N.C190年頃――――。
この世界の中枢である、きのこたけのこ会議所の一員であるたけのこ軍兵士、社長は、部屋に突如として現れた手紙を読んでいた。
「―――社長へ
この手紙を読んでいる時、私はもう現世にいない―――
それは、あの時の選択で決まっていたことです。
――――この手紙を呼んだあと、百合神を探し、付記した封筒を渡し――集計班の願いをお願いする――と伝えて欲しい
どうか、宜しくお願いします」
- 114 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:28.102 ID:h1dO0fog0
- ―――それは遺言だった。
集計班は行方不明になった――いいや、もう此の世には居ないと社長は分かっていた。
―――そして、集計班の遺言を、実行しなければならない。
社長は、百合神を探しに行った。
草の根を掻き分け、森を歩き回り、見果てぬ闇に飲まれたかと思えば―――、
百合神―――鈴鶴が社長の目の前に現れた。
- 115 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:39.037 ID:h1dO0fog0
- 社長は、集計班に言われた通り封筒を鈴鶴へと渡し、「集計班の願いをお願いする―」と伝えた。
鈴鶴「……分かったわ、もうあなたは帰っていい」
そして、淡々と鈴鶴が言葉と共に、いつの間にか社長は会議所の近くの竹林に居た。
不可思議なことに少し困惑しつつも、
鈴鶴という乙女はとても恐ろしく、そして強いものと知っていた社長は会議所へ戻った。
- 116 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:48.072 ID:h1dO0fog0
- 社長は、この世界に居ると言われる女神、百合神が鈴鶴その人だと知っているが、それは一切口にしなかった。
鈴鶴が百合神だと知った後、さらに百合神について調べると、深入りした者の無残な噂を聞いたからだ。
鈴鶴は、一見御淑やかな姿とは裏腹に、社会生活に向かない破滅的な心がある。
彼女にとって、人を殺すことよりも操を奪うことの方がとても重いのだ。
そんな彼女に刃向うのは、得策ではない。
いったい何を頼んだのか……其れは集計班が委ねたことに任せる、と、そう結論付けた。
- 117 名前:社長:2017/01/25 00:38:04.052 ID:h1dO0fog0
- 男を吹っ飛ばす能力が産まれるほどに破滅的な心を持っている鈴姫様。
- 118 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:42:43.028 ID:zD6DyXjs0
- 何処かの闇の中―――。
鈴鶴は、集計班から願いを聞いたことを思い返していた。
集計班「願い―――この願いが、未来のものというのは、
本当に未来に、貴女に遂行してもらいたいことがあるから
破らねばならない運命を、貴女に破ってもらいたい――ということなのです」
鈴鶴「………その前に、どうしてこのわたしが百合神ということを知っているか、教えて欲しい」
集計班「分かりました―――
私はこの世界の中心である、きのこたけのこ会議所のメンバーです
そして、其処にある図書館に―――貴女の経歴について書いた本があった…
巷に溢れる百合神伝説と、共通点があることを発見し、そして貴女だと確信したのです
その本の題名には、まさにユリガミ―――とあったのですから」
- 119 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:46:38.178 ID:zD6DyXjs0
- 鈴鶴「………理由は分かったわ…、その本は、見せて貰う事にして…
貴方の願いについて教えて頂戴」
集計班「私は――【社長】という協力者と共に、この世界を、
【預言書】と呼ばれる書物に書かれている通りに動かしてきました
其処に書かれている、預言に書かれている内容―――
其れが私の願いに大きく関わっています」
鈴鶴「………突拍子もない話ね、それにその預言書を持ってきているわけでもない――
信じられるかしら?
―――わたしのことについては、兎も角、ね」
集計班「そう、それが問題なのです
そこで、きのこたけのこ会議所に来て―――預言書を見、そしてそれが本物であると確かめて頂きたい
加え―――貴女の経歴の本についても見て頂きたい
そして、其処で私の願いについて聞いてほしい―――」
- 120 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:47:13.673 ID:zD6DyXjs0
- 鈴鶴「……預言書、ねぇ
どういう預言…?わたしが、会議所で何かしでかす預言でも書いているのかしら?」
集計班「いいえ…この世界の根幹、大戦の預言です
その預言内容は、かいつまんで話せば、強い武人が、きのこ軍の強靭な軍神をも打ち破ると―――」
鈴鶴「………ふむ」
集計班「そして、その武人は、女性であると―――」
鈴鶴「……分かったわ、きのこたけのこ会議所へと行ってみましょう
ただ、もし嘘ならば、例えこの世界が滅びようとも、嘘をついたあなたを殺す…」
集計班「覚悟しています」
―――。
- 121 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:48:03.914 ID:zD6DyXjs0
きのこたけのこ会議所、地下編纂室――――。
集計班「これが、【預言書】です―――私の言った通りの内容が、書いてあります………
こちらは、貴女の事について書かれた本です……」
集計班は、2冊の本を机に置いた。
鈴鶴は、本を手に取り、内容を一瞥し――――。
鈴鶴「……成程、貴方の言った事は嘘じゃあない、みたいね…」
【預言書】については、理解したわ……
願いを、聞きましょう―――」
集計班「ありがとうございます…
と、その前に―――貴女の本の処遇について、それも聞きたかったのですが……」
鈴鶴「この地下室に、仕舞っておいていい、外に出さなければそれで良しとするわ」
- 122 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:50:46.709 ID:zD6DyXjs0
- そして集計班は、第一の願いを鈴鶴に伝えた。
K.N.C146年、軍神をも破る女の武人が、きのこ軍を打ち破る。
女性は明言されていない。
鈴鶴が参戦し、その通りに運命が動くことを確認してほしい―――と。
- 123 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:53:08.347 ID:zD6DyXjs0
- 集計班「次いで……貴女の果たす第一の願い用に、一応の参戦用の物語を考えておきました――
近くの竹林で、兵士に発見され――会議所と言う存在を知り、その後、大戦をする
ただし、会議所も大戦も、初めて知った風で、お願いします
大戦内では、先ほど話したことを遂行する―――その後、会議所から去る
粗が在るかもしれませんが、どうでしょうか?」
鈴鶴「―――大筋は問題ないから、其れで行きましょう」
集計「ただし、此れでは、貴女の正体がバレる恐れがありますが……」
鈴鶴「大丈夫、それはわたしの方で何とかするわ―――
会議所でそういう動きが在ったら、出来るだけ止めて欲しいけど」
集計班「了承しました――それと、後の布石の為に、予め【社長】と言う兵士に貴女の特徴を調べさせ、
会議所が干渉しないようにさせておきたいのですが……宜しいでしょうか?
彼は、貴女の本を初めて見つけた兵士でもあるので、わたしが頼んでも不審さはないですし…」
鈴鶴「構わないわ……
不測の事態が起きた場合は、わたしが随時対応しておきましょう……」
- 124 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:53:47.698 ID:zD6DyXjs0
- ―――――。
そして、鈴鶴は見事に、1つ目の願いを叶えた――――。
集計班の伝えた通りの時の流れがそのまま起き、其れは預言書の力が本物の其れであることを示したのだ。
- 125 名前:社長:2017/01/30 01:54:21.635 ID:zD6DyXjs0
- 百合ノ季節の裏側。
- 126 名前:集計班の遺言:2017/01/31 00:56:36.676 ID:.ZbqFavM0
- そして、再び先の世で―――――。
社長が百合神に集計班の遺言を伝えて数日後、会議所は、そして世界は大変な騒ぎになっていた。
「緊急!各地にマチャ・オモラシスが大量発生!」
きのこたけのこ会議所、その他さまざまな地域、きのたけ世界に緑色の悪魔【マチャ・オモラシス】が現れた。
- 127 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:18:12.820 ID:.ZbqFavM0
- 其の惨憺たるさまは、其の混沌たる状況は、
きのたけ会議所から遠く離れた、ディアナの隠れ家にも伝わっていた。
ディアナ「――――これは……奴か?」
ディアナは、空を覆う緑色の悪魔たちを見つめながら、そう呟いた。
幸い、険しい岩山の地形にある隠れ家であり、オモラシスに其処は感知されていなかった。
しかし、放送機関から流れる情報では、各地で被害が起きている事が報道されていた。
ディアナが様子を確認しに、空を見ていると―――。
鈴鶴が、ディアナの後ろに現れた。
- 128 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:33:53.583 ID:.ZbqFavM0
- ディアナ「【百合神】―――いや、たしか鈴鶴だったか……」
ネプトゥーン「―――貴女は……!
貴女が来たということは、つまり―――」
アポロ「時は満ちた―――ということ、ですか?」
鈴鶴の声を聞きつけ、直ぐにネプトゥーンとアポロも其処に駆け付けた。
鈴鶴「長い間、ずうっと待たせてしまってごめんなさい
―――単刀直入に言いましょう
わたしは今ある依頼を受けている――
其れに、【鏡】に近い存在のもの―――とある【剣】が、関わっている―――
わたしは、奴の場所が掴めなかった―――。
おそらく、奴は【鏡】の力を込めて封印されたから……。
【鏡】と【剣】には、似た性質がある
【剣】が【鏡】に引きつけられれば、つまりそれは奴に通じることになる
此の依頼を完了させた時点で、貴女達の願いを叶えられる可能性がある―――」
- 129 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:39:20.475 ID:.ZbqFavM0
- アポロ「本当……ですか?」
鈴鶴「ええ…
けれど………【剣】を持つ其の存在は、わたしと因縁深いものなの―――
其の強大なる力は―――悪巧みをする輩が奪いに来る可能性のあるほどに―――
だから、これはわたしの流儀ではないのだけれど―――
わたしに、協力してくれないかしら」
ディアナ「勿論だ……」
ネプトゥーン「当然、ですっ」
アポロ「ユノちゃんの為ならばっ」
三人は、鈴鶴の依頼を快く了承した。
- 130 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:52:19.525 ID:.ZbqFavM0
- ディアナ「だが、俺らは具体的に何をすれば良い?」
鈴鶴「…………
わたしは、【剣】を持った或る少女を追いかける
其の少女を、第三者が始末しないように……無力化させてほしい
方法は、一存するわ……
いらないかもしれないけれど、依頼代も、此処に置いておく…」
ディアナ「分かった―――
そして、その少女については、何か情報があるか?」
鈴鶴「……ええ」
そして、鈴鶴は懐からその少女の写真を取り出した。
- 131 名前:集計班の遺言:2017/01/31 02:11:22.745 ID:.ZbqFavM0
- 写真には、赤い頭巾に赤い服を纏った、金髪青眼の少女が写っていた。
鈴鶴「名前は、ヴェスタ―――
昔、わたしが、雪降る街で拾った、抹茶売りの少女―――
何故抹茶売りをしていたのか―――其れは自分でも覚えていなかった
………わたしは、この子とずっと過ごしていたけれど
とある出来事で仲違いをしてしまい、世界を混乱させることになってしまった―――
だから、闇の彼方へと封じた―――
其の闇の彼方への入り口は、此の世界の中心たる【会議所】が或る場所―――
土地を利用した強力な結界を貼っていた―――」
鈴鶴は、向こうの方を見つめながら、話を続けた。
鈴鶴「この子は、どういうわけか、神の持つ【剣】を持ち、封印を破り、顕現する―――
そして、其れと同時に、あの子と共に封じた抹茶がオモラシスとなり出でる―――
わたしは、この子を救い出す為に―――追いかけて決着をつける
―――おそらく、この子がたどり着く場所は、奴を封印した場所になるでしょう」
- 132 名前:集計班の遺言:2017/01/31 02:36:50.516 ID:.ZbqFavM0
- ヴェスタの写真を見たネプトゥーンは、何かに気が付いた。
ネプトゥーン「この子―――どことなく、ユノに似ているような……」
鈴鶴は、ただ無言で其れを見ている。
鈴鶴「………わたしは、初めてユノを見たとき…
ヴェスタの面影を感じた
それは―――つまり―――」
アポロ「ユノちゃんの、妹ということ―――ですか?」
鈴鶴「ええ……」
ユノは、アポロに妹がいると語っていた。
あの惨劇の後、妹の行方は知れない。
また、亡くなった母親は神に仕える雰囲気を持っていたという。
其れが本物であるならば、【剣】を使う資格のある血が流れていることとなり―――
子にも、【剣】を扱う力が或るということになる―――。
だから、ヴェスタは、【剣】を持て、そして其の力で封印を破るのかもしれない。
また、血の力で【鏡】に引き寄せられるかもしれない―――。
鈴鶴「………もっとも、これは憶測
どちらにせよ、わたしはヴェスタを追いかけにいく
決着をつけに―――そして切れた縁の糸を繋ぎ戻すために……」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 133 名前:社長:2017/01/31 02:37:04.155 ID:.ZbqFavM0
- 勝手に設定作ってごめんなさい!
- 134 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:24:38.055 ID:kthCVMSY0
- オモラシスが世界を蹂躙する中を、鈴鶴は駆け抜ける―――。
鈴鶴は、集計班の願いを思い返していた。
- 135 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:26:41.897 ID:kthCVMSY0
- 集計班「二つ目の願い……
それは、来る未来に出現すると言われる、オモラシスの大量発生事件についての願い、なのです―――
【預言書】のこの欄を見て頂きたいのですが……」
集計班は、【預言書】の当該部分を指でなぞり、鈴鶴に見せた。
神の力を秘めたる【剣】――。
其れは封じられた少女を目覚めさせ、そして少女を封じた乙女との決着を付けに行く―――。
鈴鶴「………
それが【預言書】に或るなら―――わたしにこうして頼む必要はない―――
貴方に頼まれなくとも、わたしは決着を着けに行くでしょう―――結果はどうなろうと…」
- 136 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:27:11.128 ID:kthCVMSY0
- 集計班「いいえ、頼む理由があるのです―――
その理由は、【預言書】の、此方にに書いてあるこの部分―――
きのたけ世界の滅亡を防ぐために、二人の救世主が命にかえて世界を存続させる―――
わたしは此れを書き換える―――この救世主を死なせないために―――」
集計班は、虚空を見つめながら淡々と語った。
集計班「つまり、其れにより【預言書】も消え去ります」
鈴鶴「……つまり、この【預言】は幻に還るということになるわね
けれど、それでは此の未来が起きることは分からなくて?」
- 137 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:29:12.667 ID:kthCVMSY0
- 集計班「いいえ……此の未来は、いつになるかは分かりませんが、起きる筈です―――」
鈴鶴「……如何して?何処にあるとも知れぬ【剣】が、如何して此処に来ると言える?」
集計班「其れは―――其の【剣】は、私が封印したから―――
そして、少女のことをわたしは知っているから―――」
鈴鶴「………詳しく教えてもらいましょうか」
集計班「そう……貴女には、全て話さなければなりませんね」
遙か昔の話です―――」
- 138 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:29:32.974 ID:kthCVMSY0
- そして集計班は、過去を語り始めた。
- 139 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:32:35.950 ID:kthCVMSY0
- 此の世界に、大戦を行うという概念が起きる前、集計班はある街の市長と親交があった。
その市長には妻一人、娘二人が居た。最も、其の妻は、二人目の娘を産むと同時に亡くなってしまったが――。
集計班は、市長とは、妻を娶る前から親交があった。
というよりは、市長の妻との出会いにも関わっていた。
集計班は街の小さな役所で、街に関する事柄を処理していた。
その傍らで、二人は此の世界の根幹たる力は何なのかを探求していた。
- 140 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:32:48.971 ID:kthCVMSY0
- そんなある日―――。
二人は、街の近くの砂浜を散歩していた。
その砂浜には、【鏡】を抱えた、黒髪の少女が流れ着いていた。
まるで、神に仕える特別な雰囲気を持った少女だった。
少女はひどく弱っており、二人は街の病院へ少女を運んだ。
話すところによれば、遠い暗闇の中から、此処にやってきた―――と。
そして、ある【剣】も持っていたが、其れは何処かに消えてしまった―――とも言った。
- 141 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:33:00.721 ID:kthCVMSY0
- 少女は行くあてがあるわけでもなく、市長がその少女の身柄を引き取った。
そしていつの日か―――市長と少女は結ばれ、子を1人設けた。
けれども―――2人目の子を産む時、少女は黄泉の國へと旅立ってしまった。
- 142 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:33:22.136 ID:kthCVMSY0
- それから5年後――――。
集計班は、出先で此の世界の歴史を動かすものが何なのか、曖昧ながらも手掛かりを掴んでいた。
そして街に帰ってきた時―――街は業火に包まれ、そして住人達が逃げ惑い、死体が重なり、街は消えてしまった。
大切な友が、いなくなってしまった―――。
失意の元、其れでも市長は世界の謎を解き明かせと言うだろうと考えた集計班は、ひたすらに謎を追い求めた。
- 143 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:34:40.マオウ ID:kthCVMSY0
- 街が消えてから凡そ1年後―――緑色の悪魔、オモラシスが世界を襲った。
沢山のオモラシスは世界を荒らし、民を荒らした―――だが、突如其れはすべて倒された。
集計班は、その出来事について調べていた。
楽園に住まう二人の少女の争いに起因するものという噂も聞いた―――。
そして調べるうちに、きのことたけのこ―――この二つが起こす争いが、世界の根幹たるものであり、歴史を動かす力だと気が付いた。
- 144 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:35:21.184 ID:kthCVMSY0
- その説に賛同したまいう等の実力者が、大戦を行って其れを確かめてみよう、と提案した。
そして大戦が執り行われ、きのこたけのこ大戦が生まれた。
また、大戦を総括する【会議所】という施設が作られることとなった。
- 145 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:35:35.625 ID:kthCVMSY0
- 【会議所】を建設するために、集計班は測量をしていた。
その時―――【剣】を拾った。
禍々しい蛇の鱗が刻まれた、白い【剣】を―――。
昔一度見た【鏡】に似たものを感じた集計班は、此れがあの少女の言っていた【剣】だと実感した。
- 146 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:35:55.161 ID:kthCVMSY0
- 其の【鏡】は少女の願いで封じていた。
集計班は、【剣】にも同じ事を施さねばならないだろうと考え、【剣】を強力な封印を込めた箱に詰めた。
其れは、【会議所】が建設された時、其れを自身の部屋で管理していた。
- 147 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:36:11.814 ID:kthCVMSY0
- 数年が立ち、wiki図書館に【地下編纂室】が作られたある日―――。
集計班は、【預言書】の指示に従って地下を調べていると其処に突如、闇の狭間が覗いている事を見つけた。
その中には―――本を抱えた幼い少女が、禍々しい瘴気を放ちながら眠っていた。
集計班は幼子に見覚えがあった。
そう―――それは市長の妻となった少女の娘、ヴェスタであった。
集計班は、救いだしたいという気持ちを抑え、【剣】を封じの中に放り込み、そして闇の狭間を閉じた。
- 148 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:36:22.520 ID:kthCVMSY0
- その闇の封印を強固にするために、地形を利用した封じもつけた。
―――全ては、【預言書】に、百合神が少女との決着をつけると書いてあったからだ。
その引き金となる事件は、【封呪の聖晶糖】の破壊―――。
【剣】を握ったヴェスタが、其れを破壊させるように、【剣】の力でwiki図書館に兵を閉じ込めさせる、と―――。
- 149 名前:社長:2017/02/12 01:36:37.602 ID:kthCVMSY0
- 集計班さんに謎の設定をつけていくスタイル
- 150 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:14:56.016 ID:va.rwX9M0
- ―――。
鈴鶴「事情は分かったわ……
【剣】が其処に或るならば、いずれ起きるということね
けれど、【預言書】を書き換えるなら、其れが何時起きるかは分からないわけでしょう?
どうやって、わたしに合図を送るか、決めているの?」
集計班「ヴェスタを封じるために使った封印の一つは【封呪の聖晶糖】
貴女に動いてもらう合図は、其れが破壊された時、先ほど話した【社長】に、合図を送るようにします
封筒に合言葉を入れて、届けさせる手筈です……」
- 151 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:15:20.739 ID:va.rwX9M0
- 鈴鶴「わたしに動いてもらうための―――合言葉は、何にしましょうか」
集計班「【集計班の遺言】―――といきましょう」
―――。
- 152 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:20:57.118 ID:va.rwX9M0
- ―――。
オモラシスが全てを駆逐し、一時は世界が破壊されかねない―――そんな極限状態にまで陥ろうとしていたが、
きのこたけのこ会議所の兵士の奮闘、そして百合神の手助けで其れはなんとか喰いとめられた。
ヴェスタは、戦場から姿を消し、会議所の向こうへと駆けて行った。
【創世書】を右手に、【剣】を左手に持ち―――ずっとずっと駆け抜けた。
鈴鶴は後を追って行った。
腰には愛刀姫百合を、そして左手に黄泉剣を構えて―――。
- 153 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:22:38.916 ID:va.rwX9M0
- たとえ少女であろうと、オモラシスの元凶かもしれない少女。
ヴェスタを捕らえようとする輩は、鈴鶴が予想した通り存在した。
大抵は公な目的で動いていたが、その中には、肉欲を充たすために彼女を捕えようとする輩も居た。
しかし―――ヴェスタを捕えようとする輩は、誰彼構わずに眠りについた。
- 154 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:23:23.699 ID:va.rwX9M0
- ディアナ「―――ネプトゥーン、まだ居るか?」
ネプトゥーン「10時の方向…!10人、会話内容はこの少女を生け捕りにして売る―――」
ディアナ「了解―――」
そう、ディアナ達が始末をつけていた。
方法はディアナ達に任せる―――鈴鶴はそう彼女たちに願ったため、その依頼を果たしているのだ。
- 155 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:23:42.300 ID:va.rwX9M0
- ネプトゥーンに地面の中を泳いでもらい、其処から敵の粗方の位置、装備、ヴェスタを捕える目的を探らせ――
そして、敵に応じてディアナは弾丸を変えて狙撃した。
世界を脅かす存在を鎮静させる為―――そういう公な目的がある輩は、麻酔弾でしばらく眠ってもらい―――
肉欲で彼女を捕えたりと、欲を充たそうとする輩は、永久の眠りに―――常世に行ってもらった。
- 156 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:24:22.878 ID:va.rwX9M0
- 敵1「何処から狙ってるんだっ、敵はっ!?……此処から身を隠せる場所なんて、1キロも離れ―――」
この敵の集団は、常世に行くべき集団だ。其処にロケット弾が、武器を巻き込んで着弾した。
敵2「ぐっ!こんな狙撃が出来る奴なんて―――軍にいたか!?」
敵3「こんなに離れた所から精度の高い狙撃が出来る奴までは…
いや、待て……聞いたことが或る、ディアナと言う名の女マタギが射撃に秀でていると……」
敵2「馬鹿な!マタギがこんな事に関わ―――」
そして、2つ目の着弾と共にその集団も全滅した。
ネプトゥーン「………しかし、此れほどまでに敵が多いなんて―――」
ディアナ「仕方がない―――俺たちの出会った緑色の悪魔だって、街一つを滅した奴だった
それほどまでに恐ろしいものをいくらでも呼び出せる少女に、目を付けない奴は少ないだろう」
- 157 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:25:56.050 ID:va.rwX9M0
- ――――。
そして―――。
鈴鶴は、件の少女の―――ヴェスタのもとに辿り着いた。
其処は海の上に浮かぶ一枚岩だった。
- 158 名前:社長:2017/02/25 00:27:20.621 ID:va.rwX9M0
- ロケットランチャーも使える系マタギ
- 159 名前:集計班の遺言:2017/03/06 00:58:58.536 ID:kTjTGIAk0
- 盾30尺、横36尺ほどのその岩は、天辺はまるで誰かに磨かれたかのように滑らかな平面をとり、
海底から海面まで、一繋ぎに刺さっていた。
鈴鶴「ヴェスタ――――」
黄泉剣を構えた鈴鶴に、ヴェスタは【預言書】を握り締め、左手の【剣】から瘴気を出しながら、見返った。
その顔は―――かつてヴェスタを封印したときのように、変わり果てた姿ではなく―――
それは、想い出の中にあるヴェスタの顔、そのものだった。
眼以外は。
眼は、朽縄のように妖しく輝いていた。
それは蛇眼であり―――邪眼であった―――。
- 160 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:02:59.172 ID:kTjTGIAk0
- ヴェスタ「鈴鶴、おねえちゃん―――」
けれども、心は――鈴鶴に対する気持ちは、縁の切れたあの時のままで―――。
ヴェスタ「この世界を創ったのは―――わたし―――」
その言葉と共に、右手に【剣】を構えた。
鈴鶴「何処から持ってきたのかは如何でもいい……
けれども、その【剣】は―――
【創世書】よりも、はるかに恐ろしいもの、なのよ――」
ヴェスタ「けれども―――この【剣】は―――
おねえちゃんにとっての、左目に或るそれと同じようなもの――
【創世書】と違って、この【剣】はわたしの【血】にとって一番合う―――そう、本能で分かったんだよ?」
- 161 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:04:06.817 ID:kTjTGIAk0
- 鈴鶴の言の葉にそう返したヴェスタは、【剣】を鈴鶴に向け、切りかかった。
その刃を、鈴鶴は黄泉剣の刃で受ける。
鈴鶴「っ―――!」
ヴェスタ「ほらほらほらっ!まだまだっ!」
その斬撃の嵐は―――あの時の彼女では出来ない芸当で――決して身に着けてはいない技術で―――。
其れは―――鈴鶴の操る剣術―――月影黄泉流そのものであった。
- 162 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:07:30.842 ID:kTjTGIAk0
- 鈴鶴「ちぃっ―――」
また、もう片方の手に持つ【創世書】も、鈴鶴の足止めにはぴったりだった。
鈴鶴に触れられないため、オモラシスは召喚されないものの、辺りに幻を生み出している。
しかも、鈴鶴の記憶の中の、辛く哀しいものの幻を生み出すのだ。
それは唯の幻―――けれども、鈴鶴にとってそれは苦しい幻であった。
- 163 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:07:58.599 ID:kTjTGIAk0
- ヴェスタ「おねえちゃん……ふふっ、やっぱり効くよね―――
おねえちゃんに、過去仕留めた奴の幻なんて見せても、意味がない―――」
其れをヴェスタは、くすくすと笑いながら見つめていた。
鈴鶴「しぇっ!」
鈴鶴が如何にか振り払いながら剣を振るうも、その背中にも幻が纏わりつく。
幻は何も言わず、ただ鈴鶴の身体にしがみ付くだけだ。
だが、其れだけが、鈴鶴にとって一番効くことをヴェスタは感覚で実感していた。
- 164 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:15:06.715 ID:kTjTGIAk0
- 幻に翻弄される鈴鶴へと、其処に蟒を殺す程の剣筋を斬撃を、ヴェスタはその小さな身で斬り放つ。
回数を重ねるごとに、まるで其れに慣れたかのように、一振り一振りの速さを増していった。
鈴鶴「ぐぅッ―?!」
嗤いながら最速で斬りかかるヴェスタの【剣】の刃に、遂に鈴鶴は片腕を――右腕を少し、切り裂かれてしまった。
ヴェスタ「お姉ちゃん―――剣の一振りで、わたしは上回った―――
わたしよりも弱いお姉ちゃんは、ふさわしくない―――創世主に―」
ヴェスタの嗤い声が響く。
走る痛みを感じながら、鈴鶴は後ろに跳び、冷静に考えていた。
- 165 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:17:02.654 ID:kTjTGIAk0
- 傷は浅い―――自身の不老不死の身体ならば、いずれ治る――だが、このままでは―――わたしは―――。
あの、【創世書】を消さなければ―――。
ヴェスタ「お姉ちゃん――わたしはお姉ちゃんなんて大嫌いよ
だから、このまま斬られて御終いになって、ふふ、ふふっ―――
幻に囚われて、わたしに負けてしまえ―――」
ヴェスタはさらに鈴鶴を挑発する。
そして、その言葉と共に、はるか上空に飛び上がり、そしてそこから鈴鶴に斬りかかった。
- 166 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:17:34.002 ID:kTjTGIAk0
- 鈴鶴「――――」
鈴鶴は、ヴェスタを眼で追わずに、眼を閉じた。
鈴鶴「そうはさせない―――」
腕の痛みに歯を食いしばりながら、鈴鶴はそう呟き――。
そして、右腕を無防備に、天に突きだした。
- 167 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:18:47.230 ID:kTjTGIAk0
- ヴェスタ「諦めたのね――――
おねえちゃん―――さよなら―――」
その一言と共に、【剣】の刃が鈴鶴の右手に入った。
激しい痛みが伝わってくる―――。
しかし―――鈴鶴は、その【剣】が身体に触れた一瞬―――其れと同時に―――。
鈴鶴「月影黄泉流―――【姫百合】―――」
自身の右腕だけを切り飛ばされるように身体を折り曲げ、自身の剣術の奥義を、ヴェスタに叩き込んだ。
- 168 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:20:22.648 ID:kTjTGIAk0
- ヴェスタ「―――!?」
其れは返し技。
相手の動きに合わせて、それを跳ね返す奥義。
其の性質上、対人での鍛錬のみでしか得られない技―――。
ヴェスタは、その技を見ていない―――。
だから―――ヴェスタは其れを避けられず―――。
その衝撃を受け、ヴェスタは吹き飛んだ。
しかし―――鈴鶴は、ヴェスタを狙って切ったのではない。
その刃は、【創世書】、ただそれだけを消し飛ばした。
- 169 名前:社長:2017/03/06 01:20:49.951 ID:kTjTGIAk0
- なんか勝手に重要なもの壊してごめんなさい。
- 170 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:01:38.685 ID:/abCs7iU0
- 鈴鶴「痛い……右の手を犠牲にした……恐ろしく痛いわね……
神剣と、それに混じる瘴気のせいで、ちぃっと治るまでに時間はかかるかもしれないけれど、その甲斐はあった―――」
ヴェスタ「――――!」
ヴェスタは、呆然とした表情で、消し飛んだ【創世書】の欠片を見つけている。
鈴鶴「……わたしと同じように、左手で【剣】を持っていた
右手に持っていた【創世書】の位置は、【剣】の位置とあなたの技術を想定すれば、見ずとも―――」
- 171 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:09:22.252 ID:/abCs7iU0
- ヴェスタ「ふふ―――ふふふ
あはははははははははは―――っ」
ヴェスタの嗤い声が響く。
それは狂気にまみれた嗤い声だった。
- 172 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:13:07.198 ID:/abCs7iU0
- ヴェスタ「なぁんて―――
おねえちゃん―――
【創生書】がなくなったから―――わたしを倒せるとでも、思っていた?
所詮、おねえちゃんを苦しめる幻影も、オモラシスも――――
小手調べみたいなものだよ」
ひとしきり嗤った後、ヴェスタは淡々とそう告げた。
鈴鶴「分かっているわ―――
【創世書】なんて、永久にはいらなかった……
確かにあれがなければ、わたしたちが幸せに暮らす始まりはなかったけれど…
永久にあれはいらない―――あれは、安置すべきものだった……
けれど、そうできないから、斬り伏せた」
ヴェスタ「ふふふ―――
でも―――
それだけのことするために、腕をひとつ犠牲にした――
おねえちゃんは、わたしに見せていない奥義をついに見せてくれた―――」
鈴鶴「技術は、わたしと同じ
貴女はその【剣】を操る資格があり―――そして、【剣】のせいかは知らないけれども
恐ろしく洗練された技術がある
多分―――貴女は蟒を斬った海神―――わたしの祖先にとっての弟神――の血でも引いているのでしょう
其の血を引くならば―――片腕しか使えないわたしを越えられる可能性は充分―――」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 173 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:13:30.338 ID:/abCs7iU0
- 鈴鶴は左手で黄泉剣を構え、ヴェスタを見つめた。
ヴェスタも同じく左手で、【剣】を構え、鈴鶴を見つめた。
そしてふたりは同時に斬りかかった。
剣と剣のぶつかる金属音が響いた―――。
- 174 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:23:43.409 ID:/abCs7iU0
- 黄泉剣―――。
其れはかつて神を斬り伏せた神剣。
其の剣自体は月女神と同じ――そして其れを支える【勾玉】は【力】の塊―――。
それらが合わさり、強力なる剣となる。
一方、【剣】も其れに負けぬ剣だ。
恐ろしく硬く、恐ろしく切れ、其処から流れる瘴気が斬られた側から入り、常人は狂って死ぬ。
耐えられるのは恐ろしい精神力を持った者のみ―――。
そしてまた、【剣】は素晴らしい剣術を授けてくれる。
そして記憶の中にある剣術を模倣し、最高の状態で扱えるようにしてくれる。
二つの違う剣同士はぶつかりあった。
共通点は、どちらも、不適切な血の持ち主が持つと、【力】に飲まれて狂うことだ―――。
- 175 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:24:18.446 ID:/abCs7iU0
- 月影黄泉流―――。
其れは、月の民の間でのみ伝わりし剣術―――。
其処に有る技は百合の華の名を冠している―――。
夕菅、藪萱草、姥百合、山百合、笹百合、袂百合、鬼百合、鉄砲百合、姫小百合―――。
そして、奥義である姫百合―――。
その技同士が、ぶつかり合う。
同じ技量、同じ性質の剣がぶつかり合う。
鈴鶴が技を繰り出せば、ヴェスタが其れに対して技を返して受け流す。
ヴェスタが技を繰り出せば、鈴鶴が其れに対して技を返して受け流す。
闘いは拮抗していた。
しかし、負傷の事を考れば、ヴェスタの方が優勢であった。
そしてヴェスタは、鈴鶴の斬り上げる黄泉剣の刃に向かい、奥義である姫百合を叩き込んだ。
- 176 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:24:36.213 ID:/abCs7iU0
- ―――。
――。
―。
- 177 名前:社長:2017/03/16 23:25:25.104 ID:/abCs7iU0
- 【剣】を持ったヴェスタならあの魔王様にも勝てそう感。
- 178 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:36:17.936 ID:4E9Vbmk.0
- 一瞬の閃光と金属音が、其処に走った―――。
鈴鶴とヴェスタは、背中合わせに其の場で対峙していた。
そして其の一瞬の後に―。
ヴェスタ「あぁああーーーっ!!」
ヴェスタの左腕が掻っ切られていた―――。
血が流れ、そして膝を突き、左手の力を失くしてしまったのか、【剣】を取り落としていた。
- 179 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:37:38.481 ID:4E9Vbmk.0
- 鈴鶴は姫百合を姫百合で返したのだ。
姫百合は、本来相手の振りかぶる刃に自発的に切り込みながら、威力を返す技だ。
だが、鈴鶴は―――姫百合を黄泉剣で受けた瞬間に、姫百合を放ったのだ。
其れは鈴鶴が咄嗟に放った一撃だった。
斬られる感覚から斬りこんだあの行動を―――剣の刃で真似たのだ。
- 180 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:37:56.921 ID:4E9Vbmk.0
- ヴェスタ「っ―――はぁ、っはぁっ―――
まだ――まだっ―――」
鈴鶴「まだ―――ヴェスタはわたしに斬り込める?
もう―――その左手では、今のように斬れないわ―――
右手に持ち変えてもいいけれど、負傷してもなお、斬り込める気概は―――」
- 181 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:39:50.540 ID:4E9Vbmk.0
- ヴェスタ「っ―――」
鈴鶴は、言葉に詰まりながらも、きっと睨みつけるヴェスタに近寄った。
血の流れる右腕を修復しながら、ヴェスタに歩み寄った。
鈴鶴は、傍らに落ちている【剣】を拾えば直ぐに反撃してくる様に見え、ヴェスタは動けなかった。
鈴鶴は近づいてくる。
鈴鶴はヴェスタに歩み寄る。
黄泉剣を左手に構えた鈴鶴は、ヴェスタの目の前まで近づいてくる。
- 182 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:43:21.595 ID:4E9Vbmk.0
- そして、ヴェスタの後ろに回り込んだ。
ヴェスタは、其れでもなお―――反撃の機会を伺っている。
【剣】を―――利き手ではない右手で、何時掴んでやろうかと思っていた。
- 183 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:44:28.793 ID:4E9Vbmk.0
- 鈴鶴は―――黄泉剣を仕舞い、神の力を解き―――。
百合神ではない、鈴鶴自身の姿になって、ヴェスタを抱きしめた。
鈴鶴「ごめんね、ヴェスタ―――
どうしてわたしは、あの時あんな事を言ってしまったのだろう
【預言書】は、ヴェスタがいなければできなかった
世界の創造に、優劣なんてなかった、のに―――」
鈴鶴の涙が、ヴェスタの服に伝う。
鈴鶴「ヴェスタが居なくなって、わたしは初めて分かったの
優劣がない事に―――
わたしは如何して、あんな事を言ってしまったのかってずっと思っていたの
わたしは、ずうっと後悔していたの―――」
鈴鶴は償いの言葉を紡ぎ、ヴェスタを抱きしめた。
- 184 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:47:26.780 ID:4E9Vbmk.0
- ヴェスタ「え――」
ヴェスタは、戸惑いの表情を見せた。
鈴鶴「お願い―――
勝手な言い分かもしれないけれど、わたしを、許して―――
どうか、あの日々に――戻ろう?」
ヴェスタの表情は鈴鶴には見えていない。
けれども、多分―――彼女は、戸惑った表情を見せていると感じていた。
ヴェスタ「………」
ヴェスタは、今【剣】を拾い上げれば――、
傍らの【剣】で斬りつければ、即座に此の勝負に勝てると思っていた。
鈴鶴を超えられるのだと。
ヴェスタの右手は、落ちている【剣】へと伸び―――。
- 185 名前:集計班の遺言:2017/03/18 02:54:42.214 ID:4E9Vbmk.0
- 其の手を、鈴鶴は掴んだ。
斬りつけた右手は既に、10歳そこらの少女の肉体を掴むのには申し分ないほどに回復していた。
ヴェスタ「っ―――!」
鈴鶴が、そんな姑息な手に引っ掛かる訳がない―――。
ヴェスタは心の奥底では分かっていた。
曲がりなりにも鈴鶴と過ごし、曲がりなりにも鈴鶴と闘ったから―――。
【剣】を掴むことできず―――わたしは、此のまま鈴鶴に勝てない。
ヴェスタの心は絶望に満ちていた。
- 186 名前:集計班の遺言:2017/03/18 03:02:26.598 ID:4E9Vbmk.0
- ふいに、鈴鶴の手の力が緩んだ。
それと同時に―――鈴鶴は言葉をヴェスタに、ぽつりぽつりとつぶやき始めた。
鈴鶴「貴女がわたしを、許してくれないなら、わたしをその【剣】で貫いても、いいよ―――
わたしをその【剣】で斬り、そして首を獲ってしまってもいい
わたしの血を奪い、その傷を癒し、わたしを超えた力を操っていい
わたしはあなたが好きだから―――
わたしを乗り越えてくれても―――
あなたがわたしを嫌い、そして乗り越えるというのなら―――
わたしは潔く其れを受け容れる―――
此れがわたしの出来るすべて―――
貴女を愛しているから、わたしは、貴女の糧となっても―――構わない」
ヴェスタ「あ―――」
ヴェスタは、鈴鶴の言葉に、何故だか涙が止まらなかった。
- 187 名前:集計班の遺言:2017/03/18 03:10:36.225 ID:4E9Vbmk.0
- ヴェスタは、右手で【剣】を握りしめた。
けれども―――もう、鈴鶴を斬りつける気はなかった。
ヴェスタ「おねえちゃん―――
ごめん―――」
ヴェスタの心にはもう、鈴鶴への怨念は一欠片もなくなっていた。
鈴鶴の身体の温かさが分かる。
鈴鶴の心は、ヴェスタの心を溶かしたのだ。
鈴鶴「ヴェスタ―――
わたしだって―――ごめんなさい―――」
そして鈴鶴は、再度ヴェスタに償いの言葉をささげた。
- 188 名前:集計班の遺言:2017/03/18 03:11:07.965 ID:4E9Vbmk.0
- しかし―――。
ヴェスタ「―――いいや」
突如、ヴェスタの声色が変わった。
鈴鶴は異変を察知し、其の場を飛びのき、再び黄泉剣を構えた。
- 189 名前:集計班の遺言:2017/03/18 03:12:22.956 ID:4E9Vbmk.0
- ヴェスタ「ようやく俺の出番が来たぞォ―――
このガキの恨みが解けやがったから、ようやく来れたな―――」
鈴鶴「貴様、ヴェスタではないわね―――」
ヴェスタの声は、小鳥のさえずりのように美しい声ではなく―――寧ろ、厳めしい男の様な声になっていた。
- 190 名前:集計班の遺言:2017/03/18 03:14:49.625 ID:4E9Vbmk.0
- ユピテル「フハハハハハハハッ―――
俺の名はユピテル!
このガキにとりついた、俺の分霊という奴さ―――
呪いぐらいしか出来なかったが、ようやく俺がここで顕現できる」
ヴェスタの姿形は変わらぬものの、人格は、あの日のヴェスタでも、今闘ったヴェスタでもなく。
其処に現れたのは―――。
ユピテル「貴様の血を流されたら、俺が消滅するところだった―――
危ない、危ない……
だが、ここで始末して、その持ってる【勾玉】を奪い、【剣】を併用して封じられた俺を奪いかえしてやるぞ」
鈴鶴「貴様―――」
ユピテル「―――生憎、雷の力はあっちにいっちまったが、式神ぐらいならなんとかなる―――
【剣】さえあればなァ!!!」
ディアナ達の語った、緑色の悪魔だった―――。
- 191 名前:集計班の遺言:2017/03/18 03:20:24.513 ID:4E9Vbmk.0
- ヴェスタの魄を借り奪った其の緑色の悪魔――ユピテルは、【剣】に念を込めた。
そして其の場には、鈴鶴よりも大きい―――六尺三寸の、乙女の姿をした緑色の悪魔の式神が現れた。
ユピテル「このガキが、お前を消す為に―――使おうとしていた式神だぜェ…
名は、確かミネルヴァだったかな………
このガキが心変わりしやがったから、使われる事はなかったがなァ…」
ミネルヴァは、鈴鶴を見下ろし睨みつけていた。
其の眼は月の民の様で―――。
其の髪色は、草原に広がるような緑色で―――。
人間としての耳は無く、猫のような耳が頭にあり―――。
また、顔や手に――ーそして恐らくは衣装で隠れた身体にも――蛇の模様が刻まれていた。
- 192 名前:社長:2017/03/18 03:25:02.387 ID:4E9Vbmk.0
- 此の式神の実力やいかに。ちなみに六尺三寸は191cmぐらい。
- 193 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:36:30.242 ID:TWcZdluA0
- ユピテル「さぁ―――その女を倒しちまえ」
ユピテルの命を受け、ミネルヴァは鈴鶴へ向かっていった。
其の速度は、閃光の如き速さだった。
- 194 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:37:36.027 ID:TWcZdluA0
- 鈴鶴「ちぃっ!」
鈴鶴はそれをなんとかかわし、返す黄泉剣で脛をえぐるも、かすり傷ほどにしかなっていなかった。
鈴鶴「【剣】の力で、満ちている―――
斬った手ごたえが―――まるで感じられない―――!」
- 195 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:39:40.557 ID:TWcZdluA0
- 目に留まらぬ速さで地を海を空を駆ける神速の機動力―――。
あらゆる環境で生存する強靭無比の生命力―――。
軍神の一撃をも退け火風水のいずれにも傷つかぬ鉄壁の防御力―――。
そして古き世界の民草を押し流し滅ぼす無敵の攻撃力―――。
かつてヴェスタが生み出したオモラシスと同じように―――、
式神、ミネルヴァは、それを兼ね揃えた暗黒の生命体だった。
男を吹き飛ばすほどの力を持つ鈴鶴の天敵である、乙女の存在の―――。
- 196 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:48:44.006 ID:TWcZdluA0
もしミネルヴァに、鈴鶴の操を狙おうとする意志があるなら、発現させたのが男であるユピテルにより吹っ飛ばす。
だが―――この式神は、鈴鶴の命にしか興味はない。
鈴鶴はどうにかその一撃をかわし、ミネルヴァを操る本体をどうにかしようとするが、ミネルヴァはそれを許さない。
こちらが式神を召喚しても、ミネルヴァに比べればちっぽけなものだ。
身一つでかわそうとしても、もともと鈴鶴を超えた存在であるミネルヴァは、鈴鶴を圧倒し始めた。
そして、鈴鶴に向かって振り下ろされた拳をかわしても、地面に訪れた衝撃は鈴鶴に伝わった。
- 197 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:50:39.179 ID:TWcZdluA0
- 鈴鶴「ぐぁっ――――」
鈴鶴の身体はバランスをとれずに倒れ込んでしまった。
ユピテル「てめェの眼が閉じられちゃァ悲劇が見せられねェ―――そのまま首以外を潰してやるぞ」
其の言葉と共に、鈴鶴のどてっぱらにミネルヴァの拳が飛んできた。
- 198 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:51:06.986 ID:TWcZdluA0
- だが―――。
鈴鶴の身体には何も衝撃も痛みも来なかった。
鈴鶴の腹の上にはアポロが居て、そしてミネルヴァの片方の拳は消滅していた。
アポロ「鈴鶴、さん―――
助けに、来ました………
僕に出来るのは、此れしかないからっ」
- 199 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:51:34.175 ID:TWcZdluA0
- ユピテル「なんだ、このガキっ―――!?」
ユピテルの驚愕の言葉もいざ知らず、アポロはミネルヴァへ突撃していった。
鈴鶴は、ディアナ達に協力を要請していた。
鈴鶴がヴェスタを追い掛けている間、何一つとして邪魔も入らなかったのは、此れによるものだ。
恐らく―――アポロは此の状況を見て、助けに来てくれたものだろう。
ふと鈴鶴が一枚岩の岸を見ると、モーターボートが一隻停まっていた。
どうやらこの一枚岩からわずかに見える、向こう岸の島から、
アポロが此処に船で駆け付けたらしい――。
- 200 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:54:42.074 ID:TWcZdluA0
- アポロの力―――。
それは自身と触れた者が魔力を封じられる力―――。
式神は魔力と依代から創られる。
たとえば刃物を用いて式神を創れば、例え其れが敗れても其れで刺すこともできる。
しかし―――ミネルヴァはヴェスタの【血】と【剣】の瘴気から出来ていた。
それらは魔力に近い存在だ―――。
目に留まらぬ速さで地を海を空を駆ける神速の機動力―――。
あらゆる環境で生存する強靭無比の生命力―――。
軍神の一撃をも退け火風水のいずれにも傷つかぬ鉄壁の防御力―――。
そして古き世界の民草を押し流し滅ぼす無敵の攻撃力―――。
そういう性質があろうと―――存在そのものを消し飛ばせるアポロの力の前では全くの無力になってしまう。
アポロは、ミネルヴァに対して無傷で勝つことができるのだ。
- 201 名前:集計班の遺言:2017/03/19 02:55:33.731 ID:TWcZdluA0
- アポロはミネルヴァの片足に思いっ切り抱きつき、其れを消し飛ばした。
ユピテル「クソッ、この地面を抉り取りそれを投げつけ―――」
そして、ユピテルがこの事態を執成そうと、直接的な攻撃を図ろうとした―――。
ヴェスタ「させない―――」
しかし、其れは為されることはなかった。
ヴェスタが、其の心を取り戻していたから。
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