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ユリガミノカナタニ2

1 名前:社長:2016/09/04 00:44:24.091 ID:PNG5mMkE0
邪神スピリットJ あらすじ

鬼のマタギ、ディアナは人魚を狩る狩人を殺すとともに、襲われかけていた幼い人魚ネプトゥーンを助けた。
そして数十年後―――再び狩人を殺したディアナだが、最後の一人の自爆で大怪我を負って海の底に沈んでしまった。

そこには、ネプトゥーンの親が治める竜宮があり、ディアナも人魚の肉を狙った存在と勘違いされた。
それをネプトゥーンは訂正しようとしたが聞き入れられず、ディアナを助けて駆け落ちしようとした。

ディアナに人魚の血を飲ませ、傷を癒したネプトゥーン。
ネプトゥーンは助けられた時から好きになったとディアナに告白し、二人は逃げることにした。

そして―――無事に逃げ、海岸まで上がることができた。

73 名前:社長:2016/10/23 22:19:46.009 ID:EkIxVLm.0
ようやく百合神様登場?
そしてWARSに唐突に出現した滝本みたいなミスを…。

74 名前:社長:2016/10/23 22:27:42.232 ID:EkIxVLm.0
・アポロの能力

アポロ、そしてアポロが触れているものは魔法やそれに準ずるものを受け付けない。
それは受ける分だけではなく、放つ分も―――。
そのため、彼女は天狗としての基本である飛行ができないのである。

簡潔に言えば、一切の魔法は禁じられる―――。
ただし、触れた相手が能力を封じることに対して反撃する力がある場合は、互いの身体は決して近づけない。

例を説明すると―――。
鈴鶴は男に操を奪われるのを防ぎ、吹っ飛ばす――ただし、其れを出来なくするものも吹っ飛ばす力がある。
此の場合、鈴鶴とアポロは決して触れられない。
【力】を封じることに対し、反撃するという【力】があるからだ。

また、魔法を封じるというものはどんなに力が強いものでも封じることが出来る。
あの魔王791のシトラスだろうがなんだろうが、アポロには通じない。
そしてアポロが魔王791に触れれば、魔王791はシトラスなどを唱えられないだろう。

此の【力】の弱点は、物理的な攻撃には無意味である。
そのため、格闘技でも、剣術でも――其の攻撃は防げない。
例えるなら、魔王791の通常攻撃は普通に食らってしまうという事である。

75 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:46:11.597 ID:a.I6dVgg0
そして、一つの情報を得た。
彼の因縁の地、【ワカクサ】にて、百合神が人魚を狙う海賊を退治したということを。

なんでも、表向きに宮処たる会議所の人間が退治したと伝えられているが、海賊の舟に百合神の力で破壊された跡があるらしい。


76 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:46:43.440 ID:a.I6dVgg0
ディアナとネプトゥーンは、因縁のある処であるが故、調べに行くのは少々面倒だと思ったが、アポロの為に調べることにした。
アポロを隠れ家に待機させ、竜宮で捕まったとしても大丈夫なように、充分な武器などの準備をし、海へと潜って行った――。

海に潜るにつれ、太陽が遠くに見えていく。
竜宮に近づくと、もう水面は遥か遥か遠く上に消えた。

さて、竜宮にて――二人は、捕まると予想していたが、ネプトゥーンが出て行った出来事が在った事、
或る人間と人魚の出来事が元で、以前よりも態度が柔らかくなっており、意外にも歓迎された。


77 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:47:16.424 ID:a.I6dVgg0
人魚の長はディアナへの無礼を謝り、ネプトゥーン達は如何するのか、と訊いたが、既にもう地上で長く暮らしているため、地上に戻ると答えた。
人魚の長は、その答えに頷き、ならば如何して此処に来たのかと問うた。

ネプトゥーンは、人魚を狙う海賊を退治した人物の顔を探している、と答えた。
そして予想通り、顔を見た、という人魚がおり、其の特徴を聞き、また似顔絵を描いてもらった。

長く美しい黒髪を携えた、黒い瞳を持ち、巫女服を着ている美しい女性。
傍らには、またも美しい刀を持っている―――。

其れを見聞きし、ディアナとネプトゥーンはその人物が百合神と確信した。
竜宮から地上に戻った二人は、アポロに其の事を教え、対象の人物を探すことにした。
細い糸かもしれないけれど、其れを手繰れば百合神に出会える、そう信じて―――。

78 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:52:21.746 ID:a.I6dVgg0
ある日――――ディアナは、マタギとしての仕事を果たしに行った。
とある山の中に大きな羆が現れ、ピクニックに来ていた家族連れが犠牲となってしまった。
腕利きのマタギ達が対処しに行ったが、そのマタギ達も全滅した。

最終手段として、マタギ達から、ディアナに仕事の依頼が来たのだ。
ディアナは、自身の血をザンの力で持ってして作り変えた時に、たった一人だけで狩りをするようにしてきた。

頼る物は自身の力のみ。其の不利な条件で、致命的な怪我も失敗も犯さずにここまでマタギとして生きられた。
その実力を買われて、ディアナに依頼が来たのだ。


そしてディアナは、其の山へと向かって行った。

79 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:53:22.602 ID:a.I6dVgg0
―――同時刻、とある小さな鍵屋―――。
百合神――鈴鶴は、其処に居た。

此処は、鈴鶴が援助してきた鍵屋だ。
鈴鶴は、此処を援助すると共に、此処で錠前の取り扱い、製作、その特性の知識と技術を会得した。

そして老人の家族が、羆の犠牲となったことを知った鈴鶴は、様子を見に来たのだ。

80 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:53:50.040 ID:a.I6dVgg0
老人「……わしの息子も、その嫁も、孫も一気に殺されてしまった
   マタギが対処しに行っても、そのマタギですら殺されてしまい、未だ山の中に居ると言う………

   鈴鶴……お前はマタギが専門ではないと知っているが、お前の腕で、羆を殺してくれないだろうか……
   お前は、そこらのマタギなんかよりもずっと強いからな……
   わしは、そういった世界は知らん……其れよりも、知っている強さの方を信じたい

   鈴鶴がせっかく目を付けてくれた此の店も、終わりになってしまうのが悔しいが…
   金は、少ないが……此れで、復讐を遂げて欲しい……
   老い先短いわしの、無念をっ……」

鈴鶴「わかったわ……
   技術を教えてくれた恩もあるし、そいつを殺してきましょう……」


81 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:54:00.308 ID:a.I6dVgg0
そして、山で、ディアナと鈴鶴は、何の運命の悪戯か、同じ標的を狙う事となった。

ディアナは自身のマタギの知識で、鈴鶴は人殺しをした者必ず解る血の匂いを辿って、羆の居る場所まで進んでいった。

82 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:54:17.027 ID:a.I6dVgg0
ディアナ「!」
羆の巣を見つけたディアナは、確実に羆を仕留められるように、巣から800m離れた木の上に昇り、猟銃を構えた。

一方の鈴鶴も、血の匂いから、巣の中に潜んでいる事を察知し、巣の近くの木の影で太刀を構えていた。
其の場所は、ディアナからは死角となる場所だ。
鈴鶴はディアナの存在に気が付かず、またディアナも鈴鶴には気が付いていなかった。

83 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:54:35.388 ID:a.I6dVgg0
そして―――羆が巣から出て来た。
勿論――其の巣の近くに居た鈴鶴の匂いを察知し、鈴鶴を喰おうと出て来たのだ―――。

羆が出て来るのを見て、ディアナは銃の引き金に指を掛けた。


飛びかかってきた羆に、鈴鶴は―――。

84 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:56:06.030 ID:a.I6dVgg0
鈴鶴「月影黄泉流―――【姫百合】―――」


奥義【姫百合】―――どんな得物だろうと、刀をも断ち切る、月影黄泉流の奥義。

その剣は羆の両腕を切り裂き、そして胴体をすっ飛ばした。
唯の剣術では、出来ぬその技術――。

その技は、自身の刀と共に、相手の攻撃を相手に投げ返す技――。
相手の力を、傷一つ無く受け流し、自身の力を加えて相手に跳ね返す技――。
其れを持ってして、羆を切り裂いたのだ。

85 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:57:05.642 ID:a.I6dVgg0
だが―――それと同時に、放たれた銃弾が羆の頭をひとつ、ふたつ、みっつ――貫いた。
いずれも羆の急所を狙う正確な射撃だった。

鈴鶴「!」
鈴鶴は、さっと羆から離れ、銃弾の放たれた方向を見つめていた。


鈴鶴(かなり遠い……腕利きのマタギね……)
鈴鶴は、血の匂いがその羆だけである事、他に羆の仲間がいない事を確認し、辺りの様子を伺っていた。

86 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:57:18.386 ID:a.I6dVgg0
ディアナは、その羆の巣の方へ、残党に注意を向けながら進んでいった。

鈴鶴は、ディアナ――鈴鶴にとっては名の知らぬマタギ――が近づいてくる事を察知し、太刀に手をかけていた。

87 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:57:31.967 ID:a.I6dVgg0
ディアナは、鈴鶴の潜んでいる木まで近づくと、持っていた猟銃を、懐に仕舞った銃を、ナイフを――、
全ての武器を其の場に捨て、鈴鶴に語りかけた。

ディアナ「……俺の名は、ディアナ―――
     マタギとして、此の羆を狩る為に此の山に訪れ、そして其れを為し遂げた――」

熊の死臭も、血の匂いもすらも飲み込む緊張感が辺りには在った。

ディアナ「もし違うのなら、聞き流してほしい―――
     此の世には、【百合神】の伝説がある

     俺は、いや…俺の家族ともども、貴女(アンタ)に叶えて貰いたい願いがある
     其之為に、俺は貴女を探していた――ずっと、ずっと―――」


88 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:57:48.885 ID:a.I6dVgg0
鈴鶴は、其の言葉を聞き、抜身の刀を構えながら、ディアナの前に現れた。

ディアナ「!」

鈴鶴「…………貴女は、わたしが【百合神】だという事を前提に話しかけた
   そして、武器を態々捨てたのも、わたしを狙いに来たことを示す―そういう事ではないみたい―――」

鈴鶴は、刀を鞘に納め、ディアナに歩み寄った。

89 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:58:15.853 ID:a.I6dVgg0
鈴鶴「そう―――わたしは【百合神】――――
   しかし、何処でわたしの人相を聞いた?」

ディアナは、【ワカクサ】の海岸での出来事を話した。

鈴鶴「なるほど―――分かったわ……
   そうまでして、わたしに逢いたい―――其処まで願い事を聞きましょう
   ただし、わたしの正体を漏らさないと確約してほしい―――もし守らなければ、願いは叶えないし、貴女を――」

ディアナ「勿論、確約する――」


90 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:58:28.221 ID:a.I6dVgg0
そして、ディアナは願いの内容を伝えた。
緑色の悪魔の事、ユノの事。何処かに二人が消えてしまった事。ユノの魂を救い出したいこと。
百合神は、確約は出来ないが、その少女を見せて欲しいと言い、ディアナの隠れ家へ向かった。

91 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:58:59.122 ID:a.I6dVgg0
ネプトゥーンとアポロは、百合神が本当に来たことに驚いていたが、直ぐに其の顔を真剣なものにし、ユノを見せた。

百合神は、ユノの様子を見た。
百合神はしばし何かを考えていたようだが、直ぐにディアナ達に向き、真剣な顔つきで言葉を紡いだ。

百合神「……………成程、願いは理解したわ―――引き受けましょう、願いを叶える事を―――
    ただし……此の事は、わたしにはいろいろと抱えている事情もあるから、今すぐには引き受けられない
    時間がかかってもいいならば―――」

ディアナ達は、迷わず其の言葉に頷いた。

92 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:59:30.863 ID:a.I6dVgg0
百合神「分かったわ…時間が来たら、貴女達の処に来る――必ず
    長い時間、待たされるかもしれないけれど、お願いだから信じていて――

    必ず、叶えるから―――」

そして、百合神はディアナの隠れ家を出て行った。

其の背中に、願いから逃げようという意志は感じられなかった。
絶対に叶えるという、心強い意志を秘めていた背中だった――――。

93 名前:邪神スピリットJ:2016/10/31 00:59:50.343 ID:a.I6dVgg0


                   邪神スピリットJ 完


              To be Continued――――――集計班の遺言

94 名前:社長:2016/10/31 01:01:17.481 ID:a.I6dVgg0
奥義【姫百合】は相手の動きに合わせて切るカウンター技。
過去の描写と矛盾するかもしれないけど気にしてはいけない。

95 名前:きのこ軍:2016/11/01 23:53:38.585 ID:aBfQOwy6o
乙乙。百合神様との邂逅のシーン、いいね。

96 名前:社長:2017/01/19 00:25:17.173 ID:i8ruWCxw0
※この物語は霊歌さんの『Eden of the lily girl』『花咲き誇る世界で』
滝本さんの『きのたけWARS』の設定を滅茶苦茶とは言わないまでも割と使ってます。多分。
そのため物語内の設定と矛盾してるところがあるかもしれませんが
そこは目をつぶってパラレルワールドかなんかと思ってくれて構いませぬ。

97 名前:集計班の遺言:2017/01/19 00:25:51.385 ID:i8ruWCxw0


              集計班の遺言

98 名前:集計班の遺言:2017/01/19 00:30:20.861 ID:i8ruWCxw0
K.N.C.???年、何処かの神社――――。

其の、蒼い目をした、悩める者は、百合神(ツクヨミ)を探していた。
百合神は、悩みを持つものが、どうしても百合神に頼みたい悩みを持つものだけが入れる、闇に居るという。

生半な人間など、そこに入ることすらできない。
その入り口は誰にも見えるけれど、見えることはない。

99 名前:集計班の遺言:2017/01/19 00:34:10.638 ID:i8ruWCxw0
其処に辿りつく為の扉は、悩みがなければ開かない境に隔てられている。

どれだけ探しただろう?
どれだけの路を辿ってきたのだろう?


悩める者「―――!」

―――そして、彼はついに百合神に願いを託せる、闇の中の神社を見つけることができた。

100 名前:集計班の遺言:2017/01/19 00:42:32.105 ID:i8ruWCxw0
辺りは暗黒の宇宙が広がり、その中に神社が立っている。
それは小さな神社だった。
まるで人が一人しか住まえないような小さな社に、小さな砦、小さな賽銭箱――。

けれども、彼は直感的に其処が探し求めていた場所であると理解していたため、言葉を紡ぐ。

悩める者「ようやく―――ようやく、この場所を見つけることができた
     願いを聞いてほしいのです―――」

跪いて、百合神に願いを告げようとする彼は、心から其の女神へ願いを告げた。

101 名前:集計班の遺言:2017/01/19 00:42:50.370 ID:i8ruWCxw0
言葉が紡がれた、その時――。


少女「………」
広く大きく積もる、一面の白銀の雪のような、足まで届くように長い髪と、
まるで珊瑚のように美しい、赤い瞳をした少女が現れた。
その肌も、透き通るように白いけれど、着ている服は対照的に黒を基本とした和装だ。

102 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:06.357 ID:i8ruWCxw0
悩める者「―――貴女が、百合神様ですか?」

少女「…いいえ、わたしは……百合神の使い――」
その問いに、鳥のように透き通る、美しい声で少女は答えた。

悩める者「……百合神様に会う事は、出来ませんか?」
柔らかい言葉と共に、彼の蒼い目が少女を見据える。

103 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:22.979 ID:i8ruWCxw0
少女「―――私は、百合神様に願いを伝えるだけの存在…
   百合神様は、貴方に会わない」
けれども、少女は、真っ直ぐな瞳で問を否定する答えを出す――。

悩める者「……そうですか、しかたありませんね」
悩める者は少し躊躇ってから言葉を紡ぎ、次いで名前を告げた。

集計班「私は集計班―――百合神様にどうしても聞き入れて欲しい願いがり、
    百合神へ願う、何処とも知れぬ此の場所を探し、探し、探し求め―――
    此処へようやく、辿り着きました」

104 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:40.284 ID:i8ruWCxw0
少女「………」
少女は何も語らず、ただ集計班を見つめている。

集計班「私の、願いは―――
    百合神様に叶えてもらいたい願いとは―――」
集計班は、そこで声色を低くし、それと同時に表情を険しくした。

105 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:19:53.336 ID:i8ruWCxw0
集計班「―――いいや、
    月夜見の遺産であり、神をも殺す剣を纏い、この世界を動かす切欠となった少女――
    ―――鈴鶴、貴女に叶えてもらいたい願いとは―――」

少女「―――」
集計班の言葉を遮って、少女は消え去り、其処には唯の百合の花弁が落ちた。

106 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:22:12.473 ID:i8ruWCxw0
集計班は、動じず、目の前を見据えた。
彼の蒼い瞳を、少女のように赤い瞳に変えて―――。

―――そして、百合の花弁が地面に落ちた時、百合の花びらの吹雪が舞い、
其れが消えた後には、集計班の探す其の人、鈴鶴が社の中に居た。

彼女は、背丈五尺四寸程の、百合神の使いのように足まで届く長い――、
けれど髪色は白銀ではなく、美しく寂しい、黒い色で、その目も同じく黒い少女だった。

107 名前:集計班の遺言:2017/01/19 01:22:57.068 ID:i8ruWCxw0
集計班との出会い。集計班はなんの願いを持ってきたのかな?

108 名前:社長:2017/01/19 01:23:10.650 ID:i8ruWCxw0
名前変えわすれ

109 名前:きのこ軍:2017/01/21 19:20:07.797 ID:fMRR3eJAo
どきどき。

110 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:34:35.301 ID:h1dO0fog0
そして、鈴鶴は何も言わずに、百合の花のように美しい歩き方で、集計班の前に降り立った。

鈴鶴「………何の御用?」
そう言いながら、鈴鶴は右眼を黒く青白く輝かせた。

それは美しく、そしてとても恐ろしい瞳。
集計班はその眼に吸いこまれて、身体を動かすことなど出来ない状況になった。


111 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:34:59.055 ID:h1dO0fog0
集計班は、身体が凍えるように感じた。
その冷たさは、深い海の底や、吹雪の夜のような、生半なものではないものだった。

集計班「………」
けれども、本当に願いがあるからこそ此処に来た集計班は、気力を振り絞り睨み返す。
燃えるような赤い瞳で、鈴鶴の、まさに邪眼と言えるようなその冷たい眼に――。

112 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:35:42.019 ID:h1dO0fog0
―――刹那の如き短い時間か、将又それより長い長い時間か――その睨み合いは、その均衡を破った。

鈴鶴「……どうやら、わたしを脅そうとでも考えた…そういう仕様もない目的で来たのではないようね
   本当に、恐ろしいものを見てしまっても、それでも頼みたい、抜き差しならないことがあるのね」
鈴鶴は、右の眼を、黒々としたものに戻し、そして問うた。

集計班「はい……
    けれどもそれは、噂に聞く貴女のように、一つの事柄ではない―――
    しかも、それは今から、何時になるかも分からぬ未来(さき)のことの……お願いなのです――
    貴女に頼まなければならない願いが―――2つあるのです……」
そして集計班は、燃える赤い瞳で鈴鶴に【願い】を告げた。

113 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:13.368 ID:h1dO0fog0
時代は経て、其れよりはるか先の未来―――――――――。
K.N.C190年頃――――。
この世界の中枢である、きのこたけのこ会議所の一員であるたけのこ軍兵士、社長は、部屋に突如として現れた手紙を読んでいた。

「―――社長へ
 この手紙を読んでいる時、私はもう現世にいない―――
 それは、あの時の選択で決まっていたことです。

 ――――この手紙を呼んだあと、百合神を探し、付記した封筒を渡し――集計班の願いをお願いする――と伝えて欲しい
 どうか、宜しくお願いします」

114 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:28.102 ID:h1dO0fog0
―――それは遺言だった。
集計班は行方不明になった――いいや、もう此の世には居ないと社長は分かっていた。

―――そして、集計班の遺言を、実行しなければならない。
社長は、百合神を探しに行った。


草の根を掻き分け、森を歩き回り、見果てぬ闇に飲まれたかと思えば―――、
百合神―――鈴鶴が社長の目の前に現れた。

115 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:39.037 ID:h1dO0fog0
社長は、集計班に言われた通り封筒を鈴鶴へと渡し、「集計班の願いをお願いする―」と伝えた。

鈴鶴「……分かったわ、もうあなたは帰っていい」
そして、淡々と鈴鶴が言葉と共に、いつの間にか社長は会議所の近くの竹林に居た。

不可思議なことに少し困惑しつつも、
鈴鶴という乙女はとても恐ろしく、そして強いものと知っていた社長は会議所へ戻った。

116 名前:集計班の遺言:2017/01/25 00:36:48.072 ID:h1dO0fog0
社長は、この世界に居ると言われる女神、百合神が鈴鶴その人だと知っているが、それは一切口にしなかった。
鈴鶴が百合神だと知った後、さらに百合神について調べると、深入りした者の無残な噂を聞いたからだ。

鈴鶴は、一見御淑やかな姿とは裏腹に、社会生活に向かない破滅的な心がある。
彼女にとって、人を殺すことよりも操を奪うことの方がとても重いのだ。

そんな彼女に刃向うのは、得策ではない。
いったい何を頼んだのか……其れは集計班が委ねたことに任せる、と、そう結論付けた。


117 名前:社長:2017/01/25 00:38:04.052 ID:h1dO0fog0
男を吹っ飛ばす能力が産まれるほどに破滅的な心を持っている鈴姫様。

118 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:42:43.028 ID:zD6DyXjs0
何処かの闇の中―――。
鈴鶴は、集計班から願いを聞いたことを思い返していた。

集計班「願い―――この願いが、未来のものというのは、
    本当に未来に、貴女に遂行してもらいたいことがあるから

    破らねばならない運命を、貴女に破ってもらいたい――ということなのです」

鈴鶴「………その前に、どうしてこのわたしが百合神ということを知っているか、教えて欲しい」


集計班「分かりました―――

    私はこの世界の中心である、きのこたけのこ会議所のメンバーです
    そして、其処にある図書館に―――貴女の経歴について書いた本があった…

    巷に溢れる百合神伝説と、共通点があることを発見し、そして貴女だと確信したのです
    その本の題名には、まさにユリガミ―――とあったのですから」

119 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:46:38.178 ID:zD6DyXjs0
鈴鶴「………理由は分かったわ…、その本は、見せて貰う事にして…
   貴方の願いについて教えて頂戴」


集計班「私は――【社長】という協力者と共に、この世界を、
    【預言書】と呼ばれる書物に書かれている通りに動かしてきました

    其処に書かれている、預言に書かれている内容―――
    其れが私の願いに大きく関わっています」

鈴鶴「………突拍子もない話ね、それにその預言書を持ってきているわけでもない――
   信じられるかしら?
   ―――わたしのことについては、兎も角、ね」

集計班「そう、それが問題なのです

    そこで、きのこたけのこ会議所に来て―――預言書を見、そしてそれが本物であると確かめて頂きたい
    加え―――貴女の経歴の本についても見て頂きたい

    そして、其処で私の願いについて聞いてほしい―――」

120 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:47:13.673 ID:zD6DyXjs0
鈴鶴「……預言書、ねぇ
   どういう預言…?わたしが、会議所で何かしでかす預言でも書いているのかしら?」

集計班「いいえ…この世界の根幹、大戦の預言です
    その預言内容は、かいつまんで話せば、強い武人が、きのこ軍の強靭な軍神をも打ち破ると―――」

鈴鶴「………ふむ」

集計班「そして、その武人は、女性であると―――」

鈴鶴「……分かったわ、きのこたけのこ会議所へと行ってみましょう

   ただ、もし嘘ならば、例えこの世界が滅びようとも、嘘をついたあなたを殺す…」

集計班「覚悟しています」

―――。

121 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:48:03.914 ID:zD6DyXjs0

きのこたけのこ会議所、地下編纂室――――。

集計班「これが、【預言書】です―――私の言った通りの内容が、書いてあります………
    こちらは、貴女の事について書かれた本です……」

集計班は、2冊の本を机に置いた。
鈴鶴は、本を手に取り、内容を一瞥し――――。

鈴鶴「……成程、貴方の言った事は嘘じゃあない、みたいね…」
   【預言書】については、理解したわ……

   願いを、聞きましょう―――」

集計班「ありがとうございます…
    と、その前に―――貴女の本の処遇について、それも聞きたかったのですが……」

鈴鶴「この地下室に、仕舞っておいていい、外に出さなければそれで良しとするわ」

122 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:50:46.709 ID:zD6DyXjs0
そして集計班は、第一の願いを鈴鶴に伝えた。

K.N.C146年、軍神をも破る女の武人が、きのこ軍を打ち破る。
女性は明言されていない。

鈴鶴が参戦し、その通りに運命が動くことを確認してほしい―――と。

123 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:53:08.347 ID:zD6DyXjs0
集計班「次いで……貴女の果たす第一の願い用に、一応の参戦用の物語を考えておきました――
    近くの竹林で、兵士に発見され――会議所と言う存在を知り、その後、大戦をする
    ただし、会議所も大戦も、初めて知った風で、お願いします

    大戦内では、先ほど話したことを遂行する―――その後、会議所から去る
    粗が在るかもしれませんが、どうでしょうか?」

鈴鶴「―――大筋は問題ないから、其れで行きましょう」

集計「ただし、此れでは、貴女の正体がバレる恐れがありますが……」

鈴鶴「大丈夫、それはわたしの方で何とかするわ―――
   会議所でそういう動きが在ったら、出来るだけ止めて欲しいけど」

集計班「了承しました――それと、後の布石の為に、予め【社長】と言う兵士に貴女の特徴を調べさせ、
    会議所が干渉しないようにさせておきたいのですが……宜しいでしょうか?

    彼は、貴女の本を初めて見つけた兵士でもあるので、わたしが頼んでも不審さはないですし…」

鈴鶴「構わないわ……
   不測の事態が起きた場合は、わたしが随時対応しておきましょう……」

124 名前:集計班の遺言:2017/01/30 01:53:47.698 ID:zD6DyXjs0
―――――。

そして、鈴鶴は見事に、1つ目の願いを叶えた――――。
集計班の伝えた通りの時の流れがそのまま起き、其れは預言書の力が本物の其れであることを示したのだ。


125 名前:社長:2017/01/30 01:54:21.635 ID:zD6DyXjs0
百合ノ季節の裏側。

126 名前:集計班の遺言:2017/01/31 00:56:36.676 ID:.ZbqFavM0
そして、再び先の世で―――――。
社長が百合神に集計班の遺言を伝えて数日後、会議所は、そして世界は大変な騒ぎになっていた。

「緊急!各地にマチャ・オモラシスが大量発生!」

きのこたけのこ会議所、その他さまざまな地域、きのたけ世界に緑色の悪魔【マチャ・オモラシス】が現れた。

127 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:18:12.820 ID:.ZbqFavM0
其の惨憺たるさまは、其の混沌たる状況は、
きのたけ会議所から遠く離れた、ディアナの隠れ家にも伝わっていた。

ディアナ「――――これは……奴か?」

ディアナは、空を覆う緑色の悪魔たちを見つめながら、そう呟いた。
幸い、険しい岩山の地形にある隠れ家であり、オモラシスに其処は感知されていなかった。

しかし、放送機関から流れる情報では、各地で被害が起きている事が報道されていた。
ディアナが様子を確認しに、空を見ていると―――。

鈴鶴が、ディアナの後ろに現れた。

128 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:33:53.583 ID:.ZbqFavM0
ディアナ「【百合神】―――いや、たしか鈴鶴だったか……」

ネプトゥーン「―――貴女は……!
       貴女が来たということは、つまり―――」

アポロ「時は満ちた―――ということ、ですか?」

鈴鶴の声を聞きつけ、直ぐにネプトゥーンとアポロも其処に駆け付けた。

鈴鶴「長い間、ずうっと待たせてしまってごめんなさい
   ―――単刀直入に言いましょう

   わたしは今ある依頼を受けている――
   其れに、【鏡】に近い存在のもの―――とある【剣】が、関わっている―――

   わたしは、奴の場所が掴めなかった―――。
   おそらく、奴は【鏡】の力を込めて封印されたから……。

   【鏡】と【剣】には、似た性質がある
   【剣】が【鏡】に引きつけられれば、つまりそれは奴に通じることになる
   此の依頼を完了させた時点で、貴女達の願いを叶えられる可能性がある―――」


129 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:39:20.475 ID:.ZbqFavM0
アポロ「本当……ですか?」

鈴鶴「ええ…
   けれど………【剣】を持つ其の存在は、わたしと因縁深いものなの―――
   其の強大なる力は―――悪巧みをする輩が奪いに来る可能性のあるほどに―――

   だから、これはわたしの流儀ではないのだけれど―――
   わたしに、協力してくれないかしら」

ディアナ「勿論だ……」
ネプトゥーン「当然、ですっ」
アポロ「ユノちゃんの為ならばっ」

三人は、鈴鶴の依頼を快く了承した。

130 名前:集計班の遺言:2017/01/31 01:52:19.525 ID:.ZbqFavM0
ディアナ「だが、俺らは具体的に何をすれば良い?」

鈴鶴「…………
   わたしは、【剣】を持った或る少女を追いかける

   其の少女を、第三者が始末しないように……無力化させてほしい
   方法は、一存するわ……
   いらないかもしれないけれど、依頼代も、此処に置いておく…」

ディアナ「分かった―――
     そして、その少女については、何か情報があるか?」

鈴鶴「……ええ」

そして、鈴鶴は懐からその少女の写真を取り出した。

131 名前:集計班の遺言:2017/01/31 02:11:22.745 ID:.ZbqFavM0
写真には、赤い頭巾に赤い服を纏った、金髪青眼の少女が写っていた。

鈴鶴「名前は、ヴェスタ―――
   昔、わたしが、雪降る街で拾った、抹茶売りの少女―――
   何故抹茶売りをしていたのか―――其れは自分でも覚えていなかった

   ………わたしは、この子とずっと過ごしていたけれど
   とある出来事で仲違いをしてしまい、世界を混乱させることになってしまった―――
   だから、闇の彼方へと封じた―――

   其の闇の彼方への入り口は、此の世界の中心たる【会議所】が或る場所―――
   土地を利用した強力な結界を貼っていた―――」

鈴鶴は、向こうの方を見つめながら、話を続けた。

鈴鶴「この子は、どういうわけか、神の持つ【剣】を持ち、封印を破り、顕現する―――
   そして、其れと同時に、あの子と共に封じた抹茶がオモラシスとなり出でる―――

   わたしは、この子を救い出す為に―――追いかけて決着をつける
   ―――おそらく、この子がたどり着く場所は、奴を封印した場所になるでしょう」


132 名前:集計班の遺言:2017/01/31 02:36:50.516 ID:.ZbqFavM0
ヴェスタの写真を見たネプトゥーンは、何かに気が付いた。

ネプトゥーン「この子―――どことなく、ユノに似ているような……」

鈴鶴は、ただ無言で其れを見ている。

鈴鶴「………わたしは、初めてユノを見たとき…
   ヴェスタの面影を感じた
   それは―――つまり―――」

アポロ「ユノちゃんの、妹ということ―――ですか?」

鈴鶴「ええ……」

ユノは、アポロに妹がいると語っていた。
あの惨劇の後、妹の行方は知れない。

また、亡くなった母親は神に仕える雰囲気を持っていたという。
其れが本物であるならば、【剣】を使う資格のある血が流れていることとなり―――
子にも、【剣】を扱う力が或るということになる―――。

だから、ヴェスタは、【剣】を持て、そして其の力で封印を破るのかもしれない。
また、血の力で【鏡】に引き寄せられるかもしれない―――。

鈴鶴「………もっとも、これは憶測
   どちらにせよ、わたしはヴェスタを追いかけにいく

   決着をつけに―――そして切れた縁の糸を繋ぎ戻すために……」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

133 名前:社長:2017/01/31 02:37:04.155 ID:.ZbqFavM0
勝手に設定作ってごめんなさい!

134 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:24:38.055 ID:kthCVMSY0
オモラシスが世界を蹂躙する中を、鈴鶴は駆け抜ける―――。

鈴鶴は、集計班の願いを思い返していた。

135 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:26:41.897 ID:kthCVMSY0
集計班「二つ目の願い……
    それは、来る未来に出現すると言われる、オモラシスの大量発生事件についての願い、なのです―――
    【預言書】のこの欄を見て頂きたいのですが……」

集計班は、【預言書】の当該部分を指でなぞり、鈴鶴に見せた。

神の力を秘めたる【剣】――。
其れは封じられた少女を目覚めさせ、そして少女を封じた乙女との決着を付けに行く―――。

鈴鶴「………
   それが【預言書】に或るなら―――わたしにこうして頼む必要はない―――
   貴方に頼まれなくとも、わたしは決着を着けに行くでしょう―――結果はどうなろうと…」

136 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:27:11.128 ID:kthCVMSY0
集計班「いいえ、頼む理由があるのです―――
    その理由は、【預言書】の、此方にに書いてあるこの部分―――
    きのたけ世界の滅亡を防ぐために、二人の救世主が命にかえて世界を存続させる―――

    わたしは此れを書き換える―――この救世主を死なせないために―――」

集計班は、虚空を見つめながら淡々と語った。

集計班「つまり、其れにより【預言書】も消え去ります」

鈴鶴「……つまり、この【預言】は幻に還るということになるわね
   けれど、それでは此の未来が起きることは分からなくて?」

137 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:29:12.667 ID:kthCVMSY0
集計班「いいえ……此の未来は、いつになるかは分かりませんが、起きる筈です―――」

鈴鶴「……如何して?何処にあるとも知れぬ【剣】が、如何して此処に来ると言える?」

集計班「其れは―――其の【剣】は、私が封印したから―――
    そして、少女のことをわたしは知っているから―――」

鈴鶴「………詳しく教えてもらいましょうか」

集計班「そう……貴女には、全て話さなければなりませんね」
    遙か昔の話です―――」

138 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:29:32.974 ID:kthCVMSY0
そして集計班は、過去を語り始めた。

139 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:32:35.950 ID:kthCVMSY0
此の世界に、大戦を行うという概念が起きる前、集計班はある街の市長と親交があった。
その市長には妻一人、娘二人が居た。最も、其の妻は、二人目の娘を産むと同時に亡くなってしまったが――。


集計班は、市長とは、妻を娶る前から親交があった。
というよりは、市長の妻との出会いにも関わっていた。

集計班は街の小さな役所で、街に関する事柄を処理していた。
その傍らで、二人は此の世界の根幹たる力は何なのかを探求していた。

140 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:32:48.971 ID:kthCVMSY0
そんなある日―――。

二人は、街の近くの砂浜を散歩していた。
その砂浜には、【鏡】を抱えた、黒髪の少女が流れ着いていた。
まるで、神に仕える特別な雰囲気を持った少女だった。

少女はひどく弱っており、二人は街の病院へ少女を運んだ。
話すところによれば、遠い暗闇の中から、此処にやってきた―――と。
そして、ある【剣】も持っていたが、其れは何処かに消えてしまった―――とも言った。

141 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:33:00.721 ID:kthCVMSY0
少女は行くあてがあるわけでもなく、市長がその少女の身柄を引き取った。
そしていつの日か―――市長と少女は結ばれ、子を1人設けた。

けれども―――2人目の子を産む時、少女は黄泉の國へと旅立ってしまった。

142 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:33:22.136 ID:kthCVMSY0
それから5年後――――。
集計班は、出先で此の世界の歴史を動かすものが何なのか、曖昧ながらも手掛かりを掴んでいた。

そして街に帰ってきた時―――街は業火に包まれ、そして住人達が逃げ惑い、死体が重なり、街は消えてしまった。
大切な友が、いなくなってしまった―――。
失意の元、其れでも市長は世界の謎を解き明かせと言うだろうと考えた集計班は、ひたすらに謎を追い求めた。

143 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:34:40.マオウ ID:kthCVMSY0
街が消えてから凡そ1年後―――緑色の悪魔、オモラシスが世界を襲った。
沢山のオモラシスは世界を荒らし、民を荒らした―――だが、突如其れはすべて倒された。

集計班は、その出来事について調べていた。
楽園に住まう二人の少女の争いに起因するものという噂も聞いた―――。

そして調べるうちに、きのことたけのこ―――この二つが起こす争いが、世界の根幹たるものであり、歴史を動かす力だと気が付いた。

144 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:35:21.184 ID:kthCVMSY0
その説に賛同したまいう等の実力者が、大戦を行って其れを確かめてみよう、と提案した。
そして大戦が執り行われ、きのこたけのこ大戦が生まれた。

また、大戦を総括する【会議所】という施設が作られることとなった。

145 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:35:35.625 ID:kthCVMSY0
【会議所】を建設するために、集計班は測量をしていた。
その時―――【剣】を拾った。

禍々しい蛇の鱗が刻まれた、白い【剣】を―――。
昔一度見た【鏡】に似たものを感じた集計班は、此れがあの少女の言っていた【剣】だと実感した。

146 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:35:55.161 ID:kthCVMSY0
其の【鏡】は少女の願いで封じていた。
集計班は、【剣】にも同じ事を施さねばならないだろうと考え、【剣】を強力な封印を込めた箱に詰めた。

其れは、【会議所】が建設された時、其れを自身の部屋で管理していた。

147 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:36:11.814 ID:kthCVMSY0
数年が立ち、wiki図書館に【地下編纂室】が作られたある日―――。
集計班は、【預言書】の指示に従って地下を調べていると其処に突如、闇の狭間が覗いている事を見つけた。

その中には―――本を抱えた幼い少女が、禍々しい瘴気を放ちながら眠っていた。
集計班は幼子に見覚えがあった。

そう―――それは市長の妻となった少女の娘、ヴェスタであった。
集計班は、救いだしたいという気持ちを抑え、【剣】を封じの中に放り込み、そして闇の狭間を閉じた。

148 名前:集計班の遺言:2017/02/12 01:36:22.520 ID:kthCVMSY0
その闇の封印を強固にするために、地形を利用した封じもつけた。
―――全ては、【預言書】に、百合神が少女との決着をつけると書いてあったからだ。

その引き金となる事件は、【封呪の聖晶糖】の破壊―――。
【剣】を握ったヴェスタが、其れを破壊させるように、【剣】の力でwiki図書館に兵を閉じ込めさせる、と―――。

149 名前:社長:2017/02/12 01:36:37.602 ID:kthCVMSY0
集計班さんに謎の設定をつけていくスタイル

150 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:14:56.016 ID:va.rwX9M0
―――。

鈴鶴「事情は分かったわ……
   【剣】が其処に或るならば、いずれ起きるということね
   けれど、【預言書】を書き換えるなら、其れが何時起きるかは分からないわけでしょう?
   どうやって、わたしに合図を送るか、決めているの?」

集計班「ヴェスタを封じるために使った封印の一つは【封呪の聖晶糖】
    貴女に動いてもらう合図は、其れが破壊された時、先ほど話した【社長】に、合図を送るようにします
    封筒に合言葉を入れて、届けさせる手筈です……」

151 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:15:20.739 ID:va.rwX9M0
鈴鶴「わたしに動いてもらうための―――合言葉は、何にしましょうか」

集計班「【集計班の遺言】―――といきましょう」

―――。

152 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:20:57.118 ID:va.rwX9M0
―――。

オモラシスが全てを駆逐し、一時は世界が破壊されかねない―――そんな極限状態にまで陥ろうとしていたが、
きのこたけのこ会議所の兵士の奮闘、そして百合神の手助けで其れはなんとか喰いとめられた。

ヴェスタは、戦場から姿を消し、会議所の向こうへと駆けて行った。
【創世書】を右手に、【剣】を左手に持ち―――ずっとずっと駆け抜けた。

鈴鶴は後を追って行った。
腰には愛刀姫百合を、そして左手に黄泉剣を構えて―――。

153 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:22:38.916 ID:va.rwX9M0
たとえ少女であろうと、オモラシスの元凶かもしれない少女。
ヴェスタを捕らえようとする輩は、鈴鶴が予想した通り存在した。

大抵は公な目的で動いていたが、その中には、肉欲を充たすために彼女を捕えようとする輩も居た。
しかし―――ヴェスタを捕えようとする輩は、誰彼構わずに眠りについた。

154 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:23:23.699 ID:va.rwX9M0
ディアナ「―――ネプトゥーン、まだ居るか?」

ネプトゥーン「10時の方向…!10人、会話内容はこの少女を生け捕りにして売る―――」

ディアナ「了解―――」


そう、ディアナ達が始末をつけていた。
方法はディアナ達に任せる―――鈴鶴はそう彼女たちに願ったため、その依頼を果たしているのだ。

155 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:23:42.300 ID:va.rwX9M0
ネプトゥーンに地面の中を泳いでもらい、其処から敵の粗方の位置、装備、ヴェスタを捕える目的を探らせ――
そして、敵に応じてディアナは弾丸を変えて狙撃した。

世界を脅かす存在を鎮静させる為―――そういう公な目的がある輩は、麻酔弾でしばらく眠ってもらい―――
肉欲で彼女を捕えたりと、欲を充たそうとする輩は、永久の眠りに―――常世に行ってもらった。

156 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:24:22.878 ID:va.rwX9M0
敵1「何処から狙ってるんだっ、敵はっ!?……此処から身を隠せる場所なんて、1キロも離れ―――」
この敵の集団は、常世に行くべき集団だ。其処にロケット弾が、武器を巻き込んで着弾した。

敵2「ぐっ!こんな狙撃が出来る奴なんて―――軍にいたか!?」

敵3「こんなに離れた所から精度の高い狙撃が出来る奴までは…
   いや、待て……聞いたことが或る、ディアナと言う名の女マタギが射撃に秀でていると……」

敵2「馬鹿な!マタギがこんな事に関わ―――」

そして、2つ目の着弾と共にその集団も全滅した。

ネプトゥーン「………しかし、此れほどまでに敵が多いなんて―――」

ディアナ「仕方がない―――俺たちの出会った緑色の悪魔だって、街一つを滅した奴だった
     それほどまでに恐ろしいものをいくらでも呼び出せる少女に、目を付けない奴は少ないだろう」


157 名前:集計班の遺言:2017/02/25 00:25:56.050 ID:va.rwX9M0
――――。

そして―――。

鈴鶴は、件の少女の―――ヴェスタのもとに辿り着いた。
其処は海の上に浮かぶ一枚岩だった。

158 名前:社長:2017/02/25 00:27:20.621 ID:va.rwX9M0
ロケットランチャーも使える系マタギ

159 名前:集計班の遺言:2017/03/06 00:58:58.536 ID:kTjTGIAk0
盾30尺、横36尺ほどのその岩は、天辺はまるで誰かに磨かれたかのように滑らかな平面をとり、
海底から海面まで、一繋ぎに刺さっていた。


鈴鶴「ヴェスタ――――」


黄泉剣を構えた鈴鶴に、ヴェスタは【預言書】を握り締め、左手の【剣】から瘴気を出しながら、見返った。
その顔は―――かつてヴェスタを封印したときのように、変わり果てた姿ではなく―――
それは、想い出の中にあるヴェスタの顔、そのものだった。

眼以外は。

眼は、朽縄のように妖しく輝いていた。
それは蛇眼であり―――邪眼であった―――。

160 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:02:59.172 ID:kTjTGIAk0
ヴェスタ「鈴鶴、おねえちゃん―――」
けれども、心は――鈴鶴に対する気持ちは、縁の切れたあの時のままで―――。

ヴェスタ「この世界を創ったのは―――わたし―――」

その言葉と共に、右手に【剣】を構えた。



鈴鶴「何処から持ってきたのかは如何でもいい……
   けれども、その【剣】は―――

   【創世書】よりも、はるかに恐ろしいもの、なのよ――」


ヴェスタ「けれども―――この【剣】は―――
     おねえちゃんにとっての、左目に或るそれと同じようなもの――

    【創世書】と違って、この【剣】はわたしの【血】にとって一番合う―――そう、本能で分かったんだよ?」

161 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:04:06.817 ID:kTjTGIAk0
鈴鶴の言の葉にそう返したヴェスタは、【剣】を鈴鶴に向け、切りかかった。

その刃を、鈴鶴は黄泉剣の刃で受ける。
鈴鶴「っ―――!」

ヴェスタ「ほらほらほらっ!まだまだっ!」
その斬撃の嵐は―――あの時の彼女では出来ない芸当で――決して身に着けてはいない技術で―――。

其れは―――鈴鶴の操る剣術―――月影黄泉流そのものであった。

162 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:07:30.842 ID:kTjTGIAk0
鈴鶴「ちぃっ―――」

また、もう片方の手に持つ【創世書】も、鈴鶴の足止めにはぴったりだった。

鈴鶴に触れられないため、オモラシスは召喚されないものの、辺りに幻を生み出している。
しかも、鈴鶴の記憶の中の、辛く哀しいものの幻を生み出すのだ。

それは唯の幻―――けれども、鈴鶴にとってそれは苦しい幻であった。

163 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:07:58.599 ID:kTjTGIAk0
ヴェスタ「おねえちゃん……ふふっ、やっぱり効くよね―――
     おねえちゃんに、過去仕留めた奴の幻なんて見せても、意味がない―――」

其れをヴェスタは、くすくすと笑いながら見つめていた。

鈴鶴「しぇっ!」
鈴鶴が如何にか振り払いながら剣を振るうも、その背中にも幻が纏わりつく。

幻は何も言わず、ただ鈴鶴の身体にしがみ付くだけだ。
だが、其れだけが、鈴鶴にとって一番効くことをヴェスタは感覚で実感していた。

164 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:15:06.715 ID:kTjTGIAk0
幻に翻弄される鈴鶴へと、其処に蟒を殺す程の剣筋を斬撃を、ヴェスタはその小さな身で斬り放つ。
回数を重ねるごとに、まるで其れに慣れたかのように、一振り一振りの速さを増していった。

鈴鶴「ぐぅッ―?!」

嗤いながら最速で斬りかかるヴェスタの【剣】の刃に、遂に鈴鶴は片腕を――右腕を少し、切り裂かれてしまった。

ヴェスタ「お姉ちゃん―――剣の一振りで、わたしは上回った―――
     わたしよりも弱いお姉ちゃんは、ふさわしくない―――創世主に―」

ヴェスタの嗤い声が響く。
走る痛みを感じながら、鈴鶴は後ろに跳び、冷静に考えていた。

165 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:17:02.654 ID:kTjTGIAk0
傷は浅い―――自身の不老不死の身体ならば、いずれ治る――だが、このままでは―――わたしは―――。
あの、【創世書】を消さなければ―――。


ヴェスタ「お姉ちゃん――わたしはお姉ちゃんなんて大嫌いよ
     だから、このまま斬られて御終いになって、ふふ、ふふっ―――

     幻に囚われて、わたしに負けてしまえ―――」

ヴェスタはさらに鈴鶴を挑発する。
そして、その言葉と共に、はるか上空に飛び上がり、そしてそこから鈴鶴に斬りかかった。

166 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:17:34.002 ID:kTjTGIAk0
鈴鶴「――――」

鈴鶴は、ヴェスタを眼で追わずに、眼を閉じた。

鈴鶴「そうはさせない―――」
腕の痛みに歯を食いしばりながら、鈴鶴はそう呟き――。

そして、右腕を無防備に、天に突きだした。

167 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:18:47.230 ID:kTjTGIAk0
ヴェスタ「諦めたのね――――
     おねえちゃん―――さよなら―――」

その一言と共に、【剣】の刃が鈴鶴の右手に入った。
激しい痛みが伝わってくる―――。

しかし―――鈴鶴は、その【剣】が身体に触れた一瞬―――其れと同時に―――。


鈴鶴「月影黄泉流―――【姫百合】―――」
自身の右腕だけを切り飛ばされるように身体を折り曲げ、自身の剣術の奥義を、ヴェスタに叩き込んだ。


168 名前:集計班の遺言:2017/03/06 01:20:22.648 ID:kTjTGIAk0
ヴェスタ「―――!?」

其れは返し技。

相手の動きに合わせて、それを跳ね返す奥義。

其の性質上、対人での鍛錬のみでしか得られない技―――。
ヴェスタは、その技を見ていない―――。

だから―――ヴェスタは其れを避けられず―――。
その衝撃を受け、ヴェスタは吹き飛んだ。
しかし―――鈴鶴は、ヴェスタを狙って切ったのではない。


その刃は、【創世書】、ただそれだけを消し飛ばした。

169 名前:社長:2017/03/06 01:20:49.951 ID:kTjTGIAk0
なんか勝手に重要なもの壊してごめんなさい。

170 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:01:38.685 ID:/abCs7iU0
鈴鶴「痛い……右の手を犠牲にした……恐ろしく痛いわね……
   神剣と、それに混じる瘴気のせいで、ちぃっと治るまでに時間はかかるかもしれないけれど、その甲斐はあった―――」


ヴェスタ「――――!」
ヴェスタは、呆然とした表情で、消し飛んだ【創世書】の欠片を見つけている。


鈴鶴「……わたしと同じように、左手で【剣】を持っていた
   右手に持っていた【創世書】の位置は、【剣】の位置とあなたの技術を想定すれば、見ずとも―――」

171 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:09:22.252 ID:/abCs7iU0
ヴェスタ「ふふ―――ふふふ
     あはははははははははは―――っ」

ヴェスタの嗤い声が響く。
それは狂気にまみれた嗤い声だった。

172 名前:集計班の遺言:2017/03/16 23:13:07.198 ID:/abCs7iU0
ヴェスタ「なぁんて―――
     おねえちゃん―――

     【創生書】がなくなったから―――わたしを倒せるとでも、思っていた?
     所詮、おねえちゃんを苦しめる幻影も、オモラシスも――――
     小手調べみたいなものだよ」
ひとしきり嗤った後、ヴェスタは淡々とそう告げた。

鈴鶴「分かっているわ―――
   【創世書】なんて、永久にはいらなかった……
   確かにあれがなければ、わたしたちが幸せに暮らす始まりはなかったけれど…
   永久にあれはいらない―――あれは、安置すべきものだった……

   けれど、そうできないから、斬り伏せた」

ヴェスタ「ふふふ―――
     でも―――
     それだけのことするために、腕をひとつ犠牲にした――

     おねえちゃんは、わたしに見せていない奥義をついに見せてくれた―――」

鈴鶴「技術は、わたしと同じ
   貴女はその【剣】を操る資格があり―――そして、【剣】のせいかは知らないけれども
   恐ろしく洗練された技術がある

   多分―――貴女は蟒を斬った海神―――わたしの祖先にとっての弟神――の血でも引いているのでしょう
   其の血を引くならば―――片腕しか使えないわたしを越えられる可能性は充分―――」


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