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きのたけWARS ss風スレッド

1 名前:きのこ軍 @移転作業中:2014/03/24 00:18:40.76 ID:L0nBYOkw
きのこ軍とたけのこ軍で"大戦"をすることで、時代が進むフシギな世界―
              ―きのこたけのこワールド―
最盛期は頻繁に大戦が行われ、お互いを憎みあい、お互いを意識し、撃破しあうことで、
兵士たちは情熱とやる気を保ち、世界は発展していった。

そんな栄光の時代も、今は昔。数多くの戦闘を経て、兵士たちはかつての大戦への熱気を失いつつあった。
大戦への希望と熱気で包まれていたかつての"大戦の歴史"は、
干満で怠惰が支配するものへと塗りかえられつつあった。

舞台は K.N.C歴175年。
ある日、大戦運営を管理する大戦会議所のもとに、記憶を失った
きのこ軍兵士とたけのこ軍兵士が流れ着く。
二人の兵士の登場を機に、大戦は徐々に熱気を取り戻し始める。

しかし、突然世界は意図せず"歴史"を塗り替え始める。
今現在の歴史だけではなく、過去の栄光までも無かったことにして、歴史を喰らう異型の存在――

                 ― “DB” が世界の前に立ちはだかった―


DBを討伐するため。大戦の"歴史"を取り戻すため。
そして自分たちの"存在意義"を知るため…
様々な想いを抱きながら、二人の兵士を始めとした会議所兵士たちは、
時空を越え、過去を取り戻す旅をする…
 

                    『きのたけWARS 〜DB討伐〜』


(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

375 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 時空潮流編その2:2014/11/11 01:15:30.39 ID:6muhTgmMo
━━━━━━━━
━━━━
━━

【K.N.C 180⇒??年 時限の境界】
参謀「ア…ム、起きろ…起き…んや!!」

途切れ途切れに参謀の声が聞こえてきたのは、アイムは意識を取り戻した。
少し寒気がするが、指先に血が巡っていくのがわかり、感覚はだいぶはっきりとしてきた。

アイム「痛え…」

体の各所が痛む中、起き上がる。アイム以外のメンバーも同じように体を起こして辺りを見回している。

アイム「扉に吸い寄せられて…その後どうなったんだ?」

頭痛が酷い中、必死に自身の記憶を手繰り寄せる。
しかし思い出せない。

376 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 時空潮流編その3:2014/11/11 01:21:42.55 ID:6muhTgmMo
参謀「どうやら外に放り出されたみたいやな。さっきの入り口とは違う場所みたいやが」

外にいる、という表現は半分正しく半分は誤りだった。上空からは日が差しているが、参謀たちの左右には
背の高い石壁が位置して、参謀たちを囲っている。
目の前には、朱塗りの鳥居が数本立ち並び小さな神社がぽつんと建っている。
神殿前の賽銭箱が置かれているだろう場所にはぽっかりと大きな穴が空いている。

アイム「タイムワープしたってわけじゃないのか?とりあえず中の状況はどうなって―」

アイムたちの背に位置する、放り出された扉のドアノブを掴み回そうとする。
びくともしない。アイムたちはまたも閉じ込められた。

¢「また閉じ込められた…か」

スリッパ「もし私の予想通りだとすると最悪の展開になりそうだが…外れることを祈ろう。
あの穴に入ってみるしかないよ」

全員は底の見えない穴に飛び込んだ。

377 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 時空潮流編その4:2014/11/11 01:26:35.77 ID:6muhTgmMo
【K.N.C??年 大戦場】
荒涼とした砂地の塹壕に投げ出されたアイムたちは、そこが兵士たちにとって
第二の故郷でもある大戦場だとすぐに気がついた。

アイム「イテテ…乱暴に放り出されたが、どうして大戦場なんかに。
てかいま大戦なんかやっている余裕なんてあったか?」

激しい爆音。断続的に響く銃撃音。きのことたけのこが焦げたような臭い。
間違いなく大戦場、それも大戦の真っ最中である。
アイムたちが飛び込んだ穴は、大戦場のとある塹壕内に繋がっていた。
穴から出たアイムが様子を窺おうと塹壕から顔を出そうとした瞬間。

きのこ軍95黒 神官兵卍≪治療≫「おい君ッ!こんなところで何をしているッ!所属部隊はどこだッ!!」

突然の怒号とともに、塹壕に入り込んできた兵士にアイムは目をパチクリとさせた。

アイム「は?え、えーと…その」

¢「びええええん。穴に勢い良く入ったら尻が痛いんよ」

と、アイムの隣で尻餅をついていた¢を見るや、95黒神官兵は目を丸くした。

きのこ軍95黒 卍神官兵「あれ、¢さんじゃないですか。どうしてこんなところに?
さっき前線部隊率いて敵陣に突入していったんじゃなかったんですか」

¢「ん?」

378 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 時空潮流編その5:2014/11/11 01:29:24.41 ID:6muhTgmMo
ジン「えーと、いったいどうしたんですか?…」

穴から顔をひょっこり出し、ジンは騒がしい外に気をかける。

95黒 神官兵卍≪治療≫「なッ!お前はたけのこ軍ッ!どうやって我軍の陣地内に侵入したんだッ!」

たけのこ軍服を纏うジンを見るや否や、95黒は烈火の如く怒り出した。

ジン「え、え?」

参謀「なんやなんやどうしたんや」

つかえていた穴から続々と討伐隊メンバーが顔を出す。

95黒 神官兵卍≪治療≫「参謀までどうしてここに…?いまは本部で指揮を取っていたはずじゃ?」

スリッパ「なにかおかしいな…おい、今次大戦は第何次戦役だったか覚えているか?」

95黒 神官兵卍≪治療≫「なッ!お前もたけのこ軍兵士。しかし、あなた。どこかで見た顔だな…」

参謀「頼む、95黒さん。答えてくれや」

真剣な口調の参謀に気圧されるように、95黒は困惑気に答える。

95黒 神官兵卍≪治療≫「はぁ…いまは『第102次大戦』ですが」

379 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 時空潮流編その6:2014/11/11 01:31:42.19 ID:6muhTgmMo
全員に衝撃が走った。95黒の言葉を信じるならば、いまアイムたちはK.N.C102年にいる。

参謀「…ご苦労。ちなみにこの二人は、たけのこ軍服を着てはいるが隠密部隊や。
今からたけのこ軍陣地に潜入してもらう手筈となっているんや」

咄嗟の参謀の演技に、ジンとスリッパは急いで同調した。

95黒 神官兵卍≪治療≫「ははぁ、そうだったんですか。敵の攻撃はいまが一番激しいから、
まさに起死回生の策ですね――」

95黒の言葉が終わらないうちに、アイムたちの近くですさまじい爆音と火柱が上がった。

95黒「なんだッ!!どうしたッ!!」

無線『スクリプトです!!スクリプトが大戦場に襲来しましたッ!すさまじい勢いで我軍に攻めかかってきていますッ!』

95黒「くそッまたか!!すぐ応援に向かうッ!」

95黒はこちらを振り返りもせずに走って行ってしまった。


参謀「どうやらここは本当に過去の世界みたいやな…」

スリッパ「私が既に引退済の兵士で、ジンがこの時代に参戦していない新規兵士でよかったな。
もし向こうに顔が割れていたらめんどうなことになっていた」

380 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 時空潮流編その7:2014/11/11 01:36:33.59 ID:6muhTgmMo
¢「過去の時代に来たはいいが、いったいどうやったら俺たちは元の時代に戻れるんだ」

アイム「わからねえよ。だが、さっきあの兵士の無線で言っていた言葉――」

――スクリプトが大戦場に襲来しました

アイム「参謀や¢さんは第102次大戦にも参加していたんだろう。この大戦を覚えているのか?」

参謀「第102次…第2回クリスマス聖戦が終わってすぐの大戦だったか。確かにスクリプトに襲われた覚えはあるが…」

¢「ぼくは覚えているんよ。最初はたけのこ軍が怒涛の攻めを見せていたけど、
スクリプトの襲来でそれどころじゃなくて大戦は中止になったんよ。結局スクリプトに太刀打ちできなかったんよ」

自信満々に語る¢。その口ぶりは、編纂室で以前おなじ質問をされた時に答えていた時と変わらない。
しかし、アイムは同時に、編纂室で聞いた集計班の語りを思い出していた。


―― 確かにスクリプトの襲来は何度か受けましたが、
    荒らしが原因で中止になった大戦はただの一度だけです。

―― K.N.C86年の第86次大戦。中止になった大戦はただ一度だけだと記憶しています。


もし集計班の言葉が正しいとすれば、¢の記憶は歴史年表とともに上書きされていることになる。

381 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 時空潮流編その8:2014/11/11 01:37:36.14 ID:6muhTgmMo
アイム「シューさん曰く、スクリプトによって中止に追い込まれた大戦はこの年じゃない。
¢さんのいうように、この年度の大戦が中止に追い込まれているんだったら、
それは【歴史改変によって塗り替えられた歴史】だ」

¢「なんだと…」

スリッパ「つまり、本当は大戦中止に追い込まれたわけではないのか?」

アイム「おそらくな。よくわかんねえけど、時限の境界にいたスクリプトがこの時代に来て
歴史改変をしているのかもしれないな」

スリッパ「なるほど…」

382 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/11/11 01:42:47.32 ID:6muhTgmMo
とりあえずここまで。
ちなみに第102次きのこたけのこ大戦は、現実でもスクリプトの襲来を受けています。


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[参照]
・きのこたけのこ大戦 睦月戦役 第二戦 2012/01/21(土) 22:32:19.16 (※第102次きのこたけのこ大戦)
きのこたけのこ大戦(スクリプト埋め立て)
きのこたけのこ大戦(スクリプト埋め立て)
きのこたけのこ大戦
※緊急戦闘場★2は>>514まで使用

きのこ軍:たけのこ軍=54:0 きのこ軍の兵力アド:10
・まーたスクリプトか。
・前半はきのこ軍がメタメタにされていたものの後半は打って変わっての猛攻撃。
・大差をつけられていたのが大差をつけての勝利となった。
・きのこ軍は必殺技の女神の加護でも受けたのか。それともデスブログのたけのこ軍への呪いか・・・

・途中でバーボンを喰らった集計の代わりに集計を担当した抹茶兵士には感謝の意を述べたい。

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実は第100次・第101次ともにスクリプトの襲来を受けているので、最初は第100次にしようと思ったんですが
まあそこはね。とりあえず次の更新時にでも。

383 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その1:2014/12/09 23:03:25.23 ID:TpICAZnso
・ここまでのあらすじ

会議所「DBとスクリプト脱走した」

集計班「なんかきのたけの歴史がどんどん書き換わっているんですが」

参謀「原因探るわ。時限の境界っていうダンジョンに行けばええんやろ?」
スリッパ「参加するぞ」

アイム「えっなんか知らない間に勝手にタイムワープしたんだけど」
¢「気がついたらK.N.C102年にいたンゴ」 ←いまここ

384 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その1:2014/12/09 23:05:39.39 ID:TpICAZnso
兵士の叫び声と、スクリプトが発する不快な機械音が戦場にこだまする。
空を見上げると、まるで群れをなす鳥のように大量の小型スクリプトが飛び回っている。

アイム「とりあえずなんだっていいッ!目の前のスクリプトをぶっ壊すぞッ!」

スリッパ「待てッ!」

今にも飛び出さんとはやるアイムを静止するように、スリッパはアイムの腕をつかんだ。

スリッパ「スクリプトを倒すということは、今度は私たちが歴史改変をする立場になってしまう」

とても危険を伴う行為だ。スリッパはそう力説する。

スリッパ「歴史改変は、目の前の出来事を書き換えるだけではない。
大戦に関わる多くの兵士の歴史も一緒に書き換えることになる。
今から起こそうとしている歴史改変が、この大戦に参加していた兵士から直接関係ない兵士までの
現在や未来に影響を少なからず影響を与えることになるんだ」

ジン「そう聞くと…確かに深刻だ」

アイム「だからといって目の前の歴史改変をただ見ているだけだというのかよッ!!
そもそもオレたちは閉じ込められているんだ。第102次きのこたけのこ大戦という、このでかい檻になッ!!
オレたちが戻らなければ、歴史は書き換えられ続けて、あんたのいう犠牲者が増えるだけだッ!!」

アイムたちは元いた時代に帰ることはおろか時限の境界に戻ることすら叶わない。
牢獄に閉じ込められいると等しい状況なのだ。

385 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その2:2014/12/09 23:08:42.66 ID:TpICAZnso
参謀「アイムの言うとおりや。スリッパの言うことも一理ある。だが、現代に帰ることができないワイらにできることは、
【書き換えられた歴史を元に戻す】ことや」

¢「こう考えるとどうだろう。正史ではスクリプトの襲来を受けながらも、その脅威を跳ね除けて大戦を続行した。
今の虚構の歴史をその正史に戻すだけだ、と」

三人の言葉にスリッパはしばし沈黙し、渋々と言った呈で納得した。

スリッパ「わかった。だが、時間はない。さっさとスクリプトを破壊しよう」

アイム「よしきた!みんな行こうぜッ!」

スリッパ「いや、待てッ!」

身を乗り出して塹壕の外に出ようとするアイムを、スリッパは首根っこを掴んで静止させた。

アイム「ぐえっ、まだなにかあるのかよ」

スリッパ「最小限の歴史改変に留めるべきだと思う。¢が言ったように、【正しい歴史に戻そう】とした場合、
正史にはない余計な歴史改変は混乱を招くだろう」

参謀「なにが言いたいんや」

スリッパ「『タイムパラドックス』。聞いたことはあるだろう?」

タイムパラドックス―― 時間の逆説。
時間旅行者が過去にタイムトラベルした時、歴史改変を行うことで過去と未来の整合が取れなくなる
時間の矛盾を指す。

386 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その3:2014/12/09 23:11:58.83 ID:TpICAZnso
参謀「聞いたことあるな。有名なやつやと『親殺しのパラドックス』とかか?」

スリッパ「そうだ。時間旅行者である私たちが無用な歴史改変を引き起こすと、
現代において多大な混乱を招くことがある。たとえば、過去と未来の二人の同一人物が同じ時間帯で
ばったり出会ってしまうとかね」

¢「言いたいことは分かった。つまり、僕と参謀はこの時間・この大戦場内で戦っている“過去”の俺たちと、
そして少し前に“タイムトラベルしてきた”俺たち、二人ずついるということなんだな。
この過去の僕たちと僕たち自身が鉢合わせになるのは非常にまずい、と」

アイム「なるほど。だとしたら、参謀と¢さんは本人たちに見つからないように姿を隠したほうがいいってことか」

スリッパは頷き、¢と参謀からきのこ軍軍服を借り、ジンとともに着替える。

ジン「きのこ軍陣地内に発生しているスクリプトを中心に叩きのめすしかないだろう」

参謀「急いだほうがいい。大戦が続行不可能に追い込まれたと集計係が判断したら、
その時点で歴史改変の余地を失うことになる」

¢「巧遅は拙速に如かず、だな。時間との勝負だ」

アイム「了解。目にも留まらぬ速さで片付けてやるよッ!」

アイムはニヤリと笑い、ジン、スリッパそしてサラとともに塹壕を飛び出した。

387 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その4:2014/12/09 23:13:38.66 ID:TpICAZnso
【K.N.C102年 大戦場】

『ぶお〜〜〜現在の兵力は…えと、5+3+2で…えーと…現在の兵力は68:27で…あ、計算間違えた。
現在の兵力は68:25できのこ軍が有利です』

アイム「あの声は…シューさんか」

現代での集計公表の落ち着きぶりと比べると、えらい慌てようだ。

スリッパ「今でこそ【集計ツール】で自動集計しているが、昔は全て集計係の目視・手計算で集計していた。
戦況が熾烈になればなるほど戦いの勢いは上がり、集計係は苦しんでいくというわけさ」

アイム「なんだか不憫な役回りだな」

アイムはほんの少しだけ集計班に同情した。

ジン「目の前の上空を見てください。スクリプトの群れが、きのこ軍部隊を襲撃しています!」

アイムは自身の頭巾を紐解き、口と鼻を覆うように巻きつける。スリッパやジンも同じように顔を隠す。

アイム「よっしゃ、行くぞッ!」

388 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その5:2014/12/09 23:18:12.32 ID:TpICAZnso
アイム「おらおらあ!助けに参上したぜ」

腰に差してある投げナイフを取り出し、上空のスクリプトめがけて勢い良く投擲する。

ジン「『炭酸スプラッシュ』!」

スリッパ「サラ。頼む」

どこから取り出したのか地対空ミサイルを肩に構えたサラは、間髪入れること無くスクリプト群めがけて放射しはじめる。
見事、スクリプトの群れを撃墜した。

??「素晴らしい!どの部隊の所属だ!」

襲撃されていた部隊の隊長と思わしき人物が、アイムたちに近寄ってきた。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵香瘰i化≫「なんてカオスな面子だ。しかし、おお!スクリプトが一掃されたぞ!」

アイム「あれ¢さん、どうしてここに…って、そうか。これは別人か」

"過去”の¢は優雅な動作で二丁拳銃をホルダーに戻した。今よりも凛々しく、精悍な顔つきをしている。
口調も今のような弱々しいものではなく、自信に満ち溢れた言い方だ。
年月とはここまで人を変えてしまうものなのか、とアイムは目の前の¢と先ほどまで一緒にいた¢を思い浮かべ、
心のなかで嘆息した。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵香瘰i化≫「君たちが援軍か、ありがとう礼を言う」

顔を見せない目の前の恩人たちに若干の疑問は抱きつつも、¢は新たな質問をぶつけた。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵香瘰i化≫「ところで、お前たち。≪作戦コマンド≫はどうした?」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

389 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その6:2014/12/09 23:19:30.48 ID:TpICAZnso

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵香瘰i化≫「おいおい頼むぜ…俺が考案したルールの中では特に自信があるんだからな」

きのこ軍 爆撃兵☆≪運試≫「でも隊長〜。これいちいちバッジ付けて戦うのめんどうくさいっすよ〜」

きのこ軍 工作兵]≪特務≫「確かに。しかも自分の戦果確認する際にいちいち計算めんどうなんだよなあ」

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵香瘰i化≫「なッ!そんなことはない!いや確かに、少しだけ面倒くさいかもしれんが、
それを上回る充足感と得難い満足感がだな…」

きのこ軍兵士「ブーブー」

相次いで内部から出る不平不満に反論する¢を尻目に、アイムたちは残りのスクリプトを追ってかけ出す。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵香瘰i化≫「あッ、おい待てッ!そっちは敵軍陣地だぞッ!部隊長の俺の指示にだな…」

アイム「すまないな隊長さん。俺たちには時間がないんだッ!」

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵香瘰i化≫「あークソッ!命令無視は軍法会議ものだぞッ!」

390 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その7:2014/12/09 23:21:18.39 ID:TpICAZnso
【K.N.C102年 大戦場 たけのこ軍陣地】
『ぶお〜〜〜えと、シューさんが過労で倒れられたので私、抹茶が集計を代行します。
現在の兵力は58:11で依然きのこ軍が有利です。でもすごいスクリプトの数だ…このまま大戦続行してもいいのかな?』

アイム「クソッ、いくら倒しても次から次へとスクリプトが湧いてきやがる」

スリッパ「まるで小蝿のように集っては兵士のやる気を削いでいるな」

スクリプトは束となり、まるで虻のように羽音を震わせながら両軍の軍団に襲いかかっていた。
スクリプトの出処は未だ掴めない。

アイム「このままじゃ大戦が中止になっちまうッ!急がなくちゃならねえのにッ!」

己の不甲斐なさに、アイムはその場に剣を投げ捨てる。すると―

スリッパ「なんだ!?地鳴りか!?」

アイム「下から来るぞ 気をつけろッ!!」

アイムたちの足元から砂を巻き上げながら、例の巨大スクリプトが這って姿を現した。
甲殻類のように4本足を広げながらアイムたちに近づいていく。

スリッパ「おい!アレを見ろッ!」

巨大スクリプトは足を止め、奇声を発しながら身体を震わせる。と、その腹部付近から大量の小蝿スクリプトが外へ飛び出し、空へ飛び立っていった。

アイム「つまり、こいつがスクリプトの親玉てことだなッ!おもしろい!
さっさとかたをつけて参謀たちのところに戻ろうぜッ!」

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391 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その8:2014/12/09 23:23:00.75 ID:TpICAZnso
サラのロケットランチャーが巨大スクリプトに直撃し、スクリプトは機械部品を周りにぶち撒けながら四散した。
と、巨大スクリプトが破壊されたと同時に上空を飛び回っていた小蝿スクリプトも、
息絶えたように地面へ墜落し始めた。どうやら巨大スクリプトが小蝿スクリプトの動力源となっていたようだ。

ジン「これでいいんでしょうか?」

スリッパ「¢の言うように【書き換えられた歴史を元に戻す】ことができたはずだ」


『ぶお〜〜〜たけのこ軍が降伏しました。よって第102次きのこたけのこ大戦は、きのこ軍の勝利となりました。
最終兵力は54:0…あっ、集計さん。いまさら復活されても遅いですよ…』


スリッパ「よし、これで【第102次大戦がスクリプトの襲来によって中止に追い込まれた】という歴史は書き換えられたはずだ。参謀たちの下に戻ろう」



参謀「みんな無事か!」

アイム「なんとかな。あんたらも他の兵士に見つからなかったか?」

¢「なんとか隠れきることができたんよ!」

アイム「…」

¢「なんなん?そんなに見つめられると恥ずかしんよ」

アイム「…いやなんでもねえよ。年月の経過ってのは残酷だな」

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392 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その9:2014/12/09 23:24:54.49 ID:TpICAZnso
【時限の境界 神社前】

アイム「戻ってきたはいいが、これからどうするんだ?時限の境界フロアに戻ろうとしても扉は開かなかっただろう」

スリッパ「俺たちがこの神社の前に放り出された時は、な。だが今は…」

スリッパが扉のドアノブに手をかける。

スリッパ「開くはずだ」

ガチャリ。
重厚そうな音とともに、閉ざされていた扉はいとも簡単に開かれた。扉の先は眩い光に包まれている。

アイム「なッ!」

スリッパ「さあ戻ろう」

ジン「ちょ、ちょっと待った!いま戻っても、また先ほどと同じように巨大スクリプトと追いかけっこをする羽目になるんじゃ」

¢「慎重になるべきだと思うんよ」

参謀「俺たちはいま第102次大戦の現場にいる。これは紛れもない事実や。K.N.C102年にいるんや」

K.N.C102年。現代のK.N.C180年とはあまりに時間がかけ離れている。

参謀「ここに居続けてもおそらく事態は好転しないやろな。
K.N.C180年まで各時代の俺たちに見つからないようにこうやって隠れ続けて待つちゅう選択肢もあるがな」

アイム「待てば海路の日和ありと言うけど、いつまでも待っていたら¢みたく心までジジイ化しちゃうな」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

393 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 歴史修正編その10:2014/12/09 23:26:56.55 ID:TpICAZnso
【??年 時限の境界】

アイム「ダーーーーッ!かかってきやがれ化け物野郎ッ!」

目の前で待ち構えているだろうスクリプト向けて威勢よく扉を抜けたアイムだが。

アイム「ここは…フロア内じゃない?」

ジン「時限の境界の入り口じゃないですか、ここ」

アイムたちの目の前には巨大なスクリプトたちも、薄暗いフロアも無かった。
広々とした草原と一帯を占める朱、朱、朱の鳥居。
扉を抜けると、そこは時限の境界の入口前だった。

参謀「時限の境界から出られたということか」

アイムたちの背後には巨大なくすんだ色の石壁。時限の境界フロアがそびえ立っている。

アイム「つまり、これで会議所に戻れるってわけか!やったぜ」

参謀「第一の目標であるDB討伐はならんかったが、得られた収穫は大きい。帰って報告しようや」

一行は足早に時限の境界を後にした。
会議所に戻ることはできたが、果たしてアイムたちは現代に戻って来られたのか。
結局K.N.C102年から抜け出せていないのではないか。時代跳躍の変化の術を知る由もない一行からすれば、
その心配はある種当然のものと言えた。
しかし、結果としてその心配は杞憂に終わった。途中で立ち寄った村落で話を聞けば、確かにアイムたちがいる時代はK.N.C180年。
つまり現代に戻っていたのだ。突拍子もない質問に首を傾げる村落の住人を尻目に、DB討伐隊一行は現代帰還の喜びを噛み締めたのだった。

394 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 :2014/12/09 23:27:36.01 ID:TpICAZnso
更新終わり。
一回目のタイムワープを終え、会議所に帰還した兵士たち。そろそろ特訓パートが始まりますぞよ。

395 名前:レタス社長:2014/12/10 01:04:16.26 ID:SGwMn2D20


396 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 原因究明編その1:2014/12/30 13:37:43.51 ID:RRc6QDeUo
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室】

きのこ軍 集計班「つまり…貴方方は【時限の境界】から【K.N.C102年】へタイムワープして、
偽りの歴史を【正史】に書き換えて、現代に戻ってきたと?」

DB討伐隊一行の報告が終わり、緊急会議を招集した集計班は開口一番にそう尋ねた。

きのこ軍 参謀「そういうことやな。編纂室でも歴史の書き換えは確認できたんか?」

たけのこ軍 社長「これは秘密だけど、百合神様はごくフツウの女の子だよ。みんなには秘密だよ〜」

集計班はオニロに視線を配り、オニロにある用紙を持ってこさせた。
オニロの顔からは生気が消えており、編纂室で起こり続けている歴史改変による脳シェイク(会議所側呼称)の壮絶さを伺わせる。

397 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 原因究明編その2:2014/12/30 13:40:01.51 ID:RRc6QDeUo
きのこ軍 集計班「頻繁に歴史改変が起きていまして、その度に記録は取っています。
第102次大戦の歴史改変が記録されたのは…」

たけのこ軍 社長「・・あとは忘れちまった」

たけのこ軍 オニロ「ええと。用意した改変記録を見ると、第102次大戦の改変は2日前に行われています」

きのこ軍 アイム「2日前だと?それはおかしいな。時限の境界に突入してからここに帰ってくるまでに、
オレたちの体感時間でまだ1日は経ってないはずだぜ」

たけのこ軍 社長「アイム!何をそんなに あせっ」

スリッパ「時限の境界内の時間の流れが周りと異なっている可能性が高いな」

たけのこ軍 社長「ないわー」

きのこ軍 アイム「いい加減にうるせえ叩き斬るぞ」

たけのこ軍 社長「ぎゃああーーーありがとうーっ!」

社長のバグった姿勢にスリッパは奇妙な安堵を覚えた。当時スリッパがいた会議所でも、今とは少し違うベクトルではあったが、
同じように社長は奇妙な言動・行動で会議所を幻惑し続けた。あの頃の光景と今の光景を重ねて、
スリッパはほんの僅かな間、感慨に浸っていた。最初期に自らも在籍していた会議所に、いま自分は居る。
二度と帰ってくるはずはないと思っていた会議所に。
後ろで会議の動向を見守っているサラに流し目で視線を送る。
私は本当にここに来てよかったのだろうか。スリッパの目はそう尋ねている。
サラは表情一つ変えずにスリッパを見つめ返す。数秒間の沈黙。しかし二人にはそれで十分だった。
スリッパは何かを確認したように、サラへ向かって頷き、再び会議に意識を戻した。

398 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 原因究明編その3:2014/12/30 13:42:22.50 ID:RRc6QDeUo
たけのこ軍 オニロ「えと、スリッパさん…でしたっけ。話を聞く限り、スリッパさんは時限の境界の仕組みについて
何かお気づきになられた点があるように見受けられます。何かご存知なんじゃないでしょうか?」

一同の視線がスリッパに注がれる。やれやれ、昔を振り返る暇もないな。スリッパはそう苦笑すると、朗々と説明を始めた。

スリッパ「今回、時限の境界に突入してみて幾つか気がついたことがある。
経験は最良の教師であるが、授業料が高すぎる。今回私たちは高い授業料を払ってまで時限の境界に教えを乞うた」

今から私が話す内容はあくまで憶測にすぎない。そう前置きした上で、スリッパは語り始める。

スリッパ「私はかつて自らの本にて時限の境界を『宝の山』だと表現した。確かに、好きな年代にタイムワープできる
場所は聞いた限りでは夢のような空間だ。だが――」

スリッパ「時限の境界は無料でそのような夢のひと時を提供してはくれない。
使用する上で恐ろしい【制約】が存在する、悪魔との契約なんだ」

会議所はそこで初めて知ることになる。時限の境界に隠された【制約】を。

399 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/12/30 13:44:42.01 ID:RRc6QDeUo
更新終わり。年内にもう一回更新したい。

400 名前:791:2014/12/30 18:15:23.71 ID:UGtVSG5wo
更新乙!
楽しみ楽しみ

401 名前:社長:2014/12/30 20:10:44.65 ID:w8xPNuhQ0
年内(明日まで)

相変わらず社長うざいな死ねよ。

402 名前:誰か:2014/12/31 00:09:54.33 ID:IvTXHau20
乙〜

403 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/12/31 14:58:35.05 ID:Bkzcex/wo
更新更新。全然推敲してないのでいつもよりもいろいろとおかしい可能性大。

404 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その1:2014/12/31 15:04:55.05 ID:Bkzcex/wo
スリッパ「まず、時限の境界突入から順に討伐隊一行の行動を振り返っていこう」

――DB討伐隊一行は、時限の境界内の柱と扉に記された番号からある法則性を導き出した。

たけのこ軍 オニロ「広間の番号と扉の番号を組み合わせることで、その年代に通じる『扉』になるっていう話だったよね。
例えば、K.N.C180年なら広間【18】の扉【0】番。K.N.C102年なら広間【10】の扉【2】番といった具合に」

スリッパ「そうだ。そう考えると広間は【0】〜【18】、全部で19個あることになる。
広間【18】には私たちが入ってきた扉、つまりK.N.C180年の扉しか無かった。
おそらく年を経る広間【18】には扉が生成されていくんだろうな」

きのこ軍 someone「扉、えと会議所は【年代の扉】て呼んでいましたか。
この扉をくぐることによって過去の年代に行けるということなんだよね」


――DB討伐隊一行は、巨大スクリプトの襲撃にあった。

巨大スクリプトは今まで見かけていたスクリプトの上位種であることから、
会議所はこの巨大スクリプトを【NEXT】と名付けることにした。

たけのこ軍 791「この【NEXT】は、やっぱりDBの一味で討伐隊一行を待ち構えていたということでいいのかな?」

たけのこ軍 社長「どこへいくんですか^^」

たけのこ軍 加古川「まずその結論で間違いないでしょうな。DBとスクリプトは手を組み、時限の境界を支配している」

たけのこ軍 社長「ゲロストバフィア提督」

きのこ軍 黒砂糖「時限の境界を支配することで、自由に歴史を書き換えられるようになることになる」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

405 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その2:2014/12/31 15:08:18.13 ID:Bkzcex/wo
――DB討伐隊一行は、突如謎の力でK.N.C102年の【年代の扉】に吸い寄せられた。

きのこ軍 参謀「ここが最大の謎やな。引力のように身体ごと扉に吸い寄せられたんや」

たけのこ軍 社長「ふわ〜っ」

きのこ軍 集計班「どこいくねーん」

きのこ軍 アイム「あの時、扉に吸い寄せられる前に声が聞こえてきたんだ。
『時間切れ』っ聞こえてきたか。その直後に、扉へGOだ。皆には聞こえてなかったみたいだけどな」

スリッパ「それは本当か?ふむ…ふむ、やはりそうか…私の予想は間違ってなかったのか」

アイムの言葉に、スリッパは仕切りに頷き独りごちた。

たけのこ軍 オニロ「あ、あのー…そろそろ話してもらえると」

スリッパ「ああ、すまない。独りで考え事をしてしまうのが私の悪い癖」

たけのこ軍 社長「スマナイ林田」

スリッパ「アイムの聴いた声が何者かは知らないが、その言葉を聞くとあながち私の予想も的外れではないようだな。
つまり、時限の境界に留まり続けることはできない。タイムリミットが存在するんじゃないか、とね」

たけのこ軍 抹茶「タイムリミット?まさか、扉に吸い寄せられたというのは…」

406 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その3:2014/12/31 15:11:07.04 ID:Bkzcex/wo
スリッパ「流石は抹茶、察しが良い。そう、時限の境界は―――」


――時限の境界フロア内に、一定時間以上留まり続けることはできない。


たけのこ軍 加古川「なるほど。参謀たちは時限の境界に突入してから一定時間経過で、
フロアに留まれなくなり、近場の扉に吸い寄せられた。そういうことか?」

社長「あワお〜〜」

きのこ軍 アイム「オレたちが扉に吸い寄せられたのはペナルティてわけか。随分と粋なことをしてくれるじゃねえか」

スリッパ「時限の境界に突入してから強制的に扉へ吸い込まれるまでの時間。
正確にはわからないが、体感的にはおよそ60分から90分程度」

きのこ軍 ¢「時限の境界の入り口から外に出ることはできなかった。
つまり、必ずどの時代かの『年代の扉』に入らないといけないということか」

きのこ軍 参謀「時限の境界に足を踏み入れた時、もうそいつが過去にタイムワープするのは確定事項ちゅうわけか」

スリッパ「あくまで仮説だ。だが、この仮説に基づいて考えを進めていけば色々と納得できる」


時限の境界には制約が存在する。


――【制約T.】時限の境界フロア内に一定時間以上留まり続けることはできない。
         ある制限時間を超えると、強制的にどこかの『年代の扉』に送り込まれてしまう。

407 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その3:2014/12/31 15:14:17.23 ID:Bkzcex/wo
きのこ軍 アイム「オレたちはスリッパさんの言う時限の境界の【制約】に抵触して、強制的にK.N.C102年へ送られた」

スリッパ「その後の状況を思い出して欲しい」

たけのこ軍 ジン「えっと。その後はたしか…」

『年代の扉』をくぐった討伐隊一行は、入ってきた場所とは異なる外の場所へ放り出された。
年代の扉から時限の境界へ戻ろうとするも、案の定扉はビクトもしない。
仕方なく、一行は目の前の神社風の建物の中にある横穴へと飛び込んだ。

横穴はK.N.C102年の戦場へと通じていた。その戦場で、正史では現れなかったはずのNEXTを母体としたスクリプト群を斃し、
先程まではビクトもしなかったはずの『年代の扉』を開け、無事、時限の境界の外へと出ることができたのだった。

スリッパ「ここで重要なのは、K.N.C102年に放り出された直後には『開かなかった年代の扉』が、
スクリプトを撃破した後にあっさりと開いたことだ」

たけのこ軍 埼玉「これも先の制約と同じで、時間経過で開くようになったんじゃないかタマ?」

たけのこ軍 社長「今日の目標、枠調整しない!」

スリッパ「それも考えられる。だが、別の場合も考えられる。まず――」

――正史にはいなかったスクリプトはどこから来たのか。

408 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その3:2014/12/31 15:24:19.77 ID:Bkzcex/wo
たけのこ軍 筍魂「もしかして、スクリプトは人の心に巣食う化け物で今まで目に見えていないだけだった…?」

きのこ軍 アイム「もしかして、オレたちが戦ったスクリプトてのも、元を辿れば『時限の境界にいた奴ら』なんじゃないか?」

きのこ軍 参謀「なるほど!そういうことかッ!俺らがフロアで交戦したNEXTたちもまた、
時限の境界の【制約 T】によって【年代の扉】に放り込まれた奴らだったってことか!」

時限の境界の広間で参謀たちを突然襲ったスクリプト群。
NEXTたちも参謀たちと同じように【制約】による強制移動か、はたまた自らの意志か、
【年代の扉】を超えて過去の大戦へと現れたのだ。

たけのこ軍 筍魂「ワイは最初から全部わかっとったで」

409 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その5:2014/12/31 15:29:29.47 ID:Bkzcex/wo
たけのこ軍 オニロ「過去に飛ばされたスクリプトたちはその年代の大戦を荒らし回り、
結果として現在進行形で歴史が書き換えられ続けています。
歴史の書き換え部分はほとんどが『スクリプトによる荒らしで大戦続行不可能になった』という記述ばかりです」

スリッパ「おそらく巨大スクリプトたちが次々に他年代に跳んで大戦を荒らしまわっている。

ここで一つの仮説を立てることができる。
NEXTは【歴史を書き換えて】から【時限の境界】へと戻っているのではないか。
私たちが広間で出会ったNEXTも【既に何度か過去の年代で歴史を荒らしまわっていた】スクリプト
なのではないか、とね」

¢を負傷させる襲撃をしたNEXTたち。そのNEXTももう既に時限の境界で何度もタイムワープをおこなっているのではないか。
歴史改変を行いその度に現代に戻り、時限の境界へ突入するDB討伐隊一行を待ち続ける傍ら、歴史改変を
繰り返しおこなっているのではないか。スリッパはそう言っているのである。

スリッパ「私たちも『スクリプトによって大戦中止に追い込まれた』という偽りの歴史のK.N.C102年の
【歴史を再度書き換えて】から【時限の境界】へと戻ることができた。何もしないと扉は開かなかった」

編纂室がにわかにざわつく。スリッパがその先に言うだろう【第二の制約】がわかってしまったのだ。

きのこ軍 集計班「なるほど。つまり、時限の境界の2つ目の制約というのは――」

スリッパ「そう。それは――」



――【制約U.】過去の時代へとタイムワープした場合、その時代の歴史改変を行わない限り、
         現代へ戻ることはできない。

410 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その6:2014/12/31 16:23:23.37 ID:Bkzcex/wo
【K.N.C180年 会議所 教練所 中庭】

運命の会議から一夜明け、アイムは教練所の中庭に向かって歩を進めていた。
日課の昼寝のためではない、自主訓練のためでもなかった。
会いたくない時にはよく顔を合わせる、しかし会いたいと思った時には会えない。そんな兵士を探していた。
この状況に、まるでその兵士におちょくられているかのようにさえ思い、アイムは一人理不尽な怒りを溜め込んでいた。

たどり着いた中庭には、渦中の兵士が芝生の上に立っていた。陽射しを一身に浴びながら一歩たりとも動かない
その姿はまるで仁王像のようだ。
ゆっくりと歩を進めその兵士に近づく。アイムに気がついていないのか、兵士はアイムに背を向けたまま
一歩たりとも動かない。

アイム「やっぱりここに居たんだな、あんた…」

筍魂「いつもは俺がお前を探す側なのに、今日は真逆だな」

太陽に顔を向けたまま、目を合わせようともせず、筍魂はアイムに応じた。

アイム「あんた、いつか言っていたな。『オレのスランプを克服できる』、『オニロを超えられる力が身につく』術が
【戦闘術魂】にある、と」

筍魂「言ったかもしれんなあ」

興味なさそうな声色で筍魂は答える。

アイム「その言葉、ウソ偽りはないんだな?」

筍魂「そうかもしれん」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

411 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その7:2014/12/31 16:24:53.82 ID:Bkzcex/wo
アイム「オレはセッカチな兵士なんだ。気が変わらないうちに答えたほうがいい」

筍魂「要件を言え」

アイムはそこでハッとした。鋭い声。筍魂が初めてアイムに気を向けた。殺意に似た気を。
見たこともないオーラに気圧されている。後ずさりたくなる思いを必死でこらえ、アイムは奥歯を噛み締めて耐えた。
いつも道化のようにアイムにまとわりついていた筍魂だが、今は冷酷な表情を貼り付け、
アイムをまるで道端の石ころ程度にしか気にかけていない態度で接している。
アイムはそこで初めて、会話、場の空気、威圧感すべての主導権を筍魂が掌握していることに気がついた。
辛抱するようにアイムはやっとのことで口を開いた。

アイム「オレを…あんたの弟子にしてほしい。【戦闘術魂】を修得したいんだ」

長い沈黙だった。アイムには数分の沈黙がまるで数時間も続いているように感じられた。

412 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 続・原因究明編その8:2014/12/31 16:26:02.20 ID:Bkzcex/wo
アイム「オレを…あんたの弟子にしてほしい。【戦闘術魂】を修得したいんだ」

長い沈黙だった。アイムにとって数分の沈黙がまるで数時間も続いているように感じられた。

筍魂「ええんやで」

アイムはホッとした。と、そこで筍魂は――

筍魂「一つ言い忘れたが――」

そこで初めて、筍魂はアイムと向き合った。
口角を釣り上げ、満面の笑みでアイムに向かって笑いかける。

筍魂「――俺はお前以上にせっかちな兵士だゾ」

超短期間による、【戦闘術魂】伝承のための地獄の特訓が始まりを告げた。

413 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2014/12/31 16:27:00.04 ID:Bkzcex/wo
魂はせっかち。そして漂う強キャラの臭い。
普段は猛虎弁だけど、シリアスパートだと真面目口調。やったね魂!これで出番が増えるよ!

そんなわけでよいお年を。

414 名前:社長:2014/12/31 16:28:16.82 ID:JzFKSD4M0
^乙^

415 名前::2014/12/31 17:32:32.62 ID:jERoTF6wo
ポンコツコンビ臭がしてワクワクする
おつ

416 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2015/01/12 12:18:55.61 ID:5B4KxXSEo
warsまとめ
http://seesaawiki.jp/kinotakelejend/d/wars%a4%DE%A4%C8%A4%e1

wikiのほうでものんびり更新しているのでよかったらどうぞどうぞ。

417 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2015/02/15 18:52:58.73 ID:hKhB2Zjco
今週中の更新を目指します。

418 名前:791:2015/02/15 19:25:00.87 ID:yritQCaYo
今日更新なのか!

419 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2015/02/20 23:38:11.87 ID:Uv1/0Gnco
これまでのあらすじ

記憶喪失の主人公きのこ軍アイムとたけのこ軍オニロは、期待の新人として会議所に育てられてきた。
そんなある日、会議所にとって宿敵であるDBとスクリプトがともに会議所から脱走していることが発覚、
間もなく大戦の歴史を塗り替えようと暗躍していることを知る。
栄光の大戦の歴史が、敗北の歴史に塗り替えられることを防ぐため、会議所はDB討伐隊を派遣。
時限の境界なるタイムマシンフロアへ潜入するが、知られざる制約に苦しめられDBに会うことすらできない。
そんな最中、自らの力量に限界を感じていたアイムは筍魂の元へと赴き弟子にしてほしいと頼むのだが…?

420 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 強キャラ筍魂編その1:2015/02/20 23:42:48.32 ID:Uv1/0Gnco
【K.N.C180年 会議所 教練所 中庭】

筍魂「『ストーン・エッジ』」

アイム「ぐえッ」

筍魂「『オーバー・ヒート』」

アイム「ぐッ!!」

筍魂「『しねしねこうせん』」

アイム「―――ッ」

途方もない回数、アイムは筍魂に戦闘を挑み、その度にアイムは地面に投げ飛ばされ傷を増やしていた。
頭から地面に突っ込み、その勢いで中庭の草木がごっそりと禿げる。禿げた部分の土が顔に当たり、ひんやりとアイムの気持ちを幾分か楽なものにする。
地面の中で暮らす生物たちが羨ましいとアイムは一瞬感じたほどだが、顔にできた擦傷や切傷が地面の冷気に呼応するように痛み出し、すぐに否応なく現実に戻される。

筍魂「はやく起きろ。時間がないと言ったはずだ」

筍魂は無表情でアイムに指図する。傍目から見ても、ボロ雑巾のようになっているアイムに純粋な戦闘力は殆ど残っていないのはわかりきっている。
しかし、アイムは戦闘力こそ残っていなかったが、純粋な“闘争心”は依然として心に燃やし続けたままだった。
表情には出さずとも、筍魂は自らの眼力が正しかったことに独り愉悦した。

421 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 強キャラ筍魂編その2:2015/02/20 23:45:16.81 ID:Uv1/0Gnco
アイム「今にテメエの吠え面を欠かせてやるからな…」

筍魂「…言ってろ」

筍魂が自らの身体を沈み込ませ、深い姿勢を取る。
まただ。アイムは心のなかで舌打ちする。アイムは筍魂の攻撃を一切追えていない。
今も、目の前で攻撃態勢を整える筍魂に一つも対処策が浮かんでこない。自らの戦闘力の強さを“思考力”で頼りきっていたアイムにとって、
目の前で起きている不測の事態は彼を必要以上に焦らせ、彼のペースを乱した。

筍魂「こちらから行くぞ」

周りの草木が呼応するようにザワザワとさざめき、筍魂の下に草木が螺旋の渦を描くように集まり、一つの輪を形成する。
アイムは、そんな光景を一歩も足を動かすことができず、ただじっと見ていた。
流れるような動作、手捌き、姿勢。どれを取っても美しいとさえ感じた。

筍魂「『リーフ・ストーム』」

凶器となる大量の草木がアイムに向かって飛んでくる。眼前を緑一色に覆われ、そこでアイムは先日の時限の境界を思い出した。
楽園と言われても納得するほどの色彩豊かで生物が共存しあう野原、不釣り合いなほどに紅色を放つ千本鳥居、そして自分が見つけた、クレーターのように地面にポッカリと開いていた穴。
自らの記憶を手繰り寄せ、そして得られようとする一つの結論。しかし非情にも持ち前の思考力は筍魂の攻撃によって途切れてしまい、振り出しに戻ってしまうのだった。

422 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 強キャラ筍魂編その3:2015/02/20 23:47:48.08 ID:Uv1/0Gnco
【K.N.C180年 会議所 教練所】

アイム「………ハッ!!ここはッ!」

意識を取り戻したアイムは、急いで起き上がる。そこは鬼教官山本にしごかれた教練所で、
ある意味で見慣れた場所だった。

筍魂「起きたか。死んだかと思って心配したわ」

アイムの額に乗せる新しい手拭いを手に取り、筍魂は部屋に戻ってきた。

アイム「て、テメエ!まだ勝負は終わっちゃいない!もう一度勝負だッ!」

筍魂「あれだけコテンパンにされたのに、俺に恐怖心を抱かないどころかなおさら対峙しようとするとは。
やっぱりお前はすげーな。そんな原石を発掘した俺のほうがすごいけどな」

しかし、俺は暫くお前とは勝負しない。そうアイムに告げ、よっこらしょういちという古臭い言葉とともに椅子に座る。
アイムは若干引いた。

筍魂「俺とお前には歴然とした力の差がある。それはお前自身、よくわかっているはずだ。
そんな状態でまた戦っても、結果は目に見えているし、お前に無用な怪我が増えるだけだ」

グッ、とアイムは反論しようと言いかけた言葉を飲み込んだ。
筍魂の言うとおり、アイムには目の前の“師”に対抗するだけの術はないのである。

423 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 強キャラ筍魂編その4:2015/02/20 23:49:46.69 ID:Uv1/0Gnco
アイム「アンタが言っている【戦闘術魂】を修得しているかいないか。その差が俺とアンタの力の差に直結している。そう言いたいんだろ?」

筍魂「話の飲み込みが早くて助かるよ。そのために、俺はお前を弟子に欲しがったし、お前は俺を欲した」

アイム「だったらさっさと稽古でもなんでもつけてくれ。時間がないんだろ?オレの身体ならもう大丈夫だ」

筍魂「アイムはせっかち。落ち着け、お前に稽古をつけるのは俺じゃない」

アイム「は?じゃあ、誰なんだよ」

筍魂「それは――」



【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室】

オニロ「よろしくねアイム!」

アイム「…」

筍魂「じゃあそういうわけで3日後にまた来るから。それまで逃げるんじゃあないぞ」

二人の足首に嵌められた足輪を満足気に眺めながら、筍魂は愛弟子の肩を軽くぽんと叩いた。
ゲンナリとしながらアイムは先程の筍魂との会話を思い出す。目の前の師は、確かこう言っていた。

424 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 強キャラ筍魂編その5:2015/02/20 23:52:07.08 ID:Uv1/0Gnco
━━
━━━━

筍魂『お前に稽古を付けるのは俺ではない。オニロだ』

『少し荒療治だが、これから3日間、お前は編纂室でオニロと始終行動をともにしてもらう』

『なにもただ3日間一緒に過ごせと言うわけでない。一つ課題を出す。それを定められた期間内で探しだせ』


         【無秩序の全は一に帰し、“生命力の流れ”は即ち“世界の理”と同化する】
この言葉の意味を、お前は3日間のうちに理解しなくてはいけない。これが俺からの課題だ。』

『いやあ〜正直、自分で鍛錬つけようと思ってたのめんどくさかったからオニロ君がいてちょうどよかっ…あっ、なんでもないっす』

━━━━
━━


アイム「どうしてこいつとなんだよ…」

筍魂「嫌よ嫌よも好きのうちって言うし、まあ多少はね?」

オニロ「そうそう!」

筍魂「じゃあそういうわけでバイビー。あ、シューさん。すいません、ご迷惑おかけします」

集計班「大丈夫ですよ。どうせ私はそこらへんで寝転がってますから、修行の邪魔にはならないと思います」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

425 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2015/02/20 23:52:38.61 ID:Uv1/0Gnco
あともう少しで第二章が終わります。今月中にはなんとしても。

426 名前:たけのこ軍 社長:2015/02/20 23:54:44.44 ID:eB7ZAYX.0
一瞬(うほ。展開に見えましたごめんなさい

427 名前:¢きのこ軍:2015/02/20 23:56:28.99 ID:ZZOue1.go
二人は幸せなキスをして終了

428 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2015/02/20 23:57:15.09 ID:Uv1/0Gnco
 【無秩序の全は一に帰し、“生命力の流れ”は即ち“世界の理”と同化する】
これ重要ワードです。でもこの謎は次の更新の時に解けます(唐突

429 名前:名無しのきのたけ兵士:2015/02/20 23:57:15.16 ID:Qvi.aIuoo
魂はアイムからホモ臭さを感じたからオニロに渡したらしい

430 名前:たけのこ軍 社長:2015/02/21 00:00:05.28 ID:hrDKcs4.0
マジかよ薔薇展開はいいぞ

431 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 共同生活修行編その1:2015/02/24 23:34:56.50 ID:t.StFK.so
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室 一日目】

オニロ「いやあ、筍魂さんの鍛錬?とやらには驚かされるねアイム!でも、ボクはまたこうしてアイムとお話することができて嬉しいよ!」

アイム「わかったから声のボリュームをもう少し下げてくれ…横でキンキン騒がれたらたまらん」

オニロ「あっ、ごめん。面と向かって人と話すのも久しぶりだから、つい嬉しくなっちゃって」

アイムの師である筍魂が命じた訓練とは『オニロと3日間、行動を共にすること』だった。
二人の足首には足輪が紐を介して互いに繋がれ、彼らは寝食まで行動を共にしなければならなかった。

鍛錬自体に不可思議さは残るものの、アイムは概ね訓練内容に不満はない。元よりどれだけ理不尽な鍛錬でもアイムは耐えるつもりでいた。
ただ。ただ、なぜパートナーがよりにもよってオニロなのか。会議所連中のなかでも特に忌み嫌い、一番顔を会わせたくない存在であるオニロと
どうして3日間も同一行動を取らなければいけないのは、アイムにとっては苦痛以外の何物でもなかった。

432 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 共同生活修行編その2:2015/02/24 23:36:14.82 ID:t.StFK.so
オニロ「じゃあ早速、毎日の日課になってる部屋の掃除を…」

アイム「は?ふざけんな。オレは書庫のほうに行くぞ」

オニロ「え。でも部屋がグチャグチャになってるから綺麗にしたほうがいいよ…主にシューさんのせいだけど」

アイム「ゴミの山に沈めておけよ。そのうち苦しくなって出てくるって」

二人がそれぞれ反対の方向に歩き出そうとするので、紐で繋がれた足輪は互いの足をキツく締め合う。
ちなみに足輪は大魔法使い791お手製のもので、そう易易とは外れない仕組みになっている。

アイム「オレには時間がないんだよ!書庫のほうに行かせろってんだッ!」

オニロ「ム。日々の生活習慣が大事なんだよッ!それに、部屋を掃除したら後で書庫の棚の整理に行くからそれまで待ってればいいじゃないかッ!」

アイム「掃除、整理って…お前は家政婦か何かか!そんなんだからお前はアマちゃんなんだよッ!」

オニロ「アマちゃんって…この間大戦で戦った時はボクがアイムに勝利したじゃないかッ!」


集計班「…あのー。煩くて眠れません。もっと声のボリュームを下げてください」

433 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 共同生活修行編その3:2015/02/24 23:44:04.65 ID:t.StFK.so
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室 二日目】

何も進展がないまま、二日目の夜が過ぎようとしていた。アイムには焦りしかない。しかし、行動をともにするオニロとの関係は悪化の一途を辿るばかり。
始めの方はアイムに同情して色々と話しを振ったりしてコミュニケーションを図ったオニロだが、
アイムのあまりのツッケンドンな態度に流石の温厚なオニロも業を煮やし、次第にオニロの態度も硬化し始めた。
二日目の朝からはお互いに一言も喋らず、オニロが黙々と書庫整理をする中、アイムは書物で筍魂からの課題について調べる。
しかし、普段録に本に読んでいないことが災いしてか、碌な手がかりを得られず今に至る。

アイムはこの期に及んでも気がつかない。横で寝ているそりが合わないパートナーと協力をすることが、
筍魂の課題を解決する一番の近道であり唯一の解決法であるということを。
ただ、自分さえ良ければいいという独りよがりの考えは、自らの首を締めるだけのものだと。しかし、アイムはオニロに頼れない。
それは勿論オニロが気に食わないということも理由の一端としてはあるが、一番の理由は他人への頼り方を知らないアイムの内面自体にあった。
人に頼ることを知らずに、自らの幸福を第一に追求して来た彼は、周りと協力する方法を知らない。
スタンドプレイでは異色の力を発揮してきた彼だが、ことチームプレイになると赤子も同然なのだ。

アイム「…」

灯りも落とされ、本棚の裏手にあるベッドにアイムとオニロは横たわっている。
最近は、歴史改変による時空震も少なくなり睡眠を妨げられることは少なくなったというが、ベッドで安らかに眠るオニロの目には深いクマができている。
こいつはこいつで苦労しているんだな、とその時になってアイムは初めてパートナーの顔をまじまじと見つめる。
しかしすぐに顔を目の前の書物の山に向ける。ベッドの脇に置かれている微かな灯篭の光を頼りに、アイムは必死に筍魂からの課題を解こうと躍起になっていた。

434 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 共同生活修行編その4:2015/02/24 23:47:07.35 ID:t.StFK.so
―― 【“生命力の流れ”は“世界の理”と同一のものである】
     この言葉の意味を、お前は3日間のうちに理解しなくてはいけない。

生命力の流れ、とは何を指すのか。そもそも生命力自身が世界とどう関係してくるのか。

焦りからか、本のページを捲る手が震える。
明日の朝には筍魂が来る。その時に、どう答えればいいのか。答えを今から自分なりに捻り出すか、しかし筍魂の前では通用するはずがない。
オレに向いてない鍛錬ではなかったんじゃないのか。仮にそうだとしても、あの時点で引き受けたオレに非があるのは明白だ。
そもそも、どんな理不尽な内容でも立ち向かうと決めたのはオレ自身じゃないか。オレはオレ自身に嘘をつかなくちゃいけないということなのか。そんなことは許されない…

オニロ「…ねえ、アイム」

アイムが自らの思考の迷路に入り込んでいた時、横からそっと声がかけられる。
アイムが無言でオニロに顔を向けると、半身起き上がったオニロと目が合う。灯篭の光に当てられ、オニロの薄白い肌が際立った。
互いに会話をするのは昨日の夜に寝る前の挨拶をして以来だ、とアイムは至極どうでもいいことを考えた。

オニロ「少し、話をしない?」

435 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 共同生活修行編その5:2015/02/24 23:49:46.70 ID:t.StFK.so
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室 二日目】

パタパタと静かに部屋の上部へとはためている大戦年表を二人は眺めていた。座っている床には紙面の切れ端や紙くずが散乱している。
今朝、この付近はオニロが懸命に掃除していたはずだが、どうやら一瞬で集計班が汚して回ったらしい。オニロの苦労も耐えないな、と隣に座るパートナーに少し同情した。

オニロ「こうして喋るのも久し振りだね」

照れくさそうにポツリと声をだすオニロ。二人の視線はあくまで目の前の大戦年表を向いたまま。目を合わせようとはしない。
暫くの沈黙の後、意を決したようにオニロはアイムに話しかけた。

オニロ「アイムはさ、筍魂さんにボクと3日間この編纂室で過ごすように指示されたんだよね?」

アイム「…そうだな」

オニロ「本当にボクと一緒に過ごすだけが訓練の内容だって伝えられたの?」

アイム「…そうだ」

アイムはオニロに筍魂から出された課題については一言も伝えてはいなかったし、伝える必要もないと考えていた。

オニロ「…そうなんだ。でも、それが本当なら――」


――どうしてそんなに焦っているの?


部屋の上部から僅かにカリカリと筆記ペンの動作音が、アイムの気持ちをはやらせる。

436 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 共同生活修行編その6:2015/02/24 23:52:10.30 ID:t.StFK.so
オニロ「キミが嫌いなボクと3日間過ごすだけなら、この無味乾燥とした周りと時間の流れの違う部屋にいるキミは半ば自暴自棄気味に過ごしてもおかしくない。
それ程、キミにとっては退屈な部屋だろうからね」

――でも、キミはこの部屋で何かに抗おうとしている。

オニロ「怠けもせず書庫で必死に本でナニカを探そうとしているアイムを見て、
『アイムはボクと3日間過ごすことだけが目的じゃない。何か別の目的があるんだな』って思ったよ」

さすがのボクも何かおかしいなて気がつくよ。そう呟き、オニロはアイムに向き直る。

オニロ「アイム、キミが抱えている真の訓練の内容をボクに教えて欲しいんだ。アイムの力になりたいんだ」

アイム「…逆にオレから一つ聞いてもいいか」

オニロ「勿論いいよ」

アイム「どうして、オレにそこまで構うんだ」

オニロ「アイムがボクのことを嫌っているのは知ってるよ。ボクも昨日から今日にかけて、アイムにはほとほと愛想が尽きたと思ったよ。でも。でもさ、――」


――ボクらは仲間じゃないか。


オニロ「仲間は助けあうもの、そうじゃない?」

それに、嫌々ながらボクの掃除に付き合ってくれるアイムが悪い人だとは到底思えないよ。
そう語り、オニロはアイムに笑いかけた。

437 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 共同生活修行編その7:2015/02/24 23:57:15.66 ID:t.StFK.so
アイムはオニロの言葉を理解するように暫くの間、頭のなかで反芻した。
いつか、筍魂がアイムに言っていた。『オニロとアイムとの差はチームプレイかスタンドプレイにある』という言葉を思い出す。
昔なら一蹴していたが、今なら師の言葉もすんなりを受け入れられる気がする。長い時間、たっぷりとかけアイムは考え、考えぬいた末の結論を出す。
不思議と清々しい気分になる。目の前の漆黒の室内も、灯篭に照らされたように明るく見える。
息を一回深く吸い、深く吐く。心の準備はできた。

アイム「筍魂の野郎に、課題を出されたんだ――」

たどたどしくはあるが、アイムはオニロに語り始める。ポツリ、ポツリと語りながら、支離滅裂に話している内容にも、
懸命に相槌をうつオニロが印象的だと、アイムは感じた。
その日、アイムは初めて“仲間に頼る”術を知った。

438 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者:2015/02/24 23:57:36.77 ID:t.StFK.so
なげえよハゲ。でもまだもう少しだけ続くんじゃ。

439 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その1:2015/02/24 23:58:48.55 ID:t.StFK.so
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室 二日目】

オニロ「うーん、“生命力の流れ”かあ。聞いたこと無いなあ」

アイム「過去に読んだ文献や書籍にそれらしい事は書いてなかったのか?」

オニロ「う、うーん。ボクが覚えている限りは。記憶力には自信があるほうなんだけどね、ごめんね」

アイム「…使えねえな」

アイムの毒づきに思わずオニロは苦笑する。二人は書庫に移動して、関連する文献がないか夜通しで調べていた。
棚から本を取り出しては、二人して少しでも関連した記述が無いかを探し出す。読み終えた本は周辺に置き、再度書庫棚から書物を取り出す。
足元に積み上がっていく本を見ながら、これじゃシューさんを叱れないな、とオニロは思った。

アイム「あークソ、これでもないか」

オニロ「…アイム。『ユリガミサマノカナタ二』なんて本からじゃ見つからないと思うよ」

アイム「うるせえ!何か手がかりがあるかも知れないだろッ!あーでも、この物語いいな…」

手がかりは未だ一向に掴めない。

440 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その2:2015/02/25 00:01:04.45 ID:sa5SyBRAo
オニロ「無秩序の全は一に帰し、“生命力の流れ”は即ち“世界の理”と同化する、か…」

アイム「あーもう、ゴチャゴチャしててわかりにくいんだよ。そもそも秩序てなんだよ、生命力てなんだよ、世界の理てなんなんだよ」

オニロ「なんにもわからないねえ」

アイム「よくもそんな呑気なことを…あと数時間もすれば、オレは筍魂の野郎と会う。
その時に、『答えは見つからなかった』と素直に頭を下げるしかないんだ。ふざけるな、もうオシマイだ」

オニロ「物事をマイナスに考えちゃいけないよアイム」

アイム「クソッ、屈辱的だ。お前に勝負で負けて慰められた時以来の屈辱だ」

オニロ「あはは、それをボクに言うんだ…」

と、オニロはそこで、ほうと一息ついて隣のアイムから見えない天井に視線を向ける。
螺旋状に年表は天高く、暗闇の天井へと伸び続けている。

オニロ「ねえアイム、ボクたちは。“会議所にいるボクたちは”今を生きているんだよね?」

アイム「は?当たり前だろ」

何をおかしなことを言っているんだという目をオニロに向ける。しかし、オニロは視線を年表に向けながら話を続ける。

オニロ「ボクたちは今を生きている。そして、大戦世界で過ごしてきた多くの人たちは過去を“生きて”、
今を“生きて”、そしてこれからも未来に向かって“生き続ける”」

441 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その3:2015/02/25 00:02:57.26 ID:sa5SyBRAo
オニロ「ボクはね、アイム。この編纂室に来てから多くの書物を読んできたけど、大戦年表ほど惹かれる書物はなかったんだ。
これまでの大戦や会議所の歴史が詳細に記されている大戦年表。
過去の先人たちがどうやって大戦での戦いでどう振る舞ってきたか、大戦の繁栄を願ってどう行動してきたのか、すごく気になったし勉強になったんだ」

歴史に興味が薄いアイムにはわかりづらいかもしれないね。そう屈託ない笑みで気遣う話し方にカチンときたアイムだが、
今はオニロに話しの先を促すために黙っておくことにした。

オニロ「ボクは今まで大戦年表を“時代の流れ”を記録した歴史書だと思ってばかりいた。でも、いま思ったんだ。
大戦年表は、兵士の活力、いや、“生命力の流れ”を示しているものなんじゃないかって」

目を丸くしてアイムはオニロを見返す。

アイム「お前は、大戦年表にこそオレたちの探す答えが記してあると。そう言うのか?」

オニロ「それはボクにもわからない。でも、大戦年表に記されている時代の流れは、その時代にいる兵士たち一人ひとりの力や勇気といった
“兵士たちの生命力”が作り上げてきたものなんだ。ボクもまだ全て年表を読み終えていないけど、確信をもってそう言える」

オニロの真剣な眼差しに、アイムは暫く逡巡した後、わかったと頷く。

アイム「見てみよう。大戦年表を。時代の歴史を」

そう言い終わるや否や、勢い良く立ち上がり書庫を出ようとする。

オニロ「うわっアイム!痛ッ!痛い痛い!足輪が食い込んでるから!ボクまだ起き上がってないから!
ていうか、年表の側に行かなくても、年表読むことできるからッ!」

442 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その4:2015/02/25 00:05:25.28 ID:sa5SyBRAo
その後、二人は自らの身体を巻き付くように纏わりつく大戦年表に悪戦苦闘しながら大戦の歴史を紐解き始めた。
夜明けまでもう幾ばくの時間も残されていない。しかし、二人はまるで何かに取りつかれたかのように年表に描かれた時代の流れを、
兵士たちの“生命力の流れ”を追い続けた。

オニロ「K.N.C21年頃には、大戦内での撃破数不正が発覚して会議所から波及した騒ぎは大騒動へと発展する。
直後に¢さんは【階級制のルールを変更する】ということで不正騒動への対策を取って、大戦の“負”の流れを断ち切った」

アイム「K.N.C71年辺りでは、集計班さんが体調不良で集計係を長い期間休み、その影響で集計係が不足。
大戦開催が何度も見送られるといった事態にまで発展した。そんな危機を、抹茶や斑虎さんを始めとした一部の兵士が集計係を代替したり、
負担軽減のために複数集計体制を取ろうとするなどして、“正”の流れが大戦の勢いを取り戻した」

オニロ「他方で順調に兵士を増やしていたK.N.C170年頃では、集計班さんの一存で強行された新ルールが一部に不評で、
その“負”の流れが会議所にまで伝わって参加人数の低下を招いた…」

そして、二人は読み進めていくうちにある一つの法則に気がつく。大戦世界が創造されて間もない黎明期から、
大戦の歴史は様々な兵士たちの“正”と“負”の感情・思いによって創りあげられてきているものだと。

443 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その5:2015/02/25 00:08:08.75 ID:sa5SyBRAo
アイム「時代の変化のターニングポイントでは、必ず誰かが“正”か“負”の思いを持って行動に起こす。
たとえば集計の負担を軽減したいと考えた抹茶は集計ツールを開発するという“正”の思いで行動に起こし会議所が盛り上がり、
オレたちの敵であるスクリプトは大戦をメチャクチャに荒らしたいという“負”の思いを持ってかつての大戦を荒らし回り、
その結果として会議所は停滞した」

兵士個人の“正”や“負”の感情は巡り巡って世界を突き動かす流れとなる。

オニロ「兵士たちが持つポジティブな感情やマイナスの感情、即ち平面上に存在する“正”の流れと“負”の流れは
世界の変化で容易に“正”の方向に振れるし、“負”の方向にも振れる。兵士はそうやって生きている。
それこそが【生命力の流れ】…」

アイム「兵士たちの“正”や“負”の流れは、結果として大戦世界の変化の元になる“理”となる。
それこそが【世界の理】であり、同時に【生命力の流れ】でもある」

個々人の兵士たちが持つ“正”や“負”の感情から引き起こされる思想・行動は、結果として大多数の兵士たちをその方向に揺り動かす。
世界はメトロノームの両端にある“正”と“負”に向かって常に揺れ動いているようなもので、誰かがメトロノームの針をちょいと摘んでしまえば、
世界の流れはすぐに変化してしまう。


――【“生命力の流れ”は即ち“世界の理”と同化する】


アイムとオニロは、筍魂の語った言葉を、きのこたけのこ大戦の歴史から理解したのだ。

444 名前:社長:2015/02/25 00:09:18.64 ID:p.Q7KfEY0
これは秘密だけどユリガミノカナタニなのは秘密だよ

445 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その6:2015/02/25 00:10:28.10 ID:sa5SyBRAo
アイム「生命力の流れ云々はわかった。ただ、その前の【無秩序の全は一に帰し】ていう文はどういう意味だ?」

オニロ「無秩序…そう言えば、前に読んだ本で『自然のエネルギー則というものは秩序から無秩序の方向に進む』て書いてあったような」

アイム「なんだそりゃ…」

オニロ「えと、たとえば部屋がきれいな状態を秩序、部屋が汚い状態を無秩序とすれば、
必ず部屋は汚くなっていく方向に進んでいく、ていうことかな」

アイム「それが万物の法則だっていうのか?ますますわけわかんねえな」

必ず部屋を汚す主犯格である集計班がそのエネルギー則のエネルギー量とでも言うのだろうか。
それ以上の考えは自らの頭を混乱させるだけなので、アイムは考えを遮断させる。
と、そこでアイムは一つの考えに辿り着く。

アイム「目に見えない大きな流れがあるということか。部屋の中の小さな誇りも、いま部屋の中にいるこの自分も、
ちっぽけな存在である“一”に変わりはない。その小さな一が集まって、全てが存在する」

目に見えない世界の流れ。
そこにいるそれぞれの兵士はそれぞれちっぽけな“一”であり、同時に“全”でもある。

ありとあらゆる全ては同じ一つの存在である。その“一”から生まれる“正”や“負”の流れは即ち“全”の流れ と同化する。
“一”は“全”、“全”は“一”。
それこそが世界の理。戦闘術魂の真理。

446 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その7:2015/02/25 00:12:25.52 ID:sa5SyBRAo
アイム「繋がった…繋がったぞッ!あいつの言っていることを、理解できた…」

オニロ「やったねアイム!これで修行はクリアできるねッ!」

アイム「つ、疲れた…なんか一気に疲れが」

オニロ「ホントだよ。でも起きたらまたシューさんの机の周りを掃除しないと、はぁ」

アイム「だからお前は家政婦かっての。ケッ、そんなんがたけのこ軍期待の星とは笑わせるな」

オニロ「なッ…アイムはシューさんの机周りを一人で掃除してみてご覧よ!あそこは魔境だよ!」

空が白み始めた頃、二人は世界の理を理解した。緊張の糸が切れたのか軽口を叩き合うようになった二人の様子を集計班は物陰で静かに確認して、そして独り頷いてベッドに戻っていった。

447 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その8:2015/02/25 00:14:15.87 ID:sa5SyBRAo
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室 三日目】

筍魂「時間だ。【無秩序の全は一に帰し、“生命力の流れ”は即ち“世界の理”と同化する】この答えを聞こう」

アイム「【無秩序の全】は世界、【一】はオレ。【一】が【全】の“正”・“負”を支配し、逆もまた然り。それが――」

オニロ「――それが【生命力の流れ】で【世界の理】の一部」

アイム「なッ」

筍魂「…正解だ」

アイム「おい!せっかく良いところだったのに、どうしてお前が言うんだッ!」

オニロ「いやあ。なんかつい言いたくなっちゃって。ほらチームプレイて言うじゃない?連携を取って筍魂さんに説明したてことだよ」

アイム「ハン!この修行はオレだけに出された課題だぞ。解答するのはオレだけだ!
それを出しゃばるとは、お前も個人プレーが過ぎるな」

オニロ「それをアイムには言われたくないよ…」


集計班「修行はクリア、ということですかね?」

筍魂「そうですね。『二つ』の課題をクリアしましたからね、彼は。いや、彼らか」

集計班「戦闘術魂の真理と、アイム君の精神的内面を同時に鍛える。さすがですね…まあ彼らはまだまだ未熟ですが」

ギャアギャアと騒ぐ二人を尻目に、集計班と筍魂は肩をすくめる。

448 名前:社長:2015/02/25 00:14:48.48 ID:p.Q7KfEY0
はまだ まだ未熟だぞ わかってるのか おい!!

449 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その9:2015/02/25 00:16:53.48 ID:sa5SyBRAo
791「随分と楽しそうだね。私も混ぜてよ」

気がつけば、オニロのすぐ横には大魔法使い791が立っていた。

オニロ「師匠!移動魔法使ったなら言ってください、吃驚します」

791「アハハ、ごめんごめん。アイム君も、オニロ君も修行お疲れさま」

アイム「おい791師匠様よお。弟子の指導は考えなおしたほうがいいぜ。
なんで一日三食ネギを弟子に徹底させてるんだ。お陰でネギを嫌いになりかけたぜ」

791「ネギは貴重な魔力補給源だから仕方ないよ」

パチンと指を鳴らすと、二人の足輪は音もなく消え去った。

筍魂「おめでとう。この修行は終わりだ。
負の考え方をすれば、世界は、負の流れになる。また、正の考え方をすれば、正の流れにもなる。
世界の理を、世界の大きな流れをお前は理解したということだ」

筍魂「私は世界そのものであり、世界は私そのものである。ありとあらゆる【全て】は同じ【一つ】の存在。
それを理解することことが【戦闘術魂】の基礎となる」

【戦闘術魂】は純粋な戦闘力を底上げする小手先の技を教えるものだけではない。
術者の精神を鍛え、目に見えない大きな流れに身を任せて同化する。それこそが【戦闘術魂】の真理。

アイム「よっしゃ!これでオレも【戦闘術魂】を修得したてわけだな!フフフ、筍魂、いや師<せんせい>、
三日前の再戦を願おう。泣きべそをかくまで傷めつけてやるよッ!!!」

450 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その10:2015/02/25 00:18:14.40 ID:sa5SyBRAo
【K.N.C180年 会議所 教練所 中庭】

筍魂「『ウッドハンマー』」

アイム「ぐえッ」

筍魂「『りゅうせいぐん』」

アイム「ぐッ!!」

筍魂「『アネ゙デパミ゙』」

社長「バグ技 きた!?」

アイム「な、なんでじゃあああああああ」


筍魂「たった三日で【戦闘術魂】を修得できるはずがないんだよなあ。
お前が学んだのは【戦闘術魂】の真理であって、これからの本修行で修得していくんやで(ニッコリ)」

筍魂「いい忘れた。ワイの“本気の”鍛錬は厳しいゾ」

アイム「ふ、ふざけるミ!」

社長「伝  染」

451 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 真理編その10:2015/02/25 00:19:15.23 ID:sa5SyBRAo
>>444
ああああああああああああああああああミスった。すまぬ。wiki掲載時には直します。

次の更新で二章終わります。アイム君とオニロ君は青春できたねよかったね的ストーリースタイル。

452 名前:社長:2015/02/25 00:20:10.72 ID:p.Q7KfEY0
社長ウゼェ

453 名前:社長:2015/02/25 00:26:23.35 ID:p.Q7KfEY0
てかアイム君ユリガミノカナタニに興味示してるすね

454 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その1:2015/02/28 01:54:24.82 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室 会議】
きのこ軍 集計班「ここ数日。目に見えて会議所周辺の兵士の“士気”が下がっています」

編纂室の円卓テーブルに全員が着席するや否や、集計班はそう切り出した。

たけのこ軍 加古川「地上の事務棟の方では人気がない。何人かの事務員はここ数日無断欠勤していて、
連絡を取ると『仕事をする気力が無い』という返答ばかり」

たけのこ軍 社長「いつもの」

たけのこ軍 埼玉「たけのこの里の方もヒドイものだたま。少し前までは大通りに活気があったけど、
最近では兵士っ子一人も歩いてないたま」

たけのこ軍 社長「俺の名前は前田停学……」

きのこ軍 黒砂糖「きのこの山も概ね同じ現象が起きている。住民の多くが大戦へのヤル気、意欲を失いつつある」

たけのこ軍 社長「ひきこもりブルース」

たけのこ軍 抹茶「この現象が発生した時期を調べてみると、ちょうどこの部屋で最初に時空震が発生した日と一致します」

たけのこ軍 社長「かぁー!原因は!どこじゃー!」

455 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その2:2015/02/28 01:57:37.58 ID:GzBIaz3wo
冒険家 スリッパ「つまり…度重なる歴史改変が現代の兵士の士気に影響を与えているということか?」

スリッパの言葉に集計班は神妙に頷く。

きのこ軍 集計班「おそらく大戦の歴史がスクリプトによる“敗北”の歴史に書き換えられていくに連れ、
現代の兵士たちの大戦への求心力は弱まっているものと考えられます」

きのこ軍 ¢「もしこのまま歴史改変を許せば…大戦続行は不可能となるということか」

集計班と¢の言葉に、アイムとオニロは先日の筍魂の言葉を思い出した。

兵士たちが持つ“負”の感情が増幅されれば、それは世界全体を動かす“負”の流れとなる。
度重なる歴史改変により、きのたけの歴史は“スクリプトに敗北する”ものとなった。何も知らない兵士たちに植え付けられるのは大戦への“負”の感情なのだ。
たけのこ軍 791「正直、私たちも周りの兵士程ではないけど歴史改変の影響は受けていると思うよ。ここにいる兵士たちはまだ編纂室で歴史の真実を知ることができるから影響は小さいけど…」
たけのこ軍 社長「僕が社長だって?違うよ 違わないよ」

きのこ軍 アイム「つまり、このままじゃマズイてことだよな?」

重苦しくなった雰囲気を払拭するように、アイムは力強く拳を握る。

きのこ軍 アイム「原因究明はできている。だとしたら、方法は一つじゃないか?」

たけのこ軍 オニロ「【時限の境界】への再突入…」

オニロの言葉にアイムは同調するように頷く。しかし、加古川はアイムの言葉に首を振る。

たけのこ軍 加古川「私は反対だ。前回の突入で【時限の境界】に二つの【制約】の存在は確認した。
しかし、全ての制約を発見できたとは限らない。無闇に突入して、異なる制約に抵触すれば
今度は帰ってこられないということもある」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

456 名前:社長:2015/02/28 01:59:04.62 ID:yb2xdde20
はまだ 編集室で歴史の真実を知ることができるのだ わかってるのかおい!

457 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その3:2015/02/28 02:00:50.36 ID:GzBIaz3wo
きのこ軍 アイム「じゃあ他に解決法はあるって言うのか?」

スリッパが手を挙げる。

冒険家 スリッパ「今の発言に関連するかどうかわからないが、『スクリプト生産工場』と思わしき跡地を発見した」

たけのこ軍 社長「よし と?」

きのこ軍 アイム「待て。なんだその『スクリプト生産工場』ってのは」

きのこ軍 集計班「実はスリッパさんやサラさん、それに何人かの兵士に協力を依頼して、
歴史を跋扈する多くのスクリプト群が一体どこから生まれてきたのかを突き止めるようにお願いしたんです」

きのこ軍 集計班「スクリプトが宇宙から隕石のように降って湧いて出たなんて事じゃない限り、
スクリプトはDBの手でこの大戦世界の何処かで必ず生産され、増殖しているはずなのです」

たけのこ軍 社長「さすが シューさんは ちがうぜー」

たけのこ軍 スリッパ「シューさんの言うとおりさ。大戦世界の果てに『スクリプト生産工場』だと思われる跡地を発見した。
ただ、大分前に取り壊したのか跡形もなく風化してしまっていて痕跡らしい痕跡は見つからなかった」

きのこ軍 アイム「つまり、DBは過去の大戦世界でスクリプト生産工場を創って、
そこで大量のスクリプトを造った後に、工場ごと破棄したてことか?」

458 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その4:2015/02/28 02:02:22.89 ID:GzBIaz3wo
きのこ軍 集計班「恐らくはそうなるでしょう。我々に自分の痕跡を見せたくなかった」

つまり、DBは捕らわれていた会議所を秘密裏にスクリプトと一緒に抜けだした後、
【時限の境界】で遥か昔の大戦世界にワープ。そこでスクリプト生産工場を作り、スクリプトを大量生産したということになる。

たけのこ軍 社長「な 何の話だったの?」

きのこ軍 ¢「歴史に蔓延るスクリプトは全てDBたちによる勝手な過去の遺産。
俺たちが【時限の境界】を利用してタイムワープして、稼働している時点での【スクリプト工場】を破壊する」

たけのこ軍 オニロ「そうすれば、工場から生まれたスクリプトは存在しないことになり、
一連の歴史改変騒動は収まる…」

歴史改変を引き起こしているスクリプトの存在そのものを消してしまえば、必然的に歴史改変は発生しなかったということになる。

きのこ軍 集計班「流石は¢さんですね。ということで、ここに第二次DB討伐部隊を編成し、
DB討伐とともに『スクリプト工場の状況を確認する』という任務を同時遂行してもらいます」

459 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その5:2015/02/28 02:03:33.47 ID:GzBIaz3wo
きのこ軍 アイム「あれ、そういえば参謀は?」

DB討伐隊の隊長として陣頭指揮を取るはずの参謀の姿がない。

きのこ軍 集計班「ああ。参謀には…私がある頼み事をしたので、今ここには居ません」

珍しく言葉を詰まらせながら、集計班はアイムの質問に答える。
その態度には僅かばかりの逡巡が見られた。

社長「あっへほー!!」

きのこ軍 アイム「うるせえ大声挙げんな斬るぞ」

きのこ軍 集計班「ハハ、社長は変わらないなあ。勝手ながら、今回は参謀の代わりに私が討伐隊を編成いたします…メンバーは――」

460 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その6:2015/02/28 02:05:56.02 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C180年 会議所 大戦年表編纂室】

791「はい完成。この魔方陣の上に乗ると、時限の境界までの転移魔法が発動するよ。
ただ、転移したらこちらには戻って来れないから注意してね」

791は編纂室の端に魔法陣を作り上げ、満足気に会議所兵士に説明する。

筍魂「ちょっと転移魔法用意し終わるの早すぎませんかね…」

791「私は魔力使いきったから暫く休むよ。討伐隊のみんなは頑張ってね(ニッコリ」


オニロ「ねえアイム」

兵士たちが続々と地上に引き上げていく。アイムも、第二次討伐隊のメンバーとして地上に戻り準備を整えなければいけなかった。

アイム「なんだ」

オニロ「今度の【時限の境界】を利用したタイムワープは、初めから行く年代が決まっているんだよね?」

前回は【時限の境界】の【制約】を知らずに、一定時間経過後に無造作に近くの扉へと吸い寄せられた。
その反省を生かし、今回は自らの意志で【K.N.C55年】にワープし、正史にはいなかったスクリプトの撃退とスクリプト工場の確認。
この二つを目的として討伐隊は行動する。

オニロ「K.N.C55年。アイムはどんな年か知っておいたほうがいいんじゃない?」

アイムの表情を窺うように顔を覗き込むオニロは心配そうに語りかける。
いままでのアイムなら彼の提案など一蹴するか無視を決め込むかどちらかだっただろう。
ただ、今の彼は歴史の重要性を深く理解している。なにより――仲間の大切さを理解し始めている。
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461 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その7:2015/02/28 02:12:53.06 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C180年 時限の境界】

抹茶「それじゃあ時限の境界に突入します。アイム君、道案内をお願いね」

アイム「任せとけって。時限の境界内部に突入したら恐らく巨大スクリプトNEXTは次々にオレたちに襲いかかってくる。
構わず目的の扉<K.N.C55年の扉>まで急ぐぞッ」

討伐隊全員が頷き、時限の境界に進入する――



【K.N.C180年 大戦年表編纂室】

集計班「討伐隊も今頃は時限の境界に進入した頃でしょうかね」

オニロ「そうですねえ。はい、お茶です」

集計班「ありがとうございます。オニロ君、今日は疲れたでしょう。もうそろそろ寝ましょうか」

オニロ「そうですね。やっぱり会議は頭を使うからその分体力の浪費も激しいですね」

たははと笑うオニロを集計班は朗らかな笑顔で返し、奥の大戦年表に目線を移す。
大戦年表を中心に広がる薄暗くて物が散らかるだだっ広い部屋で、集計班は人生の大部分を過ごしてきた。
どこか名残惜しそうに、目を細め集計班は部屋を一度ぐるりと見回した。

オニロ「シューさん…?」

集計班「ん?ああ、なんでもないですよ。ほら、もう今日は寝ましょう。
今日こそは夜中に時空震が起きないといいですね。また夕飯を吐いちゃいますよ」
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462 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その8:2015/02/28 02:15:26.17 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C180年 時限の境界】

アイム「奴らに構うなッ!!一目散に走れッ!!」

時限の境界内部には、予想通り巨大スクリプトNEXTがアイムたちを待ち構えていた。
頭のなかで構築された地図を便りに、アイムたちは最短経路でK.N.C55年の扉に向かって走る。

someone「見えた!あそこが目的の扉ですね―――」

斑虎「よしッ!突撃―――」

someoneたちが目的の扉があるフロアへと足を踏み入れた瞬間。
フロアの天井に張り付き待ち伏せていた一体のNEXTが直下に走りこんできた斑虎とsomeoneに向けて猛烈な射撃を行い、二人の自由を奪った。

抹茶「二人ともッ!クソッ!『湯のみスロー』!!」

直上のスクリプトに全力で投げた湯のみは、NEXTの目の前で弾け中に詰まった茶葉が煙幕として機能した。

アイム「おい抹茶ッ!今のうちにお前はsomeoneさんと斑虎さん連れて先に扉をくぐれッ!!」

抹茶「で、でも二人に回復魔法をかけないと…」

アイム「バカヤロウッ!いまここで回復している暇なんてないッ!お前は二人を引きずってでも扉の中まで連れていくんだッ!」

視界が開けたNEXTはアイムたちの目の前に飛び降り、臨戦態勢を取る。

アイム「ここはオレが食い止める!はやく行けッ」

抹茶「わかったッ!!」
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463 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その9:2015/02/28 02:18:29.22 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C180年 会議所 大廊下】

久々に素肌で感じる外の風は気持ちよくも少し肌寒いほどだと集計班は実感した。
集計班とオニロの二人は地下部隊として歴史の改変をひたすら追わなければいけない。
そのため、一歩たりとも地上へ出ることはできない。

難儀な役回りに付いてしまったものだ。そう呟くと、集計班は自らのこれまでを振り返り自嘲するように頬を引き攣らせた。
自分の仕事は全て終わった。後は周りに任せておけばいい。現在の状況も、全て集計班の想定の範疇にある。

ただ一つ気がかりなのはアイムとオニロの二人。集計班は心から彼らに同情していた。元を辿れば“元凶”ともいえる二人の存在だが、
彼らがこの世界を訪れた事自体は何の罪もない。せめてもの願いは、“希望の星”である彼らが、“欠けたピース”の二人が、幸せな結末を迎えられること。
集計班はそれだけを願ってやまない。

集計班「…あー。そういえばもう一人いたな」

いつも目の前のような暗闇の中で集計班の話に付き合ってくれた人物。集計班の“共犯”ともいえる人物。
彼はこれから独りで生きていけるのだろうか――

―― コツ

誰もいない廊下に、突然足音が響く。正確にはその音が集計班の頭の中で“響き渡った”。

464 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その10 入れ忘れた:2015/02/28 02:20:46.87 ID:GzBIaz3wo
集計班「もう来たんですか。まあそろそろだとは思ったんですが」

招かれざる客を、集計班は素直に迎え入れる。

465 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その11:2015/02/28 02:21:27.70 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C55年 大戦場】

抹茶「よしッ!無事、スクリプトも撃退して【スクリプト生産工場】の証拠も突き止めた。後は現代に帰るだけだ!」

somone「ご迷惑をおかけしました。もう大丈夫です」

斑虎「今度あのスクリプトに会ったらただじゃおかねえぞ」

アイム「まあそれだけ減らず口を叩けるんならもう大丈夫だな…」

4人は任務を追え、時限の境界の扉の前に立つ。

抹茶「じゃあ帰りましょう」

抹茶、someone、斑虎の順に開かれた扉をくぐっていく。

アイム「やれやれ。まあ【時限の境界】も制約がわかれば過去に跳ぶなんてお手のものだな」

そう言いながら、アイムも3人の後を追おうとするが――



アイム「…ん?あれ?」

466 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その12:2015/02/28 02:25:22.78 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C180年 会議所 大廊下】

―― コツ

―― コツ コツ

その足音は徐々に集計班に近づくように音が次第に強く反響していく。姿は見えず、足音だけが鳴り響く。
そんな事態に動じること無く、集計班はこの“招かれざる客”の正体を知っていた。

きのこ軍 集計班「いつかシッペ返しが来るとは思っていましたが、まさか今日とはねえ」

誰もいない廊下で、集計班は誰かに話しかけるように独り語り始める。

きのこ軍 集計班「まあ最期にアイムとオニロの成長を見られたのが唯一の救いかな」

―― コツ コツ
足音は止むことなく一定のリズムで響いている。

きのこ軍 集計班「私一人の手で、『預言書』のシナリオは崩れ去った。あなたたちがそのシナリオを書き換え終わった時には“全てが”終わっている。
いい加減決められたシナリオ道理に進行するのには飽々していたところでして。私からすれば、してやったりです」

―― コツ コツ

きのこ軍 集計班「これからは、私もあなたたちも傍観者です」

―― コツ 
足音が、止まる。


(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

467 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その13:2015/02/28 02:26:36.19 ID:GzBIaz3wo
【K.N.C55年 大戦場】

アイム「扉を…くぐれない」

つい先刻に抹茶たちがくぐっていった時代の扉。元を辿れば時限の境界からこの時代にワープするためにくぐってきた時代の扉。
扉の先に広がる暗闇に進もうとするも、見えない“壁”のようなものに遮られその進入を拒まれる。

アイム「そんな…馬鹿な」

予想し得ない事態。


【制約T】時限の境界フロア内に一定時間以上留まり続けることはできない。制限時間を超えると、強制的にどこかの『年代の扉』に吸い寄せられてしまう。

【制約U.】過去の時代へとタイムワープした場合、その時代の歴史を塗り替えるための行動を起こさない限り、現代へは戻れない。


会議所が知り得た【時限の境界】の【制約】はこの二つ。いずれも、討伐隊に予想外の事態が発生した時、
それは目に見えない【制約】として各々の前に現れる。

468 名前:Chapter2.悪しき時空の潮流者 再突入への会議編その14:2015/02/28 02:27:39.00 ID:GzBIaz3wo

先日の会議の場での加古川の言葉を思い出す。

― 【時限の境界】に潜む二つの【制約】の存在は確認した。しかし、全ての制約を発見できたとは限らない。
無闇に突入して、異なる制約に抵触すれば今度は帰ってこられないということもある


いま、まさにアイムは予想し得ない危機に直面していた。それは即ち――



アイム「新たな…【制約】」



加古川の予想は最悪の形となって的中した。

アイムは新たな制約に抵触し、そして過去の時代に、独り取り残された。

そして不幸なことに、その制約の内容を、まだ誰も知らない。

469 名前:きのこ軍:2015/02/28 02:29:16.19 ID:GzBIaz3wo
chapter2完。長えよハゲ。次からはもっと短くします。
去る集計。そしてアイム。

470 名前:社長:2015/02/28 02:31:25.25 ID:yb2xdde20
もつだぞ。誰だ…謎の男は…

471 名前:名無しのきのたけ兵士:2015/04/05 21:45:06.66 ID:CNyKB9YQo
更新再開は5月始めくらいを予定している。それまで冬眠してますね。

472 名前:791:2015/04/05 22:33:52.77 ID:nhZqtZy.o
楽しみにしてます!

473 名前:きのこ軍:2015/04/29 01:11:22.065 ID:unimfom.o
・これまでのあらすじ

“大戦”を運営する『会議所』は、日に日に増大する大戦参加者の士気・意欲低下に頭を悩ませていた。その最中、会議所に流れ着いたアイムとオニロは、
社長の【占い】により、『大戦の希望』として鍛えられる。(Chapter1まで)

そんなある日、捕らえていたはずの世界の宿敵【DB】、【スクリプト】が脱走している事実が明らかになる。同時に、歴史改変の時空震を確認し、
会議所はDB一味が故意に歴史を改変していると推測。
参謀を隊長とするDB討伐隊は、歴史改変の根源を、DB一味の潜む『時限の境界』であることを突き止める。すぐさま『時限の境界』に突入するも、
内部に潜むスクリプトや、時限の境界の【制約】の前に悪戦苦闘。
結局、DBの姿すら確認できずに、半ば追い出される形になってしまう。(Chapter2 中盤まで)

第一次突入後、自身の不甲斐なさを悔い、討伐隊一員のアイムは戦闘術魂の伝承者・筍魂に弟子入りを志願。オニロとの絆を深め、
師から『“生命力の流れ”は即ち“世界の理”と同化する』の教えを理解したアイムは、討伐隊員とともに再び時限の境界へと突入する。

しかし、見えざる【第三の制約】により、アイムは独り、タイムワープ先のK.N.C55年に置き去りにされてしまう。
時を同じくして、会議所の中心的存在だった集計班も姿を消してしまう。まさに絶体絶命――――

Chapter3. 無秩序な追跡者たち へとつづく。

474 名前:きのこ軍:2015/04/29 01:14:07.037 ID:unimfom.o
3章のタイトル変更

『時限の境界』⇒『無秩序な追跡者たち』

頑張ってサクサク進めていきたいです。


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