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ユリガミノカナタニ
- 1 名前:【第一章 人生きし昼】:2014/10/26 22:54:48.03 ID:XUiZ9x7c0
- ??「―――――――。」
―――声が聞こえる。
これは、わたしの一番古い記憶?
何も、見えない。
そこは、暗闇の中―。
- 401 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:05:16.429 ID:wCUm8jOA0
- 女性「………いえ、わたしは邪神として……
――こことはちがうところで、その罪を身体に纏ってしまった存在だから
……悪として、疑われてしまうのは、仕方ないと思っているから
…それに、此処でも、ね………」
――その言葉から、恐らくは事件を起こしているのだろう、そういうことが読み取れる。
…おそらくは、あの事件なのだろうけれど、ふたりは問えず。
社長「しかた無し」
ブラック「………最後に、聞きたいことがあります
―――あなたは、これからも、この世界に介入しないのですね…?」
――ただ、どうしても聞きたいことだけを聞く。
女性「ええ……この世界のハシラに、介入する気はないわ…」
- 402 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:06:35.384 ID:wCUm8jOA0
- 女性「ええ……」
ブラック「………それを聞いて、安心しました
―――では、さようなら」
女性「さようなら………」
女性の足音が聞こえる。
――女性の足音が聞き取れなくなったその時、ふたりは後ろを振り返れるようになった。
―もっとも、当然だけれどそこにあるのは森の木々。
……そして、会議所へと戻って行った――。
- 403 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:07:24.604 ID:wCUm8jOA0
- ブラックはエネルギーの充電の為に休息し。
社長は、調査結果を集計班へと渡した。
百合兵への関与、それだけを報告した。
下手にいろいろなことを入れず、ただ一番の問題であるそれだけを。
- 404 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:08:05.292 ID:wCUm8jOA0
- K.N.C.167年、きのこたけのこ会議所・wiki図書館―――。
集計班「………成程、コトダマの力、あるいは恨みというやつですか…」
集計班は、調査結果の資料を読みながら、納得する。
社長「エンブッツ!」
集計班「―――それにしても、この【鈴鶴】という女性………
今回の件には関わりないとはいえ、とても気になる女性ですね………
――邪神、別世界の来訪者……
あのDBのような、強大な存在……
もっとも、彼女はこちらに手出しはしないそうですから、下手な詮索はしないほうがいいでしょうが」
- 405 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:08:35.481 ID:wCUm8jOA0
- 社長「適正シロヨ」
集計班「――確か、そういう名目で調べたんでしたね
一応、まとめてきたデータを元に、適性検査にかけましょうか…」
集計班は、集めた鈴鶴の情報を情報端末に入力し、兵士適性検査を行ってみる。
そこに出た結果に、ふたりは驚く。
社長「あーべーよーしーとー」
集計班「―――これは!?」
そこには、適正兵種――【百合兵】、そう記されていたために。
- 406 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:09:46.498 ID:wCUm8jOA0
- 集計班「………無関係だったとはいえ、やはり百合に関わる人物だったのですねえ
――本当に、不思議なものです」
集計班は、納得しつつも、その結果と資料を見比べている。
社長「ませんこうげき!」
集計班と社長は、しばらく鈴鶴の凄さに呆然としていた。
- 407 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:10:08.655 ID:wCUm8jOA0
- 集計班「………さて、【鈴鶴】がこの件に関わりのない人物だと分かりましたし…
――喫茶店でお茶でも飲みましょうか」
そして、その後、集計班は其れに触れることをやめた。
社長「うーん、お茶はいいぞ」
社長も、同じく。
集計班「――今の季節限定のお茶はなんでしたっけねえ
ああそうだ、百合――奇しくも、百合の季節だったんですねえ」
集計班は、奇妙なつながりに苦笑した。
集計班「さて、喫茶店に行きましょうか」
―――ふたりの兵士は、喫茶店へと歩を進めていった。
- 408 名前:百合ノ季節:2015/04/26 19:12:18.204 ID:wCUm8jOA0
- 百合の季節は、百合咲き誇る世界であり。
そしてその花びら一枚一枚に刻まれるコトダマは、堂々たる威厳を――純潔さを――。
その力の入ったお茶も、やはりその雰囲気があるのだろう……。
―――――――wiki図書館の中に、一冊の本があった。
何処にあるかは分からない。何時入れられたのかは分からない。
その題名は、【ユリガミノカナタニ】――――。
……実話なのか、神話なのかは分からない。
けれど、その本はあった。
誰が執筆したのか?それすらも分からない、その本が。
百合神なる女神の、モノガタリが。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 409 名前:社長:2015/04/26 19:12:35.080 ID:wCUm8jOA0
- アア、オワッタ・・・・・・・・!
- 410 名前:きのこ軍:2015/04/27 22:33:05.704 ID:oinNbsOwo
- 乙だぞ。途中の緊迫感はんぱなかったぞ。
クロスSS嬉しいぞ。
- 411 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:21:31.801 ID:LGbEnWVU0
ツ ク ヨ ミ
百 合 神 伝 説
- 412 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:21:48.051 ID:LGbEnWVU0
- きのこたけのこ会議所wiki―――。
参謀「おお、魔王
待たせたな…」
791「用はなに?参謀」
参謀「魔王に頼みがあるんやが……
このカーメ地方のパーゴス町にあるきのこ軍・地方事務所を調べてくれんか?」
791「いったい、どうして…?」
参謀「いや、ここの担当者にようない噂が流れ取るらしいんや
援助交際をしてる、とかいうな……」
- 413 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:22:56.881 ID:LGbEnWVU0
- 791「……で、調べてどうすればいいの?」
791は、突然の参謀の願いに面倒くさそうに応じる。
参謀「取り敢えずはそれが本当なら、確保やな……
やが、抵抗などされたなら死体でも構わん
報酬はアイスいっぱいなどで、頼むわ…!」
791「はーい」
あっさりと、791は承諾した。
二人の兵士は、それぞれ己の居場所へと戻っていく――。
- 414 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:23:26.960 ID:LGbEnWVU0
- 次の日―――。
その日、社長はネットで調べ物をしていた。
―――少女殺人事件、いまだ解決の兆しは見えず―。
パーゴス町の8歳の少女が、暴行されたのち死体となっていた事件のニュース。
―――今人気のスキルランキング。
スキル制に使われるスキルの、人気度を表したランキング。
―――百合神伝説。
どこかの森で、百合の花の如き、威厳ある女神の使いに出会い、自らの心の願いを伝えたとき――。
其れが正しき願いであり、女神が力になれるものであるとき。
其の願いは、叶うだろう、という伝説―――――。
―――規制の嵐、いまだ続く。
規制の影響は、まだ続いている。
大戦の続行はどうなるか?なるニュース。
791「社長ー」
そんな社長に、791が挨拶した。
- 415 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:24:24.665 ID:LGbEnWVU0
- 社長「UNKO」
791「かくかくしかじかというわけで、社長!手伝って」
社長「000000000000」
791は、暇そうにネットしている社長を見つけ、情報探索係として連れて行った。
社長の山登りでコンパクト化されたスーパーカーで、カーメ地方へと向かう―――。
社長「アーモ、マトモニブレーキガキカナイハーン!」
社長「あっひゃん!!」
791「社長、うるさい」
社長「せっしゃにはむかぬ」
- 416 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:24:40.071 ID:LGbEnWVU0
- カーメ地方・きのこ軍事務所近辺―――。
社長は、大きめの機械のスイッチを入れる。
791「社長、それはなに?」
社長「バグの力で盗聴する機械じゃよ^^
窓のグラフィックに盗聴器を紛れさせて会話コードを聞き出すのぢゃーーーーッ!!」
791「へぇ」
- 417 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:25:17.057 ID:LGbEnWVU0
- そして、791と社長が該当する事務所の盗聴をしていると――――。
その事務所には、肆謀(よんぼう)、オーレ、常緑なる人物が所属し、その三人の男が話している。
肆謀「…グフフ、この前はついうっかり殺っちまったが、それにしても幼い娘もたまらんのお」
オーレ「そうだな…また連れて行くか?」
常緑「まぁ、あんまりバレないようにしないといけませんけどね…
なんか、肆謀は援助交際やってるとか噂立ってますよ?」
肆謀「なに、問題はない……やった娘には脅しかけてきゃ文句はないからな……」
―――そこに流れてきたのは、下種な会話であり、それと同時にそいつらが黒である証拠。
社長「死ねよ」
791「何、こいつら…真っ黒な奴じゃない…」
社長と791は、そのあまりの真っ黒な会話に驚いている。
- 418 名前:百合神伝説:2015/05/03 00:27:36.967 ID:LGbEnWVU0
- 791「……とりあえず、今日の夜にでも捕まえようか」
社長「そうすね」
791と社長は、そいつらを―件の三人を捕まえる、あるいは殺すことを心に思う。
791は、盗撮・盗聴したデータを参謀に送り、公式な了承を得る。
参謀「よし、確保してくれや
最悪の場合、死体で構わん、話した通りでええからな」
791「よし、わかった参謀」
社長「いいぞ」
そして791と社長は、深夜そこに乗り込むことを確定した。
- 419 名前:社長:2015/05/03 00:27:55.795 ID:LGbEnWVU0
- いろいろと元ネタがある。
- 420 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:30:36.881 ID:O..bzZxQ0
- ―――深夜。
791と社長が事務所に入ろうとすると、その扉が開いていた。
791「あれ、開いている……???」
中からは、部屋の明かりが漏れている。
- 421 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:31:48.695 ID:O..bzZxQ0
- 791「!!」
中に入ると、件の三人が死体となって転がっていた。
その死体には、刀傷に銃創など、様々な攻撃を受けたことが見て取れるものであった。
791「いったい誰が……?」
791は、死体を見つめながら呟く。
社長「…!
負けてしまっちゅ」
社長はその死体を見て、一瞬動揺するもすぐにバグった瞳で死体を見つめる。
- 422 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:35:01.497 ID:O..bzZxQ0
- 791「これは……?」
社長「ダブルパンツ」
男の死体のそばには、写真とビデオカメラが落ちている。
また、近くにあるパソコンの電源は点きっぱなしだ。
791「これは…?」
その写真には、茶髪の少女が件の三人に捕まっている様子が写されていた。
社長「アジョック!」
―ビデオカメラには、社長が盗撮した場面と同じ場面が録画されていた。
また、茶髪の少女が無理矢理車に押し込められるところも撮影されてあった。
791「……これは、どういうことなんだろう?」
791や社長は、第三者がこの悪人どもを裁いた―そのように感じられた。
- 423 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:35:41.358 ID:O..bzZxQ0
――だが、こう考えていてもらちが明かない。
791「とりあえず、参謀に連絡しようか」
とりあえず、この死体を予定通り引き取ってもらうことにした。
社長「いいんじゃないかな」
きのたけ界隈で一般的な、キノタケフォン―KN-Phoneをで参謀と連絡を取る。
- 424 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:36:20.999 ID:O..bzZxQ0
- 791「…もしもし、参謀?」
参謀「おお、魔王!連絡が来たと言うことは…」
791「……件の男たちはクロだったんだけれど、そいつらが死体で見つかったんだけど」
参謀「なんやて…!?」
電話の向こうで、参謀が驚いているのが目に取れる。
791「…どうしよう?
なんか、そこにそいつらが女の子をさらった写真とかが落ちていて、物盗りに見えないんだけど」
- 425 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:37:26.454 ID:O..bzZxQ0
- 参謀「―――とりあえず、輸送ヘリでそっちに向かうで」
791「お願いー」
電話が切れ、その待ち時間に社長はパソコンのデータを調べる。
社長「(うわ。」
791「………」
そこには、彼らの落花狼藉の振る舞いが刻まれていた。
そして、そのデータを、恐らく件の三人を殺した者であろうも閲覧したであろうことも分かる。
援助交際の噂―ただそれだけではなく、それよりももっとどす黒い何か。
791も社長も、捕まえる前に命を取っていたかもしれない、と考えた。
- 426 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:38:03.424 ID:O..bzZxQ0
- 事務所の外で輸送ヘリを待って数時間、ようやく輸送ヘリの音が聞こえた。
791「…やっと来たかあ」
社長「微志村さん」
参謀「…待たせたな、死体とかは中か?」
参謀が輸送ヘリから降り、扉を指さす。
791「うん」
参謀たちとその中に入り、そして死体や悪行の証拠の入った物品を輸送ヘリに積み上げた。
- 427 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:38:20.940 ID:O..bzZxQ0
- 参謀「うむ、お疲れさん…
帰りは輸送ヘリで、車ごといこか?」
参謀が問う。
社長「…ちょっと、この辺の観光地でも見たいでういでこすあっへほーダース」
真剣そうにバグり、社長は答えた。
791「社長と同じ、お菓子買ってから帰るー」
791もそれに同調する。791は、お菓子を買って帰ろうと考えていた。
参謀「そうか、なら先に帰っておくわ
ヘリが必要ならまた呼んでくれや」
791「わかった、参謀気を付けてねー」
参謀はヘリで去っていく―――。
- 428 名前:百合神伝説:2015/05/04 01:39:00.941 ID:O..bzZxQ0
- 社長は、死体の傷を見てそれに既視感を覚えていた。
―反撃すらさせぬ、刀や銃の扱いに長けた存在が、恐らくは件の三人を殺した人物。
社長「………」
社長は、それが出来る人物に心当たりがある。
だが、それは口にはせず。
車に乗り込み、町へ―パーゴス町へと走り出した。
- 429 名前:社長:2015/05/04 01:39:23.738 ID:O..bzZxQ0
- 参謀 ヘリも操縦できる
- 430 名前:きのこ軍:2015/05/04 02:41:19.896 ID:.K.kOZ/Io
- うわー一体誰だろう。
- 431 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:32:17.842 ID:O..bzZxQ0
- パーゴス町―――。
町に着くと、791はスーパーへと入っていった。
社長は悩みながら、とりあえず酒場に入った。
酒を飲むためではなく、色々な人々が集まっている場所だと考えたためである。
からんからんと、ドアのベルが鳴る――。
- 432 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:32:38.889 ID:O..bzZxQ0
- 社長「――!」
半ば適当に、人の集まる場所を選んだが、社長の最も望む―あるいは、望まないことが其処に―。
美しいみどりの黒髪をたっぷりと伸ばした、巫女装束の女性が其処に居た―。
そしてそれを見るとともに、寒気が襲う。
- 433 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:33:52.376 ID:O..bzZxQ0
- その女性は、かつて社長がとある調査のために追っていた女性―――。
名前は、鈴鶴(すずる)。
それを調べる過程で、殺人事件を起こしていると推定されていた。
その死体の傷と、同じ傷が件の三人の死体についていたために、社長は彼女が関わっていると予想したのだ。
- 434 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:34:49.378 ID:O..bzZxQ0
- 女性「………」
女性は、静かに酒を飲んでいる。
――静かとはいえ、強めの日本酒を既に一升も飲み干している。
社長「タナカ!」
女性「……………」
女性は、無言で社長の方を向く。
その眼は凍りつくようなまなざしで。
―――そして彼女は、やはり社長が追っていた女性―鈴鶴であった。
- 435 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:35:39.098 ID:O..bzZxQ0
- 鈴鶴「何か用…?」
静かに鈴鶴は問う。酒を飲んでいる筈なのに、酔いも何も見えない。
社長「あひゃーあひゃひゃー……聞きたいことがあるあひゃよ」
社長は、小声で用件を言う。
その目はバグってはいるが、真剣だった。
鈴鶴「……………」
鈴鶴は何かを察し、会計を済ませて社長とともに外に出て行った。
- 436 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:36:24.412 ID:O..bzZxQ0
- 路地裏―――。
鈴鶴「――さて、聞きたいことは何?」
鈴鶴は、腕を組み壁を背にして、冷静に問う。
社長「はぇはぇはぇ…地方事務所で、な、何の事件起こったの!?」
鈴鶴「………」
鈴鶴は腕を組んだまま、ただ何も語らず。
しばらく、二人は対峙する。
だが、鈴鶴の冷たい瞳に社長のバグった瞳が根負けしようとしていた。
- 437 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:37:10.741 ID:O..bzZxQ0
- その時―。
791「あれ、社長?何をしてるのー」
791は、買い物が済んだのか、将又まだ買うものがある途中なのか、偶然にそこに現れた。
791「ん?その人だれー?」
791は、女性を見る。
一方の女性も、791を見る。
791「……………」
女性「……………」
791は、無言で女性を見つめ、また女性も同じように見つめ返す。
その目線のやり取りは、例えるなら戦士と戦士がにらみ合っているようであった。
- 438 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:38:28.244 ID:O..bzZxQ0
- ―――しばらく時が流れる。
791「あなたは、人じゃない存在だよね?」
先に口を開いたのは791―。
女性「……………」
女性は、依然無言で791を見つめる。
791「―――わたしは魔物なんだ、だからわかる」
791は自信を持って答える。
女性「……………
――あなたは確かに魔物の血を持っている存在のようね
……あなたの言うとおり、わたしは人ではない存在――」
そして、その女性も静かに返す。
以前、その女性は邪神だと言っていた。
緊迫した空気が、そこに流れた。
- 439 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:40:14.700 ID:O..bzZxQ0
- 791「ところで、社長はなんでこの人…と、対峙してたのー?」
だが、緊迫した空気に合わないのんきさで791は聞く。
さすがにどう呼ぶかでは迷っていたようだが、語尾はのんきだった。
社長「地方事務所の死体には、もしかしたら彼女がやったことだ…やはりそうでしたか!」
――バグりながら社長は真剣そうに答える。
791「…!」
――そして、社長の言葉に791はぴくりと身体を反応させた。
791「……それは、本当?」
791はじっと女性を見る。その瞳は、少し険しい―。
女性「………」
しかし、女性は何も語らず、冷たい瞳で791を見つめ続けている。
- 440 名前:百合神伝説:2015/05/04 23:40:54.983 ID:O..bzZxQ0
- 791「……ねぇ、わたしがあなたと戦ってわたしが勝ったら、喋るのはどう?」
791は、ひとつの提案を持ちかける。
魔王と呼ばれるだけあり、その言葉には自信が込められている。
社長は、なぜか鈴鶴が神の力を持つ可能性がある、とは791に言えなかった。
魔王と呼ばれる791に、それを言っても無駄だろうと感じたために。
鈴鶴「このまま対峙しても、堂々巡りになるだけね………わかったわ」
そして、鈴鶴は引き受けた。
- 441 名前:社長:2015/05/04 23:41:51.359 ID:O..bzZxQ0
- 若干杜撰な脚本が見えている いつか修正しなきゃなあ。
- 442 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:15:00.430 ID:kPOGBy/U0
- パーゴス町郊外・荒野―――。
鈴鶴と791は、近くの荒野で対峙している―――。
791は魔王と呼ばれる。それは雰囲気だけではなく、実際にそのような力があるためだ。
きのたけの大魔法使いと言う異名も持ち、その魔力は最高クラス。
魔法だけではなく、その魔力でこしらえた剣を用いた剣術も素晴らしい…。
一方の鈴鶴は、太刀の達人であり、またその他の武術にも精通している。
そして、邪神のような存在であると、そう言っていた。
- 443 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:15:48.525 ID:kPOGBy/U0
- 社長「敵が出たし!」
そして、社長の合図で戦いが始まった――。
791「シトラス!」
初手は791の魔法、シトラスが飛ばされる。
目の前の敵に向かって、檸檬型の魔法弾を容赦なく飛ばす791の持つ魔法。
そのエネルギーの多さによって、シト、シトレ、シトラス―そう名付けられている。
その中で一番エネルギーの大きなシトラスが、鈴鶴へと飛ばされる。
- 444 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:16:24.104 ID:kPOGBy/U0
- 鈴鶴「……」
だが鈴鶴は、シトラスの魔法弾を、的確に身体を動かしながらそれを軽々と回避する。
つい数十分前には日本酒を飲んでいたはずなのに、それをものともしない動きで動く。
鈴鶴が地面を転がると同時に、標的を見失った魔法弾が地面ではじけた。
次手は鈴鶴――。鈴鶴が太刀を抜き、それに合わせて791もネギソードで応戦する。
791「せいっ!」
鈴鶴「ふんっ!」
791の葱之剣―ネギソードと、女性の太刀がぶつかり合う。
最高の魔力でこさえた剣と、恐らく最高級の出来であろう太刀がぶつかり合う。
綺羅の火花が散る―――ことはなく、金属と魔法のカタマリは静かな音を立てるだけ。
- 445 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:17:28.059 ID:kPOGBy/U0
- 791「ふふ、骨があるね!―久々に、血が騒ぐかな?」
鈴鶴「―なかなかやるわね、流れる魔の血?それともわたしよりも長く生きたその経験?
……どちらにせよ、こんな強い力の持ち主は久しぶりね」
檸檬色の光が飛び交い、静かな剣戟が折々で重ねられる。
鈴鶴は791のシトラスの魔法弾に翻弄されているように見えるが、的確に回避しつつ斬り込んでいる。
もっとも、その太刀筋を791は受け止めて、戦いは拮抗したまま続いていった――。
- 446 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:18:47.577 ID:kPOGBy/U0
- そして、その拮抗は遂に――。
鈴鶴の太刀が791の腕に、シトラスの魔法弾が鈴鶴の腕にぶつかった。
791「くっ…」
鈴鶴「…ちっ」
791の腕に浅い切り傷が、鈴鶴の腕には魔法弾の衝撃によるダメージが。
だが、ふたりともひるまない―――。
それほどのダメージを負っていないのだ。
791「…最高級アイス!」
その隙を狙わんと、791は巨大な氷の塊を浴びせた。
- 447 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:19:32.485 ID:kPOGBy/U0
- 鈴鶴「はっ!」
だが、その氷の塊を、自身の左腕―そして、鈴鶴の背中から出たナニカの腕で弾き飛ばす。
791「………どうやら、守護霊でもいるの?
―驚異的な力だね、武芸に富むだけじゃないんだ」
鈴鶴「……その術式の力――尊敬するわ
こんなに厄介な力を平気で放てるなんて、底が見えない」
そしてふたりは、またぶつかり合う。
- 448 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:20:49.269 ID:kPOGBy/U0
- ふたりはダメージを、わずかながら負いながら戦っている。
―だが、そこで受けた傷は、ふたりにとってはかすり傷か、あるいはそれよりも軽い傷であったようで。
鈴鶴「せいっ!はっ!」
鈴鶴は太刀で斬り込み、そして折々で蹴りなど体術も混ぜ込んで。
791「おりゃー!」
791は、強大なる魔法を浴びせながら、葱乃剣で斬り込んだ。
月が昇るその下で、ふたりはぶつかり合う。
辺りには魔法弾で土がえぐれ、荒野をさらに荒れる地へと変貌させている。
- 449 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:21:20.176 ID:kPOGBy/U0
- ―――月が輝いているそのさなか、戦況にひとつの変化が見えた。
鈴鶴「……」
鈴鶴は、間合いを取り太刀を構えている。
それは、心を無にするような――。
791「…ネギ流星群」
―それを見て791は、魔力のこもった流星を叩き落とす、情け容赦のない魔法を唱えた。
荒れ狂う流星群が、鈴鶴へと向かう―――。
通常の791なら、だいたい戦闘の途中でこの魔法を唱える。
―だが、鈴鶴はそれを使わせない素晴らしい動きで対応するため、唱える隙が生まれなかったために、ここまで使わなかったのだ。
- 450 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:22:29.662 ID:kPOGBy/U0
- 鈴鶴「…ちぃっ」
だが、鈴鶴は再び左腕とナニカの腕でそれをはじき、爆発を起こす前に転がり回避する。
鈴鶴「さすがに、隙を見せるなんてことはあなたにやっちゃいけないわねぇ」
鈴鶴は、自信に戒めるように言った。
- 451 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:23:52.180 ID:kPOGBy/U0
- 791「…ふふ、ここまでやるんだ
――ならば、わたしも本気にならないとね」
791は、嬉しそうに鈴鶴に言うと、文言を唱える。
魔王が魔王たる所以―――。それは、その魔力だけではない。
魔王が魔王と呼ばれるには、魔物としての力がある。
もちろん、魔物として生まれた791にもその力はある。
791「………」
魔王は目を閉じて魔法を唱える。
―――禁ジラレタ呪文ヲ―。
自信の姿を変える、その禁忌の言葉を。
―そして、791は真なる魔王へと変貌した。
- 452 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:25:28.808 ID:kPOGBy/U0
- 魔王791「――ふふふ」
その姿は、人の姿ではなく、オロチのような姿で。
審判役の社長はバグりながら、魔王の瞳を見るが、とてもとても恐ろしいと感じた。
味方の兵士であるはずなのに。
自身の在り方を、形態をその魔力を持ってして変えたのだ。
それと同時に、魔王が魔王と呼ばれる所以を心で理解した。
それは、鬼畜形態(モード)―――。
- 453 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:25:46.246 ID:kPOGBy/U0
- ――だが、鈴鶴はその力を見て、身の震えひとつも起こしていなかった。
鈴鶴「………大蛇(オロチ)――いや、あなたの力はあらゆるものがある混沌……?
ふふ、こんな隠し玉もあったのね?
けれども…
――混沌から成るモノには、混沌で迎え撃つのが一番礼儀正しいと思うの
―――あなたが本気を出したのならば、わたしも本気で征かなければならないようね
オロチに神剣―――ふふ、ふふっ……面白いわね」
- 454 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:26:12.028 ID:kPOGBy/U0
- 鈴鶴は、左手に念を込める。
―頭上の月が怪しく輝く。
そして、鈴鶴その右目も怪しく、そして美しく、そして恐ろしく、青白い光を放ち始める。
鈴鶴「わたしは百合神―――
月の女神の血を引く、月の王者の末裔であり―――
月の女神ソノモノ―――
黄泉に憑依されし、ツクヨミ(憑黄泉)であり、ツクヨミ(月夜見)―――」
――その恐ろしき空気は、以前社長に邪神と言ったことを思い出させる。
それは、確かなことであったのだ。
- 455 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:27:25.312 ID:kPOGBy/U0
- ―――そして、百合神と。
つい最近、百合神伝説なるものを聞いた。
つまり―――。
彼女は、その百合神であるらしい―――。
そして、またの名をツクヨミ―――。
そして社長は、百合神の青白く輝く不気味な眼に――
邪悪なる眼に呑まれ、恐怖で足がすくみ、体中が凍りつく感覚に襲われた。
- 456 名前:百合神伝説:2015/05/16 00:28:01.735 ID:kPOGBy/U0
だが、791―いや、魔王791はそれをものともしていない。
百合神「ふふ、わたしの右目を見ても平気だとは―――ほんとうに素晴らしい力ね
さて、闘いの続きといきましょう」
右手には美しい太刀を、左手に青白く輝く不気味な剣を構えながら、百合神は楽しそうに言った。
魔王791「そうだねっ」
魔王791も、同じく。
――――ふたりの戦士―いや、月の女神と魔物の王は、其処に対峙していた。
社長は、それをただ見つめるだけの、ちっぽけな存在なのだ…。
- 457 名前:社長:2015/05/16 00:30:54.724 ID:kPOGBy/U0
- シト系/ネギソード系/最高級アイス/形態変化と
抹茶クエスト3の魔王様のスキルがある
- 458 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:33:51.326 ID:bZeLBT5U0
- ふたりの力はぶつかり合う。
魔王791は、その口から猛毒の瘴気を吹き出し、目からはとても眩しい光線を放つ。
百合神は、人が飛ぶよりも遥かに高く飛び上がり、
それをかわしながら剣から漆黒の斬撃の衝撃波を飛ばす。
辺りの土はえぐれる―いや、それを越えるナニカが。
百合神の放った斬撃の衝撃波は、土に20センチも食い込んで消えた。
魔王791の放った光線と瘴気は、辺りの土を燃やし、そして溶かしている。
その火力たるや、鉄だろうといともたやすく溶かすように思えた。
- 459 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:34:41.077 ID:bZeLBT5U0
- 百合神「…一応言っておくけれど、人様に迷惑はかけない程度に闘いましょう
――いろいろと問題になると、両方面倒臭いでしょうし
なにより、審判役が倒れたらだれがどう勝敗を決めるのやら」
魔王791「―ふふ、どうやらそのようだね」
―――ふたりどうし、妙に常識的なことを言いながら。
再び金属音と、魔法音が響き渡る。
- 460 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:37:29.082 ID:bZeLBT5U0
- 百合神は、剣と太刀の二刀流で、疾風の如く斬りつけ。
魔王791は、その刃をウロコで受け流しながら、檸檬色の魔法弾で攻撃し。
魔王791「クロスネギソード!」
そして、そのオロチの尾―葱の尾で、辺りを薙ぐ。
百合神「しぇっ!」
百合神は、その薙ぐ尾を避けながら、強烈な手刀を繰り出す。
なれど戦いは、まだ拮抗し―――。
星々が輝く中、魔王791は文言を唱える。
- 461 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:39:23.476 ID:bZeLBT5U0
- 魔王791「エターナル・フォース・レモネード」
それは、シトラスよりも何倍も何倍も―――黄金に輝く魔法弾が、辺り一帯を埋め尽くす。
――そして、それは百合神の右腕を吹き飛ばした。
百合神「ちっ…」
だが百合神の漆黒の斬撃が、魔王791のウロコを切り裂いた。
魔王791「――っ」
百合神「ふんっ!」
そして、百合神はその吹っ飛んだ右腕を呼び寄せ、元通りくっつけ直した。
魔王791「ふふ、それぐらいじゃなきゃ…」
魔王791も、その傷を回復しながら、再び構える。
- 462 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:39:54.711 ID:bZeLBT5U0
- 魔王791「ネギ流星群」
再び破壊のエネルギーが降り注ぐ―。
百合神「―真空刃」
だが、百合神は風の魔法を唱え、それを切り裂き弾き飛ばした。
魔王791「なんだ、あなたも魔法が使えるんだ」
百合神「…誇れるほどの力じゃないけれど」
――戦いの時間は重厚に、より重厚に。
何日も経過するような感覚が、その荒野に広がっている。
それはただの数分――数十分かもしれないのに。
- 463 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:40:40.291 ID:bZeLBT5U0
- ――――そして、どれだけの時間経っただろうか。
見ている社長には、間隔ではもう何日も経ったように思える―――。
魔王791「てゃぁーーっ!」
魔王791は、そのオロチの胴体で鈴鶴の身体を締め付けた。
いくら神だとはいえ、百合神は見た目だけなら一般的な女性―。
だが、百合神はその圧力に耐える。
それは、彼女が本当の神であるとの証明―。
- 464 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:40:54.760 ID:bZeLBT5U0
- 百合神「…ゲボッ、なんて馬鹿力…
だが、締め付けたのは大失敗ね………」
そして―。
魔王791「エターナル・フォース……」
百合神「月影黄泉流―――」
魔王791「レモネード!!」
百合神「姫百合――!」
ふたりの死力を尽くした、最大級の攻撃がぶつかり合った。
- 465 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:41:31.027 ID:bZeLBT5U0
- あたりは、とてもとても眩しい光が輝き――。
そして、その光が消え失せた後には―――。
魔王791「………ふぅっ」
魔王791は、満身創痍の姿で元の791の姿に戻り、地面に横たわっていた―。
百合神「…………ぐっ」
百合神は、太刀の鞘で身体を支えながら血反吐を吐いた。
- 466 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:42:08.622 ID:bZeLBT5U0
- 社長「GAME GAME
引き分けすね」
二人とも、限界なのだろう。
社長は戦いの切り上げを命じた―。
- 467 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:42:26.091 ID:bZeLBT5U0
- 791「つかれたー」
791は、地面に仰向けになり空を見上げながらそう言う。
その声には、本当に疲れが見える。
百合神「…そうね」
百合神も、疲労がこもった声で―だが、身体をなんとか立たせながら答える。
791「…あー、もうだめー…
あなたが犯人かどうか聞けなかったなあ
――どっちつかずの、引き分けだもんねぇ」
口惜しそうに、791は言う。
- 468 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:42:43.904 ID:bZeLBT5U0
- 百合神「………」
百合神は、右目を人のように黒々した目に戻し、剣と太刀をしまいながら791を見る。
それは、百合神が鈴鶴という存在に戻ったように見えた。
鈴鶴「………我は百合神
―――迷えるひとの魂を、極楽の世へ送れるように魂を還したまで
………それと、地獄に堕ちるべき者を其処へ送ったまで」
それだけを言うと、鈴鶴は痛みを堪えながら何処かへと去って行った。
- 469 名前:百合神伝説:2015/05/17 00:44:25.157 ID:bZeLBT5U0
- 未だ、月は夜に輝いていた―――。
あれほどの死闘は、ただの数分か、数十分か―――。
それだけの長さしかなかったのだ。
月を見上げながら、放心している社長に791は話しかける。
791「社長、疲れたから宿をとってくれないとエターナル・フォース・レモネードするよ?
あと体力回復にお菓子使うから、あしたあたらしいお菓子買ってきてね
アイスとか、アイスとか」
791は、けらけら笑いながら社長にそう言った。
社長「アデヴァーゲの力に負けている」
元はと言えば、社長が犯人捜しをしていたのが原因なので、その言葉に素直に従う。
――宿に791を休ませ、翌朝社長はパシリとして新たなお菓子を買いに行った。
- 470 名前:社長:2015/05/17 00:44:45.876 ID:bZeLBT5U0
- エターナルフォースレモネードさんの知名度を上げようキャンペーン
- 471 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:24:38.572 ID:bZeLBT5U0
- そして、社長がスーパーでお菓子を買った直後、KNーphoneに電話がかかってきた。
社長「電ガチャ」
参謀「おお、社長か?
――あの件は、もう終わったで…
今朝方、協議した結果、会議所の面々で始末したということにした」
社長「なんと!」
参謀「真実はほかにあるはずやが…
まぁ、この場合はこれで良かったんや、余罪がどっさり出てきてな
ともかく、内密にしといてなー」
社長「はい(そうでもないけど)」
参謀「そやから、魔王にも伝えといてな」
社長「エースコック!」
―――件の三人の処遇は、会議所の決断として処理された。
- 472 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:26:37.106 ID:bZeLBT5U0
- そして、電話を終えた直後――。
歩道のわきに花が供えてあった。
そして、一人の男性が手を合わせながら、涙を流してなにかを伝えている。
男性「…犯人、裁かれたぞ…
どうか天国で幸せに過ごしてくれ――」
たしか、この場所は8歳の少女が遺棄されていた――。
社長は、真実を掴めるかもしれない―そう思い男性に事情を聞く。
- 473 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:28:06.844 ID:bZeLBT5U0
- その男性は娘を誘拐され、暴行を受けた果てに殺され、無残にこの場所に棄てられた。
犯人は見つからず、証拠も何もなかった――。
だが、昨日の夜―その犯人どもはきのたけ会議所によって裁かれたことで、娘に伝えたそうだ。
―そう。
それは、昨日791と社長が乗り込んだ場所の、件の三人…。
社長「…なるまど」
社長は、いろいろな事実が、一本の糸となり繋がったことを確信した。
- 474 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:29:48.347 ID:bZeLBT5U0
- 社長「…きのこたけのこ会議所のひとりとして、事務所の件は本当に申し訳ないことをしたでういでこす…
わたしもお供え物を置くでアリマスオ」
社長は、きのたけ会議所が表向きに裁いたとはいえ、その事務所の不祥事を詫びた。
男性「いえ…あなたは何も関係ないですよ…
しかし、……裁かれて、本当に良かった」
だが、男性は、感謝の意を伝えた。
社長「そうすね」
―社長はついさっき買ったお菓子を供え、別の店へとお菓子を買いに向かっていった。
- 475 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:30:19.082 ID:bZeLBT5U0
- 社長は考えながら歩を進める。
女性――その名を鈴鶴(すずる)という女性――百合神は、その名を邪神だと言っていた。
恐らくは、邪神と呼ばれるにあたるナニカをしたのだろう。
――そして、百合神伝説。
百合の花の如き、威厳ある女神の使いに出会い、自らの心の願いを伝えたとき――。
其れが正しき願いであり、女神が力になれるものであるとき。
其の願いは、叶うだろう、という伝説―――――。
- 476 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:40:02.975 ID:bZeLBT5U0
- おそらく、さっき出会った、娘を殺されたその父親は、百合神に犯人への裁きを願ったのだろう。
そして、百合神はどうやって件の三人探し当てたかは分からぬが、裁きを下した。
そのために、魂を救ったと言ったのだろう。
その救った魂は、少女―もしくは、その他に犠牲になった…。
鈴鶴「………我は百合神
―――迷えるひとの魂を、極楽の世へ送れるように魂を還したまで
………それと、地獄に堕ちるべき者を其処へ送ったまで」
―――そう、鈴鶴―百合神は言っていた。
そして、きのこたけのこ会議所が調べる前に、すでにその悪行を掴んでいた。
つまりは、百合神が先に調査したということ。
―――もっとも、偶然その悪行を知ったという可能性もあるけれども。
―社長が知っている、百合神が関与しているであろう殺人も、おそらくそうであるように。
- 477 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:40:39.304 ID:bZeLBT5U0
- しかし、何故そんなことをしているのだろうか。
―――邪神と言うなら、それに値するなにかをしたのかもしれない。
その償いの為に――?
色々な考えがぐるぐる頭の中を回る。
―そういえば、早くホテルに帰ってこのことを791に言わなければならない。
- 478 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:41:39.399 ID:bZeLBT5U0
- 社長は、お菓子を買い終え、ホテルに帰ってきた。
そして、その結論を、アイスを食べている791へと伝えた。
791「そっか…
でも、何れあいつらは処刑か厳罰を受けていただろうし……
その手間が省けて、よかったのかな………?」
791はすこし悩みながらも、その決断を受け入れる。
791「…百合神、と言っていたっけ
今度会ったら、また力試ししたいなー
エターナル・フォース・レモネードを使わせてなお、耐えるなんてすごかったもんねぇ」
そして、791は3個目のアイスを食べながら空を見上げた。
空は、雲一つない、晴れ渡った青色で染まっている。
そして、いずれ月が昇るのだ。
――百合神も、その月の目覚めとともにまた動くのだろか?
社長は、なぜだかまた百合神に―鈴鶴に出会うのかもしれないと感じた。
- 479 名前:百合神伝説:2015/05/17 22:41:51.087 ID:bZeLBT5U0
- 百合神伝説 完
- 480 名前:社長:2015/05/17 23:12:18.409 ID:bZeLBT5U0
- なんかこうしてみるとあらがおおいよお
- 481 名前:きのこ軍:2015/05/17 23:33:52.074 ID:4uVO7UL6o
- 乙乙
791さんが普通に百合神さまと渡り合えててワロタ
- 482 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:13:26.817 ID:WEiUeqeM0
- わたしは、式神―――。
ただのそれだけ―――。
わたしは、あの子の魂ソノモノ―――。
名前などない―――。
- 483 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:13:47.176 ID:WEiUeqeM0
- 強いて言うなら、魔女の囁き、とでも言うのだろうか―――。
あの子の母親が、腹の中に宿りしあの子の魂を媒介に式神の力を与えた。
其れが、其の存在がわたしなのだ―――。
―――式神は、それにかけられた力が強いほど、媒介が不変であればあるほどずっと存在する。
―魂に宿りし式神は、その魂の持ち主が死ぬまで生ける式神となるのだ。
- 484 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:15:15.132 ID:WEiUeqeM0
- わたしは、あの子であり―――。
―――あの子は、わたしである。
わたしは、あの子の操を護る魔女で在り続けた。
何が在ろうと、あの子にとって不利に成ろうと、護り抜く。
―――最も、わたしの意志ではなく、この世界の意志―運命の動き―その力に動かされて護ってきた。
- 485 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:16:53.853 ID:WEiUeqeM0
- わたしは、ずうっと、ずうっと、あの子を護り続けた。
あの子の操を狙う男を―――。
そして、わたしという存在を消し去り、あの子の操を護れぬようにする存在を―――。
わたしは、邪悪なる鬼の―髑髏の如き鎧を全身に身に着け、魔女で在り続けた。
その中は、月の民の女としての姿があったけれども、その姿はあの子に見せず。
あの子のたいせつなそんざいにも見せず。
わたしは、ただの守護霊と呼ばれる存在として、その正体を明かさずずうっと存在した。
- 486 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:17:08.790 ID:WEiUeqeM0
- ―――何年も―。
千代の年を越えても―――。
わたしはあの子を護る魔女で在り続けた。
―――けれど、あの子自身が魔女と呼ばれるようになった。
- 487 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:18:34.511 ID:WEiUeqeM0
- そして、わたしはあの子の力の一部として、あの子の意志で操られるようになった。
操を護る力を、直接的に闘争に使うように――。
そして、触れたものを溶かす力を新たに得た――。
その力は、あの子だけではなく、あの子が魔女と呼ばれるに値する神剣の力に依るもの――。
- 488 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:18:45.480 ID:WEiUeqeM0
- ―――もっとも、あの子の操を護る力は、あの子に操られようと世界の意志として動いたけれど。
でも、あの子は遂には闇の彼方へ封じられた―――。
わたしも、闇の彼方に―――。
- 489 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:18:57.543 ID:WEiUeqeM0
- ―――――。
永遠の闇の彼方に封じられるとき、わたしは気が付いた―――。
嗚呼、わたしはあの子のことを―――。
愛していたのだと――――。
- 490 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:19:11.653 ID:WEiUeqeM0
- 式神だけれども、千代を越え続けて変質してしまったのだろうか…。
――それとも、わたしという存在が生まれた時から、そう思っていたのだろうか?
わたしは、あの子のことを愛していたのだ―。
- 491 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:19:23.075 ID:WEiUeqeM0
- ―――あの子に操られ、あの子の力の一部となったとき―。
千代を越える年、淡々と運命の力であの子を護っていただけのわたしは、生を受けたようであった。
そして同時に、あの子に操られることがうれしかった。
- 492 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:19:37.403 ID:WEiUeqeM0
- ――けれども、わたしはあの子とただ居られるだけでいい。
あの子と話せなくていい。
あの子と触れ合わなくたっていい。
あの子の魂として存在する―――ただそれだけで―――。
だから、ずっと鬼の鎧を背負い続ける―――――――。
- 493 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:20:00.216 ID:WEiUeqeM0
- 永遠の暗闇の中――――。
わたしとあの子は、永遠の闇に消え去った――。
二度と目覚めることはないだろう――。
そして、わたしのただ一つの恋も闇の彼方へと―――。
―――ああ、でも――。
あの子と、ずうっと一緒にいられるなら、構わないか―――。
――決して目覚めぬ闇の中でも、あの子と共に目覚めず、ずうっといられるのなら―――。
- 494 名前:【凶】【Rank⇒大尉‡ 】【Type⇒狙撃兵】:2015/06/12 00:20:29.373 ID:WEiUeqeM0
- 魔女ノ見タ夢 完
- 495 名前:【大吉】【Rank⇒大尉‡ 】【Type⇒防衛兵】:2015/06/12 00:23:39.221 ID:WEiUeqeM0
- 魔女の囁き
―――【あの子】の操を護る、あの子の守護霊である式神。
それが【あの子】の不利益になろうと、世界が崩壊しようとも護る。
【あの子】の操を狙う男と、自身の能力を消去する存在を―。
【あの子】の魂を媒介にして生まれた式神なので、引っぺがすことはできない。
- 496 名前:きのこ軍:2015/06/14 19:29:05.843 ID:nLa6hhhso
- もつだぞ。式神さんにそんな思いがあったとは。
- 497 名前:儒艮漂フ果テ:2015/07/05 23:32:59.905 ID:CIQSLAik0
ザ ン
儒 艮 漂 フ 海 界
ハ テ
- 498 名前:儒艮漂フ海界:2015/07/05 23:33:44.934 ID:CIQSLAik0
- 柚挙母地方・若草村―――。
海に面した小さな漁村、若草村―――。
小さな漁村であるが、海の幸に恵まれた村。
近隣の都市や、果てはきのこたけのこ会議所の水産資源にも関与している地域である。
若草村は、海の幸に恵まれているが、それに准えた伝説が存在する。
その名は、人魚伝説―――。
- 499 名前:儒艮漂フ海界:2015/07/05 23:34:25.183 ID:CIQSLAik0
- 遥か昔―――。
漁師の若者がいつもの魚を捕りに行った帰り、海が時化り、船ごと若者は海に呑まれた―。
だが、そこで死にかけた若者を一人の人魚が助けた。
そこから二人は相思相愛の中になるが、人魚の長がそれを認めず、二人の仲は引き裂かれてしまう。
―――だが、若者は再び海へ向かって行った。
愛を認めてもらうために。
そして、愛した人魚とともに海の向こうへ消え去った。
- 500 名前:儒艮漂フ海界:2015/07/05 23:35:30.105 ID:CIQSLAik0
- そのことを知った人魚の長は自分が犯した愚かさを悔い、せめてもの償いに海の幸を尽きぬように働いた。
いっぽうの村人たちも、その悲恋が再び起きぬように祈り捧げた……。
――そして、いつしか人魚の長は海神(ワダツミ)と呼ばれ、漁の無事と豊漁を願う神として認識された。
そして、人魚伝説は、今も海神へ祈りを捧げる祭事を通して、語り継がれているのだ…。
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