■掲示板に戻る■ 全部 最新50 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 801- 901- 1001-

ユリガミノカナタニ

1 名前:【第一章 人生きし昼】:2014/10/26 22:54:48.03 ID:XUiZ9x7c0
??「―――――――。」


―――声が聞こえる。



これは、わたしの一番古い記憶?


何も、見えない。


そこは、暗闇の中―。

482 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:13:26.817 ID:WEiUeqeM0
わたしは、式神―――。

ただのそれだけ―――。

わたしは、あの子の魂ソノモノ―――。

名前などない―――。

483 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:13:47.176 ID:WEiUeqeM0
強いて言うなら、魔女の囁き、とでも言うのだろうか―――。

あの子の母親が、腹の中に宿りしあの子の魂を媒介に式神の力を与えた。
其れが、其の存在がわたしなのだ―――。


―――式神は、それにかけられた力が強いほど、媒介が不変であればあるほどずっと存在する。
―魂に宿りし式神は、その魂の持ち主が死ぬまで生ける式神となるのだ。

484 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:15:15.132 ID:WEiUeqeM0
わたしは、あの子であり―――。
―――あの子は、わたしである。


わたしは、あの子の操を護る魔女で在り続けた。

何が在ろうと、あの子にとって不利に成ろうと、護り抜く。
―――最も、わたしの意志ではなく、この世界の意志―運命の動き―その力に動かされて護ってきた。

485 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:16:53.853 ID:WEiUeqeM0
わたしは、ずうっと、ずうっと、あの子を護り続けた。

あの子の操を狙う男を―――。

そして、わたしという存在を消し去り、あの子の操を護れぬようにする存在を―――。


わたしは、邪悪なる鬼の―髑髏の如き鎧を全身に身に着け、魔女で在り続けた。

その中は、月の民の女としての姿があったけれども、その姿はあの子に見せず。

あの子のたいせつなそんざいにも見せず。


わたしは、ただの守護霊と呼ばれる存在として、その正体を明かさずずうっと存在した。

486 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:17:08.790 ID:WEiUeqeM0
―――何年も―。

千代の年を越えても―――。


わたしはあの子を護る魔女で在り続けた。



―――けれど、あの子自身が魔女と呼ばれるようになった。

487 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:18:34.511 ID:WEiUeqeM0
そして、わたしはあの子の力の一部として、あの子の意志で操られるようになった。

操を護る力を、直接的に闘争に使うように――。

そして、触れたものを溶かす力を新たに得た――。

その力は、あの子だけではなく、あの子が魔女と呼ばれるに値する神剣の力に依るもの――。


488 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:18:45.480 ID:WEiUeqeM0
―――もっとも、あの子の操を護る力は、あの子に操られようと世界の意志として動いたけれど。


でも、あの子は遂には闇の彼方へ封じられた―――。


わたしも、闇の彼方に―――。

489 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:18:57.543 ID:WEiUeqeM0
―――――。



永遠の闇の彼方に封じられるとき、わたしは気が付いた―――。


嗚呼、わたしはあの子のことを―――。


愛していたのだと――――。

490 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:19:11.653 ID:WEiUeqeM0
式神だけれども、千代を越え続けて変質してしまったのだろうか…。

――それとも、わたしという存在が生まれた時から、そう思っていたのだろうか?


わたしは、あの子のことを愛していたのだ―。

491 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:19:23.075 ID:WEiUeqeM0
―――あの子に操られ、あの子の力の一部となったとき―。

千代を越える年、淡々と運命の力であの子を護っていただけのわたしは、生を受けたようであった。


そして同時に、あの子に操られることがうれしかった。

492 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:19:37.403 ID:WEiUeqeM0
――けれども、わたしはあの子とただ居られるだけでいい。

あの子と話せなくていい。

あの子と触れ合わなくたっていい。

あの子の魂として存在する―――ただそれだけで―――。

だから、ずっと鬼の鎧を背負い続ける―――――――。

493 名前:魔女ノ見タ夢:2015/06/12 00:20:00.216 ID:WEiUeqeM0
永遠の暗闇の中――――。



わたしとあの子は、永遠の闇に消え去った――。

二度と目覚めることはないだろう――。



そして、わたしのただ一つの恋も闇の彼方へと―――。


―――ああ、でも――。

あの子と、ずうっと一緒にいられるなら、構わないか―――。


――決して目覚めぬ闇の中でも、あの子と共に目覚めず、ずうっといられるのなら―――。


388.70 KBytes  
続きを読む

掲示板に戻る 前100 次100 全部 最新50
名前: E-mail(省略可):

read.cgi (ver.Perl) ver4.1 配布元(06/12/10)